○滋賀県環境基本条例

平成8年3月29日

滋賀県条例第18号

滋賀県環境基本条例をここに公布する。

滋賀県環境基本条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 環境の保全に関する基本的施策

第1節 施策の策定等に係る基本方針(第10条・第11条)

第2節 環境総合計画(第12条・第13条)

第3節 県民等による環境の保全のための行動を促進する施策(第14条―第17条)

第4節 環境の保全を推進するための施策(第18条―第24条)

第5節 地球環境の保全のための国際協力(第25条・第26条)

第3章 滋賀の環境自治を推進する委員会に対する審査の申立て(第27条―第29条)

第4章 環境の保全のための推進体制等(第30条―第32条)

付則

わが国最大の湖であり、生物の宝庫である琵琶湖を擁する滋賀県には、湖国独特の豊かな自然環境が形成され、また、日本列島のほぼ中央に位置していることから、古来、しばしば歴史の重要な舞台となり、人々が盛んに交流して、豊かな歴史的、文化的遺産と固有の風土が形づくられてきた。

私たちは、この豊かさを、ともすれば忘れ、生産の向上と便利な生活を追求するあまり、自然や風土を含めた環境に少なからぬ負担を与え続け、その影響は地球規模の環境にまで及んでいる。今、私たちは、琵琶湖をはじめとする自然界に起きつつある様々な変化を、自己保存のため自然界が発する目に見える警告として受けとめなければならない。

環境は壊れやすく、復元するのは容易ではない。もはや環境はそこにあるもの、与えられるものでもない。私たちは、物質の循環の重要性、資源の有限性を認識しながら、環境がもつ復元能力の下に持続的な発展を図っていかなければならない。また、生態系の多様性を積極的に確保し、次の世代に引き継いでいく強い意志と行動が必要である。

私たちは、県民による主体的な環境保全の活動を礎として築かれた「環境自治」をさらに推し進め、新しい環境観に立つ「環境優先の理念」の下に、文化的環境を含めた広範な環境全体への周到な配慮と保全活動を展開することを決意し、ここに滋賀県環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全について、基本理念を定め、ならびに県民、事業者および県の役割等を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めて、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、健全で質の高い環境を確保し、もって現在および将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(一部改正〔平成12年条例86号〕)

(定義)

第2条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

2 この条例において「地球環境の保全」とは、人の活動による淡水資源の減少または地球全体の温暖化もしくはオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体またはその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる水質の汚濁(水質以外の水の状態または水底の底質が悪化することを含む。)、大気の汚染、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)および悪臭によって、人の健康または生活環境(人の生活に密接な関係のある財産ならびに人の生活に密接な関係のある動植物およびその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、多様な生物の生命をはぐくむ琵琶湖をはじめとする県域の環境が人の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、生態系が微妙な均衡を保ちつつ、環境が健全で質の高いものとして確保されるように行われなければならない。

2 環境の保全は、県民が、環境に関する情報を知ることおよび施策の策定等に当たって参加することを通じ、健全で質の高い環境の下で生活を営む権利が実現されるとともに、環境の保全上の支障を生じさせず、かつ、環境の恵沢の享受に応じた負担をする義務がすべての者の環境への負荷を低減する習慣の確立と公平な役割分担の下に果たされることを旨として行われなければならない。

3 地球環境の保全は、琵琶湖をはじめとする県域の環境が地球環境の保全と深く関わっていることにかんがみ、本県において培われてきた経験と技術を生かして、国際的な協調と協力の下に推進されなければならない。

(県民の役割)

第4条 県民は、前条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷を低減する役割を積極的に果たさなければならない。

2 前項に定めるもののほか、県民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、県が実施する環境の保全に関する施策に協力しなければならない。

(一部改正〔平成12年条例86号〕)

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動を行うに当たっては、環境への負荷を低減する役割を積極的に果たさなければならない。

2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境の保全に自ら努めるとともに、県が実施する環境の保全に関する施策に協力しなければならない。

(一部改正〔平成12年条例86号〕)

第6条 削除

(削除〔平成12年条例86号〕)

(県の役割および責務)

第7条 県は、基本理念にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、および実施するものとする。

2 県は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、市町との連携を図るとともに、市町が行う環境の保全に関する施策を支援するものとする。

(一部改正〔平成12年条例86号・16年38号〕)

(びわ湖の日)

第8条 県民および事業者の間に広く環境の保全についての理解と認識を深めるとともに、環境の保全に関する活動への参加意欲を高めるため、びわ湖の日を定める。

2 びわ湖の日は、7月1日とする。

3 県は、びわ湖の日の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。

(一部改正〔平成12年条例86号〕)

