東京・日本橋にある滋賀県の情報発信拠点「ここ滋賀」で18日、信楽中学校の生徒たちが自ら企画・製作した信楽焼の「箸置き」などのオリジナル商品を販売するイベントが開かれた。
同校の部活動・信楽中学校総合文化部生徒らでつくる仮想の会社「中学生カンパニー」の事業の一環。生徒たちは、ここ滋賀の入口付近から道行く人に来店を促す声をかけたり、来店者に手作りの手裏剣型や徳利を模した「箸置き」をPR。滋賀・信楽の魅力を懸命に発信した。
ここ滋賀で販売を行ったのは、松本深愛(みちか)さん、粟田陽乃(ひなの)さん、杉村菜々子(ななこ)さんの3人。3人は甲賀市立設楽中学校の1年生。
1月としては風もなく日差しが降り注いだ18日、3人は少し緊張した面持ちながらも、入口自動扉横で「私たちが作った信楽焼の箸置きはこちらで販売中です。ぜひお立ち寄りください」と、通行人に積極的に声をかけていた。
故郷の信楽とは全く違う、高層ビルが立ち並ぶ景色に松本さんは「山がない」と話し、驚きつつも、物怖じしない姿勢で呼びかける姿に多くの人が足を止めた。
粟田さんは、都会の人の多さや街の賑わいに驚いたけどすごく刺激を受けていると話したうえで、「本当にいい経験です」と笑顔で語った。
ここ滋賀の販売スタッフの方に3人について話を伺うと、「物怖じせずにやれるというのはすごくいいこと。素晴らしい」と生徒たちの堂々とした姿に感心していた。
今回の商品開発では、「自分たちが本当に欲しいもの、家族や大切な人に贈りたくなるもの」という生徒ならではの視点を重視。その結果、信楽たぬきが持つ徳利や手裏剣をモチーフにした愛くるしい「箸置き」が完成した。
一つひとつ手作りのため、形や色合いが微妙に異なり、温かみのあるメッセージが添えられている。
今回の活動は、単なる商品販売にとどまらない。
生徒たちが自ら考え、行動することで、地域の魅力を再発見し、それを発信する力を育む貴重な機会となっている。
生徒たちの柔軟な発想と行動力が、信楽の歴史・文化・伝統という本来の価値を取り戻し、そこにどのような新たな価値を生み出すか!?
信楽中学生カンパニーの代表・福山淳さんは、「伝統産業である信楽焼に新しい風を吹き込み、5年後、10年後に向け次の後継者へも引き継いでいきたい」と話した。
一日だけのイベントであったが、生徒らにとっては、何物にも代えがたい貴重な経験になったことは間違いない。
現地で感じたことや考えたことを信楽に戻って仲間に伝え、可能性を大きく広げていってもらいたい。
「信楽中学生カンパニー」
代表は甲賀市信楽町で古着屋シヴェルを経営する福山淳氏が務める。
信楽で身近にあるやきものを通して、様々な職種やデザインのことを知り、自分の将来の可能性を楽しみながら探っていくための仮想の「中学生の会社」。
2020年に設立され、以降信楽まちなか芸術祭での物産販売や、地域のイベントでの装飾デザイン制作などを行ってきた。25年には大阪・関西万博KANSAI学生ビジネスアイデアコンテストにも挑戦し、ファイナリストにも選ばれ、審査員長賞を受賞している。
信楽中学校の約30人の生徒が所属する部活動が活動の中心で、福山氏ら外部顧問の指導のもと、生徒たちは地域資源である信楽焼に新たな付加価値を見出すことを目指している。