日野町鎌掛・しゃくなげ渓の谷間に群生する約2万株の「ほんしゃくなげ」が薄桃色の花をつけ、来山者らを喜ばせている。
ほんしゃくなげはツツジ料の常緑生木で、県内では比良や鈴鹿の標高の高い山地に自生する。高さは4~5m。枝わかれした先端には花を取り巻くように光沢のある細長い葉が集まっている。
花をつけるのは4月下旬から5月上旬で、つぼみのときは濃い紅色で、花を開くにしたがって紅色が薄れ、淡いピンクになる。花の直径は4~5センチメートル、先端が7つにわかれて14本のおしべがある点が特徴。
隔年結果(かくねんけっか)といわれる、花をつける量の多い成り年(表年)と量の少ない不成り年(裏年)を繰り返すが、今年は表年にあたることから、山肌一帯に点々と花を見ることができる。日野町観光協会によると「このGWが最後のチャンスだという」。
今月5日までは入山には保全協力金が必要(400円/人)。「しゃくなげ渓」駐車場から群生地までは徒歩約30分。駐車場料金は無料。
通常は高い山に自生するほんしゃくなげが、鎌掛谷(標高300~400m)のような低い山に群生するのは非常にめずらしく、昭和6年に国の天然記念物に指定されている。
また、昭和29年にNHK、日本交通公社、全日本観光連盟などにより、滋賀の「郷土の花」として選定された。