診療内容と特色

診療内容

難聴の早期発見・治療

小児のための難聴センターとして県内で中心的な役割を果たしています。幼小児期の両側中等度以上の難聴は、放置されると言語発達・ひいては全人的発達に支障をきたします。そのような事態を防ぐためには、難聴の早期発見・診断を第一とし、さらには補聴器調整・言語訓練を含めた療育までを一貫して実施、継続する必要があります。当科は、地域の医療機関や保健・教育施設とも連携して診療・療育に一貫して関わり、聴力を補うだけでなく一人一人の発達全体に貢献できることを目指しています。

そのために、新生児聴覚スクリーニング・定期健診で難聴などを疑われた乳幼児を受け入れることを中心とした保健事業と、重度難聴小児に対する人工内耳医療、を2つの大きな柱として積極的に取り組んでいます。

具体的には、

(1)保健事業:新生児聴覚スクリーニングで「要精査」となった場合の、県内最終紹介先病院として県より指定を受け、各種検査機器を取り揃えて滋賀県全域と他府県よりの紹介患者に対応します。また、県内の乳幼児定期健診で難聴や言語発達遅滞が疑われた場合は、地域保健所より当科の精密健康診査外来に紹介いただきます。見過ごされやすい幼児期の両側中等度難聴の発見率向上や、発見後の積極的指導なども心がけています。

(2)人工内耳医療:難聴の診断に始まり、難聴遺伝カウンセリング外来での難聴遺伝子検査と遺伝カウンセリング、人工内耳適応の判断、術前・術後のリハビリテーションと言語訓練、その後の就学や就職の支援、さらに広くは地域教育機関などへの指導・啓蒙まで、手術を除く、小児人工内耳医療の全過程を一貫して実施し、県内の小児人工内耳の患者さんへの対応を一手に担っています。(人工内耳埋め込み手術は、施設基準(常勤医師が3人必要)を満たしていないため、隣接の滋賀県立総合病院で実施いただいています。)


遺伝カウンセリング外来へ

(3)人工内耳装用者や保護者同士の交流を目的とした研修会を定期的に開催しています。
 

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睡眠時無呼吸症候群に対する治療

近隣医療機関から手術目的で紹介下さることも増えてきています。

口蓋扁桃やアデノイドは6-7歳まで大きくなりピークを迎えます。

そのため、小児の睡眠時無呼吸は口蓋扁桃やアデノイドの肥大が原因となっていることが多く、放置すると成長障害や口呼吸、顎関節の発達障害をきたすことがあります。

したがって、そのような患者さんに対しては扁桃摘出術、アデノイド切除術を行い、ほぼ全例で著明な無呼吸の改善を認めています。アデノイド切除術については、当科では内視鏡とマイクロデブリッターを用いて、より効果的で安全な手術を行っています。

手術を行うかどうかの判断に迷う場合は、簡易型夜間血中酸素飽和度測定モニター装着(貸し出しで自宅にて検査)を使って、睡眠時無呼吸の状態を調べます。

手術は全身麻酔下に行い、入院期間は6日間程度です。

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滲出性中耳炎に対する治療

滲出性中耳炎は小児の軽中等度難聴の原因で最も多い疾患です。まず内服治療を行い、改善がみられない場合は鼓膜換気チューブ挿入術などの手術を行います。

手術は全身麻酔下に行い、入院期間は2日間です。扁桃やアデノイドの肥大に対する手術と一緒に行うこともあります。

(1)正常な鼓膜

鼓膜は非常に薄いため、奥の空間(中耳)を透けて見ることができます。正常な中耳は空気で満たされているため、このように薄暗いお部屋が透けて見える状態が正常所見です。

右耳の写真
右耳
左耳の写真
左耳

(2)滲出性中耳炎:中耳に浸出液が溜まり、聴こえが悪くなってしまいます

(内服治療で軽快したケース)

