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C-25-10-1牛乳アレルギー小児における生活習慣、免疫、そして腸内細菌叢の相互関係➡様々なエンドタイプが存在Yamamoto-Hanada K et al. Interaction between lifestyle, immunity and gut microbiota in milk allergy children. Clin Exp Allergy 2025; 55: 960-963. ★★
牛乳アレルギー(CMA)児における生活習慣、免疫応答、腸内細菌叢の相互関係を明らかにすることを目的として、重症CMA児59名を対象に、背景因子、血清サイトカイン、腸内細菌叢データを統合解析し、UMAPによるクラスタリングを行った。その結果、CMA児は3つのクラスターに分類され、1.TSLP・IL-3高値で炎症性特徴を示す群、2.Lachnospiraceae・Rikenellaceae優勢で免疫抑制的特徴を示す群、3.TNF-α・TARC高値で強い炎症傾向を持つ群が認められた。[2.]群は制御性T細胞誘導に関わる酪酸産生菌を多く含み、耐性獲得が早い可能性が示唆された。社会経済的要因(親の教育水準)も免疫マーカーと関連しており、生活環境が免疫応答に影響することが示唆された。これらの結果から、CMAには複数のエンドタイプが存在し、個別化した治療戦略が必要であることが示された。
C-25-10-2思春期や若年成人における食物経口負荷試験の実施頻度や必要性の上昇:アレルギー管理への示唆➡成人移行期の食物アレルギー管理へ向けてOmori M et al. Rising use and need for oral food challenges in adolescents and young adults: implications for allergy management. Clin Exp Allergy 2025; 55: 939-941. ★
思春期・若年成人(AYA)における経口食物負荷試験(OFC)の実施状況と必要性を明らかにする目的で、2013~2023年の単一施設データ13,470例を解析。AYA群(16歳以上)は全体の2.6%で、年次割合は2014年0.8%から2023年4.2%へと増加した。AYAは多重食物アレルギー(75.1%)、経口免疫療法歴(58.5%)、アナフィラキシー既往(27.8%)が多く、OFC陽性率は小児より低かった(25.2% vs 32.1%)。OFCは耐性確認やリスク評価、心理的支援、自己管理への移行を支える重要な役割を持ち、AYAに特化したリスク評価と移行支援体制の整備が求められる。
C-25-10-3ピーナッツアレルギーにおける反応閾値と関連する口腔および腸内微生物ハブ:循環免疫因子との相互作用➡閾値と関連した口腔内、腸内の細菌を同定Zhang L et al. Oral and gut microbial hubs associated with reaction threshold interact with circulating immune factors in peanut allergy. Allergy 2025; 80: 2800^2809. ★
ピーナッツアレルギー患者における反応閾値の個人差と、口腔および腸内マイクロバイオームとの関連を解析。120名の小児を対象に二重盲検食物負荷試験を実施し、唾液・便・血液中の遺伝子発現や免疫指標を統合的に解析した。その結果、唾液中のRothia aeriaおよび腸内のBacteroides属が反応閾値と有意に関連し、これらは血中でのFcγR依存性食作用経路やTLRシグナル伝達、好中球数、ピーナッツ特異的IgE/Ara h 2抗体と相互作用することが示された。これらの「微生物ハブ」は、局所的マイクロバイオームと全身性免疫応答を結ぶ中心的役割を果たし、アレルギー重症度や耐性獲得の理解や治療標的の開発に新たな視点を提供する。
C-25-10-4 食物経口負荷試験を受ける患者において、エピネフリン点鼻スプレーはアレルギー症状を改善する第3相試験➡第3相試験で有効性、安全性を確認Ebisawa M et al. Epinephrine nasal spray improves allergic symptoms in patients undergoing oral food challenge, phase 3 trial. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 2787-94. ★★★
食物アレルギー児を対象に経口負荷試験で誘発された中等度以上のアナフィラキシー症状に対するエピネフリン点鼻スプレー(neffy)の有効性と安全性を評価した第3相試験の結果を報告。6〜17歳の15例に投与し、全例で症状の改善を認め、追加のエピネフリン投与を要したのは1例のみであった。症状の改善時間は中央値16分で、副作用は軽度の振戦や鼻粘膜発赤に限られた。neffyは注射を伴わない迅速なアドレナリン投与法として有効であり、投与への心理的抵抗の軽減が期待される。
C-25-10-53歳未満の小児に対するカシュー経口免疫療法の安全性と有効性➡カシューナッツにも有効Jacobs SR et al. Safety and efficacy of cashew oral immunotherapy in children under age 3. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 2845-48. ★
3歳未満の子どもを対象に実施したカシューナッツ経口免疫療法(OIT)の安全性と有効性を検討した後方視的研究。63例中45例が維持量に到達し、19例全員が3〜6gのカシュープロテインを耐性化後も摂取可能で持続的寛容を達成した。治療関連のエピネフリン投与は5例(7.9%)にみられたが、重篤例は少なかった。カシューナッツOITは、慎重な管理下では3歳未満児においても安全かつ有効な治療選択肢となり得ることが示唆された。
C-25-10-6Akagawa S et al. Faecalibacterium in the gut microbiota predicts tolerance acquisition in pediatric hen’s egg allergy. Allergy 2025; 80: 2886-2889. ★★
本研究は、鶏卵アレルギー児において腸内細菌叢が耐性獲得を予測できるかを検討した。未治療の36例を対象に腸内細菌を解析した結果、耐性獲得群ではFaecalibacterium属の割合が有意に高く(13.5%対2.7%)、耐性予測のAUCは0.858と最も高かった。Faecalibacteriumの多い児では血中制御性T細胞比率も高く、酪酸代謝経路の活性も上昇していた。これらの結果から、Faecalibacteriumは鶏卵アレルギーの自然寛解を予測する有用なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
C-25-10-7尿中プロスタグランジン代謝産物はIgE依存性食物アレルギーとFPIESを鑑別するバイオマーカーとして有望である➡尿を分析してFPIESを診断Umezawa K et al. Urinary prostaglandin metabolites as potential biomarkers for differentiating IgE-mediated food allergy and food protein-induced enterocolitis syndrome. Allergy 2025; 80: 2890-93. ★
