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平成21年度滋賀県環境審議会総会概要

1開催日時

平成21年9月8日(火曜日) 14時00分~16時30分

2開催場所

滋賀県庁新館7階大会議室

3出席委員

生駒委員、伊藤委員、岩田委員、占部委員、岡田委員、上総委員(金田代理人)、笠原委員、川地委員、河瀬委員、高坂委員、坂本委員、須藤委員、檀上委員、塚本委員(藤田代理人)、津野委員、辻村委員、寺田委員、鳥塚委員、中委員、中野委員、中村委員、仁尾委員、原委員(松野代理人)、針谷委員、増田委員、松井(利)委員、松山委員、谷地委員、和田委員(以上29名)※委任状提出委員12名

4 議題

(1)環境審議会各部会の活動概要について(報告)(2)その他の報告事項1.滋賀の環境2009(平成21年版環境白書)について(報告)2.滋賀県環境影響評価条例の対象事業に風力発電を追加することについて(報告)(3)環境施策の推進に関する全般的な意見交換(4)その他【配付資料】

5議事概要

(1)環境審議会各部会の活動概要について(報告)○資料1~資料6に基づいて、各部会から活動概要について説明。
〔部会報告に関する質疑〕会長:資料4-1において、一般廃棄物のリサイクル率の市町別に見ると、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町だけが突出して高い数字となっている理由は何か。
事務局(循環社会推進課):ご指摘の町は、ごみを焼却するのでなく、RDF化して販売されているので、他の市町に比べて高いリサイクル率になっている。
委員:クリーンセンター滋賀の搬入実績を見ると、有機汚泥や建設混合廃棄物、残土等の搬入量が昨年度と今年度で極端に変化しているが、受け入れに何か意図的な考え方があるのか、それともたまたまこういう実績になったということか。
事務局(循環社会推進課):昨年度の多量の有機汚泥や残土については、スポット的なものであり、たまたまこういう搬入状況になったということである。有機汚泥は、ある事業者が保管していたものがクリーンセンターの開業を機に搬入されたものである。また残土も開発事業に伴うもので、管理型でないと処分できない残土であったため搬入されたものである。
昨年度は、こうしたスポット的搬入が続いたが、今年度に入ってからはスポット的なものが少なく、恒常的な搬入が中心のため、このような実績となっている。
しかし、今後、土壌対策法が厳しくなったりしたこと等により、スポット的な搬入も予想されるところではある。
委員:地下水調査で、鉛やふっ素、砒素が検出されているとの結果が報告されているが、井戸水は使わないとはいえ、生活に密着することなので大変心配である。何か改善する方法はあるのか。
事務局(琵琶湖再生課):地下水汚染の結果については、自然由来と考えられるものと人為的な原因によると考えられるものを分けて整理している。砒素やふっ素は、古琵琶湖層という地層の中にも含まれているもので、自然由来であるものが多いと考えられる。一方、人為的汚染と考えられ原因の特定できるものについては、浄化対策等の指導を行っている。
また、汚染が判明した場合には、継続的な監視を行うとともに、速やかに地域の方に説明し飲用指導を行っている。
委員:光化学スモッグ注意報が、5月~6月頃に多く発令されているのは何故か。
工場の煙などが原因と思っていたが、この時期は経済活動も活発な時期でなかったように思うが。
事務局(琵琶湖再生課):原因は、県内だけに由来するものではなく、大陸方面から飛来してくる有機物等も大きな要因にもなっている。また、光条件など気象条件の要素も大きい。こうした条件が重なって、この時期に発生が多くなっているものと考えている。
委員:危険性の強いことについては、住民がパニックにならないようにお伝えいただくようにお願いしたい。
委員:光化学オキシダントの上昇傾向は、滋賀県だけの傾向か。関西圏の状況はどうなっているか。
事務局(琵琶湖再生課):全国的な傾向であり、滋賀県だけで起こっていることではない。
委員:クリーンセンター滋賀の搬入実績で、非飛散性の石綿を含む廃棄物の搬入があると報告されているが、搬入時には、何か特別の対策は必要なのか。
事務局(循環社会推進課):非飛散性の石綿含有廃棄物については、コンクリートなどの製品中に固められたりして飛散性がないものなので、特段の対策は必要ない。なお、飛散性のある石綿廃棄物については、梱包など飛散を防ぐ対策を講じてから埋め立てることとなっている。
委員:資料4-1で、「1人1日あたりのごみの排出量」が、平成18年度までは横ばいだったのに、平成19年に急に大きく減っているが、その理由は何か。
人の意識が変わったのか、それともリサイクルの制度が変わったのか。
