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滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例の取組状況等について

全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、「滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例」を平成31年4月1日(10月1日全部施行)から施行しました。

令和元年度

■報告書の内容

 (1)相談対応の状況(相談体制を整備した令和元年10月~令和2年3月までの半年間をとりまとめ)

 (2)条例に基づく啓発等の取組状況

■目的

 事例を分析・公表することで、どのような行為が差別にあたるのか、合理的配慮としてどのような対応が必要かを周知することで、差別に“気づき”、“行動する”きっかけにしていただく。

1.相談対応について

(1)条例おける相談対象

  ・障害を理由とする差別

  ・合理的配慮に関すること

  ・その他(不適切な行為、環境の整備等)
 

(2)相談体制と助言・あっせん等の仕組み

  「地域アドボケーター」「障害者差別解消相談員」「共生社会づくり委員会」を設置し、調整・助言、あっせん等を行う


(3)障害者差別解消相談員

  専門性をもって中立の立場で相談に応じ、必要な助言、調査、調整などを行う相談員を2名配置


(4)地域アドボケーター(地域相談支援員)

  自身で相談することが難しい障害者に寄り添い、相談内容を代弁するなどにより相談員につなぐ(26)

2.相談実績

(1)令和元年度(下半期)の実績

〇令和元年10月以降に障害者差別解消相談員が受け付けた新規事案件数58件R1.10.1~R2.3.31

 障害を理由とする差別=15件、合理的配慮の不提供=10件、その他=33件)

 障害福祉課で上半期に受け付けた件数は27件であり、1年間の件数では85件

〇平成30年度に県障害福祉課が受け付けた件数は16件であり、令和元年度の85件は、大幅に増加。

⇒地域アドボケーターの設置や条例施行に伴う周知による障害者差別に関する意識や感度が高まったのではないかと認識


(2)相談内容の類型

●分類別・相談の類型別

分類別・相談の類型別の表

●主な発生地

・大津圏域:12件(20.7)

・湖南地域:8件(13.8)

・湖北地域:6件(10.3)

●相談者等の障害種別

・肢体不自由:19件(29.2)

・精神障害:17件(26.2)

・知的障害:6件(9.2)

●相談者の属性

・本人:31件(53.4)

・アドボケーター:11件(19.0%)

・市町行政:5件(8.6%)
 

(3)相談事例

【事例1】

 ■地域活動分野差別(不当な差別的取扱い)

 グループホームに対し自治会の役員を受けないのであれば自治会費を倍額払って欲しいと求められたことへの対応

 相談内容

 知的障害者のGHに対し、地元の自治会から、役員の担い手がなく、次年度の役員を引き受けないのであれば、自治会費を2倍の額で払うよう言われたが、この件は法や条例に定める差別にあたるのではないか。

 ●対応

 自治会の対応を条例に照らし確認。GHは従来から自治会の行事等には協力されており、高齢化による役員不足は別の問題。また、知的障害のある方が役員を担うことは難しく、営利目的の商業施設と同様の取扱いをGHに求めるのは障害への理解が不足していると判断し、相談者の考え方を支持。

 ⇒相談者が自治会の役員会で条例等の内容を説明され、理解を得られたと報告があった。

【事例2】

 ■情報の提供分野合理的配慮の提供

 会議等の資料を継続的に郵送してほしいと、肢体不自由の県民から申し出があったが、どこまで対応すべきか

 ●相談内容

 インターネット環境が整っておらず、また、肢体不自由で会議等への傍聴に行けない県民の方から、資料を毎回送ってほしいと求める問い合わがあったが、どこまで対応する必要があるのか。

 ●対応

 多くの資料があり、毎回、資料を郵送したとしても全てに目を通すとは思われない分量であることを確認。例えば、資料の一覧を作成し、相手との対話を通じて、必要な資料のみを送付してはどうかと助言。