IgE依存性食物アレルギー(IgE-FA)と非IgE型食物蛋白誘発性腸炎症候群(FPIES)の鑑別における尿中プロスタグランジン代謝物の有用性を検討した。経口食物負荷試験中に尿を採取し分析した結果、IgE-FAではアレルギー反応後に尿中PGD₂代謝物(PGDM)が有意に上昇したが、FPIESでは上昇を認めなかった。PGDM/PGEM比とPGDM/PGFM比もIgE-FAで高値を示した。このことから、尿中PGDMは非侵襲的にIgE-FAとFPIESを鑑別する有望なバイオマーカーであることが示唆された。
C-25-10-8乳児期牛乳アレルギーの診断管理における単回負荷の意義に関する5年間の追跡調査➡最初に少量やった方が早く治る? Corcoran A et al. Five-year follow-up study of single dose challenge in the diagnosis and management of cow’s milk allergy in infants. Allergy 2025; 80: 2931-33. ★★
乳児期牛乳アレルギー(CMPA)診断時に行った単回低用量負荷(ED05)の長期効果を5年間追跡。初回研究参加者60例のうち47例が追跡に応じ、5年後には介入群の90%、対照群の76%が耐性を獲得していた。両群間の最終耐性率に差はなかったが、介入群では早期に耐性を獲得した。診断時の牛乳特異的IgE高値は耐性獲得遅延と関連した。単回低用量曝露は、CMPAの早期寛解促進に有効な補助的管理法となる可能性が示された。
C-25-10-9プロバイオティクス併用経口免疫療法が鶏卵や牛乳のアレルギーに対する持続的脱感作を誘導する➡プロバイオティクスを併用して急速法を乗り切るLloyd M et al. Probiotic oral immunotherapy for egg and milk allergy induces sustained unresponsiveness. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70222. ★★
卵および牛乳アレルギーに対するプロバイオティクス併用経口免疫療法(OIT)の安全性と有効性を検討したオープンラベル試験の結果を報告。5〜17歳の患者40名が、プロバイオティクスと卵または牛乳OITを18か月間受けた。8週間の除去後に二重盲検食物負荷試験を行い、持続的非反応性(SU)を評価した。その結果、卵群の55%、牛乳群の50%がSUを達成し、治療完遂者の約75%が寛解を維持した。副作用は多く(中等度〜重度反応は45〜65%)、特に牛乳群でアドレナリン投与を要する事例がみられたが、大半は管理可能であった。治療後には特異的IgE低下、IgG4上昇、生活の質(HRQL)の改善が認められた。高用量・急速OITにプロバイオティクスを併用することで、治療期間の短縮とSU達成率の向上が期待されることが示唆された。
C-25-10-10食物早期摂取ガイドラインと食物アレルギーのパターン➡早期摂取推奨の効果を確認Gabryszewski SJ et al. Guidelines for early food introduction and patterns of food allergy. Pediatrics 2025; 156: e2024070516. ★★★
ピーナッツなどの食物アレルギー予防を目的とした「早期食物導入ガイドライン」発表後のアレルギー発症率の変化を検証。米国小児科学会の電子診療記録ネットワーク(CER²)を用い、0〜3歳児約12万人を対象に、ガイドライン導入前後でIgE依存性食物アレルギー(IgE-FA)の診断率を比較した。その結果、ピーナッツIgE-FAは0.79%から0.53%、全IgE-FAは1.46%から1.02%へと有意に減少し、ガイドライン追加後にはさらに低下した(ハザード比約0.6、p<0.0001)。アトピー性皮膚炎の診断率は増加したが、全体として食物アレルギーの減少傾向が確認された。これらの結果は、早期食物導入が実際の臨床現場においてもアレルギー予防に有効であることを支持し、ガイドライン普及と教育の重要性を示している。
C-25-10-11ハイリスクコホートにおいて、出生時に短期間の保湿剤を使用した後に起こる生後2か月時点での乳児皮膚細菌叢の変化が、生後12か月におけるアトピー性皮膚炎有症率減少と関連している➡出生時のスキンケアが湿疹発症を抑えるStamatas GN et al. Shifts in infant skin microbiome at 2 months after short-term emollient use from birth are associated with reduced prevalence of atopic dermatitis at 12 months in a high-risk cohort. J Invest Dermatol 2025; 145: 2640-43. ★
家族歴をもつ高リスク乳児で、出生直後から短期間保湿剤を用いた介入群とコントロール群で皮膚菌叢やアトピー性皮膚炎(AD)発症率を比較。介入群は生後2か月で菌叢が有意に変化し、多くが12か月まで持続、AD発症率低下と関連した。AD増加と結びつくStaphylococcus等は抑えられ、CutibacteriumやMalasseziaなど保護的な菌が増加し、効果はFLG変異でより顕著だった。
C-25-9-1 ピーナッツアレルギー予防ガイドラインに対する小児科医の遵守率:ランダム化試験➡介入により遵守率が向上Gupta RS et al. Pediatric clinician adherence to peanut allergy prevention guidelines: a randomized trial. Pediatrics 2025; 156: e2025071233. ★
米国国立アレルギー感染症研究所が2017年に発表したピーナッツアレルギー予防ガイドラインの遵守を小児科医に促すための介入効果を検証したクラスター無作為化試験の結果を報告。30の小児科診療所を対象に、介入群には臨床意思決定支援ツール(EHR連携)、教育動画、視覚資料を提供した。その結果、低リスク乳児でのガイドライン遵守率は介入群83.7%、対照群34.7%(OR 14.6)、高リスク群では26.8%対10.4%(OR 3.1)と有意に改善した。多面的介入により小児科医の実践遵守が向上し、ピーナッツアレルギー発症減少への寄与が期待される。
C-25-9-2軽症喘息小児に対する発作時救急治療薬としてのブデソニド–ホルモテロールとサルブタモールの効果比較(CARE試験):52週間、オープンラベル、多施設、ランダム化試験➡成人で見られた効果、小児でもHatter L et al. Budesonide-formoterol versus salbutamol as reliever therapy in children with mild asthma (CARE): a 52-week, open-label, multicentre, superiority, randomized controlled trial. Lancet 2025; 406: 1473-83. ★
軽症喘息の小児(5〜15歳)において、発作時救急吸入薬としてのブデソニド–ホルモテロール(吸入ステロイド併用β₂刺激薬)とサルブタモール(短時間作用型β₂刺激薬)を比較した52週の多施設無作為化比較試験(CARE試験)。360人を対象にした結果、年間発作率はブデソニド–ホルモテロール群0.23回、サルブタモール群0.41回で、前者が有意に低かった(相対率0.55、p=0.012)。重篤な副作用や成長抑制は認められず、安全性は同等であった。したがって、ブデソニド–ホルモテロール頓用療法は小児軽症喘息においても発作予防に有効であることが示唆された。