事務局(循環社会推進課):大きく2つの理由が考えられる。一つは、県内市町でのごみの有料化が進んだことが考えられる。例えば、大津市などはこの時期に指定ごみ袋の導入などがおこなわれている。
もう一つは、古紙相場の変動により、資源回収などが盛んになったことが寄与していると考えられる。
委員:ごみの有料化という経済的施策が有効に働いたということか。
事務局(循環社会推進課):ごみの有料化の有効性は認められているが、一方、時間の経過とともに住民が慣れてしまって、また元に戻ってしまうという点も指摘されている。今後も継続性について注意して見ていきたいと考えている。
委員:クリーンセンター滋賀は、埋め立て計画は15年となっているが、実際の搬入実績との関係はどのように考えればよいのか。
事務局(循環社会推進課):埋立計画量を計画の15年間で平均すれば、年間約6万7千トンの搬入を見込んでいたことになるが、実績ではこの半分以下しか搬入されていない。
計画した当時からすると、予想以上にリサイクルなどが進んだため、想定した量は入ってないのが現状。
委員:工場の跡地などで土壌汚染が発見された場合、セメント固化や埋立などいろんな処理の方法があると思うが、県では実際にはどのような処理行われていることが多いのか。
事務局(琵琶湖再生課):正確には把握していないが、現地で処理をするよりは、全量撤去し、外部の適切な処分場等において埋立処分しているものが多いと考えている。
会長:おそらく、汚染の種類や程度により処理方法の傾向は変わってくるものであると考えられる。
委員:地下水汚染について、資料3-1の5ページの表で、硝酸態窒素が相変わらず上昇している。私も農業を行っているが、未だに生の牛ふんを放置されたり、わざわざ農地に捨てに来られたりもするが、それを許容している地元農家の方も多い。
このようなことはしてはいけないのではないかと申し入れても、なかなか改善されない。こうしたものが流出して汚染の原因になっていないか心配している。農薬についても基準以内とはいえ、実際にこんなに使われていても良いものだろうかという状況も見ている。
安曇川の田中にも関係しているが、トリクロロエチレンの数値が下がっていないことも、こうした状況と何か関係があるのだろうかと思っている。
事務局(琵琶湖再生課):農地還元自体が禁止されているわけではない。
また、硝酸態窒素汚染の原因は、有機性のものに限ったものではなく、化学肥料にも窒素は含まれているので、同様に汚染原因になりうる。
トリクロロエチレンの汚染については人為的な汚染であり、硝酸態窒素の汚染とは特に関係はない。
委員:県では、「みるエコおうみ」を立ち上げられて、家庭に普及しようとされているが、参加数があまり多くなっていないようにみえるが、これは県の想定した目標に比べてどういう状況なのか。
事務局(温暖化対策室):当初の目標では、もう一桁上の何万家庭ということを目指していたが、普及の仕方が適切でなかったためか、あまり数字が伸びていないのが実態である。市町にも類似の仕組みを持っているところがあり、今年度はそうした取組との連携することなどにより、一層の普及拡大に努めていきたい。
(2)その他の報告事項1.滋賀の環境2009(平成21年版環境白書)について(報告)○事務局(環境政策課)から、資料「滋賀の環境2009」の内容について説明。
2.滋賀県環境影響評価条例の対象事業に風力発電を追加することについて(報告)○事務局(琵琶湖再生課)から、資料7により説明。
〔その他の報告事項2.滋賀県環境影響評価条例の対象事業に風力発電を追加することについての質疑〕委員:風力発電機の本体だけでなく、送電線の鉄柱なども対象になるのか。
事務局(琵琶湖再生課):施設が事業と一体のものであれば、環境影響評価の対象に含まれる。
委員:環境影響評価の対象事業に風力発電を対象に加えることは大変良いことであると思う。目標値に対して、どれだけの発電実績を得られているかを把握しておくことが重要であり、京都府では目標通りにならずに事業の継続自体が危ぶまれている事例もある。風力発電所の目標値に対する実績の実態も把握に努めるとともに、こうした観点も環境影響評価の際に考慮されるよう配慮してほしい。
事務局(琵琶湖再生課):ご指摘いただいた観点についても、考慮していきたいと考えている。
委員:1500kWの風力発電とは、どのような規模なのか、わかりやすいイメージで教えてほしい。
事務局(琵琶湖再生課):草津市の烏丸半島の琵琶湖博物館付近に設置されているものが、ちょうどあの1基で1500kWの風力発電機である。
委員:実際の採算ベースにのせるなら、もう少し小型のものが10基とか並ぶようなことになるのかと思うが、実際に想定される事業規模について、何か情報はあるか。
