文字サイズ

最新の文献から【総説】

R-25-4-1食物アレルギーの治療:経口免疫療法、オマリズマブ、または両方➡少なくとも2つの選択肢Brough HA et al. Treatment of food allergy: immunotherapy, omalizumab, or both. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 731-739. ★★★

食物アレルギーに対する治療としてFDAが承認した2つの選択肢について解説。治療方針の決定に当たっては共有意思決定(SDM)の考え方が重要。

 

R-25-4-2食物アレルギーにおける脱感作から耐性獲得への移行➡究極の目標へ向かってFlom JD et al. Moving beyond desensitization to tolerance in food allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 741-744. ★★

Palforziaを用いた積極的治療(ピーナッツ経口免疫療法)、オマリズマブ(抗IgE抗体)を用いた受身的治療、を紹介し、究極の目標である耐性獲得へ向けての道筋を探る。

 

R-25-4-3仲間の影響、社会的圧力、食物アレルギー:介入活動とアドボカシーに役立つエビデンス➡食物アレルギー移行期医療の課題Protudjer JLP et al. Peer influence, social pressure, and food allergy: evidence to inform interventional work and advocacy. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 751-753. ★★

思春期から成人に至る移行期の食物アレルギー患者が、友達や様々な社会環境と向き合いながら自ら食物アレルギーの管理をしていくための課題について考察。

 

R-25-4-4食物アレルギー管理と治療における社会決定要因と生活の質➡Protudjer JLP et al. Social determinations and quality of life in food allergy management and treatment. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 745-750. ★

食物アレルギー(FA)管理における社会的決定要因(SDOH)が患者および家族の生活の質(QOL)と健康関連QOL(HRQL)に与える影響を多角的に検討。経済的安定、教育、医療アクセス、居住環境、社会的文脈の5つのSDOH領域が、FAの診断や治療へのアクセス、心理的負担、食物不安定性などを通じてQOLを大きく左右する。格差是正のために、多様な人口を反映した研究設計、教育的介入、テレヘルス活用の重要性を提言しており、SDOHの包括的理解と対策がFAにおける健康格差の解消とQOL向上に不可欠であると結論付けている。

 

R-25-4-5食物アレルギー管理の変化するニーズに対応する➡食物アレルギー管理の進展と課題を総括Kim EH et al. Meeting the needs of the changing landscape of food allergy management. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 783-785. ★

近年、早期摂取による予防や脱感作療法(OIT、抗IgE抗体療法)の臨床導入が進み、患者中心の意思決定や新たな治療選択が可能となった。さらに、非注射型エピネフリンや耐性獲得を目指す治療の開発、患者報告アウトカム(PROM)の導入、社会的要因を考慮した支援体制の重要性が強調されている。これらは今後の食物アレルギー治療の最適化と包括的管理の基盤を築くものである。

 

R-25-4-6食物アレルギー、栄養、心理学、そして健康➡食物除去が腸内細菌に影響?Gupta E et al. Food allergy, nutrition, psychology, and health. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 773-782. ★★

栄養摂取と心理的健康との関連性に関する先行研究を体系的に整理し、食行動における心理的要因の役割を多角的に検討。特に、食事パターンが感情調節やストレス反応に及ぼす影響に加え、腸内細菌叢の構成にも影響して、脳機能および情動に与える可能性にも着目。栄養と精神的健康の双方向的関係性を明らかにしている。また、栄養心理学の臨床応用とその課題についても考察がなされている。

 

R-25-4-7牛乳アレルギーの様々な側面➡牛乳アレルギーのすべてLo R et al. The multiple facets of cow’s milk allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 754-760. ★★

IgE依存性、非依存性を含めた牛乳アレルギーの様々な側面につき紹介し、最新の知識を解説。

 

R-25-4-8食物によるアナフィラキシーの管理についての最新知識Lieberman JA et al. Updates in food anaphylaxis management. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 723-729. ★

食物によって引き起こされるアナフィラキシーの診断、管理についての最新情報を提供。アドレナリンの新たな投与方法の可能性についても紹介。

 

R-25-4-9食物アレルギー臨床試験をより患者中心に進化させるべき➡患者が主役Dantzer JA et al. Evolving food allergy clinical trials to become more patient-centered. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 763-772. ★★

