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滋賀県環境影響評価審査会(平成19年1月31日)概要

  • 日時: 平成19年1月31日(水曜日)13時50分~17時30分
  • 場所: 竜王町防災センター2階大会議室(蒲生郡竜王町小口1672)
  • 議題: (仮称)竜王商業施設開発計画に係る環境影響評価実施計画書について
  • 出席委員: 10名(遠藤委員長、諏訪委員、宗宮委員、高橋委員、野間委員、林委員、樋口委員、藤本委員、松井委員、山田委員)

■審査概要

事業者から環境影響評価実施計画書に基づき事業計画および環境影響評価計画等について説明後、現地調査、その後質疑を実施。
委員: 1日約31,000人が来客する商業施設のイメージを把握したいので、身近な類似施設と比較して説明してほしい。また、商店の種類や深夜営業でどうなるのかについても説明してほしい。
事業者:後ほど、資料を作成して説明する。
委員:商圏としてどのあたりまでを考えているのか。
事業者:現在検討中であるが、50~60kmの範囲を想定している。東は名古屋市の西側、北は福井県敦賀市、南は大阪府吹田市までを考えている。
委員:地元での商圏についてはどう考えているのか。
事業者:この周辺地域を中心に考えていくが、商圏としては先ほどの範囲を考えている。
委員:将来の管理運営事業者は今回の計画者と同じか。
事業者:建物の建設と運営管理は、三井不動産が行う。
委員:将来、環境等の問題が発生した場合、誰が対応することになるのか。
事業者:事業主である三井不動産が対応する。
委員:開発予定地は平成18年度以後に下水道整備の完了が予想される地域に含まれるとあるが、町の汚水処理計画とは関係なく、独自に排水処理施設を造って処理するのか。また、平成18年度以後に下水道整備の完了が予想される地域とは何を意味するのか。
事務局:商業施設単独で汚水処理施設を建設して排水処理をする。今回の開発予定地は、開発事業が完了し、市街化区域に編入された後に下水道が整備される区域である。
委員:風化が進んだ花崗岩地帯における開発で、道路が麓を通過するため、大雨が降った時に土砂が流出してくる可能性があるのか検証してほしい。また、開発予定地には昆虫類が多く生息しているが、商業施設ができることによって、建築物や車両から発生する多くの光により、ホタル等の昆虫類に対して影響するのではないかと考える。
委員:排水基準を守ってBOD10ppm以下で放流される計画であるが、排水量が多いので、放流する河川の水質と水量を考慮し、水系にどのような影響を与えるのか予測評価しておいてほしい。
委員:1日800立方メートルの排水があるが、それほど大きくない川に排水した時の影響について、川の水量と比較して明らかにしてほしい。
水生昆虫の調査は、コドラートを使った定量的な調査以外に、川の特徴が把握できる、網で試料採取するような定性的な調査を加えてほしい。
現在の交通量に開発により出入りする車が加わることによって、どんな変化が起きるのか推定する資料を提出してほしい。
また、気象への影響はないとしているが、植生の有無で気象への影響が違ってくると思う。また、開発エリアが広く、車の量が増えるため、気象は調査項目に加えて予測評価してほしい。
委員長:開発によって地下水の涵養等に影響が出ないのか予測する必要がある。また、それに対する対応方法も記載してほしい。
委員:アセス法では簡略化と重点化をうたっているので、前回に実施した調査結果を基にして、大事な生物が棲み続けられることを考えるための調査を実施すればよい。大事な生物が今どうなっているのか、調査に漏れがないかどうかをみることが必要であり、環境省の指針等を参考にして、調査に工夫してもらいたい。オオタカの調査はしっかりしてほしい。
生態系に係る予測項目及び予測の方針では、上位性、典型性および特殊性の観点からみての影響を調査後に予測するのではなく、既にそれらの観点からみた影響をまず考えて、それに必要な調査方法を採用すべきである。
駐車場のあり方については、景観面、利用者の心地よさ、生物への影響面から既存の形だけが良いのではないと思う。温室効果ガスに関しては、自然エネルギーの利用等を考え、より意欲的な計画にされてはどうかと思う。