 ⇒障害のある人からの依頼や問合せがあれば丁寧に対応していく体制を考える契機となった
 

(4)相談活動まとめ等

〇基本姿勢

 相談員は、相談者の思いを受け止め、それぞれの相談の内容に応じた調整活動や適切な情報提供・助言を、状況に応じて丁寧に行うことを基本姿勢として相談に対応。

〇相談対応能力向上に向けた取組

 様々な相談に適切に対応するため高い専門性が求められる中、研修や相談活動の振り返りを定期的に実施。

事業者への具体的提案等

 事業者との調整活動の中では、単に条例の趣旨等を周知するだけでなく、事業者に対して相談者が直面しているバリアを取り除くための具体的な提案を行うこと等が必要。

関係機関等との調整

 相談者の抱える問題の所在を明確にし、必要に応じて関係機関と情報共有・連携して問題の解決のための調整を、場合によっては適切な機関への丁寧な引継ぎを実施。

相談員の相談役(スーパーバイズ)アドバイザー(3名)を設置し、事例の検証を定期的に実施

3.その他の活動状況

(1)滋賀県障害者差別のない共生社会づくり委員会

役割

条例第15条に基づき、関係団体等との情報共有や共生社会の実現に向けた取組を県全体で推進するために開催差別解消法第17条に規定する「障害者差別解消支援地域協議会」としての機能も兼ねる。

状況

令和元年11月に開催(会長の選出、条例に対する期待、必要な施策等について審議)。令和2年3月に2回目を予定していたが中止。
 

(2)地域アドボケーター研修会

●目的

地域アドボケーターとしてのスキルアップを図るとともに相互の連携を深めるため開催

●状況

令和元年11月に開催(法や条例の基礎となる障害者権利条約等の考え方をおさえるとともに意見交換を実施)。令和2年3月に2回目の研修(DET(障害平等)研修)を検討していたが中止。


(3)地域アドボケーター、市町担当者情報交換会

目的

令和元年10月から地域アドボケーターを配置したが、障害者差別の多くは地域や日常生活において生じるものあり、市町や関係機関とも情報を共有し、共に解決していくため、福祉圏域ごとの情報交換会を実施。

●状況

令和元年11月に7福祉圏域ごとに市町担当職員、地域アドボケーター、県担当者(保健所含む)および障害者差別解消相談員で実施


(4)普及・啓発活動

●条例フォーラムの実施

  ・R1.7.15 第1回フォーラム(南部会場:大津市内):104人参加

  ・R1.7.28 第1回フォーラム(北部会場:近江八幡市内):144人参加

  ・R2.3.14 第2回フォーラム(栗東さきら大ホール)お笑いライブや寸劇等の内容で企画⇒コロナで中止

  ●出前講座

  ・企業、学校、自治会などの研修会等で相手のリクエストに応じて障害当事者や専門家を講師派遣 66(延べ4,404人参加)

  ・企業からは「自社ホームページに音声読み上げ機能を追加する」などの反応も

 ●条例ガイドライン

  ・事業所等が行う合理的配慮の望ましい事例等を示すとともに、条例の目的や内容を盛り込んだガイドラインを作成・周知

 ●条例パンフレット

  ・条例の内容を分かりやすく説明したパンフレットを作成・周知

 ●合理的配慮の助成事業

  ・事業者や団体等が合理的配慮を提供する際にかかる費用を助成

  ・筆談ボードの設置や簡易スロープなどの購入等に対して助成を実施(延べ181件)助成を受けた事業者を県HPで公表

4.課題に対する今後の取組

(1)事業者・県民への普及・啓発等について

 ・条例の施行により相談件数は増加したが、まだまだ条例の内容や相談窓口についての周知が不足

 ・多くの差別は、障害のある人への誤解や理解不足により不適切な対応につながっていると考えられる場合が多く、事業者への対応改善を求めていくことに加え、好事例の発信や、従業員向けの研修等を実施

 ⇒参加しやすい内容のフォーラムの開催、出前講座の継続実施、映像による啓発等の実施
 

(2)関係機関等とのネットワーク構築・連携強化について

 ・地域アドボケーターの存在が、まだまだ認知されていないため、引き続き、周知に努める。また、研修会や情報交換会を定期的に開催し、スキルの向上や、関係者間での連携の強化が必要。とりわけ、障害者差別の解消は、障害のある方の生活改善という側面があるため、市町との連携強化を図る。

 ⇒圏域ごとの情報交換会の継続実施や、地域アドボケーター研修に市町担当者も加えた内容となるよう検討

■最後に

 

 差別」は人の生活を脅かし、尊厳や人権を傷つける、決して許されない行為。一方で、障害者差別は、障害に対する理解不足などから、無意識のうちに差別的な対応をしてしまうケースも多い。また、入り組んだ背景を持ち、簡単には「解消」しない場合もある。県民一人ひとりが正しい知識を身に付け、できることを継続して積み上げていくことが重要であり、そのために条例に基づく取組を着実に進めていきたい。

 

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