従来の食物アレルギー治療評価は前後で摂取閾値がどのくらい増えたか、というものであったが、近年では患者による結果の評価(Patient-reported outcome measures, PROM)をより重視する方向に進化すべきである。そのことで共有意思決定(shared decision making, SDM)に基づいた治療内容の議論が容易となる。

 

R-25-4-10小児食物アレルギーの機序に関する新しい視点➡免疫を知って食物アレルギーを攻略するGubbels L et al. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70069. ★★

過去5年間に発表された小児食物アレルギーの免疫学的検討に関する論文をもとに以下の論点を考察;1.小児食物アレルギーに関連した免疫学的指標2.重症度を決定する因子3.経口免疫療法で起こる免疫学的変化4.オマリズマブなどの補助療法による免疫学的効果。これらの進歩はあるものの、多くの病態がまだ未解明であり、さらなる研究が必要である。

 

R-25-4-11鶏卵アレルギーの管理:従来からのアレルゲン除去と最近の段階的解除法に関する体系的レビュー➡患者に最適なアプローチをGallagher A et al. Managing egg allergy: a systematic review of traditional allergen avoidance methods and emerging graded exposure strategies. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70075. ★★

従来のアレルゲン除去から、変性卵/焼成卵などの段階的曝露などの方法を取り入れた新たな管理戦略へのシフトについて考察。アレルゲン除去は依然として鶏卵アレルギー管理の要であるが、患者の転帰を最適化するための補完的アプローチが必要である。生活の質(QOL)、社会的要因、食生活の多様性、経済的影響などを充分考慮する必要がある。

 

R-25-4-12 アレルギーと免疫学の将来人工知能はデジタル時代の鍵となるか?➡AIがアレルギー診療にもたらすものGoktas P et al. Future of allergy and immunology: Is artificial intelligence the key in the digital era? Ann Allergy Asthma Immunol 2025; 134: 395-407. ★

厳選された20の文献をもとに、AIがアレルギーや免疫の診療にもたらす変化(診断、個別化医療、新たな研究手法など)について解説。

 

R-25-4-13就学前の食物アレルギー管理において経口免疫療法(OIT)が重要な役割を果たすべきだ➡就学前に始めようSoller L et al. Oral immunotherapy should play a key role in preschool food allergy management. Clin Exp Allergy 2025; 55: 294-306. ★★

3つの視点から、食物アレルギー小児に対するOITは、その効果がより強く期待できる就学前に開始すべき、と論じている。1)従来の自然緩解を待つやり方では、従来言われていたほどには緩解率は高くなく、また仮に緩解しても食べずにいると再感作のリスクがある2)アレルゲン回避だけでは誤食のリスクが従来言われているより高い3)OITは就学前に開始したほうがその安全性、有効性が高まる。

 

R-25-4-14脂質輸送たんぱく(LTP)の診断と管理―BSACIによる診療に関する声明➡イギリスでの実態は?Marinho S et al. Diagnosis and management of lipid transfer protein allergy – a BSACI clinical practice statement. Clin Exp Allergy 2025; 55: 307-318. ★

イギリスアレルギー学会の調査によるLTPアレルギー疫学調査の結果を報告。

 

R-25-4-15成人食物アレルギー―世間の認識と実際➡大人の食物アレルギーって?Skypala IJ et al. Adult food allergy – public perception and reality. Clin Exp Allergy 2025; 55: 291-293. ★

成人における即時型食物アレルギー(IgE-FA)の実態と世間の認識の乖離を検討している。特に小麦を例に、自己申告によるアレルギーの有病率(13.1%)と、実際の診断による有病率(0.25%)との大きな差異を指摘し、誤った自己診断による食物除去のリスクを警告している。また、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)など、診断が困難な成人発症型アレルギーの存在や、共因子の重要性にも言及。さらに、花粉食物アレルギー症候群(PFS)や、新たな植物性食品由来のアレルゲンへの感作が増加している現状を示し、正確な診断と栄養指導の必要性を強調している。

 

R-25-4-16就学前小児への経口免疫療法(OIT)についての議論は続けるべきである➡熱く、かつ冷静に語ろうLoke P et al. The conversation on oral immunotherapy for preschool children must continue. Clin Exp Allergy 2025; 55: 288-290. ★★

