淀川水系日野川は、その源を鈴鹿山脈の綿向山(標高1,110m)に発し、湖東平野を貫流して琵琶湖に注ぐ流域面積201.7平方キロメートル、流路延長42.2kmの一級河川です。当ダムは滋賀県蒲生郡日野町村井地先に、洪水調節と流水の正常な機能の維持増進を目的とした貯水池面積29ha、湖周延長3.2kmを有する治水ダムとして建設されました。本流域の山間部は局地性豪雨地帯で日雨量512.4mmに達したこともあり、山間部の急峻な地形と山肌の荒廃と相まって、一時的な出水により下流は毎年洪水の被害を受けていました。この対策として昭和28年度に防災ダムとして中小河川改修費により着工されましたが、昭和36年度にはかんがい用水の補給も兼ねるよう再検討され、河川総合開発事業として継続しました。工事は昭和37年度までに右岸アースダムを完了し、昭和38年度から洪水吐(ローラーゲート)および本川グラベルフィルダムに着手、昭和40年12月ダム本体、洪水吐を完成し、昭和41年3月には付属設備、補償工事等のすべてを完了しました。
堤体形式は、河床の堆積砂礫を堤体材料に利用したグラベルフィルダムで、右岸は低地部締切として堤頂長388mのアースダムとなっています。
なお、当ダムでは昭和61年度から堰堤改良事業およびダム周辺環境整備事業を実施し、それぞれ平成元年度に完了しました。
日野川ダムの計画洪水流量は昭和28年9月13日の台風13号を対象洪水とし、ダム地点の最大流出量を262立方メートル/秒とし、この計画高水流量を容量920,000立方メートルにより102立方メートル/秒の洪水調節を行い、160立方メートル/秒を一定放流して日野川沿岸の災害を防止しています。
また、日野川沿岸の流水の正常な機能の維持および既得用水の補給等として確保しています。
日野川ダムの詳細および県内の治水ダムについて、詳しくは滋賀県土木交通部水源地域対策室のHPでご覧下さい。