C-25-8-1母の妊娠中の食事炎症インデックス(DII)と子どものアレルギー疾患のリスク➡妊娠中の食事は影響しないOsterlund J et al. Maternal dietary inflammatory index during pregnancy and the risk of offspring allergic disease. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70148. ★
4709組の母子コホートを対象に、妊娠中の母の食事内容(DIIで評価)と生後18か月時点での児のアレルギー疾患の有無との関連を検討した結果、有意の関連はなかった。
C-25-8-2メタボタイプがコントロール不良の喘息、腸内細菌叢、そして全身の炎症と関連している➡3つのメタボタイプを同定Abdel-Aziz MI et al. Metabotypes are linked to uncontrolled childhood asthma, gut microbiota, and systemic inflammation. J Allergy Clin Immunol 2025; 156: 339-51. ★★
92名の中等症以上の喘息患者を、血清や便の代謝産物、腸内細菌叢、食事記録などをもとにクラスター化して3つのメタボタイプを同定。各々が喘息の状態と関連していた。
C-25-8-3遺伝と環境の反応が乳児腸内細菌叢を制御することで、喘息やアレルギーに影響する➡腸内細菌とアレルギーの複雑な関係性Stickley SA et al. Gene-by-environment interactions modulate the infant gut microbiota in asthma and atopy. J Allergy Clin Immunol 2025; 156: 433-48. ★★
779名の出生コホートを対象に、宿主ゲノムと環境の相互作用が乳児期の腸内細菌叢に影響することで、小児の喘息、湿疹、アレルゲン感作などにつながることを示した。
C-25-8-4市販の食材を用いた成人ピーナッツアレルギー患者に対する経口免疫療法➡大人でも有効Hunter H et al. Oral immunotherapy in peanut-allergic adults using real-world materials. Allergy 2025; 80: 2310-2318. ★
22名の成人ピーナッツアレルギー患者を対象に、市販のピーナッツ製品を用いて経口免疫療法を施行。小児と同様の有効性が認められた。
C-25-8-5オマリズマブ治療後のアレルゲン食品の導入➡短期効果は良好も長期効果には課題Dantzer J et al. Introduction of allergenic foods after treatment with omalizumab. J Allergy Clin Immunol 2025; 156: 394-405. ★★
本研究は、抗IgE抗体オマリズマブが食物アレルギーにおける経口免疫療法(OIT)および食物導入をいかに補助し得るかを検討した多施設共同第III相試験OUtMATCHの一部である。まず第1段階でオマリズマブがプラセボに比して有意に高い閾値で食物摂取を可能にすることが確認された。引き続きオープンラベル延長期を経て、第3段階ではアレルゲン食品の実際の食事への導入が試みられた。対象となった小児・若年者60例では、82%が食事形態での導入を選択し、乳・卵・小麦は60〜70%で1年後も摂取継続が可能であったのに対し、ピーナッツや木の実類では成功率が38〜56%にとどまった。一方でアナフィラキシーや好酸球性食道炎の発症など有害事象も認められ、多くの参加者が再び回避に戻る結果となった。総じて、オマリズマブは短期投与後でも一定の患者にアレルゲン食品導入を可能とするが、安全上の課題が残り、慎重な適応判断と長期的検証が必要であることが示唆された。
C-25-8-6出生後早期の感染症罹患、“衛生仮説”、そして寿命:鉤虫感染症からのエビデンス➡衛生仮説に異議Lawton R. Early-life infectious disease exposure, the “hygiene hypothesis”, and lifespan: evidence from hookworm disease. PNAS 2025; 122: e2504265122. ★★
幼少期の感染症曝露とその後の健康や寿命への影響を検討し、特に「衛生仮説」に対する実証的検証を行った。20世紀初頭に米国南部で実施されたロックフェラー衛生委員会による集団駆虫キャンペーンを自然実験として利用し、幼少期の鉤虫曝露の長期的影響を解析した。約400万件の死亡記録を用いた解析では、5歳未満で駆虫を受けた群は平均で約2.5か月寿命が延長した。また、全国調査データから炎症マーカーや皮膚アレルギー反応の減少、BMIおよびヘモグロビン値の改善が確認された。対照的に、駆虫と関連しない健康指標には有意な変化は認められなかった。これらの結果は、早期の寄生虫感染が免疫調整に有益であるとする「衛生仮説」とは矛盾し、むしろ幼少期の駆虫が生涯にわたり健康および寿命に有益な効果をもたらすことを示唆する。
C-25-8-7食物アレルギー小児において経口免疫療法(OIT)が腸内細菌叢多様性に及ぼす影響➡OITが腸内細菌叢を変えるBouabid T et al. Impact of oral immunotherapy on diversity of gut microbiota in food-allergic children. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70156. ★★★
OITを受ける30名の食物アレルギー児を対象に、その前後で便検体を採取し、腸内細菌叢の構成を対照群、またはOIT前後で比較。食物アレルギー児ではOIT前の細菌叢構成(β多様性)が対照児とは異なっており、OIT後はBacteroidataやVerrucomicrobiotaが増加して対照群のレベルに近づく、など、菌構成の変化が観察された。この結果はOITが単に免疫学的寛容を誘導するだけでなく、腸内細菌叢を介した生物学的作用を伴う可能性を示唆する。特定の細菌群の変化はOITの有効性や持続性のバイオマーカーとなり得るため、今後は腸内細菌叢プロファイルに基づいた個別化治療や、プロバイオティクス併用による治療効果の最適化など、食物アレルギー治療の新たな展開に資する可能性がある。
C-25-8-8食物アレルギーが、幼少期のアトピー性皮膚炎から学童期の他のアレルギー疾患に至るアレルギーマーチの進展に与える影響➡アレルギーマーチの確認Zeiger RS et al. Impact of food allergy on the atopic march progression from atopic dermatitis in early childhood to other atopic disorders at school age. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 1991-2003. ★
10688名の健康調査の電子記録に基づいて、3歳までいアトピー性皮膚炎を伴う食物アレルギーを発症した児は5歳以降に喘息やアレルギー性鼻炎など他のアレルギー疾患を発症するリスクが高かった。
C-25-8-9幼児におけるアレルギー疾患と体格の関連:日本における全国的出生コホート調査➡生後18か月までの喘息は肥満と関連Kuniyoshi Y. Association between allergic diseases and body composition in toddlers: a nationwide birth cohort study in Japan. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70163. ★
