<宮田商工観光労働部次長>
・資料に基づき説明
<質疑・意見等>
(藤原企業庁長)
ここ滋賀のオープンを控えていた平成29年度、現地では園田公室長が準備に奔走されていたが、私は本庁の担当である広報課長として、議会対応を中心に担っていた。今回、改めて当時の常任委員会議事録を読み返したが、特に29年7月と9月の委員会では、産業分類別・市町別の経済効果を具体的に数字で示すよう言われ、非常に緊迫感のある委員会だった。前年12月の委員会でも、通販の売上げ見通しについて厳しい指摘があり、当時の議会では一貫して、原資が税であることを肝に銘じ、説明責任を果たすよう要請があったと記憶している。その認識のうえで、今回の資料について1点質問と1点意見を申しあげたい。
まず質問だが、ファイル03の7ページ、上のスライド13について、経済効果の一覧が(1)拠点、(2)拠点外、(3)観光誘客、(4)メディア・情報発信の4つに分かれている。開業前に議会に示していた資料では、「通販」という項目もあった。目標の総計は当時と合致しているため、恐らく(2)に含めてあるのかと思うが、通販を項目建てされなかった理由はあるか。
次に意見だが、今回は建物の賃貸借契約終了を来年度末に控え、令和4年度に運営事業者を変えて第2期運営を始めた時とは異なり、そもそも東京の情報発信拠点を存続させるか否かという判断が必要になる。ところが、「あり方検討」のプロセスや懇話会の構成員を見ていると、ここ滋賀存続が前提で、よりよいものにするための検討がなされてきたような印象を受ける。例えば、群馬県や宮城県など、維持コストが原因で都内のアンテナショップを閉店する自治体がある中、そういった県がこれまで発揮してきた機能をどういう施策で代替しているのかの実態調査を行ったり、本県では今後大規模事業が予定されている中、全庁的な事業仕分けのような視点でここ滋賀を検証したりする必要があったのではないかと思う。
(宮田商工観光労働部次長)
1点目の通販の件は、ECサイトの売上げの中で効果検証しており、ここで数値として表している。
2点目については、10年間を迎えるに当たって、ここ滋賀を続けていく必要があるのか、原点に戻って検証してきた。そういう意味で今回の論点でも、1番目として首都圏での情報発信の必要性を掲げ、ご意見を聞いてきた。ただ、そうした検証が本当にできているのかというご指摘を受け、もう少し丁寧に、よくご理解いただけるように説明をしていかなければならないと感じている。
(前川東京本部長)
論点6で、ここ滋賀と東京本部の連携や、本庁と東京の連携という形で論点として挙がっている点について補足する。
ここ滋賀と東京本部との連携という点では、ここ滋賀も含めた常会の実施や、運営事業者とのここ滋賀連絡会議に参加したり、また首都圏での情報発信や、北の魅力発信事業を行うに当たっては、ここ滋賀や北部3市と連携して物販や観光PR等を実施している。
本庁との連携という点では、普段からの情報共有のほか、昨年度の途中から各部局企画員で構成される企画調整会議の中に東京本部の本部長代理も参加をしており、今年度からは県政経営幹事会議にも副本部長がオブザーバーという形で参加をしているところである。
また、今回の議題に関連し、企業等とのネットワークの強化拡充という点であるが、東京本部では首都圏における企業や大学とのネットワークを構築し、関係人口の拡大や政策への反映に繋げることを目的に、様々な企業への訪問活動を実施している。これまで、県の観光情報の紹介、滋賀でのイベント紹介、ビワイチのマップ配付、食材の紹介など、テーマを持って各企業を回っていたが、本庁での具体的な課題やニーズを汲み取るという部分があまりできていなかったと思うため、本庁のニーズをまず汲み取り、方針や考え方を明確にした上で企業訪問を行い、そしてその結果をしっかりとフィードバックすること、繋げていきたいと考えている。場合によっては本庁と一緒に回るということも考えており、実際、企業立地の関係では既に今年度本庁と一緒に企業訪問をした例もある。また、例えば高専の共創フォーラムに参加していただいている企業様が東京で展示会をされる等の情報があった場合には、東京本部からも挨拶を兼ねて現場訪問をしているところ。先週の企画調整会議の中でも各部局の意向の調査をお願いしているためよろしくお願いしたい。
