令和5年度から県史編さん事業を進めている滋賀県立公文書館で、昭和戦前期の湖国を振り返る企画展『新聞記事からみえた百年前の湖国』がはじまった。
これまでの編さん作業で収集した新聞記事を手がかりに、昭和戦前期の湖国のトピックスを紹介している。
昭和初頭は、本格的政党政治の起点であるほか、現代の外来種問題にもつながるウシガエルの移入や小鮎の県外移出などの動きが起きていたほか、国際観光ホテルの先駆けとなった琵琶湖ホテルや近江学園の前身である三津浜学園の創設など、現在のインバウンドや社会福祉にも通じる出来事もあった。
公文書館では、「これらのトピックスを通じて、昭和の時代と現在とのつながりをみなさんと考えていきたいと思います「と話している。
テーマ:「新聞記事からみえた百年前の湖国」
展示期間:令和8年(2026年)2月24日(火) ~5月21日(木)
展示場所:滋賀県立公文書館(県庁新館3階)
開室日時:月曜日~金曜日(祝日、年末年始を除く)、午前9時~午後5時
展示内容:新聞記事17点、滋賀県立公文書館所蔵の特定歴史公文書9点(合計26点)
問合せ先:滋賀県立公文書館(電話:077-528-3122、FAX:077-528-4813)
トピックスの一つに「国際観光ホテル」の紹介がある。
昭和初期における「国際観光政策」への挑戦だ。
1930年代初頭、慢性的な不況に喘ぐ中、対外収支改善のための国策的取り組みとして、外国からの旅客(外客)を誘致するための国際観光政策が本格化した。
1931年(昭和6年)、滋賀県はこの政策に呼応して、国際観光ホテルを建設する計画を発足させた。当時は琵琶湖畔につながる主要な道路の完成を目前に控えており、観光地としての需要拡大が見込まれる中での立案だったという。
ただ、現在の京都新聞の前身である「京都日出新聞」などの資料を紐解くと、県内全体で諸手を挙げて国際観光ホテル建設に賛同していた訳ではなかったという。1932年には県知事に対し大津市の料理組合と旅館組合が陳情書を提出、「本来外客を主たる客層とするはずのところを営利目的で内地人遊覧客に重きを置くよう方針を転換する」との噂を受け、地元業者への圧迫を避けるよう要望していることが報じられている。
1934年に開業した「旧琵琶湖ホテル(現・びわ湖大津館)」は、東京歌舞伎座や明治生命館等を設計したことで有名な岡田建築事務所が設計を担当し、桃山様式と呼ばれる特徴的な和風の外観と洋風の内観を有する重厚な建築である。
最近は、昨年2025年に公開され大ヒットとなった、歌舞伎界を描いた映画『国宝』のロケ地の一つとして脚光を浴びている。