日本人77281名の出生コホートを対象に、生後6~8か月までの喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー発症と体格との関連を検討。喘息発症が肥満と有意に関連も、他の疾患は体格との関連が見られなかった。
C-25-8-10 重篤なアレルギー児に対する超少量鶏卵負荷の安全性と実行可能性➡ごく少量からのすすめYanagida N et al. Safety and feasibility of very-low-dose egg challenge for children with severe allergies. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36. e70169. ★
少量鶏卵経口負荷試験(LD-OFC)で反応を示した重度鶏卵アレルギー児を対象に、超少量(25mg蛋白)の経口負荷試験(VLD-OFC)の安全性と実施可能性を検討。対象47例のうち40例(85%)はVLD-OFCをクリアし、7例(15%)が軽度〜中等度の症状を呈したが、重症反応やアドレナリン投与は必要としなかった。反応群は非反応群に比べて年齢や卵白・オボムコイド特異的IgE値が高かったが、VLD-OFCでの反応確率は全体として低かった。以上より、VLD-OFCは多くの卵アレルギー児において安全かつ有用であり、完全除去を回避する新たな選択肢となる可能性が示された。
C-25-7-1アトピー性皮膚炎小児における睡眠障害と心の健康障害や学習障害との関連➡寝ることは大切Bao A et al. Association of sleep disorders with higher incidence of mental health and learning disorders in children with atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 1846-1848. ★
後方視的なコホート調査により、アトピー性皮膚炎小児は睡眠障害のリスクが高く、それがADHD、不安、うつ、学習障害などと関連していることを示した。
C-25-7-2母親のアレルギー疾患フェノタイプと児の出生季節が母乳細菌叢に影響する➡母乳の細菌叢は何が決める?Ma J et al. Maternal allergic disease phenotype and infant birth season influence the human milk microbiome. Allergy 2025; 80: 1967-81. ★
アレルギー疾患を有する196名の母親の母乳微生物叢を対象に、16S rRNA全長配列解析を行い、母体・乳児・環境因子との関連を検討。乳児の出生季節が微生物構成に最も強く影響し、母体のアレルギー疾患の型や授乳方法も多様性や菌種構成に関与した。
C-25-7-3致死的および準致死的な食物アナフィラキシー:アレルギー:アレルギー警戒ネットワークデータベースの分析➡喘息合併例と、ピーナッツまたは牛乳アレルギーは要注意Pouessel C et al. Risk factors for fatal and near-fatal food anaphylaxis: analysis of the allergy-vigilance network database. Clin Exp Allergy 2025; 55; 532-540. ★
フランス語圏の2621例の食物アレルギーによるアナフィラキシー症例を対象に、重篤なアナフィラキシーのリスク因子を検討。致死的および準致死的なアナフィラキシーは1.7%の頻度であった。成人より小児に多く、喘息の診断や特定のアレルゲン(ピーナッツ、牛乳)が重篤なアナフィラキシーのリスク因子であった。
C-25-7-4関連は予測ではない‐医学論文において広がっている誤解➡言い過ぎは止めようStangroome K et al. Association is not prediction – a pervasive issue in the medical literature. Clin Exp Allergy 2025; 55: 583-585. ★
アレルギー疫学分野において「予測」と題する論文が実際に予測指標を報告しているかを、Vargaらの糖尿病分野での手法を用いて検証。1981年~2023年のPubMed検索で830件の抄録を分析した結果、予測指標を報告したのは39%に過ぎず、残りは関連指標(38%)または不明(23%)であった。感度・特異度の記載はそれぞれ17%未満にとどまった。予測指標は診断やモデル研究に多く、関連指標は危険因子研究に多かった。この傾向は糖尿病分野と同様であり、予測と関連の混同は医療全般に広く存在し、臨床的誤解や患者ケアへの影響が懸念される。
C-25-7-5小児期のストレスの多いライフイベントがアトピー性皮膚炎の活動性や重症度に与える影響➡病状はストレスと関連Abuabara K et al. The impact of stressful childhood life events on atopic dermatitis disease activity and severity. J Invest Dermatol 2025; 145: 1946-1952. ★
14000人以上の小児コホートの縦断調査から、ストレスのかかる生活上のイベントがあるとアトピー性皮膚炎悪化につながることを示した。
C-25-7-6食物アレルギーに対する舌下免疫療法における、食料品店で買える実在の食品溶解液の使用➡実臨床での提案Williams BA et al. The use of grocery-sourced real-food solutions in sublingual immunotherapy for food allergies. Ann Allergy Asthma Immunol 2025; 135: 79-86. ★★
舌下免疫療法(SLIT)は安全で有効な食物アレルギー治療の選択肢であるが、薬剤として承認されたものは入手しづらくて使いにくい。本研究では、食料品で入手できる食材を用いたピーナッツ、牛乳、カシューナッツ、卵、ゴマなどのSLITを実施して、その満足度、アドヒアランス、有効性などを評価。この手法が有効で実施可能であることを示した。
C-25-6-1東京における2015年~2019年の重症小児喘息入院の傾向➡基礎疾患のない子では低下傾向Ishikawa K et al. Hospitalization trends of severe paediatric asthma in Tokyo 2015-2019. Clin Exp Allergy 2025; 55: 502-504. ★
2015年から2019年にかけての東京における重症小児喘息入院患者の傾向を調査。基礎疾患のない小児の入院数は経年的に低下。基礎疾患のある小児では一定であった。
C-25-6-2早期食物摂取と皮膚の保湿が花粉感作に与える影響:ランダム化試験(PreventADALL)サブ解析➡スキンケアは花粉感作を促す?Gerdin SW et al. The effect of early food introduction and skin emollients on pollen sensitization: a randomized trial (PreventADALL) sub-study. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 1325-34. ★★
約二千人の出生コホートを対象に、幼児期の食物早期摂取、スキンケアまたはその両方が3歳までの花粉感作に与える影響を検討。早期摂取は影響しなかったが、スキンケアはハンノキ属の花粉感作リスクを増大させた。その効果は、皮膚バリア低下を介するものであった。
