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B-26-3-1アトピー性皮膚炎におけるデュピルマブ治療に対する表皮の神経解剖学的および細胞性の応答➡神経にも効くWiegmann H et al. Cutaneous neuroanatomical and cellular response to dupilumab treatment in atopic dermatitis. J Invest Dermatol 2026; 146: 782-7. ★★
重症アトピー性皮膚炎患者49例に対するデュピルマブ治療(16週間)が皮膚神経構造と免疫応答に与える影響を検討した前向き研究。治療後、掻痒は約78%減少し、生活の質や精神症状も改善した。初期には低下していた表皮内神経線維密度や機械性アロクネシスは改善し、神経過敏の軽減が示された。また、タイトジャンクション関連蛋白(claudin-1)の増加と神経線維の成長に関連が認められた。さらに、IL-4/IL-13受容体や神経成長因子などの発現は低下し、免疫細胞プロファイルも変化した。以上より、デュピルマブは炎症抑制に加え神経免疫相互作用を改善し、掻痒軽減に寄与する可能性が示唆された。
B-26-3-2健康と疾患の指標としての腸内細菌反応のアンバランス➡細菌叢の乱れの新たな指標を提示Lopez RC et al. Imbalance in gut microbial interactions as a marker of health and disease. Science 2026; 391: 890. ★★★
腸内細菌叢の異常(ディスバイオーシス)を健康・疾患の指標として理解するため、資源競争と代謝相互作用に基づく数理モデルを構築した。解析の結果、腸内環境には競争的相互作用が優勢な「健康状態」と、相互利益的なクロスフィーディングが支配的な「異常状態」という2つの安定状態が存在することが示された。さらに、正負の相互作用のバランスを定量化する指標ENBIを提案し、炎症性腸疾患や大腸癌など複数の疾患データに適用したところ、疾患ではENBIが一貫して上昇し、病態進行とも相関した。以上より、腸内細菌間相互作用のバランス変化がディスバイオーシスの本質であり、ENBIは汎用的な診断・予測指標となる可能性が示された。
B-26-3-3 環境によって誘導された免疫の刷り込みがアレルギーを防御する➡Erickson S et al. Environmentally driven immune imprinting protects against allergy. Nature 2026; 650: 987-996. ★★★
環境要因がアレルギー発症を抑制する免疫学的機構をマウスモデルで解明した。多様な微生物・抗原に曝露された環境(ペットショップ由来マウス)では、未経験抗原に対しても交差反応性をもつ適応免疫記憶が形成され、IgG優位の応答によりIgE依存性のアレルギー反応が抑制された。また、既に存在するアレルギーの抑制効果も見られた。さらに、幼少期にはアレルギー感受性が高いが、成長に伴う環境曝露により免疫状態が変化し、耐性または防御的応答が誘導されることが示された。加えて、類似した抗原への事前曝露(交差反応や経口耐性)もアレルギー抑制に寄与した。これらの結果は、自然環境での多様な抗原経験が免疫系を再構築することを示しており、アレルギー増加の背景にある環境変化の重要性を示唆する。
B-26-3-4交感神経‐好酸球の枢軸が、心理的ストレスによる皮膚炎症の悪化を調整する➡ストレスによる湿疹悪化に交感神経が関与Tian J et al. A sympathetic-eosinophil axis orchestrates psychological stress to exacerbate skin inflammation. Science 2026; 391: 1269. ★★★
筆者らは、心理的ストレスがアトピー性皮膚炎(AD)を悪化させる神経免疫学的機構の解明を目的とした研究を行なった。患者解析およびマウスモデルにより、ストレスは好酸球の増加(好酸球増多)と炎症の重症度に強く相関することが示された。特に、末梢交感神経のうちプロダイノルフィン(Pdyn)陽性ニューロンがストレスで活性化され、皮膚に進展して好酸球を誘導することを示した。この過程では、神経由来のCCL11がCCR3を介して好酸球を遊走させ、さらにノルアドレナリンが好酸球のβ2受容体(Adrb2)を介して活性化し、炎症性物質の放出を促進する。好酸球やPdyn陽性ニューロンを除去すると、ストレスによる炎症悪化は抑制された。以上より、心理的ストレスは特定の交感神経―好酸球軸を介して皮膚炎を増悪させることが明らかとなり、この経路は疾患重症度の指標および新規治療標的となる可能性が示唆された。