ここ滋賀と東京本部それぞれの持つネットワークがあるが、それを一層連携することが必要であり、互いにフィードバックをすることもやっていかないといけないと考えている。常会や企画調整会議の場を有効に活用しながら、しっかりと両者間、本庁間で共有、フィードバックをしていきたい。
(園田知事公室長)
様々な要望や意見がある中でいろんな声に真摯に向き合い、日々尽力している現地のスタッフの皆さんに本当に深く感謝申しあげる。
資料や先日の県政経営幹事会議の様子からは、首都圏での情報発信の必要性と、日本橋という土地の優位性から、今の場所で継続することが決まっているかのように捉えられる。今後の説明に当たっては、決まっていることではなく、そこについても議論していくという姿勢をもう少し示した方が良いと思う。
その上で、資料03の6ページには、ここ滋賀に商品を置いている事業者の評価の声が記載されているが、例えば一度も置いてもらえていない事業者や販売が終了した事業者もある。15ページにはフィードバック機能を強化してほしいという意見もあり、販路開拓で成果を感じていない事業者が57.2%ある。これらの課題にはどのように対応するのか、またどのように展開するのか。そういったことも判断の材料とすべきではないのかと思う。
また、課題として感じているのは、面積、特にバックヤードの狭さである。当初から階段スペースが荷物で埋まっており、その現状は今も改善されていない。スタッフの事務スペース、調理スペース、配膳スペースも十分とは言える状況ではない。機能を最大限発揮するための設備改修もあるが、現在の物件で本当に達成できるのか。AI等の最新テクノロジーを利用したマーケティング等も検討されているのか。
最後に、ここ滋賀は元々、モノとかコトとかを体験して、ここ滋賀が登竜門となって世界に羽ばたいていくというものであった。特にチャレンジ商品、味やパッケージ価格は妥当なのか、そういったものを試した場所でもあった。それを事業者にフィードバックして磨きをかける、あるいは他社とコラボして開発を進めていくといったことがあったと思うが、今現在どうなっているのか、そういったことも追記されてはどうか。
(宮田商工観光労働部次長)
まず1点目の販路開拓支援機能と4点目のテストマーケティングについて、冒頭に課題として説明したように、これまでは店舗でどれだけ売上げがあるかに注力しすぎていた傾向にあり、店舗での販売がその後の販路拡大や商取引にどれだけ繋がったのかや、店舗でのお客様の声を踏まえて商品の改良や新商品の開発にどれだけ繋がったのかといった部分のサポートは十分でなかった。今後は、例えばバイヤーなどの専門家をうまく設置して、商品の目利きをしてもらったり、消費者の声をきちんとフィードバックしてもらったりといった取組を、機能強化の中で考えていけないかと思っている。
また、3点目のAI等を利用したマーケティングについては、販路拡大支援の機能強化として、もう少しデータを活用して事業者に丁寧にフィードバックをしていくこと等の検討に着手しているところである。
最後に2点目のスペースの狭さについて、現在の物件を引き続き借りるということになれば、やはりどうしてもスペースに限りがあるため、一部改修をしていくことも含め、今の中でどういうことができるのかをよく考えていきたい。
(園田知事公室長)
これからまだまだ議論されるところもあり、十分に皆の意見を聞いて対応して欲しい。
(中田農政水産部長)
農畜水産物についてはメディアへの発信のみならず、きらみずきやみおしずく等の販路拡大にも熱心に取り組んでいただきこの場を借りて感謝申しあげたい。
資料03の23ページに商品や販売開拓のあり方についての意見があり共感するところも非常に大きい。先日、首都圏での販売先の挨拶回りに行ってきたが、特色のあるものやストーリー性のあるものに非常に興味を示されていた。先ほどバイヤーについても言及があったが、そういったものをしっかりと相手に伝えるということが重要になってくると思う。それにより滋賀に興味を持っていただいて足を運んでいただき、他にも広げていただくということに繋がっていくのではないか。農政水産部の取組みの中に棚田米があるが、こういったものもストーリー性の面から可能性を持っていると感じており、ぜひ今後ともここ滋賀と連携をお願いしたい。