C-25-6-3軽症喘息に対する必要に応じたアルブテロール‐ブデソニドの使用➡重症化リスクを減らすLeForce C et al. As-needed albuterol-budesonide in mild asthma. N Engl J Med 2025; 393: 113-24. ★★
アルブテロール‐ブデソニドの必要時吸入が中等症や重症の喘息患者における増悪化のリスクを減らすことが報告されている。本研究では軽症喘息についても検討し、同様に重症化のリスクを減らすことを確認した。
C-25-6-4小児アレルギー疾患における出生順位の影響:日本における全国出生コホート調査➡疾患によって影響が異なるKobayashi M et al. Impact of birth order on paediatric allergic diseases: a national birth cohort in Japan. Clin Exp Allergy 2025; 55: 508-510. ★
日本全国の出生コホートデータを用いて出生順位と小児アレルギー疾患(気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎)の関連を検討。第3子以降では乳児期の喘息リスクが高かった一方、小学生期には低下しており、出生順位の影響が年齢によって異なることが示された。食物アレルギーは出生順位が高いほど一貫してリスクが低下したが、アトピー性皮膚炎は特に乳幼児期にリスクが増加した。保育園入園がこの関係に修飾効果を及ぼすことも認められた。以上より、出生順位は疾患ごとに異なるメカニズムでアレルギー疾患に影響する可能性があり、衛生仮説や胎児期起源説が示唆された。
C-25-6-5未就学児アレルギー疾患における成長の経過と体組成:JECSパイロットコホートからの知見➡アトピー性皮膚炎に体脂肪が関連?Harama D et al. Growth trajectories and body composition in preschoolers with allergic conditions: findings from the Japan Environment and Children’s Study Pilot Cohort. Clin Exp Allergy 2025; 55: 496-498. ★
JECSパイロットコホートのデータを用いて、未就学児におけるアレルギー疾患と体組成との関連を検討した。アトピー性皮膚炎や喘息を有する児のBMIや筋肉量(SMI)は非罹患者と有意差がなかったが、アトピー性皮膚炎のある児では脂肪量(FMI)が有意に高かった(p = 0.03)。これはアトピー性皮膚炎と体脂肪量との関連性を示唆し、従来のBMIだけでなく体組成全体の評価の重要性が示された。
C-25-5-1出生後早期の食事とアトピー性皮膚炎の遷延化:全国コホート調査➡食習慣がアトピー性皮膚炎にも影響Lee JS et al. Early-life diet and persistent atopic dermatitis: a nationwide cohort study. Allergy 2025; 80: 1455-1459. ★
韓国における60万人以上の出生コホートのデータから、乳児期早期からの離乳食開始、完全母乳栄養の制限、規則正しく様々な食物を摂取する習慣、健康的な体重の維持、などがアトピー性皮膚炎リスクの低下と関連していた。
C-25-5-2軽症喘息における必要に応じたアルブテロール‐ブデソニド使用➡軽症喘息に対する治療戦略LaForce C et al. As-needed albuterol-budesonide in mild asthma. N Engl J Med 2025 10:1056/NEJMoa2504544. ★
2421名のコントロール不良の軽症喘息患者を対象にアルブテロール‐ブデソニド(AB)合剤、またはアルブテロール(A)単独を、各々必要に応じて吸入するプロトコールで喘息悪化頻度を52週にわたって比較。AB合剤使用群のほうが、喘息悪化が少なかった。
C-25-5-3西日本における、PR-10関連PFASで生じる全身症状の評価➡全身症状はどのくらいの頻度で起こる?Hamada M et al. Evaluation of the incidence of systemic symptoms in PR-10-related pollen-food allergy syndrome in Western Japan. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70104. ★★
221名の病院受診例、および3309名の一般学童を対象にした調査をもとに、PR-10関連PFAS症例における全身症状の発症頻度を調査。バラ科果物が原因の場合は20%、大豆が原因の場合は40~50%であった。
C-25-5-4ピーナッツアレルギー幼児に対する経皮免疫療法の有効性と安全性:EPITOPEスタディからのオープンラベルの延長➔2年続けると治療効果が上がるGreenhawt M et al. Efficacy and safety of epicutaneous immunotherapy in peanut-allergic toddlers: open-label extension to EPITOPE. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 1176-87. ★★★
VIASKINパッチを用いたピーナッツアレルギー経皮免疫療法を幼児期に1年間続けることの効果が発表されている(EPITOPEスタディ)。本論文では、さらに2年間続けるとより有効性が高まることを報告した。治療に関連したアナフィラキシーはなかった。
C-25-5-54名の中学生に同時発生した車海老に対する食物依存性運動誘発アレルギー反応➡同時多発アレルギーIio K et al. Concomitant food-dependent exercise-induced allergic reactions to prawn in four junior-high-school students. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70106. ★
学校給食で車海老摂取による4例の運動誘発アレルギー反応が同時発生した経過を報告。
C-25-5-6完全除去患者に対する少量牛乳負荷試験の結果:日本における多施設研究➡特異IgE抗体が結果予測に有用Sakaguchi Y et al. Low-dose oral cow’s milk challenge outcome for patients on complete avoidance: a multicenter study in Japan. Pediatr Allergy Immunol 2025; 35: e70105. ★
日本の医療機関10施設を対象に、牛乳を完全除去している牛乳アレルギー児244名に対する少量(1~3ml)牛乳負荷試験の結果を後方視的に検討。牛乳およびカゼインの特異IgE抗体が結果予測に有用であった。
C-25-5-7KITYスタディのプロトコール:ハイリスク新生児に対するケストース投与による湿疹予防のランダム化比較試験➡ケストースを試すSaito-Abe M et al. KITY study protocol: a randomized controlled trial for eczema prevention by ingestion of kestonse in high-risk neonates. Clin Exp Allergy 2025; 55: 430-432. ★
