ダイズの被害粒の原因となるミナミアオカメムシの成虫が、県内5か所(大津市里、守山市矢島町、近江八幡市安土町大中、長浜市難波町、高島市今津町日置前)に設置している予察灯による調査1)において、県内5か所の累積誘殺数の平均値が平年の6.4倍と多く誘殺されています。また、8月5日~6日に県内36地点の水稲ほ場で行った調査において、ミナミアオカメムシの平均生息数2)は1.2頭(平年0.03頭)であり、過去10年間で最も多くなりました。水稲の収穫後、ミナミアオカメムシがダイズほ場内に侵入し、ダイズを加害することが懸念されます。そのため、別添のとおり8月25日付けで令和7年度病害虫発生予察注意報第4号を発表しました。
本県において過去にダイズにおけるミナミアオカメムシの注意報を発表したことはなく、今回が初めての発表となります。
ミナミアオカメムシは、様々な植物に生息して増殖しており、ダイズや水稲を加害します。ダイズの莢が着き始めると、収穫後の水稲ほ場等からダイズほ場内に侵入して莢の中にある子実を吸汁します。若莢期から子実肥大期に吸汁された子実は、変形が激しい粒となり、品質低下や減収の原因となります。
1.ミナミアオカメムシは県内で近年増加傾向にあり、吸汁能力が高い。
2.県内5か所(大津市里、守山市矢島町、近江八幡市安土町大中、長浜市難波町、高島市今津町日置前)に設置している予察灯において、ミナミアオカメムシ成虫の平均誘殺数は平年の6.4倍で多い。特に近江八幡市安土町大中に設置している予察灯では、8月第3半旬までのミナミアオカメムシ成虫の累積誘殺数は平年の約10.8倍であり、過去10年間で最も多い。
3.8月5日~6日に県内36地点の水稲ほ場で実施したすくい取り調査において、ミナミアオカメムシの平均生息数は1.2頭であり、平年(0.03頭)よりも顕著に多く、過去10年間で最も多い。水稲の収穫後は、ダイズほ場へ移動する可能性が高く、ダイズでの被害が多くなるおそれがある。
4.向こう1か月の気象予報(大阪管区気象台8月21日発表)では、気温は高いと予想されており、発生に好適な状況が続くおそれがあり、被害の多発が懸念される。
県では、農業者に対して、(1)ミナミアオカメムシが多いほ場では、若莢期と子実肥大初期に薬剤防除を確実に実施すること、(2)薬液が着莢部に十分付着するよう散布すること、を呼びかけています。
1)予察灯による調査:昆虫が光に誘引される性質を利用し、夜間に電球を点灯することで成虫を捕獲して、害虫の発生量を調査する方法。
2)生息数:畦畔雑草で捕虫網(直径36cm)を50回振って得られた個体数。「平年」は平成27~令和6年の10年間の平均値。