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滋賀県環境審議会環境企画部会第1回持続可能な滋賀社会ビジョン策定小委員会開催概要

日時

平成19年8月1日 14時〜16時

場所

大津合同庁舎5D

委員出席状況

出席委員9名 欠席委員2名

議事

1.持続可能な滋賀社会づくり構想のこれまでの取組状況について (資料1〜資料4) 2.持続可能な滋賀社会ビジョン策定について(資料5〜資料10)

配布資料

滋賀県環境審議会環境企画部会委員名簿、座席表、諮問文 資料1:

資料2:

資料3:

資料4:

資料5:

資料6:

資料7:

資料8:

資料9:

資料10:

参考資料 持続可能な滋賀社会づくり構想(素案)
持続可能社会の実現に向けた滋賀シナリオ
「21世紀環境立国戦略」の概要

1.持続可能な滋賀社会づくり構想のこれまでの取組状況について

事務局: 
(持続可能な滋賀社会づくり構想のこれまでの取り組み状況について説明:資料1〜4) 

委員: 
「滋賀シナリオ」のP14に各種対策があがっている。これを実行するためには、大きく政策の仕組みを転換しないと実現できないと考えられるが、そこまで踏み込んで議論をするのか。 

委員長: 
提示した以上は実施することが前提だが、いきなり全部の施策について足並をそろえて実施するということではないのだろう。 

委員: 
例えば「太陽光発電、太陽光熱温水器を20%の住宅に普及させる」とあるが、現状の施策では不可能だろう。これを実現させるにはどうすべきか考えるべきである。補助金を乗せるだけでは不可能なのが目に見えている。コンパクトシティも実現性の担保はない。LRTも同様だろう。どう実現するかを真剣に考える必要がある。そうなると、これまでの政策と異なる政策手法を行わなければならないが、そこまで議論するのか。 

委員長: 
2030年において持続可能な社会が実現されるのか、という期間設定の中で、どう優先的に取り組みを進めるか、という検討となるだろう。 

事務局: 
県民、事業者にやっていただくこともあり、制度変革もある。2030年という長期的視野のもと徐々に社会が変わっていく、ということを想定している。 
「時」の問題と「主体」の問題がある。例えばエネルギーの問題は、国の問題であるし、シナリオに示されている対策のすべてが県でできるわけではない。県でできることは政策化を進めたい。政策パッケージでしくみを変えないといけないという意識はあるので、どこを変えればよいのか議論してほしい。 

委員: 
対策の中には、環境部局だけで扱えないものもある。 

事務局: 
ご指摘のとおりである。関係部局と連携を図る必要がある。 

委員: 
3点述べたい。1点目は、20〜30年にわたる長期的ビジョンを自治体が持つのは非常に重要と考える。県の持続可能な発展のあり方を探る際にインフラなど、今から取り組んでおくべき政策はある。長期構想づくりは、今我々が何をすべきか県民に示すという位置づけでは重要だろう。 
2点目は、取り組み内容については、県の経済施策や都市計画のあり方と関わりを持つ問題が非常に多い。その点について県も横断的、総合的に進める方針を持つべきだろう。 
3点目は、「IPCCで温度上昇が1990年比気温上昇を2℃以下に抑える必要がある」という表現が資料中にあるが、IPCCではこのような数値目標の出し方をしていない。県としてそのような目標を持つのはよいと思うが。 

委員長: 
ここでは気温上昇の幅を2℃程度とすることを相場にしたい、ということで了解願いたい。 

委員: 
経済産業協会では、昨年度温暖化対策に係る提言書を出している。産業界としては、今何をすべきか、足元が見えないと実践行動に移れないという問題意識がある。2010年に1990年比で9%削減、というのはどの程度県としてオーソライズされているのか。 

事務局: 
2010年9% 削減については、環境審議会で審議いただき、昨年12月に滋賀県地球温暖化対策推進計画として策定したもの。行政のみならず、県民、事業者すべての事業者が関わりを持つものである。 

