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平成19年度滋賀県環境審議会環境企画部会(第1回)開催概要

  1. 日時 平成20年1月17日(木曜日)15時0分〜17時0分
  2. 場所 滋賀県庁東館7階大会議室
  3. 出席委員 宗宮部会長、岩田委員、海東委員、川嵜委員、川嶋委員、中村委員、山田委員、岡田委員、加藤委員、広瀬委員10名
  4. 議題 滋賀県環境学習推進計画改定素案について
  5. 議事概要

(委員)

  • 高島市には限界集落が13あり、耕作放棄地などが増えて田や山などが守れなくなりつつある。農業や林業、漁業の現場に即した環境学習が求められる。
  • 琵琶湖の対流が起こらなく、琵琶湖に変調が起こってきている。この問題を解決していく人材を育てる環境学習を押さえておきたい。
  • 「環境学習」は輸入概念か。アジア的な言葉でいうと「持続可能な暮らし」は農業や林業、漁業から生まれる。関係機関として環境学習のマイスターは現場にいるという視点から、農協や漁協や林業組合なども重視してほしい。
  • 改定素案P10図の環境学習のプロセスは、研究者になっていくための環境学習の道筋になっているように見える。ドイツの例で言うと、マイスターとしての職人のように、農業を通して環境理解者になり環境保全者になっていく道があるはず。学習を行う前に、遊びから体験できる環境学習を幼児期から始めるのが望ましい。
  • 机上の環境学習になってしまうので、伸びやかで滋賀らしい環境学習の方法論を構築してほしい。
  • 本計画では上位計画により環境学習となっているが、「環境教育」と「環境学習」は、主体的なベクトルが違う。「環境教育」は教え育てることであり「環境学習」は真似て学ぶことに重点がおかれる。環境学習とすることで、教育者の責任を棚上げしては、正しく伝承されないのではないか。

(事務局)

  • 「環境」という言葉は、その時代の社会的ルールや価値観になどによって変わってくる。その言葉を使わなかった時代は、むしろ環境に配慮していた。自然を大事にしないと暮らしが成り立たなかった。自然と一体となっていたことの概念が遊離していき、意図的に学習をしないと意識出来なくなったので、あえて環境学習を使わなければならなくなった。
  • 高齢者がの知恵や環境観を子どもたちに伝えていく必要がある。ここ10年の内に高齢者に聞かなければ地域のことが分からなくなる。この聞き取りが環境学習として大事。学びの図は、意図的な学びのプロセスになっている。それ以前の、自然の中に身を置くことで感性が育まれ、自然を大事にする心が育っていくことも大事にしている。
  • 限界集落の問題、持続可能な社会の構築に向けた環境学習は、自らの社会づくりに向けて趣旨が伝わりやすいようにしていきたい。持続可能な社会づくりビジョンを作っており、2030年の滋賀の道筋をコミュニティの問題を見通して、そのときの像を描きつつ持続可能な社会づくりを目指すための環境学習として表現を検討したい。

(委員)

(委員)

  • 保育には自由保育と設定保育がある。自由保育をするには、周到な準備と仕掛けが必要。子どもたちは、身近な自然の中で楽しみをいっぱい見つけて、夢中になって遊ぶ、その視点が計画にほしい。
  • 高島の84才漁師の姿が今森さんによって映像や本になり、高く評価されている。命がけで生きてこられた知恵の集積のような方々が、80代になられる。改定案の中に昔の様子を年配の人に「聞く」という文言があったが、「学ぶ」という視点で、深い思いやりと戦略性を持った持った学習計画に組み立ててほしい。今森さんの本は世界90カ国に翻訳されている。単に国際交流ではなく、こういったもの使うなど国際性のあるネタを意識した環境学習を進めてほしい。

(委員)

  • 中核であるセンターが何をやっているの分かりにくい。2〜3年間で何ができて、何ができていないかの動きが見えない。

(事務局)

  • 拠点機能として設置され、各主体に対して中間支援を行っている。3カ年でやってきたことは、情報収集と提供が中心だ。教えてくれる人と実践されているプログラム等を紹介しおり、プログラム件数は12月末で290件に達している。学校には、指導案が検索できるように滋賀大学と連携しながら進める予定である。
  • ネットワーク型の社会でどのようにセンターが機能するかである。環境学習が上手く展開されるためには、主体による環境学習の姿が見えていることが大事で、学校や地域でやっていることの裏にはバックアップしているセンターがあることを理解してほしい。センターの限界とその性格から来る命題がある。

(委員)

  • 環境学習支援センターは、中間支援としてうまくいくのか。

(事務局)

  • 滋賀県では早くから環境学習をやっており積み上げがある。学校、市町などで進めているが、さらに前進させたい。センターは、各主体が環境学習を進めていただきやすいように黒子になってバップアップさせていただいている。見えにくい存在だが。

(部会長)