B-26-3-5アトピー性皮膚炎において、皮膚線維芽細胞がIL-4やIL-13に反応して、T細胞浸潤を促進する➡線維芽細胞が新たな治療ターゲットにNumata T et al. Dermal fibroblasts respond to IL-4 and IL-13 and promote T cell recruitment in atopic dermatitis. J Clin Invest 2026; 136: e196108. ★★
本研究では、アトピー性皮膚炎(AD)における真皮線維芽細胞の免疫学的役割が解明された。ヒトおよびマウス皮膚の単一細胞RNA解析により、線維芽細胞は炎症環境下で多様なサブ集団に分化し、特にIL-4/IL-13シグナル依存的に活性化された「免疫応答型線維芽細胞」がケモカインを産生することが示された。これらの細胞はCCL8などのケモカインを介してCCR3陽性T細胞の遊走を促進し、炎症を増幅する。実験的にIL-4Rαを線維芽細胞で欠損させる、あるいはCCR3を阻害すると、T細胞浸潤と皮膚炎症は有意に減少した。さらに、炎症性サイトカインとの相互作用により、IL-4/IL-13は線維芽細胞の遺伝子発現を大きく変化させることが確認された。以上より、線維芽細胞は単なる支持細胞ではなく、ADにおける免疫応答の重要な担い手であり、新たな治療標的となる可能性が示唆された。
B-26-3-6 末梢の免疫誘導性樹状細胞が生後早期のアレルギー性炎症を促進する➡未熟なホルモン環境がアレルギーに関与Xing Y et al. Peripheral immune-inducer dendritic cells drive early-life allergic inflammation. Nature ;2026.
新生児期にアレルゲンへ曝露されると、皮膚ではIL-17を中心としたタイプ17炎症が誘導される一方、リンパ節ではTH2応答が同時に生じる「二分化した免疫応答」が起こる。この皮膚炎症は後の再曝露時に肺でのアレルギー反応を増強する。そのメカニズムとして、CD301b陽性樹状細胞がリンパ節へ移動せず皮膚局所で活性化し(pii-DC)、IL-23を産生してγδT17細胞を直接活性化することが示された。この状態は新生児期に特有の低グルココルチコイド環境、すなわち未熟な視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸により助長される。成長に伴いホルモン環境が成熟するとこの応答は抑制される。以上より、神経内分泌の発達がアレルギー感受性の年齢依存的制御に重要であることが示された。出生直後の免疫系がアレルゲンに対して特異的に高い感受性を示す仕組みを解明した研究。
B-26-2-1DOCK8とSTAT3が共同でIgE誘導性濾胞性T細胞を抑制する➡2つの因子が共同でIgE産生を抑制Siniscalco ER et al. DOCK8 and STAT3 cooperate to restrain IgE-inducing T follicular helper cells. J Exp Med 2026; 223: e20241707. ★★
食物アレルギーに関与するIgE誘導性T濾胞性ヘルパー細胞(Tfh13)の分化制御機構について、DOCK8とSTAT3の役割を解析した。DOCK8欠損やSTAT3機能異常は高IgE症候群を呈するが、重度の食物アレルギーは主にDOCK8欠損でみられる。マウス実験では、DOCK8はT細胞内でSTAT3活性化を促進し、転写因子GATA3を抑制することでTfh13分化を制限することが示された。一方、STAT3欠損のみでは経口抗原単独ではTfh13や抗原特異的IgEは十分誘導されなかった。DOCK8欠損マウスでは制御性T細胞(Treg)およびTfr細胞の減少も認められ、これがTfh13誘導をさらに促進した。実際にTregを除去するとSTAT3欠損マウスでもTfh13とIgE産生が誘導された。さらにヒト解析でも、DOCK8欠損患者では循環Tfh13細胞が増加していた。以上より、DOCK8とSTAT3はT細胞内機構とTregを介した外因性制御の両面から協調してTfh13分化と食物アレルギーを抑制することが示された。
