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滋賀県環境審議会環境企画部会 第3回持続可能な滋賀社会ビジョン策定小委員会開催概要

日時

平成19年(2007年)10月17日(水曜日)16時00分〜18時00分

場所

大津合同庁舎7C

委員出席状況

出席委員7名欠席委員3名

議事

持続可能な社会ビジョンについて(1)背景とねらい(2)2030年の滋賀の姿(3)指標と目標(4)社会像を実現するために必要となる対策・取組(5)重点プロジェクト例

配付資料

1「第1章背景とねらい」「第2章2003年の滋賀の姿」「第3章指標と目標」について

事務局:(資料1,2の説明)委員長:第1章の「背景とねらい」については、まず地球規模での環境問題の深刻化について示し、それに対して滋賀県はどうするか、という流れになっている。
第2章では「2030年の滋賀県の姿」が描かれていおり、第3章はそれを実現するための「指標と目標」という構成になっている。
委員:第2章の「産業」の中に研究開発という記載があるが、それは企業だけではなく、大学・研究機関・研究センターも含めた記述とすべき。研究分野でも滋賀県が環境をリードしているというイメージ。
委員長:第2章の研究開発という表現は研究機関と記載されている方が長期的ビジョンなので良いかも知れない。
委員:人材輩出の意味では、二次産業、三次産業にまたがるものである。
委員長:これからは二次産業、三次産業だけでなく、一次産業も重要である。また、一次産業、二次産業、三次産業として分類できない産業も出ているため、特出しで対応しても良いかも知れない。
委員:人との関わりという視点でNGO活動などの活性化という記述があってもよい。ただし「暮らし」の中に似たような記載があるかもしれないが。
委員:一次産業は後継者確保が大きな課題としてある。これは将来の大きな懸念事項であり、解消していかなければならない。
委員長:将来像の一次産には、産業の維持の視点も必要。これまでにも、組織面、人材面での課題が指摘されている。
委員:組織面、人材面の課題は、産業に入れるのか、暮らしに入れるのか。雇用ということで、別の話になるのかもしれない。
委員長:環境政策の範囲を超えるととらえきるのが難しくなり、滋賀県基本構想の中で書くべきような内容になる。
目標については「低炭素社会」と表現が修正されており、この方が適正と考える。
委員:コンパクトシティ化には、ヒートアイランド現象などの弊害や医療や福祉の地域間格差の問題もある。コンパクトシティ化が目指す方向として適当か?委員長:コンパクトシティにはの推進に前向きな研究者も多いが、機能の一極集中による弊害などへの配慮が必要だ。
委員:コンパクトシティにも適正な規模と形態がある。一極集中ではなく、複数のクラスターが自律分散し、共存するというイメージが表現できるとよい。
委員長:琵琶湖環境の再生の目標については、専門的に議論された昨年度の成果を引用することとしたい。

