国宝・彦根城の世界遺産登録に向けた取り組みを進めている彦根城世界遺産登録推進協議会(滋賀県・彦根市)は11日、登録に向けた国の審議に必要となる推薦書案を文化庁に提出したと発表しました。
発表は、彦根市役所4階の特別応接室で、滋賀県文化財保護課の木戸参事員、同課彦根城世界遺産登録推進室の高尾室長、彦根市文化財課彦根城世界遺産登録推進室の小林室長の3名で行いました。
県および市では、世界文化遺産を目指す彦根城の価値を、『17世紀からの250年間にわたって、安定した社会秩序を形成・維持した江戸時代の「大名統治システム」を象徴的に伝える物証である「城」のうち、彦根城はもっとも良く物証が残り、大名統治システムを体験できる城である』としています。
彦根城の世界遺産登録に関しては、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関(イコモス)から技術的・専門的な助言を受ける事前評価制度を利用することとし、昨年10月にイコモスからの事前評価結果の通知を受け、評価を反映した推薦書案作成に向けて、国と協議を続けていたものです。
今回、大名統治システムの説明精緻化、国内に158あるとされる城の中での彦根城の位置づけ、井伊家の重要性などの記述を加えることなどにより、木戸参事員は、「自信をもって送り出すことができた」と答えました。
今回の推薦書案の提出を受け、国の文化審議会において推薦候補について審議され、今年9月末までに国からユネスコへ推薦書(暫定版・英訳版)が提出されます。
来年2月までに推薦書(正式版)を提出し、26年度に現地調査、27年度に世界遺産委員会による登録可否の審議・決定が行われることが想定されています。
滋賀県の三日月知事は、「約250年にわたって、安定した社会秩序を維持した「徳川の平和」(パクストクガワーナ)と呼ばれる、世界でも注目される時代を支えた「大名統治システム」と、その独特な政治体制の拠点として、なくてはならない役割を果たした江戸時代の城が、世界的な観点から見て顕著な普遍的価値を持つこと、そして、その江戸時代の城を代表する彦根城が、いかに重要な城であったかについて、推薦書案では、分かり易く、かつ丁寧に説明してます」とコメントしています。