筆者は、未就学児に対する経口免疫療法(OIT)の是非とその今後の方向性を論じている。近年、早期介入の有効性が注目されているが、治療効果や生活の質(QoL)、安全性に関するエビデンスは依然として限定的である。特にQoLに関する無作為化比較試験は未就学児を対象としたものが乏しく、治療成果の長期持続性や最適な治療期間も不明である。さらに、低年齢が成功因子であるかは特異IgEレベルなどのバイオマーカーとの関連を考慮する必要がある。著者は、熱意と慎重さを併せ持った議論と高品質なエビデンスの蓄積を呼びかけている。

R-25-3-1 アレルギー性鼻炎と心の健康の関連:アンブレラレビュー➡より質の高いエビデンスをXu X et al. Association between allergic diseases and mental health conditions: an umbrella review. J Allergy Clin Immunol 2025; 155: 701-13. ★

体系的レビュー論文を集めたアンブレラレビューの結果、アレルギー疾患は、特に喘息において、心の不調と関連していることを示した。因果関係を含めたより高品質のエビデンスが必要。

 

R-25-3-2食物アレルギーの治療を検討している家族に、どのようにカウンセリングするか➡私のやり方Greenhawt M et al. How I counsel a family who is considering food allergy therapy. Ann Allergy Asthma Immunol 2025; 134: 286-9. ★

食物アレルギー治療を検討する家族へのカウンセリング方法について論じている。まず、IgE媒介性アレルギーの確定診断を行い、必要に応じて食物負荷試験を実施する。その後、治療の選択肢を提示し、関心のない家族には厳格なアレルゲン回避、エピネフリン携行、アナフィラキシー管理計画を指導する。関心のある家族には、治療目標やリスク許容度を考慮しながら適切な治療法を選択するよう助言し、治療の詳細や副作用、費用、家族の負担についても説明する。さらに、心理的サポートや家庭環境(離婚家庭等)の影響も考慮し、インフォームド・コンセントの取得後に治療を開始する。

R-25-2-1 細菌叢の影響:喘息における気道細菌叢の役割⇒気道の細菌叢も重要Kim YJ et al. Microbial influences: the airway microbiome’s role in asthma. J Clin Invest 2025; 135: e184316. ★★★

気道の細菌叢と喘息の関連が指摘されている。本総説では、出生直後の気道細菌叢と喘息発症について、環境因子との関連について、さらにはフェノタイプやエンドタイプとの関連について考察。最後に、喘息治療への応用について述べ、今後の研究の方向性を提示している。

 

R-25-2-2 食物アレルギーの新たな診断法⇒経口負荷試験が必要なくなる?Boyd H et al. Novel diagnostics in food allergy. J Allergy Clin Immunol 2025: 155: 275-85. ★★★

食物アレルギーの診断方法は進化しているが、いまだに最終診断には経口負荷試験が必要である。本総説では、新たなアプローチとして、口腔スワブや便検体などの生体サンプルを用いた解析、オミックスプロファイリング、さらにはそれらのAIや機械学習による解析、などを通じてより正確な診断や耐性獲得の判断につなげる試みを紹介。

 

R-25-2-3 IgE依存性食物アレルギーの診断や管理のアルゴリズム、2024年の更新⇒診断、管理のまとめSantos AM et al. An algorithm for the diagnosis and management of IgE-mediated food allergy, 2024 update. Allergy 2025; 80: 629-632. ★★

欧州アレルギー学会が2024年に更新したIgE依存性食物アレルギーの診断、管理についてのアルゴリズムを紹介。

 

R-25-2-4 表面を引っ掻くだけ:小児皮膚アレルギーの総説小児皮膚アレルギーのまとめBaker MG et al. Just scratching the surface: a review of pediatric skin allergies. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70038.