事務局(琵琶湖再生課):採算ベースにのるものとなれば、1500kWのものが10基とか並ぶ程度の規模にはなると思われる。さらに、現実に設置されている例では、2000kW以上のものも設置されており、さらにそれが30基~40基というような規模で設置されているという規模の事業もある。
委員:資料7では、風力発電所のトラブル事例として、野鳥被害等の事例が挙げられているが、こうしたことよりも自然環境に与える影響の方がずっと大きい。県内では大型のウインドファーム事業などが計画される可能性があり、広範囲に県内の貴重なブナ林が伐採されるといったことなどが懸念される。こうした視点が落ちないようにしてほしい。
事務局(琵琶湖再生課):ご指摘のような自然環境への影響等については、風力発電ということに関わらず、土地の改変に伴うものとして現行の環境影響評価制度で対象となっている。
資料7は、風力発電所に特有の問題点を示したものであり、ここに示した視点だけで評価するということではなく、通常の環境影響評価の視点にこのような視点も加える必要があるという趣旨である。
委員:京都や和歌山での先行事例の経験から、単に卓越風向で建設するのでなく、山風や谷風、複数並んでいる場合の風配の影響など十分考慮されるべきであると思われる。
会長:それでは、この議題「滋賀県環境影響評価条例の対象事業に風力発電を追加することについて」は、環境審議会にご報告をいただいたものとする。
(3)環境施策の推進に関する全般的な意見交換会長:環境施策の推進に関する全般的な意見等について自由に意見交換していただきたい。また、議題(1)の各部会報告に関連する質問、意見等についても、もしまだ何かあるようであれば、併せてご発言いただきたい。
委員:低炭素社会の実現に向けた、温室効果ガス50%削減に向かってロードマップを作成することになっているが、その進捗状況について、またどういった枠組みでロードマップを作成する見込みであるか等、現状を教えてほしい。
会長:まだまだ、これからの作業になる部分が多いと思うが、もし今の時点で報告できることがあれば、説明願いたい。
事務局:(温暖化対策室)まず、2030年に50%削減している社会というのはどんな社会なのかを念頭に置き、そのために遡って、例えば2015年、2020年にはどういうことをしていかなければならないかというような工程表を作ろうとしている。昨年、持続可能な滋賀社会ビジョンを作ったときに、2030年にはこれくらいの対策や施策が講じられていれば50%削減は可能であろうという定量的な計算はしてある。そのような施策をどうすれば実現できるのかということが最大の課題。これは琵琶湖環境部だけで考えられる話ではなく全庁的な取組が必要であるので、昨年、温暖化対策本部を作ったところである。こうした中で、2030年に向けて、どういう対策が可能で、そのために何をなすべきかを検討していく。太陽光発電とか単体の技術のみのではなく、まちづくり、交通、土地利用のあり方も含めた議論することが必要と考えている。
温暖化対策部会長:2030年に半減するという目標は、ものすごく厳しいと感じている。
知事によると、県民が喜んで参加できるように、ということだが、私はそれでは絶対に不可能だと確信している。
もし実現できるとすれば、県レベルで作ったロードマップが、各市町におりていき、さらにその先が具体的にどういうことをやるかということまで示さないと現実的ではない。数字あわせのストーリーならいくらでも描ける。ストーリーの中身を具体的にどういう形で進めるか、というところまで落としていかないと難しいと思う。
会長:おそらく、今の生活の延長線上で、絞るべき点を1つ1つ探しているのではとても実現できない。そうではなく、50%削減する時の生活は、いったいどんな生活になっているか、どんな生活なら可能なのかを、まず考える。もしかすると、全く違う生活になっているかもしれない。そういったところから、目標実現に向けて動いていくのだろうと思うし、これはいわば、滋賀のチャレンジであると考えている。皆さんのお知恵をいただきながら進めていくことが大事だろうと思う。
水・土壌・大気部会長:先ほどの部会報告についての中で、土壌汚染の処理実態についてご質問があったことについて、事務局からの回答で問題はないと思うが、若干補足したい。
全国的に見ても、土壌汚染の対応としては、掘削除去が大変多い。
しかし、処理費用が高くつくために修復が滞っているという実態があり、4月の土壌汚染対策法の改正では、固型化処理や遮水壁で影響を拡げない対策を講じる等、現地での処理をもっとやりやすくする仕組みにしようという狙いがある。
県においても、状況は同じであると考えられるが、昨年の公害防止条例の改正により、土壌汚染は地下水汚染を通じて悪影響が出ることから、地下水の監視をしっかりやっていく仕組みをつくったものである。これは、他の自治体と比較しても先駆的なものであり、その成果は今後出てくるのではないかと思う。
