○滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例

平成23年3月22日

滋賀県条例第12号

滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例をここに公布する。

滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 低炭素社会づくりに関する基本的施策等(第8条―第14条)

第3章 事業活動に係る低炭素社会づくりに関する取組(第15条―第22条)

第4章 日常生活に係る低炭素社会づくりに関する取組(第23条―第28条)

第5章 建築物およびまちづくりに係る低炭素社会づくりに関する取組(第29条―第32条)

第6章 自動車等に係る低炭素社会づくりに関する取組(第33条―第40条)

第7章 森林の保全および整備等(第41条)

第8章 農業および水産業に係る低炭素社会づくりに関する取組(第42条・第43条)

第9章 雑則(第44条―第49条)

付則

私たちは、これまで、化石燃料に依存した大量生産・大量消費・大量廃棄という言葉に象徴される社会経済活動により、便利で豊かな暮らしを享受してきた。しかしながら、過去の二度にわたるオイルショックにより、化石燃料に依存した社会のぜい弱さが明らかになった。また、化石燃料の大量消費による大気中の温室効果ガスの増加は、地球温暖化をもたらし、生態系をはじめとする地球環境に深刻な影響を与えつつある。この滋賀の地でも、地球環境に関する様々な事象を映し出す「小さな窓」ともいえる琵琶湖をはじめとする豊かな自然や私たちの暮らしにその影響が忍び寄っており、このまま放置すれば、これらは確実に失われることとなる。

こうした状況に立ち向かい、滋賀の豊かさを次の世代に引き継いでいくためには、地球温暖化により生じている世界的な問題を私たち一人ひとりが自分の問題として捉え、そして行動していくことにより、いずれ枯渇する化石燃料に依存しない低炭素社会づくりを進めなければならない。そこで滋賀県は、平成42年(2030年)における温室効果ガスの排出量を平成2年(1990年)と比較して50パーセント削減することを、低炭素社会実現のための目標として掲げたところである。

この目標を達成するためには、あらゆる分野における取組を総合的に推進し、さらには、生活様式や産業構造、都市構造など社会のあり方までも変革することが求められ、その道筋は決して平たんではない。しかし、低炭素社会の実現に向けて先駆的に取り組むことにより、環境関連産業の発展や雇用の創出が期待できるなど、地域経済を活性化することが可能となる。

私たちは、これまで琵琶湖の環境保全などで培ってきた環境意識の高さや行動力を生かして、低炭素社会づくりを推進することにより、滋賀の豊かな自然や暮らしを確かな姿で次の世代に引き継ぐことを決意し、その第一歩として、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、低炭素社会づくりに関し、基本理念を定め、および県、事業者、県民等の責務を明らかにするとともに、県の基本的な施策、事業活動および日常生活における取組等に関する事項を定めることにより、低炭素社会づくりを推進し、もって健全で質の高い環境を確保しつつ、豊かな県民生活および経済の成長の実現を図りながら持続的に発展することができる社会の構築に寄与し、あわせて地球温暖化の防止に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「低炭素社会」とは、化石燃料に依存しない生活様式、産業構造、都市構造その他の社会経済構造の確立により、豊かな県民生活および経済の持続的な成長を実現しつつ、温室効果ガスの排出の量ができる限り削減され、ならびに温室効果ガスの吸収作用の保全および強化がされた社会をいい、「低炭素社会づくり」とは、低炭素社会を構築することをいう。

2 この条例において「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気および海水の温度が追加的に上昇する現象をいう。

3 この条例において「地球温暖化対策」とは、温室効果ガスの排出の抑制ならびに吸収作用の保全および強化(以下「温室効果ガスの排出の抑制等」という。)その他の地球温暖化の防止を図るための施策をいう。

4 この条例において「温室効果ガス」とは、次に掲げる物質をいう。

(1) 二酸化炭素

(2) メタン

(3) 一酸化二窒素

(4) ハイドロフルオロカーボンのうち規則で定めるもの

(5) パーフルオロカーボンのうち規則で定めるもの

(6) ふっ化硫黄

(7) ふっ化窒素

(8) 前各号に掲げるもののほか、地球温暖化をもたらす程度の大きい物質であって規則で定めるもの

5 この条例において「温室効果ガスの排出」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスを大気中に排出し、放出し、もしくは漏出させ、または他人から供給された電気もしくは熱(燃料または電気を熱源とするものに限る。)を使用することをいう。