皮膚の免疫機能は病原体に対する最前線の防御を担っているが、遺伝的、環境的要因により不適切なシグナルが生じると、過敏性が亢進して様々な疾患につながる。本総説では、代表的な小児皮膚アレルギー疾患としてアトピー性皮膚炎、蕁麻疹、接触性皮膚炎を取り上げ、その診断や管理について最新の知見をもとに説明している。

 

R-25-1-6 摂食から脳へ:食物アレルギーにおける神経ー免疫相互作用➔食物アレルギーの影響は脳にも及ぶHoughton V et al. From bite to brain: Neuro-immune interactions in food allergy. Allergy 2024; 79: 3326-3340. ★★★

IgE依存性食物アレルギーの背景にある神経ー免疫相互作用に注目し、食物アレルギーに伴う行動変化や神経学的変化について解説。

 

R-25-1-7 恒常的な皮膚微生物叢を通じた宿主のレジリエンスに与える生活スタイルや環境要因の影響:EAACIタスクフォースの報告➔皮膚の微生物が生体を守るKrohn IK et al. The influence of lifestyle and environmental factors on host resilience through a homeostatic skin microbiota; An EAACI task force report. Allergy 2024; 79: 3269-3284.

健全な皮膚微生物叢を維持することが皮膚の炎症や疾患を制御するために重要である。本総説では、そのための生活スタイルや環境要因について解説。

 

R-25-1-8 食物アレルギーの遺伝学とエピジェネティクス:ゲノムワイド関連解析(GWAS)のレビュー➡遺伝子からみた食物アレルギーArnau-Soler A et al. Food allergy genetics and epigenetics; a review of genome-wide association studies. Allergy 2025; 80: 106-131.

主にGWASを介した食物アレルギーの遺伝学、エピジェネティクスの最近の進歩を解説。将来的にはこれらのマーカーがIgE依存性食物アレルギーの有無や、耐性誘導、免疫療法に対する反応性、などの予測につながることを期待したい。

 

R-25-1-9 アレルギー疾患における制御性T細胞とその役割➡アレルギー制御の要Conrad ML et al. Regulatory T cells and their role in allergic disease. Allergy 2025; 80: 77-93. ★★★

制御性T細胞(Tレグ)はアレルギーなど過剰な免疫反応を抑制することで免疫の恒常性を保つ役割があるが、環境因子の影響で誤作動が起こることもある。本総説では、変化する環境の中で働くTレグの機能を理解することでアレルギーの予防につなげることを目指してTレグに関する知見を解説。

 

R-25-1-10 ピーナッツアレルギー治療のための経皮免疫療法➡ピーナッツアレルギー治療の新たな選択肢Ravindran M et al. Epicutaneous immunotherapy for the treatment of peanut allergy. Allergy 2025; 80: 63-76. ★★

ViaskinTM Peanutというシールでピーナッツ抗原を皮膚に貼付して効率的に経皮吸収させ、皮膚ランゲルハンス細胞に取り込ませることで、安全に耐性誘導を起こすことを目的として、経皮免疫療法が検討されている。本総説ではその開発の現状を解説。

 

R-25-1-11 IgE依存性食物アレルギー管理のEAACIガイドライン➡食物アレルギーガイドラインヨーロッパ版Santos AF et al. EAACI guidelines on the management of IgE-mediated food allergy. Allergy 2025; 80: 14-36. ★★★

ヨーロッパアレルギー臨床免疫学会によって作成されたIgE依存性食物アレルギーガイドラインの解説。食事管理、心理的サポート、治療計画、免疫修飾治療、の4つの視点でまとめられている。

 

R-25-1-12 食物アレルギー治療としてのオマリズマブの使用と実施:AAAI食物副反応委員会のコンセンサスに基づいた手引きと報告➡専門家が8つの提言Anagnostou A et al. The use and implementation of omalizumab as food allergy treatment: consensus-based guidance and work group report of the adverse reactions to foods committee of the American Academy of Allergy, Asthma & Immunology. J Allergy Clin Immunol 2025; 155: 62-9. ★★S eAI16名の専門家が8つの提言をまとめた。

 

R-25-1-13 小児における致死的食物アナフィラキシー:英国における法令に基づいたレビュー➔国家規模のデータStoianova S et al. Fatal anaphylaxis in children: a statutory review in England. Clin Exp Allergy 2025; 55:4-7. ★★★

英国では2019年より国家規模で18歳以下のすべての小児の死亡を登録する制度(NCMD)が出来た。本総説では、このデータをもとに、2019年から2023年の4年間における54例の喘息死、19例のアナフィラキシー死のケースをまとめている。

 