治療前(左耳)
治療前(左耳)・中等度難聴(45dB)
治療1か月
軽度難聴(26.7dB)
治療1か月・軽度難聴(26.7dB)
治療2か月
正常聴力(15dB)
治療2か月・正常聴力(15dB)

(3か月間の内服治療では軽快せず、鼓膜換気チューブ挿入術が必要となったケース)

手術前(右耳)
中等度難聴(48.7dB)
手術前(右耳)・中等度難聴(48.7dB)
手術後1か月
正常聴力(13.3dB)
(生活に大きな制限はありません)
手術後1か月・正常聴力(13.3dB)(生活に大きな制限はありません)

中耳疾患に対する鼓室形成手術

慢性中耳炎は、中耳炎を繰り返しているうちに鼓膜に穴が残り耳だれを繰り返すようになってしまう疾患です。

先天性真珠腫は、難聴やみみだれを繰り返し進行する疾患です。はじめは気づきませんが、放置することにより中耳の組織が徐々に破壊され、難聴や耳だれ、めまいなどの症状も起こってしまいます。

耳小骨奇形は、生まれながらに音を伝えるための骨である耳小骨に奇形があり、難聴が起こってしまう疾患です。小児は自分から難聴の症状を訴えることがないため、健診や耳鼻科受診で発見されるケースがほとんどです。

これらの中耳疾患に対する根本的治療は手術以外にはなく、耳鼻咽喉科では積極的に手術を行ない、良好な成績を得ています。

慢性中耳炎に対する鼓室形成術の例

手術前(右耳、中心性穿孔)
軽度難聴(31.3dB)
手術前(右耳、中心性穿孔)・軽度難聴(31.3dB)
手術後6か月
正常聴力(17.5dB)
手術後6か月・正常聴力(17.5dB)
手術前(右耳、大穿孔)
中等度難聴(53.8dB)
手術前(右耳、大穿孔)・中等度難聴(53.8dB)
手術後6か月
軽度難聴(35dB)
手術後6か月・軽度難聴(35dB)

摂食・嚥下評価・訓練

当院小児科は小児神経科が主体であることより、様々な全身疾患を有する小児が多く通院されており、経口摂取が困難な患者さんが多く通院されています。

そのような患者さんに対しては嚥下や摂食の評価、訓練を行っています。

具体的には嚥下内視鏡検査などの専門性の高い検査を行ったうえで、専門の言語聴覚士による摂食嚥下訓練を行っています。

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誤嚥防止手術

嚥下機能の低下により誤嚥性肺炎を頻繁にきたしてしまう患者さんに対して、大原綜合病院の鹿野真人先生、堺市立総合医療センターの長井美樹先生にご指導を賜り、2018年7月より声門閉鎖術(鹿野法)が行えるようになりました。

この手術により誤嚥を完全に防止でき、患者さんの体への負担が減るだけでなく、経口摂取が可能となる場合もあります。

ただし、発声ができなくなることや呼吸を行う頸部に気管孔ができるなど、術後の生活が大きく変化します。そのため、手術のご希望がある場合、御家族だけでなく小児科や療育機関などと綿密な協議をして準備を整えます。

手術は全身麻酔下に行い、入院期間は約3週間です。

その他

先天性耳瘻孔、副耳、鼻中隔彎曲症、舌小帯短縮症に対する手術治療を行っています。

また、当院ならびに京都大学医学部付属病院の形成外科と協同し、口唇口蓋裂などの先天的な疾患に対する治療・訓練を実施しています。具体的には、手術は形成外科に実施いただき、その前後の構音訓練などを当科の言語聴覚士が中心となって継続的に実施しています。

小児領域では稀な、頭頚部腫瘍などの疾患に対する手術治療についても対応しています。具体的には、隣接している滋賀県立総合病院の頭頚部領域専門の牛呂幸司先生を招聘し、安全かつ専門性の高い手術を行っています。

お問い合わせ

病院事業庁 小児保健医療センター
電話番号:077-582-6200
FAX番号:077-582-6304
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