滋賀県では、県庁の力を最大限に発揮できる行政経営の実現に向けて「人こそが最大の経営資源」との考えのもと、全庁をあげて様々な人材育成に取り組んでいます。
今回はその代表的な取組等について、3人にお話しいただきました。
吉田:県庁では様々な人材育成制度がありますが、その中心に位置するのがOJT(On the Job Training)、職場での実務を通じて教えていく取組です。代表的な制度の一つとして、「ブラザー・シスター制度」があり、新規採用職員一人ひとりに対して、同じ所属の先輩職員がブラザーあるいはシスターとして指導役になり、日頃の業務をサポートしています。山本さんは加治さんのブラザーをされていますが、日頃、意識されていることはありますか。
山本:ブラザーになるのは今回で2回目ですが、普段から3つのことを意識しています。一つ目は質問しやすい雰囲気づくり。自分の仕事に集中しすぎて聞きづらい雰囲気にならないよう気を付けています。二つ目は、質問に対して何らかの気づき、ヒントを与えられるようにすること。三つ目は、担当する後輩職員の仕事を把握しておくことです。書類から業務内容を確認したり、加治さんが係長に相談している時には聞き耳を立て、何に悩んでるのか理解しておくことで、どんな状況でもすぐ対応できるようにしています。
吉田:とても頼もしいブラザーですね。加治さんから見た山本さんの印象はどうでしょうか。
加治:普段から質問しやすい雰囲気を作っていただいて本当に助かっています。説明も丁寧でわかりやすく、山本さんに聞いたら何でも解決できる!と、頼りすぎているかもしれません。上司との会話まで把握していただいているということを知って驚きました。大変ありがたいです。一緒に出張に連れて行っていただくこともあり、現場の雰囲気や仕事の進め方など、仕事の相談以外にも色々なことを教わっています。
吉田:滋賀県では「期待する・機会を与える・気づきを支援する」の「3つの“き”」を大切に人材育成に取り組んでいます。今の話はまさに機会を与えるという部分だと思います。機会があることによって、経験を積むことができ、その経験は今後の糧になります。
加治:先輩の姿を間近に見て学ぶことは多く、私も山本さんのように頼られるシスターになれたらいいなと思います。
吉田:政策研修センターでは、職場外の人材育成についても様々な取組を行っています。新規採用職員向けには、滋賀県職員として必要な基礎的知識などを身に付けてもらう基礎コースを4月に、今後さらなる主体性を持って働いてもらうためのフォローコースを10月に実施しています。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、例年とは異なる実施となりましたが、参加された加治さんの感想はいかがですか。
加治:基礎コースは動画配信によるインターネット研修となりましたが、自分の都合の良い時に見たり、聞き逃した部分をもう一度聞けたりできるのが良かったです。10月の研修は集合型で実施され、ようやく同期とも会うことができて嬉しかったです。三日月知事とお話しする貴重な機会も設けていただき、大変有意義な時間となりました。
吉田:令和2年度は、イレギュラーな対応となりましたが、前向きに捉えていただいたようで安心しました。若年層や中堅層の職員向けのスキルアップコースとして、自分が伸ばしたい能力を習得する研修もたくさん用意していますが、山本さんが印象に残っている研修はありますか。
山本:僕自身は強みを伸ばすというより、自分の弱いところを補うために受講しました。自分の考えを話したり、伝えることに苦手意識があったこともあり、プレゼンテーションや資料作成術を磨く研修を受けました。講師の方が欠点を指摘するのではなく、良いところを見つけて伸ばしてくれたので、自分を見直す良いきっかけになりました。
吉田:政策研修センターでは他にも、昇任のタイミングや役職に応じた研修、省庁や他の自治体への派遣研修を行ったり、職員による積極的な自己啓発の取組を奨励しています。OJTと組み合わせて、各種研修、人材育成制度を活用していただき、滋賀県を支える行政のプロフェッショナルとして成長し、ご活躍されることを願っています。