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11月12日からミシガン大学美術館で信楽焼展開催!! 今、土の外交~戦後の日米関係に信楽焼が果たした役割~を考える

展示会の概要

名称

CLAY AS SOFT POWER

SHIGARAKI WARE IN POSTWAR AMERICA AND JAPAN

会期

2022年11月12日(土)~2023年5月7日(日)

会場

ミシガン大学美術館(UMMA/University of Michigan Museum of Art)

展示会のポイント

・約50点の歴史的および現代的な信楽焼作品、関連資料を展示します。現代的信楽焼作品の中には、滋賀県の信楽の地で制作活動を行ったアメリカ人作家の作品も含まれます。

・信楽焼は1960年代に入って、アメリカの美術界で多数コレクションされるようになりました。

本企画展では、信楽焼がアメリカ国内で日本の歴史的・文化的な価値を高めたことで、第二次世界大戦の敵国から冷戦時代の同盟国へとイメージが変わる時期に果たした役割や、アメリカの陶芸家に与えた影響などを紹介します。

ミシガン大学美術館 及部(およべ)奈津(なつ)学芸員からのコメント

 第二次世界大戦後のアメリカでは、日本の民芸や焼締(やきしめ)陶(とう)の大壺などを紹介する展覧会が相次いで行われ、陶芸作家の交流が奨励されました。その裏には、冷戦下でアメリカの敵国だった日本の印象を「好戦的で機械的な」ものから「友好的で素朴な」ものに変えようという考えがあり、焼締陶の生活雑器としての歴史と飾り気のない風貌がアメリカの打ち出したい日本の姿にぴったりと当てはまったと考えられます。こうしたソフト・パワーで日本との友好的な関係を築こうという意思は政府・民間レベルで共有され、60年代から80年代にかけて古い信楽焼の壺が多くのアメリカの美術館に収集、展示されました。

 信楽は地理的に骨董商や外国人人口の多い京都に近く、古い信楽焼が農家などに多く保存されていたことなどから、作品収集、また作家の交流という両面で優位に立ち、結果的にアメリカでよく知られるようになりました。現在も信楽焼は、日本六古窯の中でもっともアメリカでの知名度が高いといえます。

 

【企画展HP】

https://umma.umich.edu/exhibitions/2022/clay-as-soft-power-shigaraki-ware-in-postwar-america-and-japan

信楽焼とは?

 信楽焼は、鎌倉時代後期(13世紀後半)に始まり現在に至るまで、時代の求めに応じて様々なやきものを生み出してきました。信楽の土は、古琵琶湖層群からの花崗岩(かこうがん)由来の白土で、コシが強く焼成により温かみのある緋(ひ)(火)色になり、長石や珪石粒が表出し、自然釉などの独特の景色を見せます。海外でも「SHIGARAKI」は、日本の著名な陶産地として知られています。

 

【海外にいち早く信楽焼を発信した学芸員ルイズ・コート氏のインタビュー動画】(※YouTubeを使用)

https://youtu.be/tBAngmpcQyc

世界のアーティストたちが信楽で創作・交流

 滋賀県では、1990年にやきものを素材に創造・研修・展示など多様な機能を持つ「陶芸の森」を開設。この施設は、地域産業の振興や新しい文化創造の場となっており、滋賀県から世界へ信楽焼に関する情報を発信する役割を果たしています。その事業の一つとして、1992年からアーティスト・イン・レジデンス事業に取り組み、世界中の陶芸家が信楽の地で自由に作品制作ができる機会を提供し、これまで55の国と地域から延べ1400人余りの陶芸家を受入れました。アメリカからはこの展覧会にも出品されているピーター・ヴォーコスやケン・ファーガソンなども滞在。今まで100人を超える陶芸家が信楽の地で制作し、滞在する作家同士や地元の作家やメーカーとの交流を深めてきました。

 

【滋賀県陶芸の森アーティスト・イン・レジデンスHP】

https://www.sccp.jp./air/

50年を超えるミシガン州と滋賀県の姉妹県州関係

 1968年に「湖」のつながり(琵琶湖×五大湖)で、姉妹協定を締結。以降、自然環境の保全・保護をはじめ、経済・生活文化を中心とした住民相互の友好親善を推進するための交流を始め、これまで1万人を超える人々が「草の根」の交流として姉妹交流に関わっています。また県と州のみならず、県内12の市町がミシガン州内の14の市や郡区と姉妹都市・友好都市関係を持っており、エリアとしての絆の深さは、日米の自治体間連携の中で群を抜いています。

 2022年9月には、シカゴでミシガン州知事と滋賀県知事が会談し、60周年(2028年)に向けて、経済や観光、環境などさまざまな分野で交流を促進し友好の絆をさらに強く深めていくこと、そして特に次世代の交流を大切にすることをめざす確認書への署名が行われました。

滋賀県ってどんなところ?

日本一大きな湖「琵琶湖」を有する滋賀県は日本のほぼ中央にあり、JR京都駅から県庁所在地のJR大津駅までは電車で約9分。重要文化財指定件数は1位の東京都、2位の京都府、3位の奈良県に次いで全国4位。「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」、「きっと恋する六古窯-日本生まれ日本育ちのやきもの産地」が文化庁から「日本遺産」として認定されています。

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知事公室 広報課 報道係
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FAX番号:077-528-4803
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