6 この条例において「再生可能エネルギー」とは、次に掲げるエネルギー源を利用したエネルギーをいう。

(1) 太陽光

(2) 風力

(3) 水力

(4) 地熱

(5) 太陽熱

(6) バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガスおよび石炭ならびにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)

(7) 前各号に掲げるもののほか、化石燃料以外のエネルギー源のうち、永続的に利用することができると認められるものとして規則で定めるもの

(一部改正〔平成26年条例48号〕)

(基本理念)

第3条 低炭素社会づくりは、低炭素社会の実現のためには生活様式、産業構造、都市構造その他の社会経済構造を転換する必要があるとの認識の下に、推進されなければならない。

2 低炭素社会づくりは、全ての者の主体的かつ積極的な参画の下に、推進されなければならない。

3 低炭素社会づくりは、県、県民、事業者その他の関係者の連携および協働の下に、日常生活、事業活動等様々な分野における取組を総合的に行うことを旨として、推進されなければならない。

4 低炭素社会づくりは、温室効果ガスの排出の抑制等と、県民生活の向上ならびに新たな産業および雇用の機会の創出その他の経済の持続的な成長との両立を図ることを旨として、推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める基本理念(以下この章において「基本理念」という。)にのっとり、低炭素社会づくりに関する総合的かつ計画的な施策を策定し、および実施するものとする。

2 県は、前項に規定する施策の策定および実施に当たり、市町その他の県以外の地方公共団体、国ならびに県民、事業者およびこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)と連携協力するとともに、県民、事業者および民間団体が低炭素社会づくりに関して行う活動の促進を図るため、前項に規定する施策に関する情報の提供その他の措置を講ずるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための取組(他の者の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための取組を含む。)その他の低炭素社会づくりに関する取組を自主的かつ積極的に行うよう努めるとともに、県が実施する低炭素社会づくりに関する施策に協力しなければならない。

(県民の責務)

第6条 県民は、基本理念にのっとり、その日常生活に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための取組その他の低炭素社会づくりに関する取組を自主的かつ積極的に行うよう努めるとともに、県が実施する低炭素社会づくりに関する施策に協力しなければならない。

(滞在者および旅行者の責務)

第7条 滞在者および旅行者は、県内における低炭素社会づくりに関する取組に協力するよう努めなければならない。

第2章 低炭素社会づくりに関する基本的施策等

(推進計画)

第8条 知事は、低炭素社会づくりに関する施策(県の事務および事業における低炭素社会づくりに寄与するための取組を含む。次項第3号において同じ。)の総合的かつ計画的な推進を図るための計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。

2 推進計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 計画期間

(2) 低炭素社会づくりの推進に関する基本的な方針

(3) 低炭素社会づくりに関する施策の内容

(4) 温室効果ガス総排出量(地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)第2条第5項に規定する温室効果ガス総排出量をいう。次条において同じ。)に関する事項

(5) 温室効果ガスの排出の量の削減目標

(6) 前各号に掲げるもののほか、低炭素社会づくりの推進に関し必要な事項

3 知事は、推進計画の策定に当たっては、あらかじめ、県民、事業者その他の関係者の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。

4 知事は、推進計画の策定に当たっては、あらかじめ、滋賀県環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 知事は、推進計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、推進計画の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)について準用する。

(施策の実施状況の公表)

第9条 知事は、毎年1回、推進計画に基づく施策の実施の状況(温室効果ガス総排出量を含む。)を滋賀県環境審議会に報告するとともに、公表しなければならない。

(低炭素社会づくり指針)

第10条 知事は、県民、事業者および民間団体が低炭素社会づくりに関する取組を推進するための指針(以下「低炭素社会づくり指針」という。)を定めるものとする。

2 知事は、低炭素社会づくり指針を定め、または変更したときは、これを公表するものとする。

(調査研究および産業の育成振興)

第11条 県は、低炭素社会づくりに関する最新の情報の把握に努めるとともに、効果的な地球温暖化対策の調査研究その他の低炭素社会づくりに関する調査研究を推進するものとする。

