介護事業者による働きやすい職場環境づくりを表彰する制度「介護職員の働きやすい職場環境づくり内閣総理大臣表彰・厚生労働大臣表彰」の厚生労働大臣奨励賞を県内3事業者が受賞した。
22日に滋賀県庁健康医療福祉部長室で行われた伝達式には、社会福祉法人青祥会が運営する介護老人保健施設「長浜メディケアセンター(長浜市)」の施設管理者山口珠緒さんが出席し、山田忠利部長から表彰状を受け取った。
その後、山口さんは、岸本織江副知事を表敬訪問し、受賞を報告。生産性向上と介護人材不足への対応として、2021年から電子カルテや音声入力システムを導入したことなどを紹介した。
従来は記録業務が後回しになりがちで、利用者との関わりを優先する職員の残業が常態化していたが、電子カルテと音声入力システムを導入したことで、介助をしながら記録作業ができる環境が整い、記録にかかる時間が1日あたり約25分短縮され、利用者とのコミュニケーションの時間が増加したという。
また、音声入力システムに付随するインカム機能を活用し、夜勤帯など少人数の時間帯でも、他フロアの職員に応援を要請できるようになり、精神的な負担軽減から、ケアの質の向上にも繋がっているという。
山口さんは、「当初は変化に対する職員の戸惑いもあったが、多くの職員が使い慣れているスマートフォンを媒体とすることで抵抗感を和らげた」と話し、「ICTが得意な若手職員を役職に関係なく『推進員』に任命し、彼らを中心に導入を進めた」と成功のコツを話した。
今後はこれらのノウハウを同法人内の他の施設に広げていきたいという。
取り組みを聞いた岸本副知事は、県で実施している介護施設のICT活用などへの集中的支援の取り組みなども紹介しながら、当該事例が、同法人の運営する他の施設への展開を超え、県内全体に広がり、介護現場の魅力向上に繋がることへ期待を示した。
令和7年度「介護職員の働きやすい職場環境づくり内閣総理大臣表彰・厚生労働大臣表彰」の表彰を受ける他の2事業所(グループホームまんてん塩津、ゆうらいふ居宅介護支援事業所)に対する伝達式・副知事への報告は、26日(金)に行われる。