湖東繊維工業協同組合は15日、県庁で会見を開き、湖東地域の伝統技法である「こんにゃく糊付け加工」を施した麻糸を使用したニット生地のTシャツが完成したと発表した。
会見したのは、湖東繊維工業協同組合の辻英幸副理事長、澤宏一郎副理事長、水谷真也氏の3人に加え、今回のプロジェクトにブランディング面で支援を行った、大阪・関西万博にも関わるロボットデザイナー・美術家の松井龍哉氏と株式会社ATパートナーズ代表取締役の村瀬晶久氏の計5人。
新しいブランドの名は「蒟蒻麻絲(こんにゃくあさいと)」。英語表記では「KONJAC LINEN」。
発表されたTシャツは、糸の1本1本に湖東地域の伝統的な技術である「こんにゃく糊付け加工」が施された原糸を、県東北部工業技術センターの技術支援を得てニットに編んだもので、機能性と心地よい肌触りを実現している。
シャツの表面には、躍動感や熱量をベースに表現したデザインが温度で色が変化する染料を用いてTシャツ1枚1枚に手捺染(てなっせん)でプリントしている。色の変化は約26℃前後で起こるという。
製造には、湖東繊維工業協同組合の組合員6社が関わっている。
(株)麻糸商会が原糸手配、(有)ユニフルがこんにゃく糊付け加工、澤染工(有)が染色・柔軟加工、(株)大長が生地仕上げ加工、ファイナル商事(株)が縫製、(株)おおまえがクリエイティブディレクションと手捺染を担当した。
辻英幸副理事長は「近江の麻は、歴史は室町時代に始まり数百年の歴史を有する。主に夏物の装寝具に使われてきた。」と紹介したうえで、「生活スタイルの変化やニーズの変化を受け、伝統技術の継承を大切にしながら、新しい創造的な価値観を持とうと、伝統的な麻織物の技術に現代的な要素を加えた新製品が開発できた。この製品は、『伝統文化を次世代へ』との想いを込めたメッセージである」と力を込めた。
現在は、新商品や新サービスを応援購入できるクラウドファンディングサービス「マクアケ」で紹介しており、14日現在、目標となる20万円を大きく上回る180万円を130人以上から集めている(募集期間は5月30日まで)。
今後は、マクアケでの販売以外にも、近江八幡市にある組合のアンテナショップ「麻香」と、水谷さんらが運営するアパレルと飲食のお店「NOWON」(彦根市)で販売を予定しているという。
シャツのデザインや手捺染を担当した湖東繊維工業組合(株式会社おおまえ)の水谷真也さんは、「3年間で1億円を超える売り上げを達成したい」と意気込んだ。
滋賀県の湖東地域の23事業者で構成する湖東繊維工業協同組合は、「近江の麻」「近江ちぢみ」の地域団体商標を有し、糸加工・染色・製織・整理加工まで産地一貫生産できる特徴を持つ。HPやSNS等で産地の麻商品の情報発信を行っている。