2024 年 12 月に採択された世界湖沼の日(8 月 27 日)制定を記念して、世界の主要な湖沼 とそれぞれの環境問題について、そこにすむ淡水魚の視点から紹介します。
世界・日本の湖沼 と琵琶湖との共通点や相違点など、湖沼の環境について多くの人に考えてもらうきっかけと なることを狙いとしています。
トウティ湖の固有種・ トウティメダカ (提供:小林大純氏)
・⽔族企画展⽰室にて、世界の湖沼(北⽶・五⼤湖、南⽶・ティ ティカカ湖、中国・太湖、東南アジア・スラウェシ島の古代湖 とミャンマーのインレー湖、中央アジア・アラル海、⽇本・⽥ 沢湖と⼋郎潟)にすむ淡⽔⿂の⽣体や標本の展⽰を⾏います。
・⽣体では、タラの仲間としては珍しい淡⽔にすむカワメンタイ (五⼤湖)、⽇本には⽣息しない⼤陸性のコイ科⿂類・カワア カメとガンユイ(太湖)、2023 年に新種記載されたトウティ メダカ(スラウェシ島トウティ湖;右写真)、アラル海の縮⼩ などの影響で激減したアラルトミヨ(アラル湖)など、普段は ⾒ることができない世界の淡⽔⿂約 20 種を展⽰します。
・標本では、ティティカカ湖固有の⼤型のカダヤシ類(当館所 蔵)、琵琶湖とも縁の深いアナンデール博⼠が約 100 年前に ミャンマーのインレー湖で収集した⿂類(京都⼤学総合博物館 所蔵)、⽥沢湖で絶滅したクニマス(当館所蔵・複製)などの 貴重な資料を展⽰します。
・ビワマスの新種記載記念展⽰を同時開催します。
インドネシア スラウェシ島 トウティ湖
(提供:東山動植物園)
テーマ:淡⽔⿂から⾒る世界の湖沼
開催期間:2025 年 7 ⽉ 19 ⽇(⼟)〜2025 年 9 ⽉ 28 ⽇(⽇)
(展⽰個体や館内の状況によって、展⽰を休⽌・⼀部変更する場合があります)
開催時間:9:30〜17:00(最終⼊館 16:00)
開催場所:琵琶湖博物館 ⽔族企画展⽰室
⼊場料:常設展⽰観覧料が必要になります(本企画展⽰に関する追加料⾦はございません)
* その他休館⽇などの情報は、当館ホームページでご確認ください。
https://www.biwahaku.jp/
☆ ビワマス新種記載記念展⽰を同時開催します。
分類学的に⾮常に重要なタイプ標本(新種記載に⽤ いられた標本)を特別公開します。
詳しくは、2025 年 6 ⽉ 27 ⽇公開の資料提供をご覧ください (https://www.biwahaku.jp/2025/06/post_266.html)
ビワマスのタイプ標本(当館所蔵)
2024 年 12 ⽉に、世界湖沼の⽇(8 ⽉ 27 ⽇)が制定されま した。湖沼の重要性を多くの⽅に知っていただき、琵琶湖と 世界の湖沼の保全が進むことが期待されています。本企画展 ⽰は、世界湖沼の⽇制定を記念して、世界の湖沼のことをよ り多くの⼈に知っていただくために、⿂類という切り⼝から ⽇本を含む世界の湖沼について紹介します。
湖沼には、河川とは違った独⾃の⿂類相が形成されます。 ⿂類相の成り⽴ちは湖沼ごとに異なり、歴史の⻑い湖では、 その湖の環境に適応した固有種が⽣まれやすく、進化の場に もなります。そのため、湖沼の⿂類相は湖沼ごとに特徴があ ります。
⼀⽅で、⿂類は⼈間活動の影響を受けやすい⽣物でもあり ます。湖沼は、⽣活や農業、⼯業にとって最も重要なものの⼀つである“真⽔・淡⽔”を⼤量にたたえ ているため、開発されやすい環境です。⼈⼝が増えると富栄養化や外来種のリスクにもさらされます。 ⽔の中で⽣活を完結する⿂類は、これらの影響を直接受けることになります。そのため、世界各地の 湖沼で在来の⿂類が激減するという問題が起こっています。
以上のように、⿂類はそれぞれの湖沼を知るうえで⽋かせない存在と⾔えます。今回の展⽰では、 ⿂類を通して世界の湖沼を知ってもらい、それぞれの魅⼒はもちろん、環境問題にも関⼼を持っても らうきっかけとなることを⽬指しています。