2 県は、低炭素社会づくりに寄与する技術を有する産業の育成および振興に努めるものとする。

(情報の提供等)

第12条 県は、低炭素社会づくりの必要性について、県民、事業者および民間団体の理解を深めるため、低炭素社会づくりに関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(環境学習の推進等)

第13条 県は、滋賀県環境学習の推進に関する条例(平成16年滋賀県条例第28号)の基本理念にのっとり、低炭素社会づくりに係る環境学習(同条例第2条第1項に規定する環境学習をいう。次項において同じ。)を推進するものとする。

2 県は、地球温暖化対策の推進に関する法律第37条第1項の規定により知事が委嘱した滋賀県地球温暖化防止活動推進員が、低炭素社会づくりに係る環境学習の推進その他の地域における低炭素社会づくりに関する取組において積極的な役割を果たすことができるよう、必要な支援を行うものとする。

(一部改正〔平成28年条例57号〕)

(県の率先実施)

第14条 県は、その事務および事業に関し、次に掲げる温室効果ガスの排出の抑制等に関する取組を率先して行うものとする。

(1) エネルギー(エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和54年法律第49号)第2条第1項に規定するエネルギーをいう。以下同じ。)の使用の合理化の推進に関する取組

(2) 自動車等(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車(以下「自動車」という。)および同条第3項に規定する原動機付自転車をいう。以下同じ。)の使用に伴う温室効果ガスの排出の抑制に関する取組

(3) 再生可能エネルギーの利用の推進に関する取組

(4) 環境物品等(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)第2条第1項に規定する環境物品等をいう。以下同じ。)の調達の推進に関する取組

(5) 廃棄物の発生の抑制、再使用および再生利用その他資源の有効な利用であって温室効果ガスの排出の抑制に資するもの(以下「廃棄物の発生の抑制等」という。)に関する取組

(6) 前各号に掲げるもののほか、温室効果ガスの排出の抑制等に関し必要な取組

(一部改正〔平成26年条例48号〕)

第3章 事業活動に係る低炭素社会づくりに関する取組

(エネルギー使用量の把握)

第15条 事業者は、温室効果ガスの排出の抑制を図るため、その事業活動に伴うエネルギーの使用量を把握するよう努めなければならない。

(エネルギー消費性能等が優れている機械器具の使用等)

第16条 事業者は、エネルギー消費機器等(エネルギーの使用の合理化等に関する法律第144条第1項に規定するエネルギー消費機器等をいう。以下同じ。)を使用する場合には、エネルギー消費性能等(同法第145条第1項に規定するエネルギー消費性能等をいう。以下同じ。)が優れているものを使用するよう努めるとともに、エネルギー消費機器等を効率的に使用するよう努めなければならない。

(全部改正〔平成26年条例48号〕、一部改正〔平成30年条例41号〕)

(冷暖房時の温度等)

第17条 事業者は、その事業の用に供する建築物において冷暖房機を使用するときは、そのエネルギーの消費量が過剰とならない適切な温度に保つよう努めるとともに、その従業員が勤務中において当該温度に応じた服装を用いることに配慮するよう努めなければならない。

(環境物品等の購入等)

第18条 事業者は、物品を購入し、もしくは借り受け、または役務の提供を受ける場合には、環境物品等を選択するよう努めなければならない。

2 事業者は、環境物品等の購入等の推進を図るための方針を作成するよう努めなければならない。

(廃棄物の発生の抑制等)

第19条 事業者は、その事業活動に関し、廃棄物の発生の抑制等に努めなければならない。

2 事業者は、廃棄物の処理に当たっては、温室効果ガスの排出を抑制するよう努めなければならない。

(事業者行動計画)

第20条 事業活動に伴い相当程度多い温室効果ガスの排出をする事業者として規則で定めるものは、規則で定めるところにより、低炭素社会づくり指針を勘案して、低炭素社会づくりに係る取組に関する計画(以下「事業者行動計画」という。)を策定しなければならない。

2 事業者行動計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 低炭素社会づくりに係る取組に関する基本的な方針

