滋賀県の三日月知事は25日、世界最深の湖底遺跡とされる「葛籠尾崎湖底遺跡」の調査成果を定例会見で発表した。
県では今年10月に、竹生島の北側沖にある葛籠尾崎湖底遺跡(長浜市)について調査を行った。その成果について今回、速報として発表したもの。
葛籠尾崎湖底遺跡は大正13年(1924年)に発見され、世間に大きな衝撃を与えた。昨年はその発見から100年の節目にあたり、琵琶湖に眠る水中遺跡魅力発掘・発信事業に取り組んでいた。
今年度は、国の調査研究事業を受託し、パイロット事業として葛籠尾崎湖底遺跡の調査に取り組んだという。
今回の調査では、無人潜水機による新技術の湖底スキャナーを導入し、水深64mの潜水調査が難しい場所の湖底地形と遺物の散布状況等を把握することに成功した。
調査成果は二つ。
一つ目は、約1万1千年前の縄文時代早期前半から中葉初頭にかけての、状態の良い砲弾形縄文土器が新たに発見されたこと。形がほぼ完全で底が尖っており、この遺跡では最古の土器と推定される。
二つ目は、古墳時代中期(約1500年前)の同じ形・大きさの土器6個が近くに沈んでおり、うち3個がきれいに一列に並ぶ様子が確認できたこと。これら土器が船の積荷の落下物だった可能性について検証するという。
知事の定例会見の後に、報道機関向けに説明会を開催した文化財保護課によると、今後、県民の方をはじめとする一般向け説明会の開催について、検討しているという。
琵琶湖の北部に突き出た葛籠尾崎半島の周辺水域に位置する。大正13年(1924年)以来、深いところでは水深70m を超える位置から、縄文時代から中世にいたる土器が数多く引き上げられている。
遺跡の成因には諸説あり、定まっていない。
琵琶湖にある多くの水中遺跡とは異なって水深が深いため、湖底の視認が困難なためである。