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滋賀県臨床検査技師会、血液形態部門・染色体検査分野研修会において、講演「染色体・遺伝子の異常による発がん PART-II」を行いました。

昨年は、がんで見られる染色体・遺伝子の異常を解説し、それらをネットワーク経路の観点から理解する事が抗がん剤の開発に役立っているという事をお話ししました。それに引き続く今回はがんが「進化」する病気であるという観点から、がん組織に含まれるさまざまな種類の細胞の間で交わされるコミュニケーションががんの進化に重要であり、このコミュニケーションを断ち切る事ががんの治療を考える上で重要である事を解説しました。コンピュータシミュレーションをもちいて進化においては協調関係を築く傾向を持つ戦略が優位に立つ傾向がある事を示し、がんにおいても細胞同士の協調関係が重要だと考えられる事を議論しました。現在の分子標的薬はまさにこの協調関係の破壊を標的にしています。

また講演会の数日前に開かれた日本癌学会の発表から興味深いトピックの紹介を行ないました。肺癌の原因となる染色体組換えによる融合遺伝子 EML4-ALK 、ファーマコゲノミクスについて解説しました。EML4-ALKは4年前に東京大学の間野教授により発見された融合遺伝子ですが、この働きを抑える薬が既にアメリカで認可され、まもなく日本でも使用されることになるでしょう。ファーマコゲノミクスは遺伝子情報に基づいて、抗がん剤を含むいろいろな薬の副作用を予知したり、個人に合った適切な投与量の予測に役立つ新しい医学分野で、個別化医療を推進するものです。

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  • 日時平成23年10月7日(金)19:00~20:30

※ 生涯教育研修委員会認定、臨床専門20点


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