滋賀県は4月9日、県公館にて、医師で郷土史家でもあった故・中神良太氏が収集した貴重な書画群「中神コレクション」123点の寄贈を受け、長男の中神源一氏へ感謝状を贈呈した。
今回寄贈されたのは「中神コレクション」は故・中神良太氏が長年かけて一点ずつ収集したもの。良太氏のコレクションについては、没後の平成6年に浮世絵を中心に約500点が草津市へ寄贈されていたが、今回の123点は実家の建て替え時に、押し入れや納戸から新たに見つかったものである。
県の学芸員が鑑定したところ、滋賀にゆかりのある人物の史料性や保存状態が極めて高い作品であることが判明した。
コレクションの範囲は、室町時代の書状から昭和末期の作品までと非常に幅広く、多岐にわたる分野の資料が揃っている。
山縣有朋、後藤新平といった近代日本の立役者たちの書に加え、第3代滋賀県知事の中井弘(中井欧州)の作品は、琵琶湖疏水建設などの政策背景など、当時の政治家・知識人たちの交流を裏付ける証拠となる。
また伊藤東涯や、滋賀出身の書家による作品群は、江戸の儒学世界から明治の近代書道がいかに形成されたかという連続性を知ることのできる貴重な資料となる。
このコレクションの大きな特徴は、デパートなどでまとめ買いされたものではなく、良太氏が全国の展覧会情報やパンフレットを頼りに、自らの足で一点一点探し求めたものであるということだろう。
贈呈式で中神源一氏は、良太氏が郷土資料館を作る夢を持っていたことを明かし、琵琶湖文化館で収集した作品を多くの人に見てもらえることは父も喜ぶだろうと語った。
今回の収蔵される作品は、滋賀の文化史や近代書道の成り立ちを解き明かす一級品として、新しい琵琶湖文化館で展示公開される。