(2) 温室効果ガスの排出の量の少ない燃料への転換その他の温室効果ガスの排出の量の削減のために実施しようとする取組の内容および当該取組により達成しようとする目標

(3) エネルギー消費性能等が優れている製品または再生可能エネルギーを得るために用いられる製品の製造その他の事業として行う行為により他の者の温室効果ガスの排出の量の削減に寄与することとなる取組の内容および当該取組により達成しようとする目標

(4) 前2号に掲げるもののほか、低炭素社会づくりに寄与するための取組に関する事項

(5) 事業者行動計画の推進体制

(6) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

3 第1項に規定する事業者は、同項の規定により事業者行動計画を策定したときは、規則で定めるところにより、当該事業者行動計画を知事に提出しなければならない。

4 前項の規定により事業者行動計画を提出した事業者は、第2項各号に掲げる事項を変更したときは、遅滞なく、当該変更後の事業者行動計画を知事に提出しなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。

5 第3項の規定により事業者行動計画を提出した事業者は、氏名または住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名または主たる事務所の所在地)に変更があった場合その他規則で定める場合に該当するときは、遅滞なく、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

6 知事は、第3項または第4項の規定による事業者行動計画の提出があったときは、速やかに、規則で定めるところにより、その内容を公表しなければならない。

(一部改正〔平成26年条例48号〕)

(事業者行動報告書の作成等)

第21条 前条第3項の規定により事業者行動計画を提出した事業者は、毎年1回、規則で定めるところにより、事業者行動計画(同条第4項の規定により変更後の事業者行動計画を提出した事業者にあっては、当該変更後のもの)の実施状況を記載した報告書(以下「事業者行動報告書」という。)を作成し、知事に提出しなければならない。

2 前条第6項の規定は、事業者行動報告書について準用する。

(その他の事業者による事業者行動計画の策定等)

第22条 第20条第1項に規定する事業者以外の事業者は、同項から同条第3項までの規定の例により、事業者行動計画を策定し、および知事に提出することができる。

2 第20条第4項から第6項までおよび前条第1項の規定は、前項の規定により提出された事業者行動計画について準用する。

3 前条第2項の規定は、前項において準用する同条第1項の規定により提出された事業者行動報告書について準用する。

第4章 日常生活に係る低炭素社会づくりに関する取組

(エネルギー使用量の把握)

第23条 県民は、温室効果ガスの排出の抑制を図るため、その日常生活に伴うエネルギーの使用量を把握するよう努めなければならない。

(エネルギー消費性能等が優れている機械器具の使用等)

第24条 県民は、エネルギー消費機器等を使用する場合には、エネルギー消費性能等が優れているものを使用するよう努めるとともに、エネルギー消費機器等を効率的に使用するよう努めなければならない。

(一部改正〔平成26年条例48号〕)

(冷暖房時の温度)

第25条 県民は、その住宅において冷暖房機を使用するときは、そのエネルギーの消費量が過剰とならない適切な温度に保つよう努めなければならない。

(環境物品等の購入等)

第26条 県民は、物品を購入し、もしくは借り受け、または役務の提供を受ける場合には、環境物品等を選択するよう努めなければならない。

(廃棄物の発生の抑制等)

第27条 県民は、その日常生活に関し、廃棄物の発生の抑制等に努めなければならない。

(低炭素地域づくり活動計画)

第28条 知事は、民間団体が地域における低炭素社会づくりに関する活動について計画を策定し、当該計画を実施しようとする場合において、当該計画が推進計画および低炭素社会づくり指針に照らし適切なものであり、かつ、地域における低炭素社会づくりに資するものであると認めるときは、当該民間団体の申請に基づき、当該活動についての計画を低炭素地域づくり活動計画として認定することができる。

2 知事は、前項の規定による認定をしたときは、当該認定に係る低炭素地域づくり活動計画の内容を公表するものとする。

3 知事は、第1項の規定による認定を受けた民間団体に対し、当該認定に係る低炭素地域づくり活動計画の達成のために必要な情報の提供、助言その他の支援を行うものとする。

第5章 建築物およびまちづくりに係る低炭素社会づくりに関する取組

(建築物に係る温室効果ガスの排出の抑制等)

