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最新の文献から【基礎的研究】

B-22-5-1肥満が炎症性疾患における病態や治療反応性を変化させる⇒肥満の有無で異なるアプローチが必要Bapat SP et al. Obesity alters pathology and treatment response in inflammatory disease. Nature 2022; 604: 337-342. ★★★

肥満や代謝性疾患が免疫機構に影響を与えることが知られているが詳細はわかっていない。本研究では、肥満とやせのアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた免疫学的解析を通じて、肥満マウスではTh2優位からTh17優位の炎症反応に変化しており、Th2サイトカインを標的にした治療が奏功しないことを示した。さらに、肥満のマウスではTh2細胞におけるPPARγの活性が低下していることがTh2反応低下の原因であることを示した。アレルギーを含む炎症性疾患の免疫学的病態が肥満によって変化することが示され、適切な精密医療への道を開くものとして注目される。

 

B-22-5-2日和見病原体による組織リモデリングがアレルギー性炎症を引き起こす⇒緑膿菌にアレルギー増強作用Agaronyan K et al. Tissue remodeling by an opportunistic pathogen triggers allergic inflammation. Immunity 2022; 55: 895-911. ★

日和見感染の病原菌である緑膿菌が産生する毒素LasBが上皮由来のamphiregulinを活性化してTh2炎症反応やムチン産生を引き起こし、菌を寄生しやすくするとともにアレルギー性炎症も引き起こすことを示した。

B-22-4-1IL-9-肺マクロファージ枢軸がアレルギー性呼吸器炎症の環境を形成する⇒IL-9/マクロファージ/Arg1枢軸の発見Fu Y et al. An IL-9-pulmonary macrophage axis defines the allergic lung inflammatory environment. Sci Immunol 2022; 7: eabi9768. ★★

IL-9は様々な機序でアレルギー性炎症を促進するが、その全貌は明らかになっていない。本研究ではIL-9がマクロファージに作用して気道アレルギー炎症を促進するメカニズムを解明した。IL-9はマクロファージの肺への遊走とArg1発現を亢進し、Arg1陽性マクロファージはCCL5発現などを介して気道アレルギー性炎症を促進する。

B-22-3-1血小板の直接的な接着がILC2の機能を増強する⇒血小板の意外な役割Orimo K et al. Direct platelet adhesion potentiates group 2 innate lymphoid cell functions. Allergy 2022; 77: 843-855. ★★

血小板を欠損するマウスを用いたアレルギー性気道炎症モデルの解析から、血小板がILC2と接着することでその機能を増強させ、アレルギー性炎症を高めることを示した。

 

B-22-2-1 気道炎症においてアンギオテンシンIIはAT1aを介してILC2反応を亢進させる ⇒血圧だけじゃないアンギオテンシンの役割 Liu G et al. Angiotensin II enhances group 2 innate lymphoid cell responses via AT1a during airway inflammation. J Exp Med 2022;219:e20211001. ★★

アンギオテンシンはレニン-アンギオテンシン-アルドステロン(RAA)系を介して血圧や電解質の調節に関わっているが、実は喘息患者でも血中アンギオテンシンが高いことが知られている。一方で、肺局所に存在するILC2はアンギオテンシン受容体であるAt1aを発現している。本研究では、肺上皮細胞から産生されるアンギオテンシンIIの役割に注目。AT1a欠損マウスなどを用いた解析から、アンギオテンシンIIがAT1aを介してILC2を活性化し、気道アレルギー性炎症増悪に関与していることを示した。

 

B-22-2-2 胆汁酸(BA)で活性化されたレチノイン酸(RA)による樹状細胞への刺激が食物アレルゲン感作に関与している ⇒BA-RA系がアレルゲン感作に関与 Wu R et al. The bile acid-activated retinoic acid response in dendritic cells is involved in food allergen sensitization. Allergy 2022;77:483-498. ★

腸内細菌の乱れがいかにして腸管のアレルゲン感作に関わっているかはよくわかっていない。本研究では、マウス実験を通じて、腸内細菌の乱れが粘膜樹状細胞のRAシグナルを亢進させ、抗原特異的IgEやIgG1産生に結び付くこと、抗菌薬投与で組成の乱れたBAがRA刺激を促進すること、などを示した。BA-RAシグナル系へのアプローチが食物感作抑制につながる可能性を示唆。

 

B-22-2-3 アレルギー性気道炎症において、アンドロゲン受容体シグナルがTregの抑制機能を促進する ⇒成人では女性のほうが喘息になりやすい理由 Candhi VD et al. Androgen receptor signaling promotes Treg suppressive function during allergic airway inflammation. J Clin Invest 2022: 132(4): e153397. ★

