降雨時の路面排水には、路面の土砂・粉塵、空気中の浮遊物質、自動車タイヤや舗装アスファルトの摩擦クズ、事故時の車の燃料等、さまざまなものが含まれ、公共水域における水質汚濁の原因の一つと考えられています。
このため県では、平成10年度から路面排水の汚濁調査および土壌を使った浄化能力実験を進めてきました。その結果、路面に堆積した汚濁物質は、初期の雨水による路面排水(初期フラッシュ水:First Flash)によって多く流出することや、汚濁物質の大半は、土壌ろ過により浄化されることを確認しました。
そこで、
の2点について、平成12年度から実験を繰り返し、汚濁負荷を大幅に削減する装置を開発し、平成18年度に特許を取得しました。
路面排水枡の上部内側に設置した集水トラフにより、初期フラッシュ水のみを選択的に貯留・浄化枡に導きます。
導かれた初期フラッシュ水は、貯留・浄化枡の底に充填された山砂(マサ土)のろ過・吸着作用により汚濁物質が除去されます。
また、初期フラッシュ水で貯留・浄化枡が満足になれば、集水トラフに流入する雨水はオーバーフローし、排水路を通り河川等に流出します。(集水トラフから貯留・浄化枡への流入部は、 <貯留・浄化枡への流入> 先に溜まった初期フラッシュ水と混合しにくい構造となっています。)
浄化されたフラッシュ水は、貯留・浄化枡底部の排水パイプから排水路に排出する方法や、貯留排水枡の底から地下浸透させる方法があり、目的や周辺部の状況等により選択することができます。
<浄化後、排水路への流出>
省スペース
初期フラッシュ水だけを選択的に取水・浄水する方法により、装置のコンパクト化を実現。道路際の植栽帯や歩道などに1m四方程度のスペースがあれば設置できます。集水トラフは、既設の排水枡に組み込むことも可能です。
低コスト
コンパクト化により量産・施工が容易となり、低コストで設置できます。また、維持管理は、適時集水トラフの目詰まりを確認する程度で済みます。
簡便・かつ高性能浄化
土壌によるろ過・吸着作用を利用して、SSなどの粒子状物質だけでなく、難分解性CODなどの溶存性物質も除去できます。
項目 | 能力 |
---|---|
対象降雨強度 | 降り始めから2mmまで |
集水面積(標準タイプの装置) | 50 〜 70m2 |
貯 留 量(標準タイプの装置) | 100 〜 140リットル |
標準浄化時間 | 24時間 |
除 去 率 | |
COD(化学的) | 80%以上 |
TOC(総有機炭素量) | 80%以上 |
T-N(総窒素) | 50%以上 |
T-P(総りん) | 90%以上 |
平成14年度試験結果による(試験分析機関:東レテクノ株式会社)
集水トラフ
W 310〜600mm × D 300mm × H 50〜65mmWeight 2〜3kg
貯留・浄化枡
W 900mm × D 900mm × H 910mmWeight 410kg
集水トラフによる選択集水後の排水枡へのオーバーフロー状況
試験装置:県道栗東志那中線(滋賀県栗東市霊仙寺)