委員:準備書の作成に係る工程表の中には、文化財調査の記載がないが、開発地は藪であり、駐車場と緑地は丘陵地の斜面の一部を削る計画であるため、事業の早い段階で文化財の調査を実施してほしい。地元教育委員会に文書で遺跡確認調査を依頼していただき、その結果を文書で提示できるようにしていただきたい。文化財が見つかった場合には、現状保存が原則なので、工事計画に変更もあり得るし、発掘調査が必要となると相当の調査期間も確保しなければならない。そうなると工程に大きな変更を生じる可能性がある。
委員:悪臭は評価項目に選定されてはいないが、排水処理施設は悪臭で問題になる場所である。また、腐敗した排水による悪臭が宅地側に流れることが懸念される。水質で予測評価して配慮してほしい。排水施設にも簡易な脱臭設備の設置が望ましいと考える。
大気汚染については、現況の交通量調査結果はあるが、片側一車線の道路において、31,000人の客を乗せた車がどういう時間帯に、どのような形で動き、どういう交通渋滞が予測されるのかを考えないと正確な予測はできないのではないか。現況調査は5年間で変わるようではないと思うが、商業施設がどのような営業形態で、それに車の影響がどのように付加されるのか、車の速度から原単位が得られるので、この原単位を使って大気の予測を綿密にやってほしい。
委員:施設を検討するにあたり、自然、歴史文化資源を活用するような中身にしてほしい。景観としては、次の四点の意見を申し上げたい。
一点目は、池のふちの風景、後ろにある山並みと池に映り込む建物の陰が重要であるということ。緑での遮蔽が望ましいと思うが、池のふちの風景についての写真検討が必要であると考える。また、池の横にある緑地の活用についても、検討してほしい。
二点目としては、鏡山への見えを考えてほしい。開発予定地の東側半分くらいから見える景観資源である鏡山が、国道側から見えるよう建物の高さやしつらえを検討してほしい。
三点目は、広告の問題。手前の山からみた遠景写真が載っているが、広域で見た時に遠景で見えてくる建物であるので、どこに広告があるのが適当か検討する必要がある。特に、隣接する東側の住宅地からは広告が見えない方がよいと思う。ICから出た所や誘導場所での広告はよいが、屋上広告の必要性については十分検討してほしい。
四点目は、光の問題である。屋上の駐車場の光、車のヘッドライトが東側の住宅を照らしながら出て行くこと、また池川への映り込みの問題もあるので、景観のチェック項目として光を入れてほしい。
委員:実施計画書P142の一般環境騒音・振動調査の調査地点は3地点ではなく、2地点の誤りであるので修正してほしい。
P143表7.3(1)の計画内容について、調査項目の追加をお願いしたい。振動レベルは、L10だけでは車の通っていないレベルになるので、Lmaxを追加してほしい。
また、騒音レベルについてもLmaxを追加してほしい。
P143の表7.3(2)の予測項目および予測方針において、供用後の施設からの騒音は、大店法で予測評価する項目であるので、駐車場、建物および取付道路での調査をセットにして大店法で予測評価すれば効率的だと思う。
P169の人と自然との触れ合い活動の場では、「竜王町ふるさと歴史の森散策道」があるので、調査項目に音を入れても良いのではないか。
委員長:騒音・振動のアセスについて、大店法との関係はどうか。
事務局:大店法の手続きの中でも騒音の予測評価をするが、アセスでは住民の意見をいただく手続きがあるので、できれば両方に予測評価の結果を記載してもらいたい。
委員:善光寺川は殆ど水が流れていないため、排水基準に適合させて放流すればよいということではなく、元の川の水にまで水質をきれいにする排水処理施設を計画してほしい。
屋上などの駐車場において、車という「金属板」は、夏に非常に高温になることが予測される。車から多量の放熱が生じないような施設の工夫をしてほしい。
委員長:開発予定場所は花崗岩の風化地の松林であり、クモを狩るハチや地面に穴を掘るハチが結構いて、ハチの良いフィールドである。松林の中にシリアゲアリというアリがいて、シリアゲアリに共生しているキマダラルリツバメというシジミチョウは天然記念物に指定されている。前回この蝶の調査を依頼し、今のところ確認されていないようであるが、滋賀県のこの近辺はキマダラルリツバメの産地であるので、重要生物のひとつとしてチェックしてほしい。