(環境の状況等に関する報告)

第9条 知事は、毎年、環境の状況ならびに県が環境の保全に関して講じた施策および講じようとする施策に関する報告書を作成し、これを公表しなければならない。

第2章 環境の保全に関する基本的施策

第1節 施策の策定等に係る基本方針

(施策の策定等に係る環境優先の理念)

第10条 県は、この章に定める環境の保全に関する施策の策定および実施に当たっては、環境優先の理念の下に、次に掲げる事項の確保を旨として行わなければならない。

(1) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、湖沼、河川、水辺等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。

(2) 人の健康が保護され、および生活環境が保全され、ならびに自然環境が適正に保全されるよう、水、大気、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いが確保され、ならびに歴史的遺産および良好な景観が保全されること。

2 前項に定めるもののほか、県は、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定および実施に当たっては、環境優先の理念の下に、同項各号に掲げる事項を積極的に配慮しなければならない。

(県民参加)

第11条 県は、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定および実施に当たっては、当該施策の概要を県民に提示し、それに対する環境の保全上の意見を聴くとともに、必要に応じ、当該施策にその意見を反映しなければならない。

第2節 環境総合計画

(環境総合計画の策定)

第12条 知事は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「環境総合計画」という。)を定めなければならない。

2 環境総合計画には、環境の保全に関する長期的な目標、施策の方向、環境への配慮のための指針その他の重要事項を定めるものとする。

3 知事は、環境総合計画を定めるに当たっては、その基本的な事項について、あらかじめ、県民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。

4 知事は、環境総合計画を定めるに当たっては、その基本的な事項について、あらかじめ、滋賀県環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 知事は、環境総合計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境総合計画の変更について準用する。

(環境総合計画との整合等)

第13条 県は、施策の策定および実施に当たっては、環境総合計画との整合に努めるものとする。

2 県は、環境総合計画を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

第3節 県民等による環境の保全のための行動を促進する施策

(環境学習の促進)

第14条 県は、県民および事業者の環境の保全についての理解と認識を深めることとなる学習が促進されるよう、情報の提供、普及啓発、人材の育成、交流の場の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全に関するボランティア活動等の促進)

第15条 県は、県民、事業者またはこれらの者の組織する民間の団体(以下「県民等」という。)による自発的な河川等の水質浄化活動、野生生物の保護活動、緑化活動、環境美化活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるよう、基金の設置、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第16条 県は、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用および廃棄物の減量について、県民および事業者が行う活動ならびに市町が実施する施策が促進されるよう、活動の指針等の策定、体制の整備、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(環境監査の促進)

第17条 県は、環境への負荷を生じさせる行為を行う事業者が、環境の保全に関する目標を定め、その目標を達成するための計画を策定して実施し、その実施状況を点検して、是正の措置を講じ、公平かつ客観的な監査をすることとなるよう、情報の提供、普及啓発その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第4節 環境の保全を推進するための施策

(環境に関する調整の措置)

第18条 県は、相当範囲にわたって環境に影響を及ぼす事業に係る構想または計画の策定を行う者がその策定に際し環境の保全について適正な配慮を行うよう、環境に関する調整その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境影響評価の措置)

第19条 県は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に伴う環境への影響について、あらかじめ自ら適正に調査、予測および評価を行い、その結果に基づきその事業に係る環境の保全について適正な配慮を行うよう、必要な措置を講ずるものとする。

(規制的措置)

第20条 県は、公害の原因となる行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定める等必要な規制の措置を講じなければならない。

2 県は、自然環境の適正な保全に支障となる行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置を講じなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、県は、環境の保全上の支障を防止するために必要な規制の措置を講ずるよう努めなければならない。

(経済的措置)

第21条 県は、環境への負荷を生じさせる活動または生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷を低減させる施設の整備その他の必要な措置をとることとなるよう、その負荷活動を行う者に、特に必要があるときは、適正な経済的助成の措置を講ずるものとする。

2 県は、負荷活動を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷を低減させることとなるよう、その負荷活動を行う者に適正な経済的負担を求める措置を講ずることができる。

(環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進)

第22条 県は、環境の保全に関する公共的施設の整備を図るために必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、水質の改善その他の環境の保全に関する事業を推進するために必要な措置を講ずるものとする。

(監視等の体制の整備および情報の提供)

