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令和7年6月3日県政経営会議の概要

  1. 開催日時:令和7年6月3日(火曜日)8時46分~9時52分
  2. 開催場所:参集開催(危機管理センター 災害対策本部室)
  3. 出席者:知事・東副知事・岸本副知事・知事公室長・総合企画部長・総務部長・文化スポーツ部長・琵琶湖環境部長・健康医療福祉部長・子ども若者部長・商工観光労働部長・農政水産部長・土木交通部長(代)・会計管理者・防災危機管理監・東京本部長・企業庁長・病院事業庁長・議会事務局長・監査委員事務局長・警察本部長(欠)・教育長
  4. 議事概要:下記のとおり

協議事項

1.滋賀県過疎地域持続的発展方針(案)について

<東郷総務部長>

 ・資料に基づき説明

<質疑・意見等>

(前川東京本部長)

 「多様な主体と幅広く連携して」ということが本体13ページに書かれているが、特に大学との連携、大学の知見も活用し連携をして進めていくというところも明記してはどうか。

(知事)

 今の意見に関連して、大学もそうであるが、高校と連携した取組があっても良いのではないか。先日木之本で視察した伊香高校の取組など、押し付けあわないようにこういったところに書いて、具体の取組として作っていけば良いのではないかと思う。

(東郷総務部長)

 ご意見を踏まえ、内容について書き方等を考えてまいりたい。

(知事)

 前回との違いで、特に力を入れるところはどこか。

 例えば甲良町が全部過疎地域になったのが今回だとすれば、過疎地域持続的会議みたいなものを個別にやるとか。また他の都道府県は滋賀県以上に過疎地域が多いとすれば、工夫した取組をされているところなどを参考にするとか。長浜市・高島市・東近江市・甲良町とは特別過疎対策会議みたいなものを、例えば部長会議とは別に知事も入ってやるとか、何か工夫があっても良いのではないかと思うが、検討経過があれば伺いたい。

(市町振興課長)

 今回の方針案に、現在進めている北部振興の取組を過疎地域の持続的発展につなげていくことを記述している。東近江市の旧の2町と甲良町が北部3市以外の過疎地域であるので、北部振興の取組をそれ以外のところにも生かしていきたいと考えている。

 また、具体的な県の取組については、年度の後半で策定する県計画の方に盛り込むことになるのと、市町の取組の方は市町村計画で記載していただくので、今後策定していく中で、今ほどいただいた意見についても検討してまいりたい。

 

共有事項

1.三方よしの行政に近づくために -県庁が「より気づける組織」として進化するには-(勉強会)

講師:成安造形大学 未来社会デザイン共創機構 研究員/NPO法人ナイマゼ 代表理事 田口真太郎氏>

 ・資料に基づき説明

<質疑・意見等>

(奥山子ども若者部長)

 子どもや若者の声を聴くプロセスは大事であるが、特に最近注目されていることもあり、プロセスそのものが目的化してしまうと本来の趣旨からずれてしまうのではないかと、私も危惧している。県の政策について様々な分野で子ども若者の意見を聞きたいという声があり、学校を中心に子どもさんの意見を聴くような取組をしているが、一方で学校現場等では子どもたちがそういう行政からのいろいろな質問に対して、「聞かれ疲れ」といったものを懸念する声もあると聞いている。意見を聴くことに対して、いかにして子どもの負担感をなくし、前向きに意見を出してもらえるようにするか、先生の見解をお聞かせいただきたい。その辺のノウハウみたいなものがあれば参考にさせていただきたい。

(田口先生)

 企画政策や子ども若者といった部局がこういった取組を担当していることが多いと思うが、小中学校を担当する教育委員会は忙しいので、広報に苦戦しているという話もある。また、実際に広報してみたら、子どもたちも部活やいろいろな活動で忙しく日程調整が難しいという事情もある。実際に私が関わった案件では、子どもたちに集まってもらうために、事前に日程を指定せずに初回だけ決めて、他の日程は子どもファーストで日程調整をしようという、それぐらい目線を変えて進めているものもある。

