保全の方法として、柵などで囲い込んで人の立ち入りを禁止すると言ったことではなく、その湿地を適度に利用し、湿地の恩恵に感謝しつつ、その状態を引き続き保っていこうとすることがラムサール条約の湿地保全についての基本的な考え方です。
湿地そのものに対する古来からの生業としての営みである漁業や、適正に管理された観光としての利用もワイズユースと言えます。
The nature conservation activities by the Shiga prefectural government and the municipal governments in the vicinity of the Lake Biwa.
日本最大の淡水湖琵琶湖は、近畿1400万人の命の水であるだけでなく、数多くの動植物を育み、農業や工業などの多くの目的に利用されています。この大切な琵琶湖の環境を守るために、琵琶湖を取り巻く市町と滋賀県では、様々な活動が行われています。
ホタルを通じて川づくりの大切さ、河川環境を守ることを学ぶ事業(守山市、東近江市)や、琵琶湖の固有種・ニゴロブナなどを増やす「お魚ふやし隊」(高島市)など水辺の生き物と親しみ、守る取り組み、環境学習を兼ねたウォーキングコースまたは魚釣りコースに分かれて活動を行う「水環境クリーン・ウォーク」(草津市)、水鳥観察会(長浜市、東近江市等)や自然観察会など、水辺の環境について学ぶ活動が多数行われています。
ヨシ群落は、生態系の保全、野鳥の生息環境の保全、水産資源の保護など、様々な働きを持っています。滋賀県では「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」を制定し、ヨシ群落を守り、育て、活用するよう努めています。琵琶湖岸の市町においても、西の湖周辺においてボランティアを募ってヨシ刈り活動が行われる近江八幡市など、様々な地域で保全活動が行われています。
毎年7月1日には滋賀県全域で「びわ湖の日」の環境美化活動が行われています。琵琶湖岸の各地域でも、美しい環境に恵まれた琵琶湖と郷土づくりを進めるため、市内企業ボランティア・商工会等企業関連団体と各市民団体、近隣自治会等、各種団体の協力を得るなどして、毎年市民参加による湖岸の清掃活動を行っています。
滋賀県ではこれらの他にも外来魚のリリース禁止などの「琵琶湖ルール」の取り組みや、鳥獣保護、水質保全など様々な取り組みが行われていますが、河川や湖沼などの水辺の自然環境を守るためには、その周辺だけを保全する取り組みのみでは限界があります。
特に琵琶湖は、湖岸周辺だけの取り組みが「琵琶湖」を守っているのではなく、水源となっている山があり、そこから流れ出る川があり、またそこで暮らす人々それぞれの営みがあって湖が守られています。
琵琶湖と森林の関係を重視し環境に配慮した森林づくり、人にもそこに棲む生き物たちにもやさしいこだわりの農業、飲み水や洗い物など生活に欠かせない「水」を大切にする文化、河川敷の草刈、藻の刈取りなど、地域の自主的で地道な活動が環境保全に役立っています。