今春、近江八幡市・沖島の「地域おこし協力隊」に着任した平尾友里さんと杉浦健介さんが、「おきしま通船」の船長としてデビューをする日が近づいている。
沖島は国内で唯一、湖に人が暮らす有人島。
令和7年5月末時点の島民人口は214人、高齢化率は69.2%、島民の交通手段であるおきしま通船の船長の高齢化や担い手不足、空き家の増加39軒(令和6年度末)などが課題となる一方、来島者数は、平成25年の約12,000人から令和6年には約25,000人へと増加している。
近江八幡市では、島の振興や、唯一の公共交通である「おきしま通船」の運行業務に関わりながら、島の魅力を発信してもらおうと「地域おこし協力隊」を募集し、応募者12人の中から平尾さんと杉浦さんが選ばれた。
今年4月から島での生活を開始した2人は、運航に必要な訓練を積み重ねており、当初は「1年後を目標」とされていた船長デビューのタイミングが大幅に前倒しされ、早ければ今夏にもデビューする可能性が高まっているとのこと。4月に船舶免許を取得し、運行業務の補助の傍ら、空き時間を活用して操船訓練なども行っているとのこと。加えて、「沖島通船(okishimatsusen)」という名前のインスタグラムアカウントを開設し、島の魅力や情報の発信にも積極的に取り組んでいる。
平尾さんは、大阪市出身。大阪で調理の仕事や介護施設の管理栄養士として働いていた経歴を持つ。観光で沖島を訪れ、島での暮らしに憧れがあったという。島に移住して3カ月、島での生活や仕事に対する感想を問われた平尾さんは、「最初に抱いてた、自然も良いし流れる時間もすごい素敵だなと思っていたんで、それを毎日体感できている」と笑顔で振り返った。
杉浦さんは、京都府出身。昨年、滋賀県立大学在学時に船長候補募集を記事を目にし、沖島を訪問し自分の目で確かめたうえで応募。定期船を継続、発展させるミッションに魅力を感じているという。理想と現実のギャップがあるかどうかの問いに、 「(3カ月で)もう慣れてきていて、島の特有の文化にもあんまり驚かない耐性はできてるのと思う」と苦笑したうえで、「想像通りの良いところでした。一番最初に、こちらに来た際に感じたことを、そのまま毎日感じている」と楽しそうに話した。
なお、沖島町自治会は、平尾さんと杉浦さんとは別に、神奈川県出身で建設関係の仕事をしていた松橋賢(さとし)さんを採用し、3人体制で船の運航を行っている。
おきしま通船は島の沖島漁港と対岸の堀切港を1日12往復結んでいる。
乗船料は島民が片道200円、島民以外の場合は大人500円、子ども200円。
乗船時に船内でチケットを現金で購入し、航行中に乗務員に手渡す形式。