平成15年10月10日
滋賀県人事委員会(委員長 市木 重夫)は、地方公務員法の趣旨にのっとり、昨年の勧告以降、物価・生計費その他給与決定に関する諸条件の推移について調査をするとともに、職員給与等実態調査および職種別民間給与実態調査(企業規模 100人以上かつ事業所規模 50人以上の県内 420民間事業所のうち 100事業所、調査実人員4,601人)を実施し、本年4月における県行政職職員と民間の事務、技術関係従業員との給与を比較(双方とも新規採用者を除く。)したところ、職員給与が民間給与を平均 1.06%、額にして4,319円上回っていることが認められた。
一方、本年の職員給与は、平成15年度における知事等の給与の特例に関する条例(平成14年滋賀県条例第70号。以下「特例条例」という。)により、給与の一部が減額して支給されているところであり、当該減額措置後の職員給与を基に比較すると、職員給与が民間給与を平均 0.55%、額にして2,233円下回っている。
なお、本年の公民給与較差の算定に当たっては、特例条例による減額措置が財政健全化のために行われる臨時・特例的な措置であることから、減額措置がなかった場合の職員給与により比較することが適当であると判断したところである。
本委員会においては、これらの調査結果および国家公務員に対する給与改定ならびに民間事業所における賃金改定の状況などを総合的に勘案した結果、公民給与較差の是正を基本として、職員給与について所要の改定を行う必要があると認めたため、県議会議長および知事に対して、本日(平成15年10月10日)、職員の給与等について報告するとともに併せて勧告を行った。
本年の勧告では、人事院勧告に準じて給料表の減額改定を行うとともに、扶養手当や通勤手当等の改定を行ったところであるが、その結果、月例給ベースでは、2年連続でのマイナス勧告となったところである。
この勧告どおり給与改定が実施されると、行政職給料表適用職員(3,985人、平均年齢 42.5歳、平均勤続年数 21.6年)の給与は、職員1人当たり現行給与 404,333円が、4,251円(1.05%)引き下げられ、400,082円となる。なお、特例条例による減額措置後の職員1人当たりの現行給与は 397,859円である。
また、併せて、期末手当の年間支給月数を 0.25月分引き下げることとしているため、職員の年間給与は、行政職平均で約 171,000円( 171,147円、 2.5%)の減額となり、平成11年度(約 101,000円の減額)、平成12年度(約 72,000円の減額)、平成13年度(約 17,000円の減額)、平成14年度(約 159,000円の減額)に続いて5年連続での年収減(5年間合計約 520,000円の減額)となる。
人事院勧告に準じて改定すること。
(1)扶養手当 -------人事院勧告に準じて改定すること。
配偶者に係る支給月額を引下げ(14,000円→13,500円)
(2)調整手当 -------異動保障の支給対象を人事院勧告に準じて措置すること。
異動保障の対象となる異動等について、調整手当支給地域における在勤期間が6箇月を超える場合のみ対象
(3)通勤手当 -------次のとおり改定すること。
交通機関等利用者
交通用具使用者(自動車使用の場合)
使用距離(片道) | 支給額 |
---|---|
54km以上58km未満 | 28,900円 |
58km以上62km未満 | 30,000円 |
62km以上 | 31,100円 |
使用距離 54km未満は改定を行わない。
(4)期末・勤勉手当等 ------次のとおり改定すること。
平成15年度(一般職員の場合)
平成16年度以降(一般職員の場合)
(5)初任給調整手当 -------人事院勧告に準じて改定すること。
条例の公布の日の属する月の翌月の初日(公布の日が月の初日であるときは、その日) から実施。
ただし、3の(2)、(3)および(4)の平成16年度以降の改定については、平成16年4月1日からの実施とする。
(1) 給与制度の見直し等
職員の士気の高揚や組織の活性化を図るため、職員の職務内容や能力、実績等を考慮した給与制度等のあり方について、今後の国の動向に留意しつつ、他の都道府県や民間の状況も参考にしながら、新たな人事給与制度が本県の実情を踏まえた納得性の高い制度となるよう、検討を進める必要がある。
職務に関連する専門的事項について、職員が自主的に大学院や研究機関等において調査・研究を行うことのできる制度について検討する必要がある。
(2) 男女共同参画社会への取組
政策・方針決定過程への女性の参画を進めるため、引き続き女性職員の登用や職域の拡大を着実に推進していく必要がある。
「次世代育成支援対策推進法」の目的等を踏まえ、職員の職業生活と家庭生活の両立を支援し、性別にかかわりなく働きながら安心して子育てができるよう育児休業等の制度をより活用しやすいものとするため、職場における意識啓発等に一層取り組む必要がある。
(3) 時間外勤務の縮減等
管理職をはじめ職員一人ひとりの自覚のもと、事務の効率化・簡素化を図るなど、時間外勤務の縮減に取り組む必要がある。
また、職員の精神的負担が増大する傾向にあることから、メンタルヘルス対策の一層の充実に努めるとともに、職員の心身両面の健康保持と職務への意欲の増進を図るため、年次有給休暇の計画的・連続的な取得の促進に努める必要がある。
(4) 公務能率の増進
職務に対する高い倫理観と使命感を持ち、県民の信頼を得られるよう、一層の公務能率の増進と行政サービスの向上に努めるとともに、更なる資質の向上を図る必要がある。