R-25-1-14 アナフィラキシー治療のためのアドレナリン注射に代わる選択肢➔アドレナリン投与がより簡便にPouessel G et al. Alternatives to injectable adrenaline for treating anaphylaxis. Clin Exp Allergy 2025; 55: 36-51. ★★★

アナフィラキシーの第一選択薬であるアドレナリンは従来注射した投与方法がなかったが、近年経鼻、舌下、経皮など様々な投与ルートが検討されている。非注射製剤として、欧米では最近経鼻スプレー(Neffy)が承認された。今後、注射薬以外の選択肢が増えることが期待される。

 

R-25-1-15 アトピー性皮膚炎➡最新知識をアップデートGuttman-Yassky E et al. Atopic dermatitis. Lancet 2025; 405: 583–96. ★★★

本総説では、アトピー性皮膚炎の最新の病態生理学的理解と進化する治療状況について議論している。

 

R-25-1-1 食事から脳へ:食物アレルギーにおける神経免疫相互作用➡食物アレルギーに神経が関与Houghton V et al. From bite to brain: Neuro-immune interactions in food allergy. Allergy 2024; 79: 3326-3340. ★★

最近の研究では、神経-免疫相互作用の存在と影響が強調され、食物アレルギーに関連した行動および神経学的変化が示されている。本総説では、IgEを介する食物アレルギーの根底にある免疫機構の理解を深めることの重要性を強調することを目的として、このような食物アレルギーに起因する神経-免疫相互作用について解説している。

 

R-25-1-2 花粉食物アレルギー症候群の管理について国際的な合意事項:AAAAI食物副反応検討委員会のワーキンググループ報告➡PFASについて今言えることAI-Shaikhly T et al. An international Delphi consensus on the management of pollen-food allergy syndrome: A work group report of the AAAAI adverse reactions to foods committee. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 3242-9. ★★

花粉-食物アレルギー症候群(Pollen-Food Allergy Syndrome, PFAS)の管理について、国際的な専門家グループが合意に基づく推奨を策定。PFASは、花粉感作に起因する植物由来食品への即時型アレルギーで、口腔内のかゆみや腫れを主症状とするが、まれに全身性反応が見られることがある。本研究では、25施設の専門家が「デルファイ法」を用いて管理声明を14項目策定し、患者教育、食事の回避、エピネフリン自己注射器の使用、免疫療法の適応を含む治療ガイドラインを提示した。特に、PFASの病態生理の理解やリスク要因への対処の重要性が強調され、花粉免疫療法(AIT)がPFAS治療の適応ではないとされた。この研究は、臨床現場でのPFAS管理を支援するための基礎を築く一方で、AITの有効性やPFASの予防策に関するさらなる研究の必要性を示唆している​。

 

R-25-1-3 アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アナフィラキシー、そして他のアレルギー疾患➡包括的な理解が必要Hernandez ML et al. Atopic dermatitis, food allergy, anaphylaxis, and other atopic conditions. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 1416-8. ★★

本総説では、アトピー性皮膚炎(AD)、食物アレルギー(FA)、気管支喘息、およびこれらに関連するアトピー性疾患の病態生理と臨床管理を包括的に検討。これらの疾患は、共通する免疫学的メカニズムを共有し、「アトピーマーチ」として連続的または並存的に進行する。病態生理学的には、IL-33TSLPといったアラーミンが免疫応答を促進し、Th2細胞を介した炎症性経路が主要な役割を果たす。治療では、抗IgE治療やIL-4/IL-13を標的とした生物学的製剤が、複数のアトピー疾患において有効である。治療の最適なタイミングや費用対効果の評価が今後の課題​。

 

R-25-1-4 経口寛容のルネサンス:古くからの知見と新しい視点の統合➡経口免疫寛容をベンチからベッドサイドへCerovic V et al. The renaissance of oral tolerance : merging tradition and new insights. Nat Rev Immunol 2025; 25: 42-56. ★★★

食物アレルギーの治療や予防のために注目されている経口免疫寛容について、以下の3つのポイントで解説;1)抗原の取り込みと輸送2)異なる抗原提示細胞による摂取抗原の処理、輸送、提示3)抗原特異的免疫寛容を誘導する抑制性T細胞の発達。さらに経口免疫寛容の治療への応用についても言及。