(宮田商工観光労働部次長)
農畜水産物は有力な滋賀県の資源であり、これまでから積極的にPRしている。おっしゃったように滋賀の特色やストーリーをうまく伝えることを、今後、専門のバイヤーの設置も視野に入れ、意識して取り組んでいきたいと思う。また、伝えるだけでなく、そうした視点で磨き上げや、ブラッシュアップしていくことも事業者の皆さんと一緒に取り組むようなことができればと思っている。
(保田議会事務局長)
資料04の今後の方向性について、費用対効果の面から、他に物件があるかどうかも最大限努力して情報収集することや、本年10月の優先協議期間までには方向性を定めていきたいと記載がある。今後判断する上で重要な要素になるであろう、費用面の話は大体いつ頃の時点で出てくる予定なのか。
(宮田商工観光労働部次長)
家賃が上がることは想定はしているが、具体にどれだけになるのかはこれからの交渉次第となるため、時期について今の段階では申しあげられない。ただ、我々として、費用対効果を踏まえ大体これぐらいの範囲でといった目安は、このあり方案をまとめる7月8月の時点では持っておきたいと思っている。次の庁議の協議事項の中では、そういった目安も示していかなければならないと思っている。
(保田議会事務局長)
そうすると、資料1の5にある今後のスケジュールの部分で、「ここ滋賀のあり方について(案)」を7月あるいは8月に出す予定となっているが、この案の中では、今後の費用や比較した物件等、費用対効果の面について整理するということか。
(宮田商工観光労働部次長)
その時点では、具体的な家賃の価格などをはっきりした数字で出すことは難しい。ただ、おおよその考え方は示したいと思っている。
(村井教育長)
ここ滋賀とは大津商業高校をはじめとする商業系学校の生徒さんの販売体験学習の場として使わせていただいており改めて感謝申しあげたい。
ここ滋賀はやはり情報発信拠点であるということを改めて考えると、実績、経済効果および評価の部分を見たときに、立地にすごく左右されているのではないかと感じた。具体的に言うと、来館者が大体50代、60代であり、同行者も家族もしくは1人ということであるため、若い人たちの友達同士というのはあまりない。また、来館目的もたまたま通りかかって見ていただいていることが多く、それも悪いことではないと思うが、これから先を見通したときに誰をターゲットにしていくのかということを改めて考えないと、立地にすごく直結してきてしまうと感じた。東京本部のネットワーク作りとのすみ分けは分からないが、例えばおそらく若い人たちにはあまり情報が十分に行き届いていないと考えられるため、何かしらそういうネットワークを作る、例えば学生や若手起業家といった若い人たちへのエールのネットワークを作ることも一つの方法かと思う。県内の高校がそういう東京圏の学生や若手の経営者等といろいろ議論ができる場があるということは良いことかと思う。
いずれにしても情報発信のターゲットをどう考えるのかは非常に重要ではないか。立地や存続も含めて考える際に、これからのターゲットをどうしていくのかというところの議論も重要ではないかと感じた。
(宮田商工観光労働部次長)
これから新たに強化していきたいと考えている関係人口の創出の部分では、おっしゃったように、若い方、特に滋賀から東京に進学されている方や、就職をされている方をターゲットにネットワーク作りをしていきたいと思う。昨年から県人会と共に、滋賀に関心を持ってもらえるような交流会を始めているが、併せて若い方をターゲットにしたネットワーク作りを東京本部とも議論しながら実施していきたい。
また、ここ滋賀に訪れる方はふらっと立ち寄ったという場合が多いが、滋賀を全然知らない方がふらっと立ち寄って知っていただくだけでも意義があると思っている。ただ、これからも継続していく時に、改めてどこをターゲットにしていくのかはよく議論していきたい。
それから、高校生の体験学習の場については、ここ滋賀の新たな活用方法であると感じたところである。ぜひ高校生のいろんな活動の場としても活用できるよう、教育委員会と一緒に取り組んでいきたいと思う。
(小林監査委員事務局長)
