滋賀が誇る豊かな歴史・文化的価値を未来へ継承していこうと県・琵琶湖文化館が開催している連続文化財講座「花湖さんの打出のコヅチ」が22日、開講した。
メイン会場となった大津市のコラボしが21には約100人の聴講者が詰めかけ、講師の話に熱心に耳を傾け、時折メモを取る姿も見られた。
当講座は、平成20年度から始まり本年度で19年目。
本年度1回目となるこの日は「新・県指定長福寺木造阿弥陀如来坐像の魅力」をテーマに、滋賀県文化財保護課の飯村技師が演壇に立った。
本年3月、新たに滋賀県指定有形文化財となった日野町・長福寺木造阿弥陀如来坐像と、そこに用いられている「鉈彫り」をキーワードに、その魅力を解説した。
現在は滋賀県立琵琶湖文化館に寄託されている。滋賀県の文化史上貴重なものであり、顕著な特異性を示すものと判断され、令和8年3月17日に滋賀県指定有形文化財(彫刻の部)に指定された。
本像は一木造の鉈彫り像。頭から脚までは1本の木材から作られている。坐像であるため、脚まで1本の木材から彫り出すには比較的大きな直径の原木が必要だという。
「鉈彫り」は仏像の中でも稀にしか見られない技法で、像の表面にノミ痕をあらわに残す仕上げにより、荒々しさ、ダイナミックさを感じることができ、本像1番の魅力となっている。
鉈彫りは平安時代を中心に作例が見られ、銘文や関連史料はないものの、木造阿弥陀如来坐像も平安時代(11世紀ごろ)に作成されたと考えられる。
背中部分と顔や胸部分の「ノミ目」は明らかに大きさが異なり、彫り方を変えるなどの工夫や表現の違いを見つけるのも鑑賞のポイントだと話す。
木造阿弥陀如来坐像は兄弟仏が存在する、全国唯一の鉈彫り像。
兵庫県尼崎市にある法園寺の木造薬師如来坐像の姿は木造阿弥陀如来坐像とそっくり。製作の背景が伺える史料は残っていないものの、これほどまで似ている像が存在するのは珍しく、何らかの規格の元、それぞれの像が作られたのではないかと考えられるといい、同じ作者または同じ工房でつくられたのではないかと考えられるという。
講演で飯村技師は、「この製作の背景を解明できれば、鉈彫り像の研究に一石を投じることができる」と語った。
この日会場では、新しい琵琶湖文化館整備のための寄付も募られた。
「花湖さんの打出のコヅチ」メイン会場では、1,000円以上の寄付で、普段は販売されていない「滋賀の文化財がデザインされたポストカード2枚」または「ふせん」がもらえるもの。
「花湖さんの打出のコヅチ」の開催は今年度は全8回、第2回目となる講座『「八景」とその絵画』は6月17日、琵琶湖文化館の萬年香奈子氏を講師として開催される。
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