令和7年9月中旬、滋賀県南部のスダチにおいて、チュウゴクアミガサハゴロモと疑われる成虫の発生が認められました(写真1)。採集した成虫を神戸植物防疫所に同定依頼したところ、県内では未確認のチュウゴクアミガサハゴロモPochazia shantungensisであることが確認されたことから、10月1日付けで令和7年度病害虫発生予察特殊報1)第2号を発表しました。
国内での本種の発生は、平成29年に大阪府で初めて確認され、令和7年9月26日現在、本県を含めて14都府県で報告されています。
本種はカメムシの仲間で、成虫の体長は14~15 mmです。前翅は茶褐色~鉄さび色で、前翅縁中央に三角形の白斑が存在します(写真4)。幼虫は白色で、腹部から背中にかけて白い糸状の蝋(ろう)物質の毛束を広げ、背中には小さい黒点が見られます(写真3)。
本種は極めて広食性であり、農作物ではリンゴ、ナシ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ、ブドウ、カンキツ、カキ、イチジク、ブルーベリー、オリーブ、キウイフルーツ、チャ、宿根アスター等での加害報告があります。
成虫および幼虫が枝を吸汁し、集団で吸汁すると排泄物により、すすかび症状が発生します。また、成虫が樹皮を剥いで産卵するため、樹が損傷し、樹勢の衰弱や細枝の枯死が発生することがあります。
県では、農業者に対して、(1)ほ場内をよく見回り、成虫や幼虫は見つけ次第捕殺すること、(2)産卵された枝は切除してほ場外に持ち出し、土中深くへの埋設、または袋に密閉したうえでの処分など、適切に処分することを呼びかけています。
(参考)
1)特殊報:県内に今まで発生が確認されていなかった病害虫を発見した場合や、病害虫が今までとは違う特異的な発生をする現象が認められた場合に発表しています。