ケストースはトリサッカライドの一種で、スクロースとフルクトースがβ-1,1-グリコシド結合する構造から成る。難消化性で、腸内で酪酸産生菌であるフェーカリバクテリウムを増殖させることで、免疫制御効果が期待できる。ケトースをハイリスク新生児に投与することでアトピー性皮膚炎発症予防効果の有無を検証するランダム化比較試験のプロトコールを報告。
C-25-5-8アレルギー予防のための食事摂取の変化:パイロット研究➡母への食事介入効果を検証Boden S et al. Changing dietary intake to prevent allergy outcomes: a pilot study. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70097. ★
妊娠可能年齢女性を対象に、アレルギー発症予防を目的とした食事介入の実施可能性と有効性を検討。介入群(n=9)は、野菜摂取の増加および加工食品や果汁の制限を含む栄養指導と食品費補助を受け、対照群(n=9)は金銭補助のみを受けた。介入により、母体食指数(MDI)は対照群に比し有意に増加した(+2.25ポイント, p=0.02)。参加者の多くは介入内容を肯定的に評価し、長期的継続の意欲も示した。本研究は、妊娠期食事介入が将来的な小児アレルギー予防に寄与する可能性を示唆し、より大規模かつ長期的研究の必要性を示している。
C-25-4-1重症喘息を合併する食物アレルギー児において、オマリズマブはアナフィラキシーを抑制し、食物解除を可能にする:観察研究➡一石二鳥Arasi S et al. Omalizumab reduces anaphylactic reactions and allows food introduction in food-allergic in children with severe asthma: an observational study. Allergy 2025; 80: 1074-1085. ★
食物アレルギー合併の中等症~重症喘息小児65名に対して、オマリズマブを使用前後の食物アレルギーの状況を観察。食物アレルギーに関連したQOLの改善と原因食物の安全な再導入が可能であった。
C-25-4-2学校における食物誘発性アナフィラキシー反応:改善の余地➡改善の余地ありPouessel G et al. Food-induced anaphylaxis reactions at school: a room for improvement. Allergy 2025; 80: 1132-1136. ★
フランスにおける学校での食物アレルギーによるアナフィラキシーの実態調査。死亡を含む重篤なアレルギー反応が発生しており、個別管理プランの作成やスタッフの訓練など、改善の余地があることが明らかに。
C-25-4-3食物経口負荷試験で陰性と判定後の食物再導入に関わる障壁と促進要因➡何が障害となっているのか?Gibson V et al. Barriers and enablers of dietary reintroduction following negative oral food challenges: a scoping review. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 851-860. ★★
食物経口負荷試験で陰性となった後、実際にその食物の解除がうまく進んでいるかどうかについての検討は少ない。本論文では、4つのデータベースから検索した22の論文をもとにスコーピングレビューを実施。解除がうまく進んでいない症例は多く、その障壁となるのは恐怖、不安、症状、忌避などであった。逆に若年齢、男子、医師からの説明などは解除の促進に効果的であった。
C-25-4-4乳幼児に対するピーナッツ経口免疫療法:2歳前から開始することでピーナッツの自由摂取の可能性が高まる➡鉄は熱いうちに打てMustafa SS et al. Infant and toddler peanut oral immunotherapy: initiation before age 2 increases Ad Libitum peanut consumption. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 885-892. ★★★
実臨床で、生後6か月から4歳までのピーナッツアレルギー児に高用量(目標量3000mg)の経口免疫療法を実施した成績を報告。60例中51例が完了し、ピーナッツ自由摂取が可能となった。16例において計22回の副反応が見られた。2歳までに高用量経口免疫療法を開始することで、自由摂取に到達できることが示された。
C-25-4-5Naples小児食物アレルギー(NAPFA)スコア:小児における食物アレルギー予測の多変量モデル➡簡単な診断予測モデルを開発Carucci L et al. The Naples pediatric food allergy (NAPFA) score: a multivariable model for the prediction of food allergy in children. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70071. ★
627名の小児患者を対象として、検査データを必要とせずに予診や臨床的特徴から食物アレルギーを簡便に診断するスコアを開発。
C-25-4-6ピーナッツアレルギー小児において、1年間の経口免疫療法(OIT)は腸内細菌叢や血中代謝産物に影響を与える➡OITの機序に腸内細菌が関与?Badolati I et al. One year of oral immunotherapy impacts the gut microbiota and plasma metabolome of peanut-allergic young children. Clin Exp Allergy 2025; 55: 340-343. ★★★
ピーナッツアレルギーを有する1~3歳児34名を対象に、1年間の経口免疫療法(OIT)の腸内細菌叢および血漿代謝物への影響を検討。OIT群は非OIT群と比較して、ピーナッツ耐性量が大幅に増加し、腸内細菌の多様性やClostridia属(特にFaecalibacterium)の豊富さが増加した。代謝プロファイルでは、OIT群でアシルカルニチンや脂肪酸、リゾホスファチジルコリンの増加が観察され、免疫応答調節との関連が示唆された。これらの変化はOITに伴う脱感作機序の一端を示しており、免疫寛容の誘導に腸内環境と代謝物が関与する可能性を示唆している。
C-25-3-1新生児期の腸内細菌叢と、食物感作や食物アレルギーとの関連➡生まれた時の腸内細菌叢が重要Shibata R et al. Neonatal gut microbiota and risk of developing food sensitization and allergy. J Allergy Clin Immunol 2025; 155: 932-46. ★★
日本における2つの出生コホートを対象に、腸内細菌叢のエンテロタイプと食物感作、食物アレルギー発症との関連を調査。新生児期の特定のエンテロタイプが関連していることを示した。
C-25-3-2南アフリカの生後6か月から9か月の乳児において、毎日の鶏卵摂取が一般的なアレルゲン食物への感作を抑えるかもしれない:ランダム化コントロール試験➡早期の鶏卵摂取がアレルギー全般を抑制?Nakiranda R et al. Daily egg intake may reduce sensitization to common allergenic foods among six- to nine-month-old south African infants: a randomized controlled trial. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70062. ★
