6次産業化とは、1次産業としての農林漁業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組みのことです。
県内で取り組まれている、6次産業化の事例を紹介します。
当社は、有機JASの認証を受けブルーベリー等の栽培を行っています。ブルーベリーの付加価値を高めるため、ジャムに加工して県内の道の駅や百貨店で販売する他、摘み取り体験もできるレストランやカフェを経営する等、ブルーベリーを核とした事業展開を進めています。
新型コロナウィルスの影響で既存販路の売上が激減し、またレストランを閉店することにしたため、新商品の開発、仕組み作りが 急務の課題となりました。レストランのお客様からは「紀伊國屋の味を家で食べたい」という声があり、農産物の需要拡大と付加価値化を目指し、自園や地域の食材を使ったスープを開発しました。
商品化に向けては、滋賀県の補助事業を活用し、市場調査、顧客アンケート、試作試食を重ねました。さらに、色々な専門家と連携し、コロナ禍で高まる健康意識を受けて、発酵技術を取り入れ、今までレストランで提供してきた味を家で食べられるスープを開発することができました。
今後は種類を増やして、販路拡大していく予定です。
(有)るシオールファームは、大規模稲作経営として水稲・麦・大豆及び、野菜、花き、果樹の経営と、農産加工、直売所の運営など、多角経営に取り組んでこられました。自己の経営の発展には、まず地域の発展が重要であるとの考え方から、自社で農産物直売所を設置し、自社のみならず、地域の農産物販売も行ってこられました。
今回、自社や地域で生産した新鮮な野菜やコメなどの農産物や、それらをふんだんに使ったヘルシーな料理を提供したいという思いから、平成30年に農家レストラン「べじらいす」と新たに農産物直売所を整備されました。
当初はレストランの経営経験がなかったため、6次産業化プランナーとの相談を通じて、季節に合わせたメニュー作り、価格設定、カロリーや原価計算、接客や作業動線等、一つ一つ課題を解決していき、平成30年7月14日、無事開業することができました。開業後も、定期的なメニューの見直しなどにより、当初の計画以上の集客となり、順調な運営となっています。
るシオールファームは、今後も新メニュー、新たな加工品や品目等適宜開発し、経営を発展させていきたいと、高い意欲を見せておられます。
当農園は水稲、麦・大豆+露地・施設野菜の複合型で、いち早くイチゴ狩りを導入し、県内最大級の観光農園を経営されています。近年、周辺にイチゴ農家が増えつつあることから、一層集客力を高め売上げ向上を目指すことにされました。H30年に店舗の建設、R1年には本格的なナポリ風ピッツァ焼成窯を整備されました。その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、開店が危ぶまれましたが、R2年11月に農園喫茶「ricco」がオープンしました。
初めての取り組みで戸惑われることもありましたが、滋賀県6次産業化プランナー制度を活用しメニュー開発や店舗デザイン、PR戦略等について専門家の助言を受け開業に至りました。自園産イチゴを使ったピッツァやパフェ、スムージー等のスイーツを販売され、売り上げ目標を達成する状況となっています。
今後、6次化部門の安定化のため、お土産品の開発、販売やネット販売を手掛けられる予定です。
2014年に6次産業化総合化事業計画の認定を受け、地元食材を使った大福、惣菜等を商品化し、近くの道の駅で販売を開始されました。そして、町が食の拠点として整備された加工所兼農家レストランの運営委託を受け、2018年9月に「おだいどこ野幸」をオープン。女性メンバーが運営に携わり活躍されています。
取組の柱は農家レストラン(月替わりのランチ2種)です。美味しいごはんと黒豆コロッケ、地場野菜中心の数々のおかずが彩りよく盛り付けられたランチのほか、弁当(予約販売)、大豆あんのいちご大福(春限定販売)が特に好評です。
レストランの運営開始を契機に、中小企業診断士の支援を得てまとめられた事業計画に基づき、コロナ禍での対策も検討しつつ「美味しい、嬉しい、楽しい」をスローガンに取り組まれています。地産地消の推進、地域の憩いの場づくり、経営安定のため、日々奮闘中です。
こだわりの自家生産物を使用し、「健康、時短、手軽さ」をコンセプトに商品開発を行っています。
主力商品には、妊娠中や授乳中のお母さんも安心して飲めるノンカフェインの「穀物茶」と、炊飯器にそのまま入れるだけで炊ける、多忙な中でも健康を意識したい女性向けの「雑穀米」があります。
平成27年に6次産業総合化事業計画の認定を受け、稲・麦・豆のポン菓子加工を行ってきましたが、思うように所得向上にはつながりませんでした。そこで、県6次産業化プランナーの支援を受けながら付加価値の高い商品づくりの検討を行い、これらの商品開発に至りました。雑穀米ではパッケージにもこだわり、中身が見えるプラカップ入りとしたことで、他に例を見ないおしゃれな商品となり、ギフト用としても好評を博しています。
引き続き新規商品開発に力を入れ、加工部門を経営の一部門として位置づけられるよう目指されています。
「ないとうさん家の野菜」ブランドで超多品目栽培に取り組む生産者が、ブランド価値を高める加工品の開発を目指してチャレンジされました。
アイデアと熱意はたっぷりあるけど具体化する方法がわからないという状態から始めて、県6次産業化プランナーや県農産普及課の支援も交えて試行錯誤すること1年、ついに3商品を2020年春から順次販売開始されました。
自家栽培みずかがみの自然な甘みとしっとり感を味わえる「米粉パンケーキミックス」や、ふっくら炊いた自家製あずきの入った「あんミルクバター」は、withコロナの時代における「お家時間を楽しむCook at Home セット」としても好評です。自家製野菜の酢漬けをたっぷり使った「野菜にタルタル」は県内漬物会社とコラボした逸品で、揚げ物に合うだけでなく、「ないとうさん家」の骨太な野菜を引き立てる味となっています。
これらの商品は高島市内外の直売所やECサイトで販売されています。販売開始後、「ないとうさん家の野菜」ファンはさらに拡大し続けています。