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造林公社問題関連 平成23年2月定例会代表質問(民主)

平成23年2月定例会 - 代表質問 - 民主党・県民ネットワーク(田中議員)

質問

造林公社問題をここまで大きくした原因は問題意識を持ちながら、抜本的な解決をしてこなかったその時々の行政運営にもあったと思うが、このことについてどのようにお考えか、伺う。

回答

造林公社問題は県政における長年の重要課題であったと認識しております。

経営悪化が危惧されだしてからこれまでにも大変長い期間があるわけですが、関係者の努力により、その都度対応可能な範囲で、対策は取られてきたものと理解をしておりますが、結果的には対処療法的な対応しか取れなかったものでありまして、昭和40年代以降、代々の知事、執行部の責任は大きいものと、私自身も認識をして、自ら反省をし、今回の取り組みに至ったところでございます。

質問

知事として、この造林公社問題からどのような教訓を得、今後の県政運営に活かしていくべきであると思っているのか。

回答

国から示された方針に、ある意味で一方的に追随してきたという面がなかったわけではありません。いわば「国におんぶにだっこ」という形で進めてきた結果もありまして、今後の県政運営においては、単に国の方針に従って政策を進めるのではなく、現場をよく見て、地域の必要性、中長期的な見通しも含め、地域のことは地域で決めるという自主判断のもとに進めてまいることが、地域主権改革時代の県としての責任であると感じております。

質問

同時に、全職員が共有すべき教訓であると思うが、単に金銭だけではなく、行政の県民生活に及ぼす影響等を含め、職員に対して何を求めて行かれるのか知事の考えを尋ねる。

回答

職員には3点のことを申し上げ、また私自身が反省をしたいと思っております。

1点は「現場でおかしいと思ったことには、ハッキリおかしいと言う勇気を持つこと」、2点目は「組織のなかでの意志決定の透明度を高めること」、3点目は「県民の税金をお預かりしている者としての責任感・正義感を十分自覚すること」の3点でございます。

質問

国の責任を求めていくことは当然のことであるが、全国知事会を通じてとか要望活動といった一般的な取り組みではなく、さらに一歩進めた取組みが必要と思うが、このことに対しての考えを尋ねる。

回答

提案説明でも触れさせていただいたとおり、公社問題の背景には、分収造林事業を国策として推進してきた国が責任ある対応を取らず、課題の先送りに終始してきたことが大きな要因と認識しております。

今回、下流の皆さんや、県民の皆さんに多大な負担をお願いする以上、これまで以上の取り組みは当然でありまして、議会の皆様のご支援もいただきながら、とりわけ本県にとっても急がれる木材の流通体制の整備など、健全な林業経営が成り立つよう、具体的な施策について国に対しても十分に提案、要望をしてまいりたいと考えております。

質問

今後さらに県が負担を求められる事態になっても、これ以上の負担に対して県民の理解は到底得られないと思うが、今後の経営見通しについて尋ねる。

回答

県公社は平成27年度から、びわ湖公社は平成35年度から計画的な伐採を行う予定であります。

これまでも申し上げましたように、つまり、まだ1本も成木の伐採をしていない。その間1千百億円もの借金を積み重ねてしまったわけでございます。

そういう中で、これからの伐採を本格的に効果を上げるためには、生産、加工、流通、すなわち、川上から川下までの総合的な取り組みと県産材の需要開拓が重要であります。県としても公社と一体となって、足腰の強い経営を目指し、県民負担の軽減につなげていきたいと考えております。

幸い公社営林地はまとまって所在しており、規模のメリットを生かせることから、価格競争力は十分あると考えておりますが、元々、林業的な産業基盤の高くない、強くない、市場化が未発達の滋賀県の林業において、構造的改善も同時に重要であります。本県の林業振興のさらなる中核を公社として担えるよう、県としては支援してまいりたいと考えております。

質問

調停条項案第4条に弁済に関して規定されており、収益が生じた場合に債務弁済をすることになっているが、必要経費の考え方ひとつで収益に影響がある。このような甘さが残る規定で、伐採収益による弁済は可能なのか尋ねる。

回答

公社の事業収益から管理費などの必要経費を差し引いたものが伐採収益であり、今後の償還財源になるものであります。

債権者の協力を得て公社が再スタートを切り、確実な償還を果たしていくために、今回の見積については、必要経費と伐採収益ともに、実勢を踏まえて積算したものでございます。

今後についても、さらに事業の効率化や低コスト化を図るなど、経費削減に努めることとしておりまして、確実に伐採収益が確保できるように、県としてもチェック機能を厳しく働かせていく所存でございます。

質問

公社営林の適正な維持管理、水源涵養をはじめとする様々な取り組みを滋賀県が責任を持って担っていくことが調停条項案にうたわれているが、このことに対する考え方及びそれをどのような形で推進していくのか尋ねる。

回答

県では、琵琶湖森林づくり基本計画に基づいて、森林、林業施策を推進していくこととしております。

この計画の柱の一つが、「環境に配慮した森林づくりの推進」であり、特に琵琶湖の水源として重要な森林の多面的機能を持続的に発揮できるよう、地域特性に応じた森林管理に努めることとしております。

造林公社においても、この基本計画に沿った取組みが重要でありまして、具体的には、今後の森林管理のあり方や、そのための効果的な取り組み方針など、将来ビジョンを早急にとりまとめ、これを着実に推進していく考えでございます。

質問

伐採時期も全国横並びとなり木材供給が需要を上回ることは当然のこととして考えられるが、このような中にあって、滋賀県材の魅力を引き出し、使用者に求められる製品化が大切であり、県材の利用促進に対する取組みについて伺う。

回答

議員ご指摘のとおり、今後、全国的に国産材生産が増加する中で、産地間競争が激しくなることが予想されます。

先程来申し上げておりますように、元々滋賀県においては、林業産業基盤、必ずしも強いものではございません。

そのような中で、構造強化を図るためにも、県産木材の利用拡大のために、びわ湖材認証制度の推進や、びわ湖材を利用した公共施設等の木造化、木質化に支援を行っており、今後さらに、品質や量の面で、需要面のニーズに即した木材を供給できるような、生産流通体制の整備を急ぐ必要があります。

公社材についても、しっかりとその連携を図ってまいりたいと考えております。

また、国では昨年「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」が施行されております。

県産木材の利用に当たっては、こうした法制度を活用しながら、県産木材の競争力向上のため、森林組合や木材関連事業体が取り組む乾燥機の導入などの加工基盤の強化や、流通拠点としてのストックヤードの整備などに積極的に支援してまいりたいと考えております。

お問い合わせ
滋賀県琵琶湖環境部森林政策課 
電話番号:077-528-3913
FAX番号:077-528-4886
メールアドレス:[email protected]