立地について近江商人にゆかりのある日本橋に出店しているということだが、その立地を生かしてここ滋賀オープン後はその関連する滋賀県ゆかりの企業等と様々な連携をして事業を進めてきたり、首都圏の県人会とも様々な事業に一緒に取り組んできたと思う。そのようなこの10年間の取組についてどう評価しているのか。また、その評価を生かして今後さらに10年間はどんな方向で取り組んでいこうと考えているのか。
(宮田商工観光労働部次長)
東京の県人会をはじめとする首都圏の関係者やゆかりの企業の方々との関係づくりは今までも取り組んできた。ただ、どうしてもその範囲で留まっているため、先ほどの教育長の意見にもあったように、首都圏にいる若い方々にも広げていけるような工夫改善をしたい。
(東郷総務部長)
他の物件も含めて情報収集に最大限努めるという話であるが、今後の費用対効果や必要な機能の確保の検討、さらには価格交渉のためにも、できる限り他の物件との比較検討ができるように努めていただきたい。
(宮田商工観光労働部次長)
これから議会や県民の皆さんに説明するときにも大事なポイントになると思うため、十分に情報収集し、きちんと比較できる材料を整えて説明していきたいと思う。
(東副知事)
様々な観点から議論があったが、改めて、ここ滋賀による首都圏での情報発信がいろいろな面で活用されてきたことが分かった。また、東京圏でのマーケットの大きさや、これからの関係人口創出の面も考えると首都圏でのそういった取組は非常に重要であるため、情報発信として機能を持つことは大事だと改めて感じた。一方で、特に費用対効果に着目されていると思うため、冒頭の企業庁長の意見にもあったが、拠点外の売り上げも伸びていることを考えると、本当に常設型の拠点が良いのかということも意見としてはあるだろう。どういった手法で今後情報発信していくのが良いかについて丁寧に説明をしていく必要があると思う。
それから、ターゲットを決めて機能の足りないところを伸ばしていくという話もあったが、具体的にどういう取組であるのかをはっきりさせて、イメージを持ってもらえないとなかなか納得もしにくいと思うため、その辺りを具体的にこれから明らかにしてほしい。
(知事)
前回協議したときよりもこれまでの実績等を詳しく分析して皆で共有できたため、いろいろな意見が出し合えて良かったと思う。コロナもあり、たくさんの体験を踏まえて、10年前とはずいぶん社会の情勢も変わっている。10年前に設置した際に県議会でどういう議論をしてきたのか、その結果設置させてもらっているのか、そしてその結果・効果がどうなのか、こういったこともきちんと皆で共有して議論ができるようにしたい。家賃も相当上がるだろう。しからば、費用対効果は変わってくるのか、こないのか、ぜひよく見た上で最終判断をしていきたい。したがって、そもそも持ち続けるのかということから検討してきたのであれば、検討してきた過程を説明して議論すべきであると、資料や今日の議論を通して感じた。この点、議会や次の協議事項に向けて、さらに皆で深めていきたいと思うため、よろしくお願いしたい。
<中田農政水産部長>
・資料に基づき説明
<質疑・意見等>
(知事)
1点申し上げる。私がこだわった生産額算出額のところも目標に入れることもこの方向で良いと思うが、いろいろな指標がある中でこの額を出すことになるため、その辺りの整理はきちんとしておいた方が良い。中田部長が言ったとおり、データの置き方、取り方によって変わるのはそのとおりだと思う。統計課がまとめている数字でいうと、直近令和3年のGDP名目値は農林水産業合わせて315億であり、最大でも昭和52年、1977年の888億であるが、その辺り整合性を取っておいた方が良い。
(中田農政水産部長)
確認し検討したい。
(保田議会事務局長)
明後日12日木曜日から6月定例会議が始まる。今回は参院選等の絡みもあり例年よりも約1週間早く、そして期間も休会日2日を省略し2日間短いというイレギュラーな日程となっているが、どうぞよろしくお願いしたい。
(知事)
梅雨に入ったため、北川防災危機管理監はいろいろとお疲れ様であると思う。
例えば高時川や伊吹山はどうなっているのか等、近年心配なところは直近の情報を持ち、現地の事務所ともやり取りしながら、絶えず見るよう心がけたいと思う。また、クマが出たりアユが獲れなかったりとあるため、様々な情報を共有できるようにしておきたい。よろしくお願いする。