500名の生後6~9か月乳児コホートを対象に、6か月間の鶏卵摂取群と非摂取群に分けて、終了時のアレルギー状態を評価。鶏卵感作率に有意差はなかったが、すべての食物抗原に対する感作率やアレルギー疾患発症率は、摂取群で有意に低かった。
C-25-3-3CANDLEコホートにおける、母の食事からのフラボノイド摂取と子どもの喘鳴、喘息との関連➡母のフラボノイド摂取が児の喘息を予防Roy A et al. Maternal dietary intake and child wheeze and asthma in the Conditions Affecting Neurocognitive Development and Learning in Early Childhood (CANDLE) cohort. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70052. ★
黒人、白人の混ざった母子出生コホートを対象に、妊娠中の母のフラボノイド摂取と児の4歳までの喘息、喘鳴との関連を検討。摂取量によって四分位に分けると、最上位群の母から出生した児は最下位群の母から出生した児に比べて、発症率が有意に低かった。
C-25-3-4食物アレルギー患者における尿中脂質プロファイル➡経口負荷試験の判定に使えるか?Masuko S et al. Urinary lipid production profile of patients with food allergy. Clin Exp Allergy 2025; 55: 256-259. ★
食物アレルギー(FA)患者の尿中に排出される脂質メディエーターのプロファイルを包括的に解析。食物負荷試験前後の尿を分析し、プロスタグランジンD2(PGD2)代謝産物であるtetranor-PGDMを含む19種類の脂質メディエーターの増減を確認した。特に、炎症性メディエーターの上昇がFA陽性患者で顕著であり、脂質代謝の変化がアレルギー炎症を反映する可能性が示唆された。本研究は、FAの病態解明と新規バイオマーカー探索に貢献する。
C-25-2-1 12年隔てて生まれたイギリスの2つの一般集団コホートにおける食物アレルギーの頻度➡有意差なかったFong W et al. Food allergy prevalence in two population-based UK cohorts born 12 years apart. Clin Exp Allergy 2025; 55: 166-74. ★
イギリスのワイト島で異なる時期(1989~90年と2001~2002年)に生まれた2つのこほーごについて食物アレルギー発症頻度を10歳時まで比較。有症率は後者で低下していたが有意差はなかった。
C-25-2-2 IgE依存性牛乳アレルギーの長期予後と継続のリスク因子➡大きくなっても自然寛解が期待できるNachshon L et al. Long-term outcome of IgE-mediated cow’s milk allergy and risk factors for persistence. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 369-77. ★★
出生コホートから牛乳アレルギーと診断された54名のうち、5歳時点でまだ継続していた23名を17歳まで追跡。8名が自然寛解した。診断時のプリックテストサイズが6mmより大きいもの、人工乳を投与されなかったもの、症状誘発時に喘鳴をきたすもの、喘息を合併しているもの、などが非寛解のリスク因子であった。
C-25-2-3 IgE依存性ピーナッツ、鶏卵、牛乳、小麦アレルギーにおける、皮膚プリックテスト、特異的IgE値およびコンポーネントテストの診断上の正確性➡経口負荷試験の結果を一番予測できるのは? Chong KW et al. Diagnostic accuracy of skin prick test, food-specific IgE and component testing for IgE-mediated peanut, egg, milk and wheat allergy. Clin Exp Allergy 2025; 55: 187-89. ★
シンガポールの小児アレルギー診療において、ピーナッツ、卵、牛乳、小麦に対する即時型(IgE介在性)食物アレルギーの診断精度を評価することを目的として、過去5年間の症例を対象に、皮膚プリックテスト(SPT)、食物特異的IgE(sIgE)、成分診断(component-resolved diagnostics, CRD)の診断精度を、食物経口負荷試験(OFC)と比較した。SPTとsIgEは高い感度と陰性的中率(NPV)を示し、特に卵および牛乳に対するsIgE(≥0.35 kUA/L)は100%の感度とNPVを示した。一方で、SPTとsIgEの特異度および陽性的中率(PPV)は低く、診断精度は食物の種類によって異なった。特に、Ara h 2(ピーナッツ)およびω-5グリアジン(小麦)に対するsIgEは高い特異度を示し、それぞれ95% PPVの閾値が2.95および2.25 kUA/Lであった。本研究は、シンガポールにおけるOFC決定基準を初めて報告したものであり、より正確なリスク層別化に寄与することが期待される。
C-25-2-4 牛乳アナフィラキシー小児における、高容量、低用量経口免疫療法の長期間にわたる比較➡高容量、低用量のメリット、デメリットIto K et al. Long-term comparison of high- and low-dose oral immunotherapy in children with anaphylactic cow’s milk allergy. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70033. ★
アナフィラキシーを伴う牛乳アレルギー児に対する高用量(200mL)および低用量(3mL)の経口免疫療法(OIT)の長期的な有効性、安全性、遵守率を比較する後ろ向き研究を実施した。3年間の追跡調査の結果、高用量群はより高い摂取量の許容に成功したが、副作用の発生率が高く、中等度から重度の反応の頻度も増加した。一方、低用量群は副作用の発生率が低く、治療継続率も高かった。両群ともに牛乳特異的IgE値は減少したが、減少率は高用量群でより顕著であった。本研究は、アナフィラキシー歴のある牛乳アレルギー児におけるOITの長期的な安全性と遵守率に関する重要な知見を提供するものであり、今後のランダム化比較試験が求められる。
C-25-1-9 母のアレルギー予防食インデックス、こどもの乳児食多様性と小児アレルギー疾患➔母とこどもの食生活がその後のアレルギーに影響Venter C et al. Maternal allergy-preventive diet index, offspring infant diet diversity, and childhood allergic diseases. Allergy 2024; 79: 3475-3488. ★
C-25-1-10 実験的アレルギー性腸炎においてメタボロームやミクロビオームに与える高IgEレベルの影響➔IgEが腸内環境を変えるZubeldia-Varela E et al. The impact of high-IgE levels on metabolome and microbiome in experimental allergic enteritis. Allergy 2024; 79: 3430-3447. ★★