B-26-2-2マウスにおいて、肥満は皮膚バリア機能を障害し、アレルゲン感作を促進する➡肥満は万病の素Martinek A et al. Obesity impairs skin barrier function and facilitates allergic sensitization in mice. Allergy 2026; 81: 498-512. ★★
高脂肪食による肥満が皮膚バリア機能を低下させ、アレルギー感作を促進する仕組みをマウスモデルで検討。肥満マウスでは経皮水分蒸散量の増加とフィラグリンやクローディン-1などの皮膚バリア関連タンパク質の低下が認められ、炎症発症前からバリア障害が生じていた。また肥満はTh17優位の免疫環境を形成し、炎症刺激時に皮膚炎反応を増強した。さらに皮膚からの抗原曝露により特異的抗体産生や全身性アレルギー反応が誘導された。以上より、肥満は皮膚バリア破綻を介してアレルギー感作と炎症を促進することが示された。
B-26-2-3出生直後の芳香族乳糖産生性ビフィズス菌の定着がアレルゲン感作のリスクを低下させる➡芳香族乳酸がアレルギー予防に貢献Myers PN et al. Early-life colonization by aromatic-lactate-producing bifidobacteria lowers the risk of allergic sensitization. Nat Micobiol 2026; 11: 429-441. ★★★
乳児期早期に芳香族乳酸(aromatic lactate)を産生するビフィズス菌(aldh+株)が腸内に定着することが、アレルゲン特異的IgE産生およびアレルギー発症リスクの低下と関連することを示した。スウェーデンおよびドイツの出生コホート計333名を解析した結果、経腟分娩、年長きょうだいの存在、生後早期の完全母乳栄養はaldh+ビフィズス菌の定着と糞便中芳香族乳酸濃度(特に4-OH-PLA)の上昇を促進した。これらは5歳までの食物アレルゲン特異的IgEおよび2歳時のアトピー性皮膚炎と逆相関を示した。媒介分析により、4-OH-PLAがこの関連の約40%を説明することが示され、ヒトB細胞培養系では生理的濃度の4-OH-PLAがIgGに影響せずIgE産生を有意に抑制した。以上より、乳児期の腸内細菌―代謝産物―免疫軸が免疫寛容形成に寄与する可能性が示唆された。
B-26-1-1Siglecリガンドを強発現した大腸菌プロバイオティクスとピーナッツ抗原の投与によるアナフィラキシーの軽減➡新しいプロバイオティクスへの期待Zilic JM et al. Decreased anaphylaxis by probiotic Escherichia coli overexpressing Siglec ligand and peanut allergen. J Allergy Clin Immunol 2026; 157: 131-42. ★
ピーナッツアレルギーに対する新規かつ安全な免疫療法として、遺伝子改変したプロバイオティクス大腸菌 Escherichia coli Nissle 1917(EcN)の有効性を検証した。著者らは、主要ピーナッツアレルゲンAra h 2と、B細胞抑制性受容体であるSiglec(CD22)を活性化するシアル酸リガンドを同時に菌体表面に提示するEcNを作製した。ピーナッツ感作マウスに経口投与した結果、アレルゲン特異的B細胞活性化が抑制され、血清IgEおよびピーナッツ特異的IgGが低下した。さらに、アナフィラキシー誘発試験では、体温低下、症状スコア、肥満細胞活性化指標(mMCPT1)が有意に軽減された。本研究では抗原特異的免疫寛容を経口・非侵襲的に誘導できる可能性が示され、食物アレルギー治療における新規プロバイオティクス療法の発展が期待される。
B-25-12-1ヒト化したマウスにおいて、ヒトIgEを標的にしたワクチンが、アナフィラキシーに対する長期の保護効果を誘導する➡抗IgE抗体を誘導するワクチンが誕生Conde E et al. A vaccine targeting human Ige induces long-term protection against anaphylaxis in humanized mice. Sci Transl Med 2025; 17: eads0982. ★★★
