女性アスリートが抱える生理・月経の課題について、正しい知識を学び、競技パフォーマンスの向上や将来の健康管理につなげる「1252プロジェクト」の講演会が2月23日、大津市のスカイプラザ浜大津で開催された。
滋賀県競技力向上対策本部が主催し、中高生のアスリートやその保護者、指導者ら約40名が参加した。トップアスリートの実体験と産婦人科医による専門的な知見を通じ、月経コントロールの重要性を共有した。
■競技を止めないための「1252」
プロジェクト名の「1252」は、1年間の52週間のうち、約12週間は月経に関連する何らかの不調を抱える可能性があるという、女性特有のサイクルを象徴している。
講師として登壇した元ハンマー投げオリンピック選手の室伏由佳氏(順天堂大学スポーツ健康科学部先任准教授)は、自身の競技生活を振り返り、月経に伴う体調変化への理解が当時はまだ不十分であったことを指摘。「生理を正しく知り、自分に合ったコンディショニングを身につけることは、怪我の予防や競技力の向上に直結する」と訴えた。
■トークセッション
講演後のトークセッションでは、産婦人科医の藤原睦子氏と、2016年のリオオリンピックに出場したウインドサーフィン選手の伊勢田愛氏が加わり、女子学生アスリートが抱える「生理とスポーツ」の課題や対策について話し合った。
その後、会場からたくさんの質問が出され、室伏さん、藤原さん、伊勢田さんが一つひとつ丁寧に回答した。
特に質問が多くあったのが、低用量ピルによる月経コントロールに関することであった。藤原さんは「現在の中高生が月経痛を感じているのであれば、それはすでに体がピルを服用しても安全な段階にあるというサイン」と述べ、現代の超低用量ピルは副作用も抑えられており、中学生からの使用も可能であると解説した。
また、スポーツ界で軽視されがちな「無月経」についても警鐘を鳴らした。
藤原さんは、18歳までの時期は将来の骨密度を決定づける重要な期間であり、女性ホルモン・エストロゲンが不足する無月経状態を放置すると、疲労骨折のリスクが高まるだけでなく、将来的な不妊や骨粗鬆症の原因になると説明。「無月経は楽だからと放置せず、専門医を受診してほしい」と強く呼びかけた。
他にも会場から「指導者が選手の月経をどう把握すべきか」という質問も寄せられた。伊勢田さんは「選手からは言い出しにくいもの。普段の様子との違いに気づいた時に、指導者や親から声をかけてあげることで、コミュニケーションのハードルが下がる」と、周囲の理解と問いかけの大切さを語った。
閉会にあたり、室伏さんは「この場での学びを1度きりで終わらせず、周囲の友人や選手にも伝えてほしい。それが多くの女性アスリートを救う活動になる」と締めくくった。