第29条 次に掲げる者は、建築物に係るエネルギーの使用の合理化、資源の有効な利用その他の温室効果ガスの排出の抑制等の措置を講ずるよう努めなければならない。

(1) 建築物の新築、増築または改築をしようとする者

(2) 建築物の修繕または模様替をしようとする者

(3) 建築物への空気調和設備その他の建築設備の設置または建築物に設けた空気調和設備その他の建築設備の改修をしようとする者

(県内産の木材を利用した住宅等の普及の促進)

第30条 県は、森林所有者、事業者および民間団体と連携して、県内産の木材を利用した住宅、エネルギーの使用の合理化のための措置が講じられた住宅その他の低炭素社会づくりに資する住宅の普及の促進を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(開発事業に係る事業計画の立案段階における検討)

第31条 開発事業(土地の区画形質の変更および当該区画形質の変更に引き続く建築物その他の施設の整備に関する事業をいう。以下この条において同じ。)を行おうとする者は、当該開発事業に係る事業計画の企画立案の段階において、当該開発事業の完了により設置される施設における再生可能エネルギーの利用、利用者、従業員等の自動車等の使用の抑制その他の低炭素社会づくりに寄与するための取組の実施を検討するよう努めなければならない。

(歩いて暮らせるまちづくりへの配慮)

第32条 県は、土地利用の調整、都市計画の策定、交通体系の整備その他のまちづくりに関する施策の企画立案、実施等に当たっては、歩いて暮らせるまちづくり(地域の実情に応じて、都市機能を集積させること等により、自家用自動車に過度に依存しない生活の実現を目指したまちづくりをいう。)が推進されるよう配慮するものとする。

第6章 自動車等に係る低炭素社会づくりに関する取組

(公共交通機関の利用等への転換)

第33条 県民および事業者(専ら自動車等を使用して事業を行う事業者を除く。)は、その日常生活および事業活動において、可能な限り、自動車等の使用に代えて、公共交通機関もしくは自転車の利用または徒歩による移動に努めなければならない。

(温室効果ガス排出量がより少ない自動車等の購入等)

第34条 自動車等を購入し、または使用しようとする者は、電気自動車、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車その他の温室効果ガスの排出の量がより少ない自動車等を購入し、または使用するよう努めなければならない。

(自動車走行量の抑制等)

第35条 自動車等を使用し、または所有する者は、当該自動車等の使用に伴う温室効果ガスの排出の抑制を図るため、運行効率の向上を図ること等により当該自動車等の走行量の抑制に努めるとともに、当該自動車等の適切な運転および適正な整備に努めなければならない。

(アイドリング・ストップ)

第36条 自動車等を運転する者は、駐車(客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により自動車等を継続的に停止させること(人の乗降のため停止させることを除く。)または自動車等を停止させ、かつ、当該自動車等を運転する者がその自動車等を離れ、当該自動車等を直ちに運転することができない状態に置くことをいう。以下同じ。)をする場合には、当該自動車等の原動機の停止(以下「アイドリング・ストップ」という。)を行わなければならない。ただし、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)第13条第1項各号に掲げる自動車を現に緊急用務に使用している場合その他アイドリング・ストップを行わないことにつきやむを得ない事情があるものとして規則で定める場合は、この限りでない。

(駐車場設置事業者等のアイドリング・ストップに係る措置等)

第37条 駐車または自動車等の保管のための施設を設置し、または管理する事業者は、当該施設を利用する者に対し、当該施設内で駐車をする場合(前条ただし書に規定する場合を除く。次項において同じ。)にはアイドリング・ストップを行うべきことを求めるよう努めなければならない。

2 次の各号のいずれかに該当する施設であって規則で定める規模以上のものを設置し、または管理する事業者は、看板、放送、書面等により、当該施設を利用する者に対し、当該施設内で駐車をする場合にはアイドリング・ストップを行うべきことについて周知させる措置を講じなければならない。

(1) 駐車場(駐車場法(昭和32年法律第106号)第2条第1号に規定する路上駐車場および同条第2号に規定する路外駐車場をいう。)

(2) 自動車ターミナル(自動車ターミナル法(昭和34年法律第136号)第2条第4項に規定する自動車ターミナルをいう。)

(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める施設

(自動車管理計画)