 また、自治体側は全面的に協力したいと言っていても、実際の学校現場は既存のプログラムで忙しくてそんなことやっていられないというせめぎ合いもあったりする。

 属人的になってはしまうが、関心のある先生はいらっしゃるので、まずはその先生のプログラムの中で、何か一つのテーマについて議論しようといったところからでも始まると、子どもたちの意識はだいぶ変わると思うし、意見も変わるというのを実際に見ているので、現状大きな制度改革が難しくても、まずは現場レベルでできるところから少しずつ変えながら、それが子どもたちにとって良いというのが広まればいいなと思っている。

(知事)

 関連して、子どもも聞かれ疲れているとするならば、どう考えるか。私自身、子どもたちと対話をする場にいろいろと参加させていただいて思うのは、(1)参加のしやすさ・楽しさ、(2)テーマが身近なこと、(3)言ったことをやってくれるのか、この3点が大事だと思う。子どもたちも一緒に、学校や社会をより良くしようという一員として聞いているのか、この点は私も参加するときにいつも気にかけている。それがうまく噛み合っているときは、参加者の「言って良かった」という感覚が共有できているような気がする。

 こういったことを、これから子ども・子ども・子どもの施策を進めるうえで、より意識しないといけないなと思っている。

(村井教育長)

 事例で紹介いただいた、子ども向けのプレゼン資料について、学校の先生方もこれが使えるというのはすごく大きいと思った。実は子ども向けにいろいろと工夫をすることが、大人にもわかりやすいものになる。こういう視点で、初めからこういうものを作るつもりで取り組んだ方がいいのではないかと思った。

 子どもたちにディスカッションしてほしいと思っても、しっかりと伝えないと答えるにも答えられないということがある。先生もそのために勉強しないといけないが、日々の忙しい業務の中で、いろいろな依頼が来るととてもこなせないという実情もある。そういう意味でも、わかりやすい資料があるというのは大事だと思う。

 1点質問であるが、子どもの意見を聴くときに、積極的に議論に参加する子どもと参加しにくい子どもがいるが、一部の子どもではなく多くの子どもを巻き込む工夫などがあれば伺いたい。

(田口先生)

 私自身も自治体の子どもパブコメの制作に関わり、担当課と大学教員・専門家・大学生と一緒に作っていく中で、相当学びがあった。途中からは教育委員会に出向されている教員の方にも入っていただいたが、言葉選びなどやはり一流の専門家なので、先生に入っていただくことで伝える精度がだいぶ変わるというのを経験した。またその過程で先生方にもたくさん政策を学んでいただけたので、その結果、政策を伝える優秀な翻訳者になられたなと感じた。こういった作るプロセスを変えるだけで、かなり遠回りにはなるが(業者に頼めば1ヶ月でできるものが3ヶ月かかったりするが)、でもそれがのちのち大事になってくる。

 また意見の言いにくい学生だとか多様な学生若者をどうやって参加させるかという点について、私は教育が目的なのか政策を作るのが目的なのかを分けた方がいいと思っている。政策など出口がありそこに向けた意見を聞きたいのであれば、やはりその思いを持ったモチベーションのある人が集まらないと、場の質が下がってしまう。

 学校現場や大学の授業をやっていると、学生の参加度合いはトップ層2割:中間層6割:何もしない2割ぐらいにやはり分かれる傾向にある。

 現場の知見であるが、教育現場でいうと全員になるべく平等な学びの機会を提供しようということであれば、実は何が原因で議論に参加できないかというのは個人によって異なるので、一つ一つに向き合い、全員がまずは議論の場に立てるようにするような努力は必要である。ただ、こういうアクティブラーニングというものが成立する、フラットに全員が議論できるようにするというのは、準備段階で相当なエネルギー・労力をかけないとできないと思うので、主権者教育などの教育を主目的にした場合など、目的を分けて考える必要がある。

(中田農政水産部長)

 子どもたちに意見を聴く取組をした際に、やり方によっては子どもたちががっかりする結果になる場合もあるといった紹介があったが、その具体的な事例やどのような対応が求められるのかを教えていただきたい。

(田口先生)