第23条 県は、環境の保全に関する施策を適正に策定し、および実施するため、環境の状況等の監視、測定、調査等の体制の整備に努めるものとする。

2 県は、前項の監視、測定、調査等により把握した環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するものとする。

(環境研究の推進)

第24条 県は、環境の保全に関する施策を適正に策定し、および実施するため、湖沼等の生態系その他の環境の保全に関する調査研究および技術開発を推進し、その成果を普及するものとする。

第5節 地球環境の保全のための国際協力

(湖沼環境の保全等に関する国際協力の推進)

第25条 県は、地球上の淡水資源の確保に関する国際協力を推進するため、国際機関、国、他の地方公共団体等と連携を図りつつ、湖沼を有する国および地域との交流を通じ、湖沼の環境の保全に関する調査研究、情報の収集、技術の移転その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、県は、地球環境の保全に関する国際協力を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(地球環境の保全に関する活動の促進)

第26条 県は、県民等による地球環境の保全に関する国際協力のための活動が促進されるよう、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第3章 滋賀の環境自治を推進する委員会に対する審査の申立て

(滋賀の環境自治を推進する委員会の設置)

第27条 県民参加の下に健全で質の高い環境の確保を図るため、知事その他県の執行機関(公安委員会を除く。)ならびに公営企業管理者および病院事業管理者(以下「知事等」という。)の施策についての審査の申立てに基づき、環境の保全に関する調査審議を行う機関として、滋賀の環境自治を推進する委員会(以下「環境自治委員会」という。)を置く。

2 環境自治委員会は、委員5人以内で組織する。

3 委員は、学識経験を有する者その他知事が適当と認める者のうちから、知事が滋賀県議会の同意を得て委嘱する。

4 委員の任期は、3年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任されることを妨げない。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(一部改正〔平成17年条例121号〕)

(審査の申立て等)

第28条 県民(県内において就業し、または就学する者を含む。)は、環境自治委員会に対して、環境の保全に関し、知事等の施策についての審査の申立てを行うことができる。

2 前項の審査の申立ては、申立ての趣旨および理由その他規則で定める事項を記載した書面により行わなければならない。

3 第1項の規定は、この条例に定めるもののほか他の法令(告示を含む。)において意見の申立て等の手続が定められている場合および判決、裁決等によって確定した権利関係については、これを適用しない。

4 環境自治委員会は、第1項の審査の申立てがあったときはその旨を知事等に通知しなければならない。

5 環境自治委員会は、調査審議するため必要があると認めるときは、知事等に対し説明もしくは必要な資料の提出を求め、または実地調査をすることができる。

6 環境自治委員会は、調査審議の結果、施策の是正その他の措置を講ずる必要があると認めるときは、当該措置を講ずるべきことを知事等に勧告することができる。

7 知事等は、前項の規定による勧告を受けたときは、これを尊重して、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

(委任)

第29条 前2条に定めるもののほか、環境自治委員会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 環境の保全のための推進体制等

(推進体制の整備)

第30条 前2章に定めるもののほか、県は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。

(国および他の地方公共団体その他公共団体との協力)

第31条 県は、広域的な策定および実施を必要とする環境の保全に関する施策について、国、他の地方公共団体その他公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(県以外の者への協力要請)

第32条 県は、県以外の者が県域において行う環境に影響を及ぼすと認められる事業の計画および実施に当たって、第10条および第11条に定める基本方針の趣旨が生かされるよう、協力を求めるものとする。

付 則

(施行期日)

1 この条例は、平成8年7月1日から施行する。

(滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例の一部改正)

2 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(滋賀県立自然公園条例の一部改正)

3 滋賀県立自然公園条例(昭和40年滋賀県条例第30号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(滋賀県公害防止条例の一部改正)

4 滋賀県公害防止条例(昭和47年滋賀県条例第57号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(滋賀県ごみの散乱防止に関する条例の一部改正)

5 滋賀県ごみの散乱防止に関する条例(平成4年滋賀県条例第20号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

付 則(平成12年条例第86号)

この条例は、平成12年4月1日から施行する。

付 則(平成16年条例第38号抄)

1 この条例は、規則で定める日から施行する。

(平成16年規則第66号で平成17年1月1日から施行)

付 則(平成17年条例第121号抄)

(施行期日)

1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。

滋賀県環境基本条例

平成8年3月29日 条例第18号

(平成18年4月1日施行)

体系情報
第11編の2 生活環境/第3章 公害規制
沿革情報
平成8年3月29日 条例第18号
平成12年3月29日 条例第86号
平成16年10月25日 条例第38号
平成17年12月27日 条例第121号