委員長: 
2010年で9%削減、2030年50%削減、の数字がつながる線に乗ってくるということだろう。長期的に50%削減する、と腹をくくった上での2010年度に9% 削減とすることが必要だ。 

2.持続可能な滋賀社会ビジョン策定について

事務局: 
(持続可能な滋賀社会ビジョン策定について資料説明:資料5〜10) 

委員長: 
小委員会に期待されている内容を説明いただいた。資料5「骨子と構成」が最終成果のイメージとなる。また「1. 背景とねらい」〜「3. 2030年の滋賀の姿」はこれまでの取り組み等を素材として使えるだろう。ただし、「4. 目標を実現するために必要となる対策」と「5. 重点プロジェクト例」については、具体的に議論されていないので、具体的な取り組みをどうするか、ということが今後の主な議論だろう。本日は1〜3の箇所を議論し、4、5は次回以降に集中的に行うこととする。 

委員: 
琵琶湖と森林の関わりという観点から実際に資料を拝見すると、「滋賀シナリオ」のP11で森林吸収の効果が−477千t-CO2eq となっており、森林吸収の効果を見込んでいるのは評価できる。しかし森林へ人が入らなくなり、最近獣害が多い。獣類が里に下りてくることへの対策等も重要視して欲しい。山を守る必要性が今後も高まっていくと考えられ、持続可能な社会において森林の役割は重要だ。 

委員長: 
持続可能な社会の実現のためには、森林吸収に期待せざるを得ないし、逆にそれができるように施策を展開する必要がある。今回の委員会では、具体的施策を提案してほしい。 

委員: 
「滋賀シナリオ」の想定は、管理されていない森林を管理することで吸収が進む、という試算の結果だろう。 

委員: 
農業では、「環境こだわり農業の振興」なくして持続可能な社会の話にはならない。また、農産物販売にはJAは必須であり、JAの協力なくして地産地消は難しい。私の地域ではJAを動かすのは農家であり、農家が集まって組織的にJAを動かし、JAを通してスーパーへの対応や流通システムを動かしている。生産者がわざわざ農産物を京都や大阪に持っていくのではなく、近くのスーパーで販売することが地産地消につながる。そのためにはJAや行政のバックアップも必要である。 

委員長: 
具体的な提案である。ぜひ、進めてほしい。 

委員: 
地域で作ったものを学校給食などで消費してもらうのが一番地産地消としてわかりやすい。 
2年前から近場の保育園に野菜を供給しているが、米は流通の面での問題があり難しい。 

委員: 
保育園等の側から要望すれば可能なのではないか。 

委員: 
それは可能である。最近は栽培履歴などの情報をすべて出している。農業分野はこれまでそうしたサービスが遅れていた。 


委員長: 
ユーザー側が育ってきたといえる。非常に大事な提案である。こうしたベースをふまえつつ、「滋賀シナリオ」では産業構造に占める一次産業の割合を4%増とはじいている。持続可能な社会づくりのためには、一次産業の再生に期待せざるを得ないという状況も踏まえた結果である。その実現のために必要な提案を期待したい。 

委員: 
2030年のフレームは出されているが、持続可能な社会ビジョンには不十分ではないか。 
2030年は人口が減っていく途中であり、どこまで人口減少が進むかを見極めたうえで農地計画、都市計画、森林計画などを決めないといけない。そういった意味では、最終的にどのくらいの人口で着地するのかを踏まえた上で、ビジョンを描かないといけないのではないか。 
社会資本整備を進めた場合、その後は維持する必要があり、過剰につくると大変なことになる。その見通しをしないと持続可能な社会のビジョンを描けないのではないか。 

委員長: 
2010年に1990年比9%削減 の話とも関連がある話である。指摘内容は、作業部会(滋賀県持続可能社会研究会)への提案としたい。 
【注:滋賀県持続可能社会研究会は、「持続可能社会の実現に向けた滋賀シナリオ」を作成した研究グループ(事務局琵琶湖環境科学研究センター)】 

