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祭りの笑顔を裏方で守る――水口曳山祭で見つけた「名もなき小さなヒーロー」の背中

春の訪れとともに、甲賀市水口町に賑やかなお囃子が響き渡る「水口曳山祭」。

豪華絢爛な曳山が町を練り歩く中、華やかな舞台の裏側で、人混みの中、「ゴミはありませんか?」と大きなゴミ袋を手に、黙々とゴミを集める子どもたちの姿があった。

その光景を偶然見かけた方が思わず声をかけたところ、彼らは親や学校から言われて活動しているわけではなく、自分たちでこの日にゴミ集めをしようと決めて活動をしている地元の小学生ということだった。

その話を聞いた県広報課では、活動していた子どもたちの行方を辿った。しかし、彼らはどこの誰であったのか、ついに特定することはできなかった。彼らにとってその活動は、誰かに名前を知ってもらうためのものではなく、ごく当たり前の行動だったのかもしれない。

直接言葉を交わすことは叶わなかったが、彼らの背中が物語っていた想いは想像に難くない。「自分たちの町、自分たちの祭り」を大切にしたいという純粋な責任感が、彼らを突き動かしていたのだろう。

昨今、社会の変容や担い手不足により、県内各地でも伝統行事の維持が難しくなっているという声を耳にする。しかし、今回目撃した「名もなき小さなヒーロー」たちの姿は、私たち大人に大切なことを教えてくれた。

伝統を守るということは、単に形を継承することだけではない。彼らのように「地域のために自ら考え、行動する」という主体的な心が次世代に育まれている限り、その文化の火が絶えることはないだろう。

目まぐるしく変化する現代社会。課題は山積みだが、あの日の子どもたちが示してくれた「故郷を愛する心」は、私たちが守り抜くべき宝物だ。

自ら考え、行動する彼らの真っ直ぐな想いを、決して途絶えさせてはならない。彼らが誇りを持って成長し、この町の未来をたくましく歩んでいけるよう、私たち大人もまた、彼らの背中に恥じない情熱を持って、この素晴らしい伝統と地域を次世代へと繋いでいかなければならない。

あの日の水口曳山祭の風景の中に、私たちが全力を尽くして守るべき、心強い「明るい未来の兆し」が確かに灯っていた。

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