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研究所報2002

PETによる脳機能画像の臨床応用に関する研究 伊藤正利1)・柴田実千代1)・宮島智子1)・藤井達哉1)・奥野武彦1)・熊倉啓1)・岡沢秀彦2)
小児てんかん患者の病態に関する研究 滋賀県立小児保健センター小児科1) 滋賀県立総合病院研究所2)

1.はじめに

PETによるてんかんの研究は、部分てんかんのてんかん原性焦点の局在決定または難治性てんかんに対する皮質切除術の術前検査として応用が進められているが、小児てんかんにおける研究はまだ少ない。我々は小児部分てんかんにおける18FDG-PETの有用性について検討した。

2.対象および方法

 対象はてんかん原性焦点検索のために18FDG-PETを施行した小児部分てんかん児24例(男9例、女15例)で検査時年齢は1歳から11歳4ヶ月であった。部分てんかんの病型は、前頭葉てんかん12例、側頭葉てんかん4例、頭頂葉てんかん1例、分類不能の部分てんかん7例であった。全例にEEG、MRI及び18FDG-PETを施行し、うち10例には123IMP-SPECTも施行した。

3.結果・考察

 局所異常をMRIでは3例(13%)に認め、SPECTでは5例(50%)、PETでは20例(83%)に認めた。MRIで脳波の発作時または発作間歇機の局在性異常と一致し責任病巣が決定できたのは2例(8%)SPECTでは2例(20%)、PETでは10例(42%)であった。脳波異常のある部位と異常半球が一致したのは、MRIでは1例(4%)、SPECTでは3例(30%)、PETでは8例(33%)であった。6歳5ヶ月の左側頭葉てんかんの症例では、左側頭部にてんかん波を認め、MRIで左側頭葉にcortical dysplasiaとcystic lesion、SPECTでlow perfusion、PETでlow perfusionを左側頭葉に認め、左側頭葉切除術を行い、難治であったてんかん発作(複雑部分発作および二次性全般化発作)が完全に消失した。

4.まとめ

PETは、小児部分てんかんの焦点検索には、 MRI、SPECTより有用である。 本研究は、第35回日本てんかん学会および 第31回日本臨床神経生理学会で発表した。


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