委員: 
人口に関連し、滋賀県の予測は、国立社会保障・人口問題研究所の推計値と整合が取れているのか。 

事務局: 
人口推計は「滋賀2030年の検討ワーキング」で検討された数字をシナリオで採用している。 

委員長: 
国立環境研究所のモデルには、どのような推計を用いているのか。 

委員: 
国立社会保障・人口問題研究所の担当者によると、せいぜい2030年くらいまでしか信頼性のある予測はできないとのことである。2050年の予測値も出しているが、本当のところはわからない、というのが実情である。普通に人口予測値を延長すると減少傾向となるだろうが、人口まで含めたサステイナビリティを目指すのかどうかが論点だろう。 

委員長: 
ただし国立環境研究所では2050年をターゲットにしているものもあるのではないか。人口予測は2050年を想定しておいたほうがよいか。 

委員: 
あるいは2030年の人口を最大値と想定し、そこから減少することはあるが増えることはない、という条件設定にしてはどうか。 

委員長: 
ただし、2030年を想定してインフラをつくるとオーバースペックになる可能性もある。四半世紀先の予測は難しい。石油価格の変動などもあり、非常に難しい問題である。別途作業部会(滋賀県持続可能社会研究会)に持ち帰り、数値を算定しなおすなど対応を検討したい。 

委員: 
別の観点で意見を述べたい。農業と森林の役割は2030年において非常に重要である。持続可能な滋賀の社会像の中には、「農山村部では」という記述があるが、ここを膨らませる必要があるのではないか。そういった点では、資料5の「骨子と構成」に農業・森林をどう位置づけるか検討する必要がある。「4. 目標を実現するために必要となる対策」の中で、どこに位置づけるか悩ましいが、横断的な項目とするなども考えられる。ひょっとしたら温暖化の枠だけではないのかもしれない。 
また、「5. 重点プロジェクト例」とあるのは、重点課題に対する政策パッケージというイメージなのか。 
2点目だが、資料7(p5)に関連して、「滋賀シナリオ」では「循環システムの構築」が2030年の目指す環境目標の項目としてあがっているが、資料7では、目標が、脱温暖化と琵琶湖流域の再生の2つに絞られた趣旨はどういうことか。もとは大量消費、大量廃棄の問題であり、県で対策ができることと考えられるので、盛り込んではどうか。 
3点目は、「現状推移型滋賀社会像」で、温室効果ガス排出量が増えているのは世帯が増えるからか。人口減の傾向も見られるのだが。また、エネルギー構成はどうなっているのか。滋賀県外部からのエネルギー調達の現状をみると抜本的な変革は難しいのではないか。 

委員長: 
持続可能な社会の実現には農林業は非常に重要な位置を占めると考えている。シナリオでも第一次産業に期待し、シェアが伸びることを想定している。 

事務局: 
農林業については、資料5の「5. 重点プロジェクト例」のbでイメージしているのは流通システムの改善による二酸化炭素排出削減を想定している。それから結びつく結果として、滋賀県の農業・林業といった第1次産業の振興につながる、ということで考えている。 
また、重点プロジェクトについては、政策パッケージのイメージを持っている。 
「滋賀シナリオ」から引用している指標と目標は、温室効果ガス半減のみで、循環システムや琵琶湖流域関連の指標は採用していない。これは数値目標として設定するのは事実上難しく、その設定根拠もあいまいなものとなってしまうためである。琵琶湖については、断片的な数値目標を定めるよりは、「県民の暮らしと琵琶湖の関わりの再生」等を検討をしたほうが持続可能な滋賀社会には必要と考えた。 
さらに、循環型社会の徹底が実は二酸化炭素排出削減に必ずしも結びつかない側面もあり、目標項目には入れていないが、この点は今後議論を深めていく必要がある。 