IgE介在性アレルギーおよびアナフィラキシーに対する新規治療として、ヒトIgEを標的とするワクチン(IgEキノイド:IgE-K)を開発し、その有効性と安全性を検証。IgEのCε3–4領域を変異導入により閉鎖構造に固定し、CRM197に結合させたワクチンを、IgEおよび高親和性受容体FcεRIをヒト化したマウスに投与した。その結果、オマリズマブと同等の親和性をもつ中和抗IgE抗体が長期(最大1年)にわたり誘導され、皮膚および全身性アナフィラキシーが完全に抑制された。さらに、好酸球・肥満細胞の枯渇や寄生虫感染防御への悪影響は認められず、IgE依存性疾患に対する低コストかつ持続的治療・予防戦略としての可能性が示された。
B-25-12-2 De Leeuw E et al. Maternal allergy and neonatal RSV infection synergize via FcR-mediated allergen uptake to promote the development of asthma in early life. Sci Immunol 2025; 10: eadz4626. ★★★
著者らは、母親のアレルギー素因と新生児期のRSV感染が相互に作用し、幼少期喘息の発症を促進する免疫学的機序を解明した。デンマーク全国約150万人を対象とした疫学解析により、生後6か月以内にRSV細気管支炎で入院した児は将来の喘息発症リスクが上昇し、特に母親に喘息やアレルギー性鼻炎を有する場合にそのリスクが最大となることが示された。この機序を解明するため、著者らはマウスモデルを用いた実験を行った。アレルゲン(ハウスダストマイト)で感作した母マウスから生まれた新生仔にRSV類似ウイルス(PVM)を感染させた。通常、新生児の免疫系は未熟で、樹状細胞(DC)はアレルゲンに対して寛容的に働きやすいが、新生児期の感染により肺の樹状細胞が活性化・成熟し、Fcγ受容体(CD64など)の発現が強く誘導された。この状態では、母体由来のアレルゲン特異的IgGがアレルゲンと免疫複合体を形成し、Fc受容体を介して樹状細胞に効率よく取り込まれる結果、樹状細胞はアレルゲン提示能を著しく高め、所属リンパ節でナイーブT細胞をTh2細胞へ強力に分化誘導した。分化したTh2細胞はIL-13を大量に産生し、これが気道の杯細胞化生による粘液過剰産生、好酸球浸潤、さらに気道平滑筋の反応性亢進(気道過敏性)を引き起こした。一方、父親のみがアレルギーの場合にはこの増悪は限定的であった。さらにRSVに対する中和抗体を用いた周産期免疫予防により、これらの免疫応答と喘息様病態は抑制された。以上より、母体アレルギーと新生児RSV感染はFc受容体依存的に喘息リスクを高める可逆的因子であり、RSV免疫予防が喘息予防につながる可能性が示された。
B-25-11-1共刺激をブロックした条件で経口抗原を投与するとTregが誘導されて免疫寛容が成立する➡CD28阻害で耐性誘導が効率的にArai M et al. Oral antigen exposure under costimulation blockade induces Treg cells to establish immune tolerance. J Exp Med 2026; 223: e20251635. ★★★
著者らは、抗原を含む食事をマウスに与えることで、末梢誘導性制御性T細胞(pTreg)が誘導され、これが全身的な抗原特異的免疫寛容を形成することを示した。これらのpTregは、Foxp3などの制御性T細胞特有のエピゲノム変化を獲得し、安定した抑制機能を示す。また、CD101を高発現する特徴的なサブセットであった。抗原摂取を中止するとpTregが減少し、寛容も失われた。さらに、CD28共刺激シグナルを遮断(CTLA4-IgによるCD80/CD86ブロック)すると、抗原感作済みマウスでも新たにCD101⁺pTregが誘導され、経口抗原による免疫寛容が成立することが判明した。つまり、継続的な抗原摂取と共刺激遮断の組み合わせにより、抗原特異的で機能的に安定したpTregが誘導され、既存の免疫応答を抑える治療的寛容誘導法となり得ることが示された。
B-25-11-2マウスにおける実験的アレルギーの予防と治療のための抗原特異的mRNA‐脂質ナノ粒子治療➡予防にも治療にも有効その機序は?Rochman Y et al. Allergen-specific mRNA-lipid nanoparticle therapy for prevention and treatment of experimental allergy in mice. J Clin Invest 2025; 135: e194080. ★★
