琵琶湖博物館の島本多敬学芸員、琵琶湖環境科学研究センターの水野敏明専門研究員の 共同研究の成果が国際学会誌で公開されました。
本研究成果は、琵琶湖博物館の令和7年度企画展示で紹介されます。
・ドローン測量、歴史資料、インタビュー、フィールドワークの成果を統合することにより、滋賀県東近江市において伝統的な治⽔施設「猿尾(さるお)」を再発⾒しました。
・ 本成果は地球惑星科学系の国際英⽂誌『Progress in Earth and Planetary Science』に掲載されました。
・ 本研究成果は、琵琶湖博物館の第 33 回企画展⽰「川を描く、川をつくる―古地図で昔の堤を探る―」で紹介されます。
本論文の手法
兵庫教育⼤学、滋賀県⽴琵琶湖博物館、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター、⽴命館⼤学、筑波⼤学の研究グループが、滋賀県愛知川流域の河辺いきものの森(滋賀県東近江市建部北町 531)において、ドローンを⽤いた地形測量、村絵図の読図、70-90 代の住⺠へのインタビュー調査、フィールドワークの 4 つの⼿法を組み合わせて、伝統的治⽔施設「猿尾(さるお)*」 を発⾒しました。
*猿尾(さるお):堤防や川岸から河川に向かって設けられた構造物(⽔制)の⼀種で流れの勢いを弱めて洪⽔被害を抑えるためにつくられた。猿のしっぽのように細⻑い形状が名称の由来といわれる。
【論⽂情報】
タイトル:Identification of traditional flood control facilities concealed in the riparian forest: a case study of the Echi River, central Japan
著者:Takuro Ogura*, Kazuyuki Shimamoto, Toshiaki Mizuno, Daisuke Katayama, Hiroyuki Yamauchi, Hattanji Tsuyoshi (*は責任著者)
著者所属:⼩倉拓郎*(兵庫教育⼤学学校教育研究科)、島本多敬(滋賀県⽴琵琶湖博物館)、⽔野敏明(滋賀 県琵琶湖環境科学研究センター)、⽚⼭⼤輔(元・滋賀県⽴琵琶湖博物館)、⼭内啓之(⽴命館⼤学⾐笠総合研究 機構アート・リサーチセンター)、⼋反地 剛(筑波⼤学⽣命環境系)
掲載誌:Progress in Earth and Planetary Science
オンライン掲載⽇:2025 年 6 ⽉ 6 ⽇
DOI: https://doi.org/10.1186/s40645-025-00715-5
令和7年度 琵琶湖博物館企画展示
滋賀県(近江国)は⽇本国内でも有数の「天井川」が多い地域で、「はげ⼭」などと呼ばれる草⽊の少ない⼭々が広がっていた歴史があります。そして、⼈々は⽔害・⼟砂災害から地域をまもるため、「堤」(川の堤防や⼭の⼟砂流出をとめる堰堤など)をつくってきました。この企画展⽰では、17〜19 世紀の琵琶湖集⽔域・淀川流域を中⼼に、災害の状況や⼟⽊⼯事の計画を描いた地図、治⽔の歴史に関わる道具や⽂書などを展⽰します。また、古い地図から歴史を研究する⽅法を紹介します。川をつくる⼈々のそばにあった地図を眺めて、歴史に埋もれた堤を⾒つけにいきましょう。
琵琶湖博物館の第 33 回企画展⽰「川を描く、川をつくる―古地図で昔の堤を探る―」
・開催期間:令和 7 年(2025 年)7 ⽉ 19 ⽇(⼟)〜11 ⽉ 24 ⽇(⽉・祝)
・開催時間:9:30〜17:00(最終⼊館 16:00 まで)
・開催場所:琵琶湖博物館 企画展⽰室
・観覧料⾦:⼤⼈ 340 円(団体料⾦:270 円) ⼤学⽣ 270 円(同:210 円) ⼩・中学⽣・⾼校⽣ 170 円(同:130 円) ※団体料⾦は 20 名以上からとなります。
※企画展⽰をご覧になるには、別途、常設展⽰の観覧券が必要です。
関連イベント 愛知川に眠る猿尾を VR でさぐろう! in 琵琶湖博物館
開催⽇:2025 年 7 ⽉ 26 ⽇(⼟)・27 ⽇(⽇) 両⽇とも 13 時 00 分〜16 時 00 分
場所:滋賀県⽴琵琶湖博物館
*企画展⽰の詳細情報は、琵琶湖博物館ホームページでご確認できます。