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園城寺観音堂ほか4棟

園城寺観音堂、札所鐘楼、百体堂、観月舞台、絵馬堂 東面俯瞰
観音堂、札所鐘楼、百体堂、観月舞台、絵馬堂 東面俯瞰【提供:園城寺】

園城寺の観音堂は、札所参詣の隆盛に伴う拡張・改造による独特な平面を残すものとして貴重である。また観音堂をはじめとした建造物群からなる札所伽藍は、近世に建てられた札所特有の堂舎が高台の境内地に軒を連ね、立地を含め特色ある景観を造り出している。
これらは近世の西国三十三所観音霊場の建築と信仰の形態を今に伝えるものとして歴史的に価値が高い文化財といえる。

名称:観音堂(かんのんどう)

・員数:1棟

・構造形式

礼堂・合の間・正堂からなる

礼堂:桁行九間、梁行五間、二重、入母屋造、西面軒下張出附属、向拝三間、本瓦葺

合の間:桁行二間、梁間三間、一重、両下造、南北軒下下屋附属、桟瓦葺一部金属板葺

正堂:桁行三間、梁行三間、一重、宝形造、西面軒下張出附属、両側面下屋及び南下屋突出部付属、桟瓦葺

・附棟札:1枚、旧伏間瓦1枚

・所有者:宗教法人園城寺

・所在地:滋賀県大津市

・時代:元禄2年(1689)

・建築の概要

観音堂は西国三十三所観音霊場の第十四番札所で、琵琶湖の眺望に恵まれた高台に位置する。棟札(むなふだ)の記録から、現在の観音堂は貞享5年(1688)に仮堂であった建物が、元禄年間に再建されたものであることがわかる。観音堂は密教系観音堂の古い形式を受け継いでおり、本尊を祀る正堂(せいどう)、参拝者を迎える礼堂(らいどう)、両者をつなぐ合の間(あいのま)から成る。寺院建築規制のもと造営され、当初は正堂と礼堂を合の間で繋ぐ簡明な構成であったが、江戸後期以降、札所参詣の盛行により、合の間の拡張や不動堂、位牌檀の増築など数度の改修を行い、現在の複雑かつ独特な平面構成となった。

観音堂正側面全景
観音堂正側面全景【提供:一般社団法人京都伝統建築技術協会】

名称:札所鐘楼(ふだしょしょうろう)

・員数:1棟

・構造形式:桁行三間、梁間二間、一重、入母屋造、袴腰付、檜皮葺

・附棟札:1枚

・所有者:宗教法人園城寺

・所在地:滋賀県大津市

・時代:文化11年(1814)

・建築の概要

札所鐘楼は観音堂の北方に位置し、低い基壇(きだん)上に南に面して建つ。棟札より文化11年(1814)に上棟したことが明らかである。また、棟梁が北村忠右衛門久峯(きたむらちゅうえもんひさみね)と片岡勘十郎範寛(かたおかかんじゅうろうのりひろ)である。
札所鐘楼は、上層の粽付の円柱、肘木の輪郭や笹繰り(ささぐり)、勾欄の擬宝珠など、各所に禅宗様(ぜんしゅうよう)建築の特徴を有し、装飾性の高い点がこの鐘楼の見どころである。

札所鐘楼正側面外観
札所鐘楼正側面全景

名称:百体堂(ひゃくたいどう)

・員数:1棟

・構造形式:正面三間、背面四間、側面四間、一重、宝形造、北面入母屋造突出、東面小屋附属、桁行二間、梁間一間、切妻造、桟瓦葺

・所有者:宗教法人園城寺

・所在地:滋賀県大津市

・時代:延享元年(1744)頃

・建築の概要

百体堂は中院方面から続く石段東脇に南に面して建ち、延享元年(1744)頃の建立と伝わる。堂内正面中央の如意輪観音像(にょいりんかんのんぞう)を中心に、正面と左右に西国・秩父・坂東の計百所霊場の観音像を安置するための小堂である。
平面は、正面一間通りを吹き放して外陣とし、内陣はコの字に二段の仏壇を設けて中央を拝所とする。内陣の拝所と仏壇の境には、中敷居を入れて、下部は堅板張りとし、上部は束で二分し菱格子欄間(ひしごうしらんま)を嵌める。
このように、拝所と百体観音像を祀る空間は明確に分離されている。
百体堂の外観は舟肘木を用いるなど簡素な造りに見えるが、内部の拳鼻付きの禅宗様組物や正面の虹梁に装飾が施されている。また、当時東国に多く見られた百カ所巡礼を西国において取り入れた早い事例として重要な遺構である。

百体堂正側面全景
百体堂正側面全景【提供:一般社団法人京都伝統建築技術協会】

名称:観月舞台(かんげつぶたい)

・員数:1棟

・構造形式:桁行一間、梁間一間、一重、入母屋造、檜皮葺

・附棟札:1枚

・所有者:宗教法人園城寺

・所在地:滋賀県大津市

・時代:嘉永2年(1849)

・建築の概要

観月舞台は琵琶湖への眺望に最も優れた南に面して建つ。棟札より嘉永2年(1849)に建てられたことが明らかである。享保19年(1734)の『近江輿地志略』(おうみよちしりゃく)に「堂(観音堂)前に舞台一宇あり、志賀・辛(唐)崎・比良・堅田の辺まで、目のあたりに見へ」とあるように、江戸時代から観音堂の眼下には琵琶湖周辺の景観が広がっていたことがわかる。
舞台下の柱は地面から約1.8mの高さに積まれた石垣の上に立てられている。そして、桁行・梁行を3等分した柱筋に、円柱を格子状に約3mの高さまで組んでいる。また、舞台四隅の柱は石垣まで届かず、格子状に組まれた柱に南北方向に架けた太い梁にのっている。
このように、観月舞台は簡素ながらも建物の高さを低くおさえ、足元は高床とし、檜皮葺の大きな屋根をかけた優美な舞台建築である。

観月舞台正側面全景
観月舞台正側面全景【提供:一般社団法人京都伝統建築技術協会】

名称:絵馬堂(えまどう)

・員数:1棟

・構造形式:桁行三間、梁間一間、一重、入母屋造、桟瓦葺

・石竈:1基

・所有者:宗教法人園城寺

・所在地:滋賀県大津市

・時代:寛政13年(1801)

・建築の概要

絵馬堂は長等神社(ながらじんじゃ)の方から観音堂に上る石段の左方に建つ。棟札(むなふだ)によると菊池幸七政方を棟梁に、寛政13年(1801)に上棟した。また、絵馬堂は「茶所」と呼ばれていた時期があり、参拝者に茶を供する接待施設としても使われたことがわかっている。
桁行(けたゆき)三間、梁間(はりま)一間で、桁行中央の柱間を広くとり、屋根は入母屋造(いりもやづくり)、桟瓦葺(さんがわらぶき)とする。内部中央には竈(かまど)が設置されている。

絵馬堂正側面全景
絵馬堂正側面全景【提供:一般社団法人京都伝統建築技術協会】
お問い合わせ
観光文化スポーツ部 文化財保護課 建造物第1係
電話番号:077-528-4683
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