アレルゲンをコードした修飾mRNAを脂質ナノ粒子(LNP)に封入して投与することで、アレルギー反応を予防・治療できる可能性を示した。マウスの実験的喘息モデル(卵白アルブミンやダニ抗原Der p1)において、アレルゲン特異的mRNA-LNPワクチンはTh2およびTh17型T細胞分化を抑制し、Th1および細胞傷害性CD8⁺T細胞の誘導を促した。その結果、気道の好酸球浸潤、粘液産生、気道過敏性が著しく減少し、IgE産生が低下する一方で、アレルゲン特異的IgG1、IgG2抗体が増加した。単一細胞RNA解析では、肺組織における免疫環境がTh2炎症からIFN-γ優位のTh1型に再プログラムされていることが確認された。さらに、mTOR阻害薬との併用によりCD8⁺T細胞活性を抑制しても抗アレルギー効果は維持された。既存アレルギーに対する治療モデルでも同様の抑制効果と安全性が示され、アナフィラキシー反応は認められなかった。以上より、アレルゲン特異的mRNA-LNP療法は、T細胞分化と抗体応答を制御することでアレルギー性炎症を抑える新規かつ有望な治療戦略である。
B-25-11-3 脾臓に存在する長寿命IgE産生形質細胞がIgE応答の持続に寄与する➡IgE産生細胞は脾臓で生き残るMiranda-Waldetario MCG et al. Long-lived IgE plasma cells that reside in the spleen contribute to the persistence of the IgE response. Immunity 2025; 58: 2717-2733. ★★★
著者らは、アレルゲン曝露がなくても IgE 反応が持続する仕組みを明らかにするため、マウスアレルギーモデルを用いて IgE 産生形質細胞(IgE PC)の成熟、局在、寿命を解析した。IgE PC は脾臓とリンパ節で急速に成熟し、BCR 発現低下・高いタンパク合成能・ERストレス応答・抗アポトーシス遺伝子の発現増強など、長寿命化に適応した特徴を獲得する。また IgG1 PC と比較して新規形成が著しく少なく、骨髄への移行も限定的で、脾臓と骨髄の双方に長期間存在することが示された。タイムスタンプ解析では、成熟 IgE PC が数カ月以上存続し IgE 抗体産生を維持してアレルギー持続に寄与することが確認された。
B-25-11-4長寿命IgE産生形質細胞はnavitoclax感受性生存プログラムを利用して二次リンパ組織に存在する➡IgE産生細胞は二次リンパ組織で生き残るDing Z et al. Long-lived IgE plasma cells persist in secondary lymphoid tissues using a navitoclax-sensitive survival program. Immunity 2025; 58: 2704-2716. ★★★
著者らは、アレルギーを持続させる IgE 産生形質細胞(IgE ASCs)の寿命構造と生存機構を明らかにした。マウスアレルギーモデルで、IgE ASCsは肺・縦隔リンパ節・脾臓・骨髄に分布し、抗原曝露終了後も新生が数カ月続く一方、多くは半減期3日の短命細胞であった。しかし一部は半減期49日超の長寿命細胞として主に二次リンパ組織に残存し、成熟化しつつもCXCR4発現が低く骨髄への移行が乏しい特徴を示した。また、長寿命IgE ASCsはMCL1よりもBCL2/BCLXL/BCLWに依存し、navitoclaxに高感受性であった。これら短命細胞の継続的産生と長寿命細胞の維持がIgE反応の持続に寄与することが示された。
B-25-11-5経皮感作時に黄色ブドウ球菌に曝露することで、好塩基球及びIL-4依存性の食物誘発アナフィラキシーの増悪が起こる➡皮膚のブ菌が食物アレルギーを悪化させる?Das M et al. S.aureus exposure during cutaneous antigen sensitization causes basophil- and interleukin-4-dependent exaggerated food anaphylaxis. Immunity 2025; 58: 2769-2784. ★★★