第38条 県内に使用の本拠の位置を有する自動車であって規則で定めるものを規則で定める台数以上使用する事業者は、規則で定めるところにより、低炭素社会づくり指針を勘案して、当該自動車の使用に伴う温室効果ガスの排出の抑制を図るための計画(以下「自動車管理計画」という。)を策定しなければならない。

2 自動車管理計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 自動車の使用に伴う温室効果ガスの排出の抑制を図るための基本的な方針

(2) 自動車の使用に伴う温室効果ガスの排出の抑制に関する取組の内容

(3) 自動車管理計画の推進体制

(4) 前3号に掲げるもののほか、規則で定める事項

3 第20条第3項から第6項までの規定は、自動車管理計画について準用する。この場合において、同条第4項中「第2項各号」とあるのは、「第38条第2項各号」と読み替えるものとする。

(自動車管理報告書の作成等)

第39条 前条第3項において準用する第20条第3項の規定により自動車管理計画を提出した事業者は、毎年1回、規則で定めるところにより、自動車管理計画(前条第3項において準用する第20条第4項の規定により変更後の自動車管理計画を提出した事業者にあっては、当該変更後のもの)の実施状況を記載した報告書(以下「自動車管理報告書」という。)を作成し、知事に提出しなければならない。

2 第20条第6項の規定は、自動車管理報告書について準用する。

(その他の事業者による自動車管理計画の策定等)

第40条 第38条第1項に規定する事業者以外の事業者は、同項および同条第2項ならびに同条第3項において準用する第20条第3項の規定の例により、自動車管理計画を策定し、および知事に提出することができる。

2 第38条第3項および前条第1項の規定は、前項の規定により提出された自動車管理計画について準用する。この場合において、第38条第3項中「第20条第3項」とあるのは、「第20条第4項」と読み替えるものとする。

3 前条第2項の規定は、前項において準用する同条第1項の規定により提出された自動車管理報告書について準用する。

第7章 森林の保全および整備等

第41条 県民、森林所有者、事業者および民間団体(次項において「県民等」という。)は、琵琶湖森林づくり条例(平成16年滋賀県条例第2号)の基本理念にのっとり、森林の有する二酸化炭素の吸収作用に関する理解を深めるとともに、相互に連携して、森林の適切な保全および整備ならびに県内産の木材その他の森林資源の利用の推進に努めなければならない。

2 県は、森林の有する二酸化炭素の吸収作用に関する県民等の理解を深めるため情報の提供その他の必要な措置を講ずるとともに、県民等と連携して、間伐その他の森林の保全および整備に必要な措置を講ずるものとする。

3 県は、県内の公共建築物における県内産の木材の利用の推進その他の県内産の森林資源の利用の推進に必要な措置を講ずるものとする。

第8章 農業および水産業に係る低炭素社会づくりに関する取組

(温室効果ガスの排出の抑制等に配慮した生産活動)

第42条 農業または水産業を営む者は、エネルギー消費性能等が優れているエネルギー消費機器等の使用、堆肥の施用等による炭素の貯留機能の向上に資する農地の土壌管理その他の温室効果ガスの排出の抑制等に配慮した生産活動を行うよう努めなければならない。

2 県は、温室効果ガスの排出の量がより少ない農業および水産業ならびに地球温暖化に適応した農業および水産業の育成および振興に努めるものとする。

(一部改正〔平成26年条例48号〕)

(地産地消)

第43条 県民および事業者は、農畜水産物の輸送に伴う温室効果ガスの排出の抑制を図るため、地産地消(県内において生産され、または採取された農畜水産物を県内において消費することをいう。次項において同じ。)を積極的に行うよう努めなければならない。

2 県は、地産地消を推進するため、生産の振興、情報の提供、普及啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

第9章 雑則

(顕彰)

第44条 県は、低炭素社会づくりに関する特に優れた取組を行った県民、事業者および民間団体の顕彰を行うものとする。

(指導および助言)

第45条 知事は、県民、事業者および民間団体が低炭素社会づくりに関する取組を行う場合において、必要な指導および助言をすることができる。

(報告徴収および立入調査)

第46条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、次に掲げる事業者に対し、必要な報告もしくは資料の提出を求め、またはその職員に、これらの事業者の事務所もしくは事業所その他必要な場所に立ち入らせ、関係者に質問させ、もしくは書類その他の物件を調査させることができる。