 悪い事例としては、某自治体において子ども議会を開催された際に、子どもたちの意見に対して本当にゼロ回答だったというものである。子ども議会をやることが主目的となってしまっていたので、そこで出た提案をどうするかを発案時点で考えられていなかったようである。それをYouTubeでアーカイブ公開したところ、その回答を見た親御さんや議員の方々からもお叱りを受けたというものである。

 ただ、子どもたちが本気で議論して出した意見に対して全然回答できてないということで、逆に周りが動いて変わっていったことで、子どもたちも熱くなって、翌年も参加したケースもあったと聞いている。やはり周りの大人が自分たちの意見で動いたというのが見えると、子どもたちの心も動くというのは各地域で見られている。

(岸本副知事)

 ブロードリスニングのところで、SNSの声をどこまで民意として捉えるべきかについて伺いたい。

 先鋭的なことを言っている人はほんの限られた人たちで、SNSに溢れている大多数の声というのは、それを面白半分であったり、経済的な観点で拡散している声というのも多いと思うが、どこまでそれを民意と捉えるのかという問題である。

 また、今の子どもたちはSNSに慣れ親しんでいて、どちらかというと脊髄反射的に早く反応することに慣れていて、あまり文脈や経緯を知らなくても、そこに現れている文字面を世の中的に、ファッション的にどう捉えられているかを理解することがスキルとして磨かれているのかなという気もするが、それが熟議とは対極的なところにあると感じている。SNSに慣れている子どもたちにどうやって熟議をしてもらうか、どのような工夫をされているのか教えていただきたい。

(田口先生)

 今の大学生がまさにそうであるが、SNSの投稿と同じようなコミュニケーションであることが多い。ディスカッションテーマが出されたときに、最初に自分の言いたいことだけ言って終了みたいな学生がやはり増えているが、コミュニケーションが苦手なだけなので、対話のやり方から丁寧に階段を踏んで教えていくことで、ディスカッションスキルやディベートスキルを磨いていくようにしている。

 また、SNSの膨大な意見をAIを活用して見える化し整理するという技術は今確立していて、脊髄反射で出すような意見や炎上みたいなものに対しても、ある程度AIで判断して意見を偏らせないように、もう少し小さくして全体を俯瞰できるようにビジュアルを整理するだとか、この辺りは技術として整ってきている。SNSで集めたデータだけをもとにすぐ判断するわけではないので、子どもたちもディスカッションするなかでわかってくる、これは炎上してて盛り上がってるから大きなテーマだねと、これは小さい意見だけど大事な意見だよねというのも、やはり話し合えばしっかりと理解できる。

 大学生であれば一部の意見に引っ張られず、しっかりと対話・熟議したいことに集中ができると思っている。ただ小学生中学生ぐらいの段階ではなかなか難しいところもあり、兄弟や親など周りが言うことにかなり引っ張られるところがある。10歳ぐらいからメタ認知だとかメタ視点というのが発達してくるので、こういった手法構造があるということが理解できてようやく熟議できるというのが、感覚的には高校生以上になってこないと、ちょっと難しいのではと思う。なので子どもの意見を全て鵜呑みにするのが良いことでもないという部分もある。それも含め、そこに気付けるかどうかは熟議や意見交換にどれだけ時間を割けるかであると思う。

(東副知事)

 意見を聴くことが主目的になっていなかったか、自らの反省として感じた。より分かりやすく伝えるということは、子どもたちだけではなく大人も含めて非常に重要だと思う。

 県庁職員としてもファシリテーターの能力を高めていく必要があると思うが、スキルアップのために具体的にどのようなことが効果的か教えていただきたい。

(田口先生)

 ファシリテーションに関して、講座や書籍などもあるが、正直経験値だと思っている。理論は書籍を何冊か読めば大体わかるが、頭でわかっていても、コミュニケーションというのは非言語・非認知能力と言われるように経験値が大事だと思う。失敗してもいい環境で、実践と自己内省を繰り返す中で経験値を上げていくのが有効だと思う。

(知事)

 3つのことに取り組みたい。

(1)大学との連携

 難しい資料を分かりやすい絵にしたり、議論の状況をグラフィックレコーディングしたりするような能力をお持ちの学生や先生方がたくさんいらっしゃるので、こういった大学との連携というのは可能性があると思った。