アトピー性皮膚炎でみられる黄色ブドウ球菌(S. aureus)皮膚定着が食物アレルギーを悪化させる仕組みを解明。患者データでは、S. aureus 定着例で血清IL-4上昇と食物アレルギーの有意な関連が確認された。マウスモデルでは、抗原と同時にS. aureusまたはそのスーパー抗原SEBを皮膚に曝露すると、Th2応答とIL-4産生が増強し、腸管上皮細胞へのIL-4作用により腸管透過性が上昇し、食物経口曝露時のアナフィラキシーが著明に悪化した。また、SEBはCD40依存的にケラチノサイトを刺激してIL-33を誘導し、T細胞のIL-3産生を介して皮膚リンパ節への好塩基球集積を促進し、好塩基球由来IL-4がTh2分極とアナフィラキシーをさらに増強した。これらの結果から、S. aureus–IL-33–IL-3–好塩基球–IL-4軸が食物アレルギー悪化の中心的経路であり、治療標的となり得ることが示唆された。
B-25-11-6ピーナッツ経口免疫療法は、持続的脱感作の誘導に伴ってピーナッツ反応性T細胞に単一細胞マルチオミックス変化を誘導する➡持続的脱感作のとき細胞で起こっていることHan X et al. Peanut allergy oral immunotherapy drives single-cell multi-omic changes in peanut-reactive T cells associated with sustained unresponsiveness. Nat Immunol 2025; 26: 2328^2342. ★★★
筆者らは、ピーナッツアレルギー経口免疫療法(OIT)が、ピーナッツ反応性CD4⁺T細胞にどのような変化を誘導し、特に治療中断後の持続的脱感作(SU)と関連する免疫機序を明らかにすることを目的とし、単一細胞RNA・タンパク質発現解析とTCRレパトア解析を行った。OITによりTH2関連表現型とクローン拡大は抑制され、代わってTH1細胞傷害性(CTL)様表現型の増加とクローン拡大が認められた。SU達成者は、治療前のTH2性が低く、OIT後に細胞傷害関連遺伝子シグネチャーの増強およびCD39高発現Tregの増加を示した。これらの所見は、OITによる脱感作誘導において、TH2抑制とTH1細胞傷害性経路の活性化が重要であることを示唆している。
B-25-11-7免疫プロテアソームがミトコンドリアの機能を修飾することでILC2反応性を制御する➡ミトコンドリアを介してTh2反応を抑制Lauren P et al. The immunoproteasome regulates ILC2 responses by modulating mitochondrial capacity. PNAS 2025; 122: e2518190122. ★★
著者らは、免疫プロテアソーム(i-20S)がILC2の代謝と機能をどのように制御するかを検討した。ヒトILC2ではβ5i(LMP7)がプロテアソームの大部分を占め、選択的阻害により細胞死を起こすことなくATP枯渇と活性化阻害が生じた。阻害はROS産生を誘導し、TCA回路の要酵素アコニターゼを不活化してミトコンドリア機能を低下させ、IL-5/IL-13産生や増殖を抑制した。これらの変化はROS除去により回復可能であった。マウスのIL-33誘導炎症モデルおよびダニ喘息モデルでも、i-20S阻害はILC2活性化と好酸球浸潤、気道炎症を著しく抑制した。以上より、i-20SはILC2のミトコンドリア代謝を介して2型炎症を制御する中核因子であり、喘息など炎症性疾患に対する治療標的となる可能性が示された。
B-25-10-1血小板はマスト細胞と共同でIL-33依存性にアレルギー反応を前に進める➡血小板とマスト細胞が共同作業Nishida A et al. Platelets engage mast cells in a bilateral IL-33-driven feed-forward loop. PNAS 2025; 122: e2512193122. ★
著者らは、IL-33刺激によりマスト細胞がロイコトリエンLTC4を放出し、それが血小板のCysLT2受容体を介して活性化を誘導することを示した。活性化した血小板はATP/ADPを放出し、マスト細胞のP2Y1受容体を介して再びLTC4やPGD2、ヒスタミン産生を増強する「双方向性フィードフォワードループ」を形成する。この経路の遮断はマウスAERDモデルで炎症反応を抑制し、重症喘息治療の新たな標的となる可能性を示された。