委員長: 
目標と手段に関わる話だろう。循環システムの構築はある種、手段であると考える。 
琵琶湖環境に関連する「ヨシ群落の倍増」という目標についても特段の根拠がなかった。温室効果ガスのみ根拠があった。 

事務局: 
温室効果ガス排出削減は生活様式のドラスティックな変革が見込める。その中で循環型社会システムへの変革も見込めるのではないか。そういった点で温室効果ガス排出削減の取り組みの中に循環システムの構築に関連する取り組みも含まれるのではないか。 
また、エネルギー構成であるが、滋賀県に発電所はない。「滋賀シナリオ」のP13に対策別の寄与の図があるが、燃料転換などは県でできることは限られる。効率改善は産業界の協力が重要となる。棒グラフの内訳では、森林吸収、交通構造改革、環境配慮行動、再生可能エネルギーといった対策の寄与率が排出量削減全体の30%程度となり、これが地方自治体として取り組めるカテゴリーと考えている。 

委員長: 
県でできることと、できないことを考慮して、世界規模での取り組み、国による取り組み、滋賀県がすべき取り組みなど、その関連性に留意すべき。 

委員: 
交通・まちづくり面の施策検討を進める中で、県内部で関連する部局を早期に巻き込むべきだろう。対策案を出してからは、県民・市民の巻き込みも重要である。 
資料8での今後の社会像に関連して、国立環境研究所では2050年の日本の姿を検討しているが、こうしたバックキャスト的な検討では、脱温暖化社会の到来に備えて「こうした方が得になるよ」、という言い方もできるだろう。同様に、前向きに、「こうしたほうが良い」という代替案を含めて、庁内で主体的に案を出してもらう必要があるのではないか。環境サイドから「こうすべき、こうしなければならない」という押し付けをするのでは物事が動かない気がする。そのため様々な主体の巻き込みは非常に重要である。 

委員長: 
非常に重要な意見をいただいた。施策検討にあたっては、検討時点から関係部局と連携して作業を進めて欲しい。 

事務局: 
重点プロジェクトに絡めて、早めに手をつけたい。庁内のワーキング(関係各課等)の議論を踏まえて小委員会で議論していただきたい。 

委員: 
資料7の「指標と目標」において、「脱温暖化」と「琵琶湖流域の再生」が別々のものとして並んでいる感がある。温暖化が進むと琵琶湖生態系が壊されていくので、そのために保全をする必要があるという位置づけをしてはどうか。 

委員長: 
脱温暖化をメインターゲットの目標として、指標と目標を「脱温暖化」一本にまとめてしまう、ということもありえるか。 
サブシステムとして、循環、生態系、・・と出して、総合的には脱温暖化を目指すとしたほうがすっきりするのではないか。 
その結果として、自然、循環、福祉などの分野でも効果があがる、としてはどうか。 

委員: 
かって、琵琶湖の富栄養化防止に向け、県民の草の根運動が起こったこともふまえ、滋賀県として、琵琶湖という水のシンボルが県内全領域に関係している点でも、琵琶湖の指標は必要ではないか。 

委員: 
琵琶湖をシステムの中のものとして位置づけるべきではないか。琵琶湖を守ることが結果として脱温暖化につながっていく、という流れでよいのではないか。 

委員長: 
全体のシステムを適正化することで結果的に脱温暖化につながる、としてはどうか。琵琶湖がちゃんとすれば脱温暖化になる、としたほうが地に足がつく印象を持つ。 

事務局: 
いただいた意見を踏まえ検討していきたい。 

委員: 
県の計画と市町の計画との連携・リンクをどのような仕組みとするのか知りたい。県の計画があっても、市町では権限委譲の流れも受けつつ、二酸化炭素排出削減に向けてバラバラに計画を作っているので、どこかで集約してほしい。そうしたほうが連帯感も生まれるだろう。 

事務局: 
形としては、このビジョンの考えを反映した環境基本計画の改定手続きの中で、市町と調整をする予定である。

以上

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