(2)対話のための土台づくり

 子ども県議会など既に取組はあるが、話し合う場を作る準備、つまり素材作りや関係性づくり、場づくりも含めて、対話のための土台づくりが大事であると思った。

(3)ファシリテーターの存在・能力

 県庁も、意見を聞いてできる・できないを言うだけでなく、ファシリテーターのような存在にもっとなれるのではないか。そう思って仕事すると、ちょっと肩の荷が下りるようなところもあるかもしれない。

 私も、進むか右に行くか左に行くかわからないときに、たまに家族会議をする。子どもがひと桁の年齢のときからやっている。一番話が弾むのは、自分がどうしたいか言えない、分からないときである。実は一番いろいろな意見が出てくる。

 今、知事として感じるのは、行こうということも言うが、どうしたら良いか分からないとか、こんなことで悩んでいるというのを言った時に、子どもたちや聴衆が反応してくださるのを印象として持っている。こうすべきということを言わなくちゃいけないという行政のミッションを少し表現し直すと、ずいぶん対話の仕方も変わってくるのかもしれない。

 今回の講演を参考に、共感や共創のやり方・プロセスをみんなで考えていきたい。

 

その他

(中村琵琶湖環境部長)

 毎年7月1日の「びわ湖の日」で一斉清掃を行っているところ。今年については、国スポ・障スポの開催に伴い「おもてなし一斉清掃」という形で位置づけて、清掃活動を大々的に進めていきたいと思っている。ぜひ職員の皆さんの参加をお願いするとともに、県政経営会議の構成メンバーの皆さんにも、出ていただいて、おもてなしに繋がる取組にしてまいりたいのでお願いするもの。また追って通知させていただくのでよろしくお願いしたい。

(知事)

 3点申し上げる。

(1)今年度最初の議会である6月議会が近づいてきたので、新体制で現状の課題等を共有できるようにしっかりと準備したい。事前の説明も含め、様々な御対応をよろしくお願いする。

(2)豪雨・梅雨の時期に入ってくるので、それぞれの組織の中で、非常時の参集を含め、役割分担、資機材の確認、連絡体制を含め今一度御確認いただきたい。

(3)日々の皆さんの仕事に心から敬意を表し感謝を申し上げながら、昨年度の時間外の状況調査の報告を受けて申し上げる。時間外の状況については毎月報告を受けているが、昨年度分が上がってきたので、係ごとに毎月どういう状況になっているのかというのを、改めて私も見ている。月平均が年間を通して40時間以上の職場と50時間以上の職場について、どういう状況になっているのか、何の業務がそういったことに繋がっているのか、また一昨年度との比較がどうなっているのか、今総務部に詳細なデータを求めているところである。

 それぞれの部局長もそういったことに関心を持って、こういう状況が長く続いているのであれば何が原因なのか、どうすればそういう状況を打開できるのか、仕事のやり方なのか、もしくは内容なのか、もしくは人が足りないのか、能力が追いついていないのか等々、様々な分析を一緒にしたいと思うので、よろしくお願いする。約1ヶ月かけてやりたいと思う。来年度の体制の議論に活かしていきたい。

 関連して、今年は国スポの関係で各部局からの動員もお願いしているので、従来業務に加えて相当な負荷がかかる、もしくはもう既にかかっていると思う。例えば総合教育会議については年4回を2回にするとか、部長会議の回数を減らすとか、様々な会議・行事等を減らしたり延期したりするといった工夫を既にいろいろと考えていただいているが、それらを各部局長のコミットメントでもう一段深堀りした上で、1ヶ月後の経営会議においてみんなで議論したい。職員団体とも交渉協議している中でもこのことを繰り返し言われているし、今聞いていると、かなり努力はしていただいているもののいまいち進んでいなくて、どうしてもやらなければならない仕事は仕方ないが、この機会にやめられることがまだ他にもあるのではないかと思うので、各部局長のもう一段のコミットメントを要請する。

 

お問い合わせ
滋賀県総合企画部企画調整課
電話番号:077-528-3311
FAX番号:077-528-4830
メールアドレス:[email protected]
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