2「第4章社会像を実現するために必要となる対策・取組」「第5章重点プロジェクト例」について

委員長:次に第4章「対策・取組」、第5章「重点プロジェクト」について審議いただきたい。
事務局:(資料3「第4章対策・取組」、資料4「第5章重点プロジェクト」の説明)委員長:資料3、資料4の中で、対策と重点的なプロジェクト(政策パッケージ)が記載されている。資料3の冒頭に基本的な考え方を挿入し、大きな方向性が見えるように修正されている。
委員:企業や生活者にはそれぞれの役割があり、インフラ整備は行政で行うべきだと考える。個人へのインセンティブ(誘引策)を行政が直接与えるのか、仕組みでサポートするのかを明確にしてもらいたい。県はもとより市町を含めたインセンティブのしくみづくりに言及すべきではないか。
委員長:そのことは、どこかで書かなければならない。今回は資料4の2頁の最後のあたりで、社会制度の変革ということで触れているようである。資料3に記載があった方が、重点プロジェクトだけでないものをカバーしているという意思を示していることになるのではないか。
委員:例えば、「こうすれば個人がこのようになる、企業がこのようになる」ということを目指したシステムづくりが必要である。排出権取引はひとつのきっかけづくりであり、県や市がそのプロバイダー(排出権取引の仲介者)を担うなどの具体的提案が求められている。
委員長:インセンティブづくりを、ビジョンにどのように書き込むか事務局:様々な課題もあるとは思うが、政策に組み入れる必要であると考える。
ただ、例えば排出権取引制度や炭素税といった政策は国がやるべきことであり、国と地方の役割分担のもとで、低炭素経済が始動し、加速する仕組みを目指す。「基本的な考え方」には地方でできることを書くようにしたい。
委員長:一歩も二歩も先に出るのは、審議会の役割である。行政の立場では出来ないこともあるだろうが、審議会の答申として提案できるものはしていく。
委員:一戸一戸の家庭で身近に誰もができることを考えていく必要がある。県内のそれぞれの地域で多様な事例がある。県が財政的な支援をしなくても取組の成果が実感できれば、頑張ろうという意欲が沸いてくるものだ。日々の効果が実感できる仕組みづくりを県に期待したい。
委員:基本的な考え方の2点目だが、「負荷を強いること」という表現が気にかかる。むしろ大変なことにならないように前もって準備しておくというのが適当ではないか。インセンティブの仕組みづくりに言及した4点目を重視することには賛成だ。
委員長:インセンティブづくりに腰がひけているのは、実は国の方かもしれない。
委員:ディーゼルエンジン対策も国に先行して東京都が行った。低炭素社会づくりへのインセンティブづくりは、滋賀県が国をリードしてくれることを期待したい。
委員:みんなのガソリン使用が温暖化につながっている。例えばガソリン1リットルあたり1円を寄付する仕組みを立ち上げて、石油販売業界が基金に積み立て、温暖化対策に取り組む団体に提供するということもできなくはない。行政にはそうした仕組みづくりに期待したい。
委員長:役所が関わっていると民間は動きやすい。生活者も事業者も一次産業の担い手も、行政のアイデアに乗らざるを得ない状況をつくるべき。こうしたことは国より自治体が先行して行いやすいのではないか。
委員:資料には行政ができる施策をいろいろ掲げてあるが、基本的な考え方として、行政としてここまでは最大限がんばれるということを示した方が良い。ビジネスチャンスとインセンティブの話は、一緒に取り扱っても良いと思う。そうすると、県民、事業者という実際に取り組む立場から見て、そのインパクトも変わってくる。
委員長:次に、5つの重点プロジェクトの具体内容の説明をお願いしたい。
<テーマ1の「持続可能な交通システムやそれを可能にするまちづくり」について>委員:イギリスでは、事業者が自動車通勤を抑制するための計画づくりを行っている。乗合人数や従業員数や駐車場面積等に応じて課金し、その財源を自転車道路整備に充てるという取組である。ご検討いただきたい。
委員:自動車利用抑制策の例として、アメリカの有料高速道路には、乗合う方が得になる課金システムがあるようだ。抑制の仕組みとして取り上げてもよいのではないか。また海外の観光地には、街全体にパーク・アンド・ライド方式を組み入れている事例もある。
委員長:各地域の特性に応じたモデルが、県内に多様に出てくるのが面白いのではないか。
委員:コンパクトシティという言葉は誤解を与えるかも知れない。この提案の発想には「歩ける範囲に住める範囲をコンパクトとして考えること」があるようだ。それなら拠点分散型で実施するのが、それぞれの地域にもメリットがあるということになる。滋賀県全体をコンパクトにといった印象になるなら言葉として適当でないかもしれない。
委員:バスの停車時間を短縮するためには券売機よりICカード乗車券が現実的。
<テーマ2「輸送距離の低減や地産池消を促進する木材や農産物の流通システム」について>委員:ハウスメーカーの例では、例えば滋賀県産材が三重県で集荷され、再度滋賀に戻って加工され、名古屋に運ばれ、使われるという流通実態がある。地産地消といっても流通事情は一様ではない。
<テーマ3「エコ商品の販売促進などによるCO2排出削減の支援システム」について>委員:テーマ3のポイントは、テーマ4のカーボンオフセットとの連動しているのか。
事務局:将来的には連携はできるイメージである。テーマ3は県内のポイントカードに近いイメージで、お店で物と交換できる。環境配慮の度合いに応じたポイントをICカードにためるしくみである。ICカードをツールにするのは県全体で利用できるシステムを考えたいから。そのためには、多くの店舗を持つ企業と提携することが望ましいと考えている。そうやって取り組んでもなお、減らせない部分をカーボンオフセットで減らす(相殺する)というつながりになる。
委員:主婦の目線からするとカードが多すぎる。色々なものを組み合わせたカードができれば。
委員:お財布携帯などもある。
委員長:滋賀県から募集すれば、企業から参加のアプローチがあるかも知れない。
別の提案だが、持続可能な社会のモデル地域を作っていくことを考えてみてはどうか。例えば、グリーンエネルギー特区とか、ローカルなエコテクノロジー・コンビナート等また、脱クルマは徹底的に進めて、グリーン交通ネットワークを環琵琶湖+湖上で考えるのも、次のステップとして面白い。また昨今、まちなみを全面的に緑化する取組も見られるようになってきた。いろいろな工夫があり、ヨーロッパでできるなら日本でもできるはず。
事務局:第4章の一覧表に盛り込んでいきたい。
委員長:一覧表に落とし込むと、個別の特徴的な取組が埋没するような気がする。このように、プロジェクトの形にすると分かりやすく魅力的になる。
委員:農業、林業や農山村とコンパクトシティとの関わりはどうなるか。
委員:通勤しながら、農業、林業をする人もいる。農山村集落に住んで働き、必要な公共サービスはすこし移動して得るという暮らし方もある。農林業に関わっている時間の長さ、暮らし方は個々人のライフスタイルに帰着する。地域性もあるし、どういった暮らし方がよいのか一概には、言えないかも知れない。
ここのビジョンで取り扱っているのは都市におけるコンパクトシティの検討であると思う。農山村部で住み、働く人に合わせた公共サービス機能の配置のあり方は、別の検討が必要だろう。
委員長:山から動きたくないが、公共サービスは十分に得たいという思いは何処まで許容されるのかという問題だ。社会全体としての効率を考えることは大切。一方で、遠隔地向けにスタンドアロンで公共サービスを提供できる技術も進歩してきている。人々の望む暮らし方と社会全体の要請をどこで折り合いをつけるかという問題だろう。
農山村集落の多い滋賀県において「コンパクトシティ」という表現は誤解を招くおそれがあるなら使い方を検討すべきだろう。

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