近年、子供が児童ポルノや児童買春などのほか、淫行(いんこう)の被害にあったり、また、いわゆる「JKビジネス」で働かされたりして被害にあったりなど、このような「子供の性被害」が社会問題となっています。
性被害の主なものは児童ポルノや児童買春で、2021年中に全国で被害にあった子供は、児童ポルノ被害が1,458人、児童買春の被害が408人と増加傾向にあります。
・A子(6歳)は、オンラインゲームで知り合った男に、自らの裸の写真を自分で撮らされ、その写真をSNSで送信させられた。
・B子(16歳)は、出会い系アプリで知り合った男から、「10万円払うから援助交際しないか」などと言葉巧みに誘導され、わいせつな行為をされた上、その状況を撮影された。男は、「画像をインターネット上で公開する」等と脅し、関係の継続を強要した。
・C子(15歳)は、SNSで芸能事務所マネージャーと偽る男と接触し、男に「仕事をするには枕営業が必要」などとだまされ、わいせつな行為をされた。
・D子(12歳)は、SNSで知り合った男から、言葉巧みに誘い出され、わいせつな行為をされ、その様子を撮影された。その後、男は、その動画を販売した。
・E子(14歳)は、SNS上に掲載した嘘のアルバイト情報を信じ込み、男と連絡を取り、会ったところ、男からわいせつな行為をされた。
・F子(13歳)は、先輩からコンパニオンのアルバイトを紹介され、コンパニオンとしてホテルの宴会場などに派遣され、不特定多数の客に酒をついだり、会話の相手をしたりするなどの接客をさせられた。コンパニオンとして中学生8人が登録され、コンパニオン用のドレスを着せられていた。
・G子(16歳)は、SNSでアルバイトを探す書き込みをしていたところ、男から「アロママッサージで1日数万円稼げる」などと言葉巧みに誘導され、飛行機で迎えに来た男に風俗店で働かされた。男は、風俗店のホームページ上にF女の顔写真等を掲載し、F女に性的なサービスをさせた。
だまされたり、脅されたりして児童が自分の裸体を撮影させられた上、メール等で送らされる被害を「自画撮り被害」といいます。全国の2021年中における児童ポルノ事犯のうち、「自画撮り被害」は全体の約35%を占め、被害に遭った子供の人数は、514人で、毎年高い割合で推移しています。
デジタル写真は、コピーが容易であり、ひとたび写真がインーネット上に流出する不特定多数の者に繰り返しコピーされ、すべての写真を削除することは、事実上不可能です。また、今は「この人なら大丈夫」と思って写真を送ったとしても、後になって取り返しのつかない危険(被害)が生じてしまうおそれがあります。
被害を防止するためには、
・自分の裸をスマートフォン等で撮影しない。
・交際相手や友達などの信用している相手であっても、自分の裸の写真は送らない。
とりわけ、面識のない者(SNSの相手等)に対しては、絶対送らない。
ことが大切です。
近年、大都市の繁華街を中心に女子高校生(JK)等によるマッサージ、会話やゲームを楽しませるなどの接客サービスを売り物とする営業が見られ、「JKビジネス」と呼ばれています。一見すると、問題のないアルバイト先に見える場合でも、女子高校生等の未成年者が、客から児童買春やわいせつ等の被害に遭うなどのケースが目立っています。ご注意ください。
SNS等のサイバー空間の中は、自分の身を守ってくれる人がいない匿名の世界です。SNSで知り合った人をうっかり信用したり、不用意に会うことは性被害や殺人事件につながる危険性があることをいつも考える必要があります。
また、保護者や周囲の大人は、子供が被害に遭わないよう、常に子供たちにSNSの危険性やスマートフォンの適切な使い方を教えてください。
被害に遭わないための5つのポイント!
・子供が使用するスマートフォン等には必ずフィルタリングを設定する。
・個人を特定されるような情報を書き込んだり、他人に教えない。
・下着姿や裸の写真は絶対に撮らない、撮らせない。
・SNS等で知り合った人と不用意に会わない。
・スマートフォン等を安全に使うためのルールづくりをする。
お子さんが安全にインターネットを利用するためには、スマートフォンの場合、下記の3つのフィルタリングが必要となります。携帯電話大手3社が提供する「あんしんフィルター」などでは、簡単な設定でのフィルタリングが可能です。
SNS等を介して犯罪被害に遭った子供のSNSへのアクセス手段はスマートフォンが約9割を占め、フィルタリングを約9割の子供が被害時にしていませんでした。
フィルタリングは、各種犯罪被害防止に有効ですのでお子さんの持つスマートフォン等には必ず設定しましょう。フィルタリングは設定しっぱなしではなく、お子さんの年齢や能力・発達に応じ、適切な設定変更をすることも大切です。
警察庁では、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構と連携して、子供の性被害防止のための広報啓発活動を推進しています。
この度、子供の性被害防止のためのウェブサイトを警察庁が開設しました。