脳性麻痺

当センターは整肢園から発展して作られた経緯から、大変多くの脳性麻痺の子供達の診療を行っております。脳性麻痺の治療の第一歩は早期発見にあります。当センターでは、各地域の保健所の療育クリニックや市町の乳幼児検診との連携のもとに、発達の異常を指摘された乳幼児の精密検診を行っています。診察の結果、リハビリテーションが必要と判断された場合、理学療法、作業療法を開始いたします。

病状から集中的にリハビリテーションが必要と判断される場合は、4週間のリハビリテーション入院を行います。リハビリテーション入院に際しては、担当の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士(必要な場合)、医師、病棟看護師、外来看護師、保健師、臨床心理士らが入院時に合同検討会(カンファランス)を行い、4週間のリハビリテーションの計画を話し合います。入院中はリハビリテーションをしながら、必要に応じた精密検査を行います。退院直前に再度カンファランスを行い、この時には必要に応じて居住地管轄の保健師等が参加し、4週間のリハビリテーションの効果評価と退院後の地域連携を話し合います。リハビリテーション入院のメリットは、1. 連日集中的にリハビリテーションを受けることが出来る、2. 他職種のスタッフが情報を共有して短期間に総合的に評価することが出来、さらに地域連携に繋げやすい、3. 保護者が毎日スタッフに会えるので、質問をする機会が多くなり、不安の解消に繋がる、4. 同じような状況で入院している子ども達の保護者と知り合う機会が出来る等があります。

脳性麻痺は、股関節や四肢の関節拘縮、脊椎の湾曲等の変形を生むので、これらの問題に早期から当院の整形外科医に対応してもらっています。変形による機能障害があれば、外科的治療を行います。様々な装具や車椅子等は当センター内で作成が可能です。装具、椅子等は、医師、作業療法士、理学療法士が検討して作成していきます。

脳性麻痺では、筋の異常な緊張のために、上述の変形や拘縮が起こります。またこのような緊張の亢進は、後述する気道狭窄や胃食道逆流の原因にもなり得ます。従って、このような緊張を緩和することは重要であり、その目的で薬物療法も行います。薬物療法としては、様々な筋弛緩剤の内服とボツリヌス菌毒素(商品名:ボトックス)の筋肉内注射、さらにはバクロフェンという薬剤を体内に埋め込んだポンプから持続的に髄液中に注入する方法(ITB療法)などがあります。ボトックスは、ボツリヌス菌の出す、筋を弛緩させる毒素を精製した薬剤です。この注射は、アテトーゼ型の脳性麻痺の患者さんで体幹から頸部にかけての著しい緊張で姿勢異常が出ている方に対して、頸部や背部の筋肉に注射する治療を行っております。また、痙性麻痺で下肢の異常緊張のために歩行困難なお子様の下肢に注射することにより、歩行パターンの改善が期待できます。ただ、ボトックスの効果持続は数ヶ月程度なので、定期的な再注射が必要なのが難点です。ITBは、ポンプ内に定期的に注射で薬液を補充することによって、長期にわたり持続的な効果が期待できますが、装置の故障や電池交換にはポンプの取り替え手術が必要になります。当院ではボトックスは整形外科、リハビリテーション科、一部は小児科が行い、ITB療法は整形外科で行っております。

重度の障害児は、てんかん、胃食道逆流症、上気道狭窄、嚥下障害、誤嚥等の合併症を持つことが多く、それらを小児神経科医が評価し、小児外科医、耳鼻科医と共同で治療にあたります。胃食道逆流症は薬物療法、粘度調整食品、空腸栄養チューブの使用等で対応しますが、これらで不十分な場合は外科治療が必要になります。現在のところ当センターに常勤の小児外科医がおりませんので、手術は簡単なものを除き、小児外科のある他の医療機関に紹介させていただいています。上気道狭窄は様々な原因で起こります。まず、原因を明らかにした上で、原因に応じて対応を考えます。呼吸しやすい姿勢保持の方法を作業療法士、理学療法士とともに考え、指導します。エアウエーの挿入等によっても改善しないばあい、非侵襲的人工呼吸器(マスクを使用した人工呼吸器)を使用して改善する場合もあり、すでに多くの実績があります。これでもうまくいかない場合は気管切開を行います。気管切開は当センター耳鼻科または小児外科が行います。気道狭窄に加えて、誤嚥がかなりある場合は、単純な気管切開だけでは誤嚥を予防できないので、喉頭気管分離術が必要になります。現在、当センターでは喉頭気管分離術のような大きな手術を行うのは困難であり、分離術は他院に紹介しております。また、痰や咳を自力で出す力が弱い、嚥下障害のため慢性的に唾液が気管内に流入している、姿勢の異常や側彎を合併している、などの理由で排痰が十分行えず慢性的な呼吸障害がある場合、カフアシスト、パーカッションベンチレーター、RTX陽・陰圧体外式人工呼吸器などを用いた呼吸理学療法も取り入れています。

理学療法や作業療法だけでなく、保育も含めたより総合的な療育が必要なケースでは、療育部での総合療育を行うことも可能です。ただ、保育は居住地の地域療育でも可能ですので、地域での療育と当院でのリハビリを組み合わせる方が良いか、療育部での総合療育が良いかは総合的に判断いたしますので、主治医と相談お願いいたします。

お問い合わせ

病院事業庁 小児保健医療センター
電話番号:077-582-6200
FAX番号:077-582-6304
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