西部・南部森林整備事務所高島支所管内の区域面積(琵琶湖を除く)は、約51,000haで、うち森林は37,000ha(林野率72%)と県森林面積の18%を占めており、安曇川や石田川をはじめとする河川を通して琵琶湖に豊富な水を供給する重要な役割を担っています。高島支所管内では、これらの森林の公益的機能の高度な発揮を目指すために、関係の方々と連携して積極的に林業の振興や森林整備を進めています。
県内の人工林は成熟しつつあり、利用可能な時期を迎えています。高島支所では、林業普及指導員が中心となり、持続可能な採算のとれる林業を目指した取り組みを実施しています。
1.集約化の推進
効率的な林業が実施できるよう、集約化を推進しています。※集約化とは、一体的で効率的な施業を実施するために、複数の森林所有者の隣接する林地をとりまとめて30ha以上に大面積化することです。
2. 林業技術の向上支援
搬出方法や作業道開設技術、機械化など林業技術の向上のための研修会や、検討会を実施しています。
木材市場研修会作業道研修会
3. 木材利用の推進
搬出した滋賀県産材(びわ湖産材)が有効に使われるよう、利用を推進しています。
高島市朽木診療所
4. その他
その他、特用林産や機械購入、森林経営計画樹立や各種補助制度についてなど、林業振興に関するさまざまな相談に応じています。
1. 間伐の推進
人工林において、水源かん養機能など公益的機能を十分発揮できるよう、間伐を推進しています。また、採算が困難な奥山の人工林については、「環境林整備事業」を活用した針広混交林を推進しています。
2. 里山保全の推進
荒廃した里山林に対して、「里山リニューアル事業」を活用するなど、里山整備を推進しています。
3. 森づくり団体の支援
里山整備を実施する森づくり団体などに対して、技術指導や、道具貸出しなど支援しています。
4. 緑化推進
「緑の募金」による事業として生活環境緑化事業等をおこなっています。公園等の公共施設に緑化樹木の苗木を市町に配布するものです。また、緑の少年団活動の支援もしています。
1. 松くい虫、シカ獣害対策
保全すべきマツ林には、市が実施するマツクイムシの防除を推進しています。また、人工林では、シカの食害防止のための柵設置や、クマ剥ぎ防止のための樹木のテープ巻きを推進しています。
シカによる皮剥被害 テープ巻による皮剥防除 樹幹注入による松林保全対策
2. 病害虫相談
病気などによって樹木が弱った場合の病害虫相談を実施しています。専門的な診断が必要なときは、樹木医の紹介を行います。
1. 保安林の指定および管理
特に公益的な役割を果たしている森林を保安林に指定して、その働きが失われないよう伐採を制限したり、適切に手を加えて必要な管理を行います。機能の著しく低下した保安林は、県が治山事業等を実施するなどの管理を行う場合もあります。
また、保安林では、伐採や各種作業に対して様々な制限や許可を伴う場合があります。保安林内で伐採や各種作業を行う際は、当支所に御相談下さい。
2. 林地開発の許認可
1haを超える面積の森林を開発する場合は知事の許可が必要となります。災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全の4つの基準で審査します。また、1ha以下の森林について開発行為を行う際にはあらかじめ市長あて伐採届けを提出する必要があります。
地域林業の中核となりうる模範展示林的な森林を造成し、地域林業の振興を図るために、管内の県営林・県有林を保育・管理しています。
1.狩猟の取り締りおよび狩猟免許事務
野生の鳥獣を無許可で捕獲することは、法律で禁止されています。狩猟を行うにあたっては、狩猟免許を取得し、さらに狩猟者登録を行わなければなりません。詳しくは、当支所にお問い合わせ下さい。
2.野生鳥獣の保護管理の推進
農林業に著しく被害を与えるサルやシカ、イノシシの特定動物については、生息状況や農林水産業の被害状況を科学的に調査した上で、農林水産業の被害を軽減し、適切な生息頭数を維持していくための保護管理を進めています。
森林は、洪水や渇水を緩和し、水質を浄化する水源かん養機能、土砂の流出や崩壊を防止する山地災害防止機能、気候緩和や自然とのふれあいの場を提供する等の生活環境保全機能・保健文化機能さらに野生動植物の生息・生育の場として生物多様性を保全する機能や二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としての機能など様々な公益的機能をもっています。
これらの森林のうち、特に重要な役割を果たしている森林については、「森林法」に基づいて「保安林」に指定されています。治山事業は、保安林がこのような公益的機能を十分に発揮できるように森林の造成、維持に必要な治山ダム工、植栽工等を施工し、山地災害から県民の生命・財産を保全し、また、水源のかん養、生活環境の保全・形成等を図る事業です。
1.治山ダム工の効果(高島市マキノ町白谷地先)
平成25年9月の台風18号に伴う豪雨により渓岸侵食等で発生した土石等が流出しましたが、既設治山ダムの渓床勾配緩和効果により土石等の流出が抑制されました。流出した土石等の一部が県道まで達して橋梁を埋塞しましたが、土砂の除去を行うことで通行可能となり、被害を最小限に止めることができました。
2.予防治山の実施(高島市鹿ヶ瀬(八池山))
地質が脆弱なため渓岸浸食が起きやすく、浸食により流れ出た土砂による災害の危険性がある渓流において、予防治山工事を実施しました。
林道は、私たちの暮らしに欠かせない大切な森林を守り育てるために、なくてはならない道です。林道は、間伐や枝打ちなどの森林整備、木材の搬出などに利用します。
また、山村地域の生活道や災害時の避難路としての役割も持っており、近年は、森林とのふれあい、保健休養、森林浴など森林を訪れる人々のアクセス道としても必要性を高めています。