脊髄性筋萎縮症

原因と概要

乳児期早期から発症し、生涯にわたり座位不能のI型(ウエルドニッヒ・ホフマン病とも呼ばれる)、座位までは可能となるがその後退行するII 型、歩行可能でその後退行するIII型(クーゲルベルグ・ヴェランダー病とも呼ばれる)に大きく分類されますが、成人以降に発症するタイプをIV型と分類しています。原因は5番目の染色体にあるSMN1遺伝子の異常で、多くはSMN1遺伝子のエクソン7と呼ばれる部分が欠失(消失)する異常が原因です。この結果、脊髄前角細胞と呼ばれる脊髄の運動神経が変性していきます。

診断

従来この疾患の診断は臨床症状に加えて、筋電図や筋生検(筋肉の一部を取り出して検査する)で行っていましたが、現在は採血して遺伝子診断をすることで殆どの例で診断が確定します。遺伝子診断は神戸大学などの協力のもとで行っております。

治療

現在のところ根本的な治療薬はありませんが、症状の進行に応じた適切なケア、管理を行うことで、障害があっても在宅生活・学校生活を送ることができます。薬物療法としては、SMN1遺伝子と相同のSMN2遺伝子由来の産物を増加させることによって改善を図る治療が考えられ、その効果がある薬物のひとつとして、通常はてんかんや偏頭痛などに使用されるバルプロ酸の治療効果が検討され、すでに治験が行われており、今後バルプロ酸にこの疾患が保険適応追加されることが期待されています。また、メカニズムは異なりますが、SMN2遺伝子の産物のうちSMN1と同じ機能をもつ産物を増加させる作用のある核酸製剤であるヌシネルセンも有効性が海外の治験で明らかにされ、本邦でも治験が進んでいます。

全身管理

進行性に筋力が低下し、側弯や呼吸不全を併発しますが、呼吸不全に対しては、マスク式の非侵襲的人工呼吸器を積極的に導入して在宅にて呼吸ケアを行っています(人工呼吸器は健康保険で在宅リースが可能です)。また、この時期には喀痰の排出が重要になってきますので、筋ジストロフィーの説明に記載しているように、アンビュバッグやカフマシンを使用して喀痰排出を促します。非侵襲的人工呼吸器ではどうしても対応できない例では、やむを得ず気管切開を行いますが、そのような例でも在宅ケアが可能で、人工呼吸器を使用しながら普通学校に通学されているお子様もおられます。また、呼吸ケアを目的とした呼吸リハビリも行っています。嚥下障害が強い例では、胃瘻を造設して経管栄養を行います。これらの管理はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの管理と共通するので、詳細はこのホームページの筋ジストロフィーの説明を参照してください。

2014年3月改訂

2017年6月再改訂

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病院事業庁 小児保健医療センター
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