マウス実験を通じて、高IgEレベルの個体では、通常IgEレベルの個体と比べて、アレルギー性腸炎における血中代謝物や腸内細菌叢の変化が生じ、腸炎症の程度も上がるこおを示した。
C-25-1-11 小児期における鶏卵感作の経過:アジアとヨーロッパの2つの出生コホート➡皮膚バリアが長引く鶏卵アレルギーと関連?Nakamura T et al. Trajectories of egg sensitization in childhood: Two birth cohorts in Asia and Europe. Allergy 2025; 80: 193-204. ★★★
千葉とイギリスの出生コホートを用いて、鶏卵アレルギーの経過と、皮膚バリア機能に影響するフィラグリン遺伝子変異との関連を検討。鶏卵アレルギーの経過は、継続、早期発症寛解、非または低感作、の3群に分かれ、フィラグリンの機能低下型変異が鶏卵アレルギー継続と関連していた。
C-25-1-12 BEEP試験コホートにおける牛乳アレルギー過剰診断の頻度とリスク因子➡“なんちゃって”牛乳アレルギーに注意Allen HI et al. Prevalence and risk factors for milk allergy overdiagnosis in the BEEP trial cohort. Allergy 2025; 80: 148-160. ★★
イギリスで生まれた乳児1394人を対象としたBEEP試験のデータを分析し、牛乳アレルギー(CMA)の過剰診断の実態とリスク因子を明らかにした。正式にCMAと診断されたのは1.4%に過ぎなかったが、16.1%が親による牛乳過敏症の報告、11.3%が医療記録上の牛乳過敏症、8.7%が低アレルギー粉ミルクの処方を受けていた。過剰診断のリスク因子として、前年の低アレルギー粉ミルクの高処方率や母体の抗生剤使用歴が関連し、完全ミルク育児は低アレルギー粉ミルクの処方増加と関連していた。
C-25-1-13 牛乳アレルギー児において、乳加工品の摂取はQOLと成長の改善に結び付く➡まず加工品からWong LSY et al. Baked milk diet is associated with improved quality of life and growth parameters in milk-allergic children. Allergy 2025; 80: 323-326. ★
マフィンのような充分加熱処理した乳加工品から段階的に解除を始めた136名の牛乳アレルギー児について、3年間追跡してQOLや成長をチェック。除去児と比べ、いずれも改善していた。
C-25-1-14 小児食物アレルギーの診断のためのダブルブラインド法とオープンチャレンジ法の比較:ALDORADO研究➡4歳以上では同等の結果de Weger WW et al. Comparison of double-blind and open food challenges for the diagnosis of food allergy in childhood: the ALDORADO study. Allergy 2025; 80: 248-257. ★★
食物アレルギー診断のゴールデンスタンダードとされるダブルブラインド法とより簡便なオープンチャレンジ法による食物経口負荷試験の結果を、63名の4歳以上で、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、またはピーナッツアレルギー児を対象に比較。結果は同等であった。
C-25-1-15 実臨床におけるアレルギー反応の重症度は誘発閾値とは無関係である➡実臨床のリアルPiletta-Zanin A et al. The severity of allergic reactions in a real-world environment is independent of the eliciting amounts of foods. Allergy 2025; 80: 238-247. ★★
147名の誤食事故を起こした食物アレルギー患者を対象に、摂取量と誘発症状の重症度を比較したところ、相関はなく、個別の感受性が重要であった。
C-25-1-16 ピーナッツアレルギー児におけるデュピルマブの有効性と安全性:多施設、オープンラベル、第2相試験➡ピーナッツアレルギーには著効せずSindher SB et al. Efficacy and safety of dupilumab in children with peanut allergy: a multicenter, open-label, phase II study. Allergy 2025; 80: 227-237. ★
24名のピーナッツアレルギー患者を対象に、デュピルマブ投与の有効性を検討。負荷試験における脱感作を誘導する効果は見られなかった。
C-25-1-17 実臨床における乳幼児に対するピーナッツ、木の実、ゴマ経口免疫療法の安全性と実行可能性➡乳幼児にも安全に実施できるHuang J et al. Safety and feasibility of peanut, tree nut, and sesame oral immunotherapy in infants and toddlers in a real-world setting. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 185-91. ★★
生後24か月以内のピーナッツ、木の実またはゴマアレルギー児52名を対象に、実臨床で市販品を用いて行った経口免疫療法の結果を後方視的に分析。概ね安全に自宅増量が可能であった。
C-25-1-18 生後10年間の大気汚染が継続するピーナッツアレルギーと関連している➡大気の汚れが食物アレルギーを誘発?Lopez DJ et al. Air pollution is associated with persistent peanut allergy in the first 10 years. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 1489-99. ★★
HealthNuts出生コホートを対象にした調査で、生後早期に大気汚染(PM2.5、NO2など)曝露量が多いとピーナッツアレルギーが継続するリスクが高まった。湿疹や鶏卵アレルギーとの関連は僅かであった。
C-25-1-19 Dartmouth Spoon Sheets(DSS)を用いて微量摂取を行う自宅での多項目経口免疫療法➡自宅増量のすすめHughes S et al. Home multifood oral immunotherapy microdosing with Dartmouth Spoon Sheets. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 244-246. ★★
食物アレルギー患者に対する在宅多品目経口免疫療法(OIT)の有効性と安全性を検討した。Dartmouth Healthでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、クリニックでの用量増加を省略し、Dartmouth Spoon Sheets(DSS)を用いた在宅での漸増法を導入した。患者は微量スプーンを用い、理論的な測定誤差範囲内(最大10%)の増量を行い、6~8週間ごとに遠隔診療で評価を受けた。最初の100名の患者(平均年齢4.31歳)のデータ分析では、59%が重大な副作用を経験せず、重篤なアナフィラキシーの報告はなかった。91%の親が治療により安心感が向上したと回答し、97%がDSS OITを推奨すると述べた。本手法は従来のOITに比べ、より安全で費用対効果が高く、遠隔地の患者にも適用可能であることが示唆された。長期的な有効性の評価が今後の課題である。