(1) 第20条第1項に規定する事業者

(2) 第22条第1項の規定により事業者行動計画を提出した事業者

(3) 第37条第2項に規定する措置を講ずべき事業者

(4) 第38条第1項に規定する事業者

(5) 第40条第1項の規定により自動車管理計画を提出した事業者

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(勧告)

第47条 知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第20条第3項(第38条第3項において準用する場合を含む。)もしくは第4項(第22条第2項および第38条第3項(第40条第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による事業者行動計画等の提出をせず、または虚偽の事業者行動計画等の提出をした事業者

(2) 第21条第1項(第22条第2項において準用する場合を含む。)の規定による事業者行動報告書の提出をせず、または虚偽の事業者行動報告書の提出をした事業者

(3) 第22条第1項の規定による事業者行動計画の提出をした事業者であって、虚偽の事業者行動計画の提出をしたもの

(4) 第37条第2項の規定に違反している事業者

(5) 第39条第1項(第40条第2項において準用する場合を含む。)の規定による自動車管理報告書の提出をせず、または虚偽の自動車管理報告書の提出をした事業者

(6) 第40条第1項の規定による自動車管理計画の提出をした事業者であって、虚偽の自動車管理計画の提出をしたもの

(7) 前条第1項の規定による報告もしくは資料の提出をせず、もしくは虚偽の報告もしくは資料の提出をし、または同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、もしくは質問に対して答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をした者

(公表)

第48条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく、当該勧告に従わなかったときは、規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。

2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者に意見を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第49条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

付 則

(施行期日)

1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。ただし、第20条から第22条まで、第28条第38条から第40条まで、第46条第1項第1号第2号第4号および第5号ならびに第47条第1号から第3号まで、第5号および第6号ならびに付則第4項から第7項までの規定は、平成24年4月1日までの間において規則で定める日から施行する。

(付則第1項ただし書中第28条の規定については、平成23年規則第41号で平成23年10月21日から施行。付則第1項ただし書に規定する規定(第28条の規定を除く。)の規定については、平成24年規則第33号で平成24年4月1日から施行)

(検討)

2 知事は、この条例の施行後5年を目途として、この条例の施行状況、県民の意識、社会経済情勢の推移等を勘案し、この条例の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(滋賀県大気環境への負荷の低減に関する条例の一部改正)

3 滋賀県大気環境への負荷の低減に関する条例(平成12年滋賀県条例第18号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(滋賀県大気環境への負荷の低減に関する条例の廃止)

4 滋賀県大気環境への負荷の低減に関する条例は、廃止する。

(滋賀県大気環境への負荷の低減に関する条例の廃止に伴う経過措置)

5 前項の規定による廃止前の滋賀県大気環境への負荷の低減に関する条例(以下「旧大気負荷低減条例」という。)第13条第4項の規定により知事に提出された自動車管理計画は、第38条第3項において準用する第20条第3項の規定により知事に提出された自動車管理計画とみなす。この場合においては、第38条第3項において準用する第20条第6項の規定は、適用しない。

6 旧大気負荷低減条例第26条第1項の規定により知事に提出された大気環境負荷低減計画(第20条第1項に規定する事業者が提出したものに限る。)は、第20条第3項の規定により知事に提出された事業者行動計画とみなす。この場合においては、同条第6項の規定は、適用しない。

7 付則第4項の規定の施行前にした旧大気負荷低減条例に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

付 則(平成26年条例第48号)

1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。ただし、第2条第4項の改正規定は、平成27年4月1日から施行する。

2 この条例の施行に伴い必要な経過措置は、規則で定める。

付 則(平成28年条例第57号)

この条例は、公布の日から施行する。

付 則(平成30年条例第41号)

この条例は、この条例の公布の日またはエネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第45号)の施行の日のいずれか遅い日から施行する。

(施行の日=平成30年12月1日)

滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例

平成23年3月22日 条例第12号

(平成30年12月1日施行)

体系情報
第11編の2 生活環境/第3章 公害規制
沿革情報
平成23年3月22日 条例第12号
平成26年3月31日 条例第48号
平成28年6月29日 条例第57号
平成30年10月19日 条例第41号