 

R-25-1-5 母の妊娠中の食事パターンと児のアレルギーに関する体系的総説➡妊娠中の食生活が大事Venter C et al. Systemic review on maternal dietary patterns during pregnancy and offspring allergy. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e70016. ★★

妊娠中の母親の食事パターンと出生後の児のアレルギーとの関連をメタ分析。妊娠中のビタミンD摂取に児の喘鳴、喘息予防効果があった。

R-24-11-1 栄養素:T細胞免疫の第4のシグナル⇒免疫の要の細胞に栄養素が効くRaynor JL et al. Nutrients: Signal 4 in T cell immunity. J Exp Med 2024; 221: e20221839. ★★★

感染、自己免疫、癌などに対する免疫反応の要であるT細胞は抗原刺激(第1シグナル)、共刺激(第2シグナル)、サイトカイン(第3シグナル)などのシグナルを通じて働いている。本総説では、それらに加えて第4のシグナルとして栄養素を取り上げ、T細胞の機能に与える効果について考察している。

 

R-24-11-2 アスリートの栄養や環境曝露という観点における上皮バリア理論⇒アスリートのバリア機能が危ないKistler W et al. Epithelial barrier theory in the context of nutrition and environmental exposure in athletes. Allergy 2024; 79: 2912-23. ★★★

アスリートは上皮バリアや細菌叢を障害する物質への曝露の危険が高く、過度の運動は様々な臓器にストレスを与え、組織障害や炎症を引き起こす。食事との関連で言うと、アスリートの高カロリー食には、しばしば上皮バリア障害や細菌叢の乱れを引き起こす添加物を含む加工食品が含まれる。本総説では、アスリートが曝されるこれらの有害物質について紹介し、その対処法について考察している。

 

R-24-11-3 アトピー性皮膚炎に対する全身療法⇒症例から学ぶSaed S et al. Systemic therapies for atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 3172-74.

従来の治療法では改善しない難治性アトピー性皮膚炎児2例に対し、各々デュピルマブ、アブロシチニブを投与した経過を紹介し、アトピー性皮膚炎に対する全身療法の適応について考察している。

 

R-24-11-4 手湿疹⇒ありふれているが厄介な皮膚疾患Weidinger S et al. Hand eczema. Lancet 2024; 404: 2476-2486.

慢性に経過する手湿疹は多因子疾患であるが、アトピー性皮膚炎の現症・既往や過度または長期の刺激物質やアレルゲンとの接触がリスク因子となる。刺激性、アレルギー性、アトピー性などに分類される。本総説では、手湿疹の予防、管理、今後の研究に関しての最新の知見をまとめている。

 

R-24-11-5 食物アレルギー患者が完全菜食を取るときの栄養学的配慮⇒菜食主義と食物アレルギーが重なったときProtudjer JLP et al. Nutritional considerations of plant-based diets for people with food allergy. Clin Exp Allergy 2024; 54: 895-908.

食物アレルギーと完全菜食はともに食事制限を伴うため、子どもの栄養障害、成人の体重減少、ビタミンやミネラルの不足など栄養障害のリスクがある。特に両者が重なった時は、注意が必要である。本総説では、このような状況における栄養指導の注意点について述べている。

 

R-24-11-6 AAAI-EAACI PRACTALL:食物経口負荷試験の標準化2024年更新⇒負荷試験ガイドラインを更新Sampson HA et al. AAAAI-EAACI PRACTALL: Standardizing oral food challenges – 2024 Update. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14276. ★★★

アメリカとヨーロッパのアレルギー学会が共同で2012年に作成した食物経口負荷試験に関するガイドラインを更新。

R-24-10-1 リウマチ及びアレルギー疾患における単一細胞分析:実臨床へ向けての洞察⇒単一細胞解析の威力Nihide M et al. Single-cell analysis in rheumatic and allergic diseases: insights for clinical practice. Nat Rev Immunol 2024; 24: 781-797. ★★

単一細胞解析の技術の進歩によって明らかとなったリウマチ性疾患、アレルギー疾患のメカニズムを紹介。バイオマーカーや治療標的の同定への応用についても考察している。

お問い合わせ
滋賀県立総合病院
電話番号:077-582-5031(代表)
ページの先頭へ戻る