委員:会長からご発言があったように、2030年の温室効果ガス半減に向けて、県民に対して、これからどういう生活をしないといけないかを示すことが非常に重要だと思う。そのために、実際的なモデルを作るといったことはできないか。例えば一軒の家や一つの事業所でもよい。昔の知恵と今の技術とエネルギーの創生の3つを軸にして、考え得るアイデアを集めて実際的なモデルを作ってみるということができないだろうか。
委員:風力発電所がアセス条例の対象に加わるという報告に関連して、太陽光発電は対象に入らないのか、お伺いしたい。
事務局(琵琶湖再生課):環境影響評価制度は、土地の改変を伴うなど環境への影響が大きいことが想定される事業を対象としており、太陽光発電については対象にすることは考えていない。
会長:今の事務局からのお答えは、現状での太陽光発電の実態においては、環境影響評価の対象とする予定はないということかと思う。当然、環境への影響を考慮しなければならないような状況が想定されれば、評価対象に加わることも検討されることになるだろうと思う。
委員:温室効果ガスの削減に先進的に取り組んでいる事業所を見学したいといった要望を受けることがあるが、こうした場合に訪問可能な企業等の情報があれば教えてほしい。
事務局(温暖化対策室):県としても、先進的な取組をしている企業などの具体的な情報がきちんと把握できているわけではないが、例えば、「関西エコオフィス大賞」等をとった事業所がどういった企業があるか等の情報は持っているので、もし必要があればお問い合わせいただきたい。
委員:小学、中学、高校の先生から環境学習の具体的な実施方法についての相談を受けるが、学習船とかもあるが、そういったものでなく日常的にはどのような環境学習ができるかについて教えてもらう方法はないか。
事務局(環境政策課)環境学習支援センターが、まさにそうした業務をおこなっている。環境学習に関して、教えてくれる人、プログラム、フィールドといった情報を目的別、分野にまとめている。センターでは環境学習推進員による直接の相談対応を行っているほか、「エコロしーが」というウェブ上のサイトでも情報を利用できるようにしている。
委員:環境総合計画の長期的目標について、やや琵琶湖に偏っているような印象を受ける。
琵琶湖自体のみでなく、水源である山や森林のことがもっと見えやすいよう、工夫してほしい。
計画本文の修正ということではないが、琵琶湖をつくっている森林などが健全に保全されることが重要であることが県民にわかりやすく伝わるような形になれば良いと思う。
また、別冊の環境配慮指針の中で、事業者が開発の心遣いといったことで、活用されることになると思うが、開発を前提とした配慮指針のみでなく、不必要な開発は行わないという視点もあっても良いのではないか。
会長:「琵琶湖環境の再生」ということの中身は、「琵琶湖流域および周辺で~」と書いてあるとおり、湖のみでなく周辺の森林なども全て含んだ意味として用いているものである。
事務局(環境政策課):計画を県民の皆さんへお出ししていく時には、十分に注意してまいりたい。
委員:滋賀県の温室効果ガス排出量は削減傾向にあるように見えるが、資料2の8ページに排出係数の変化によるところもあり、県民に実態が見えにくくなっているのではないかと思う。人口の変化などの要因もある。こうした要素を加味して、県民の取組がどう反映しているのかわかりやすい提示の工夫をしていただきたいと思う。
もう一点、全国知事会の議論の中で各自治体の発表を聴いていていつも感じることがある。
新しい家電製品やエコカーなどが次々に出てくるが、そうしたものの事前抑制ということは考えられないだろうか。
例えば、鹿児島、宮崎、熊本などの事例で言うと、地産地消の取組を進める中で、露地栽培だったものがエネルギーを多く使うハウス栽培に切り替わったりして、エネルギー消費がすごく増えているという報告があった。そうしたことになると、なかなか元には戻せなくなる。よその県の事例を見て、「滋賀県はこれはやらないぞ」というものを示すとか、事前に普及抑制をかけるようなことが考えられないだろうか。
会長:本日、ご議論いただいた滋賀の環境政策への全般的なご意見については、非常に重要なことであるので、今後とも、さらにいろいろとお気づきのこと等があれば、適宜事務局にお伝えいただきたい。事務局では、こうしたご意見等について、記録として残していただいて、それぞれどのように反映できたか、あるいは難しいかなどについて整理し、このような機会等を通じてご報告いただければ思う。
(閉会)

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