臨床的にはアンドロゲン(DHEA)が喘息患者の症状を緩和することや、マウス実験でアンドロゲン受容体シグナルがアレルギー性気道炎症を抑制することが知られているが、その詳細な機序は不明であった。本論文では、アンドロゲン受容体欠損マウスなどを用いた解析から、アンドロゲンがFoxp3陽性Tregを活性化しST2陽性Tregの抑制を通じてTregの抑制機能を高めることで、Tregによるアレルギー性気道炎症抑制を促進することを示した。

B-22-1-1喘息気道上皮において、15LO1はグルタチオンレドックスを変化させて2型炎症を増悪させる⇒15LO1の役割が明らかにNagasaki T et al. 15LO1 dictates glutathione redox changes in asthmatic airway epithelium to worsen type 2 inflammation. J Clin Invest 2022; 132(1): e151685. ★

喘息患者においては、IL-4やIL-13によって気道上皮15リポキシゲナーゼ1(15LO1)が誘導されるが、その生理的意義は不明であった。本研究では、Th2タイプの喘息において15LO1がアラキドン酸代謝を通じてレドックスバランスと上皮のホメオスタシスを変化させて病態に関与していることを示した。15LO1の抑制が喘息治療につながる可能性がある。

 

B-22-1-2ピーナッツアレルギーを予防できた症例では、HLAアリルと継続的なピーナッツ摂取がIgG4産生を促進する⇒同じ遺伝素因でも早く食べるか食べないかで異なる効果Kanchan K et al. HLA alleles and sustained peanut consumption promote IgG4 responses in subjects protected from peanut allergy. J Clin Invest 2022; 132(1): e152070. ★★★

ピーナッツ早期摂取の有効性を示したLEAPスタディの検体を用いた解析で、HLA-DQA1*01:02のタイプを持つものは、ピーナッツ早期摂取によってArah2特異的IgG4が上昇し、ピーナッツアレルギー発症予防効果が高いことを同定。興味深いことに、同タイプのHLAは、もともとピーナッツアレルギーを発症しやすいタイプとして同定されていた。特定の遺伝子タイプが早期摂取の有無によって発症予防または発症促進につながることを示すデータ。

 

B-22-1-3ピーナッツ経口免疫療法により異なるサブセットのヘルパーT細胞が抑制される⇒治療の分かれ目をT細胞の動態で分析Monian B et al. Peanut oral immunotherapy differentially suppresses clonally distinct subsets of T helper cells. J Clin Invest 2022; 132: e150634. ★★★

ピーナッツ経口免疫療法を受けた12名の患者を対象に、経時的に血液を採取してsingle-cell RNA-Seqとpaired T cell receptor α/ β sequencingの手法を用いてピーナッツ特異ヘルパーT細胞のトランスクリプトームを解析。経過を通じて、Th2とTh1関連遺伝子の抑制が見られたが、Tfh様細胞には変化がなかった。治療反応群ではTh2A様細胞のTh2関連遺伝子の低下が見られたが、治療不応群ではもともとのTh1、Th17関連遺伝子の発現が継続していた。

 

B-21-12-1マウスにおいて、ACC1を発現する病原性Th2細胞が肺や皮膚の炎症を促進する⇒アレルギー性炎症に脂質代謝が関与 Nakajima T et al. ACC1-expressing pathogenic T helper 2 cell populations facilitate lung and skin inflammation in mice. J Exp Med 2021; 218: e20210639. ★★

T細胞の分化や増殖に脂質代謝が重要であることが分かってきているが、アレルギーにおける役割は不明であった。本研究では、IL-5産生性の病原性Th2細胞でアセチルCoAカルボキシラーゼ1(ACC1)の発現が亢進しており、ACC1依存性の脂肪酸合成がTh2タイプの炎症を調整していることを示した。

 

B-21-12-2IgE陽性B細胞における慢性的なCaシグナルが形質細胞への分化や生存を制限する⇒IgE産生細胞が短命な理由 Newman R et al. Chronic calcium signaling in IgE+ B cells limits plasma cell differeintiation and survival. Immunity 2021; 54: 2756-2771. ★

他のアイソタイプとは異なってIgE産生B細胞の寿命は短く、長寿命の形質細胞への分化は見られない。本研究では、そのメカニズムを解析し、慢性的なIgE-BCRシグナルが細胞内Caを維持し、形質細胞への分化を抑えてアポトーシスを誘導することを示した。

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