  • 目標は大きなものになっているので、これをしたいというのを絞りながら進めてほしい。生活と自然とのつながりが切れるのでこれをどうつなげるか。どこを目標にして何をするのか。大量消費社会の原体験をどれだけやらせるか。それは地域性などを活かして一つずつ積み上げていく。それをバックアップするということでよい。

(委員)

  • 地域住民との協働でビオトープづくりがあげられているが、学校でビオトープをつくるよりも子どもたちを自然の川に連れて行って自分の目で発見し、学ぶ環境学習を進めてほしい。田の生き物調査が進んだのは、田に出かけて自分の目で観察したからだ。いろいろなビオトープがあるが、わざわざ学校の中にビオトープをつくる時代ではない。計画の中に挙げているは、どういうビオトープか。

(事務局)

  • 学校の中だけでなく地域の中にあるものも指している。子どもたちを校外に連れて行くには安全対策が必要。川に入れるところも少なくなっている。校庭に小さな池を造ってビオトープ化すると、いつでも観察できる。形態によって一長一短である。ここに挙げているのは、地域の人と一緒になって学校なり地域なりにつくるビオトープである。

(委員)

  • 学校の環境学習で学んだことを家庭でも生かしてほしい。温暖化防止について一人では効果ないという人もいるが、そのようなことはないということを多くの人に分かってほしい。幼児自然体験プログラムのことが書かれているが、この対象は、若い母親も含まれているのか。お母さん方の学習が必要。
  • 3カ年の成果で、取組が進んできた市町は琵琶湖の東側に多いが、他の地域はどうか。

(事務局)

  • 大津、草津、野洲を挙げているが、高島や長浜も進んできている。大津市は環境基本計画の中で環境学習を位置付け、具体的に重点化して取り組もうとしている。代表的なところを挙げたが、全県的に見ると市町の取り組みには温度差がある。
  • 幼児自然体験プログラムは、指導者である園の先生方に研修を受けてもらっている。お母さん方にはしていないので、今後市町と相談して進められればと思う。

(委員)

  • 改定素案P7で生命の尊さが挙げられ、防災・減災の視点でも環境学習を進めることの重要性が記述されており、このことは大変重要である。さらに、健康というキーワードも必要ではないか。

(事務局)

  • 「命」の中に「健康」も盛り込んいるが、確かにニュアンスが違う。地球温暖化の状況を見ると健康も重要であり、検討したい。

(委員)

  • 「自然環境の学習が進んでいる」とあるが、がんばっている人は増えておらず気になっている。今まで箱物が県内につくられたが、老朽化している。また専従職員がいないところは利用しにくい。「うみのこ」と「やまのこ」では力が入っているが、観察の森などでは予算が削減されており、場所による格差が大きくなっている。ボランティアが維持管理している所もある。これからは市町の役割が大きくなってくるので、市町職員の研修を行い、空いている施設に職員の充填を積極的に行ってほしい。

(事務局)

  • 県全体を見ると琵琶湖博物館は、全国的にも珍しく専門家が30人近くいるということで、トータルで見ると環境学習が進んでいることになるが、地域的なバランスや継続性については、指摘のとおり全体を見ながら考えていきたい。

(委員)

  • 市町との協働や分担が多く書かれているが、県は財政が厳しく手を引いていく流れにある。県が指導力を発揮し、予算配分の面でも現場できちんと事業が行えるように配慮してほしい。

(事務局)

  • 市町担当者の意見交換会で、行政の役割分担を書いてほしいという意見が多かったので、県と市町との分担を明記した。

(委員)

  • 一年間検討することで終わっていく会議があるが、組織のための仕事でなく現場が動きやすい予算を組んでほしい。中間の仕事が増えないように。

(部会長)

  • 実質仕事が進むようにしていくことは大事である。今までの評価なども含めて、何をインセンティブにしていくかは、今後議論していきたい。

(委員)

  • 小企業などに対する環境学習の手だてに関して、出前講座などを記載したらどうか。

(事務局)

  • 振興局には環境課があり必要な指導を行っている。小企業に対する環境学習も意識しておきたい。

(部会長)

  • 今の人と次代を担う子どもたちを意識して、どの段階でどのような環境学習をやっていくか考える必要がある。

(委員)

  • 懇話会から小委員会まで関わったが、市町に兼務でよいので環境学習担当者を置くことが重要だと思う。半数以上の市町で担当者を置いていない。
  • 教育委員会や学校との連携も課題であり、上手くつないでほしい。
  • 計画の進行状況の評価にあたっては、自己評価の他に第三者評価も必要であり、評価の仕組みづくりが課題。事例を画一的にする必要はなく、地域に応じたことを進めていけば成果に結びついていくだろう。

(委員)

  • 評価は、書類に書いてあることが証明となる。第三者評価について踏み込んだ記述がほしい。

(事務局)

  • 計画の管理において、重要な課題について数量化できればよいし、できなければプロセス管理をして、説明できるようにしていきたい。

(部会長)

  • 本日の審議内容を踏まえ、計画改定素案の文言が変わることがあれば、部会長に一任していただきたいがそれでいいか。

(委員異議なし)