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令和5年度第5回滋賀県総合教育会議の開催結果

開催日時

 令和6年1月15日(月曜日)午前10時から11時45分まで

開催場所

 県庁東館7階大会議室(大津市京町四丁目1番1号)

出席者

知事、副知事、教育長、教育委員会委員

議題

県立高等学校の魅力化に向けた、地域・企業・大学と連携した学びについて

会議録

(福永教育長)

 定刻となりましたので、ただいまから「令和5年度第5回滋賀県総合教育会議」を開会いたします。

 本日は、皆様お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。

 本日の出席者につきましては、お手元の「出席者名簿」および「配席図」の配布により、紹介に代えさせていただきます。

 なお、石井委員におかれましてはオンラインで御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日の議題のゲストスピーカーの皆様を御紹介いたします。滋賀県立伊香高等学校の大森文子校長先生、伊香高等学校におきましてコーディネーターを務めていただいております中山郁英様、滋賀県立彦根東高等学校の伊吹直樹校長先生、滋賀県立大学の小泉尚嗣副学長、滋賀県立湖南農業高等学校の清水順二校長先生、湖南農業高等学校の有村和樹先生、湖南農業高等学校花緑科3年生の長谷川雄飛さん、ワシダ農園の鷲田新介様にお越しいただいております。皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 なお、本日の会議は、会場での傍聴と併せて、ウェブ会議システムを活用してオンラインでも視聴いただいておりますので、御承知おきください。

 それでは開会にあたりまして、知事から御挨拶をお願いいたします。

 

(三日月知事)

 本日は令和5年度第5回総合教育会議に御参加いただき、ありがとうございます。年が明けて15日目となりますが、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 新年や受験シーズン等でお忙しい中、このように時間をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 能登地震で被災された方が大勢いらっしゃいます。被災者の方々に心を寄せ、お見舞いを申し上げると共に、まずは命、そして暮らし、生業、学びとニーズが刻々と変わっていきますので、このような事々に寄り添いながら、広域的にも支援を続けていきたいと考えているところでございます。

 さて、今年は、昨年策定いたしました、次の「滋賀の教育大綱」がいよいよ始動する年になりますので、大綱に書いたことが現場で具体に実現、実施、前進していきますよう、それぞれ意を用いると同時に、取組を強化してまいりたいと思います。併せて、従来から申し上げております「子ども・子ども・子ども」、子どものために、子どもと共につくる県政、一人ひとりの主体である子どもと、社会の一員である子ども、未来の希望である子ども、このような子ども重視の政策が部局横断で作られ、また具体に進んでいくように、取り組んでまいりたいと思います。

 このような中で、年明けに全国高校サッカーで近江高等学校の大変な躍進がありましたし、昨日は京都で駅伝が行われ、女子選手の皆さんが大変頑張ってくれました。また、週末は大学の共通テストが行われたということで、それぞれ夢を持って取り組んでいただいているところでございます。

 二点申し上げます。まず一点目は、このスポーツ、文化、部活動などの子どもたちが置かれている状況、とりわけ本日は高校のことが議題になると思いますが、様々な方との連携を大事にしていきたいと思っております。例えば、福祉的な連携、地域との連携、企業との連携、大学との連携など、連携によって高校の魅力化をさらに進めていくということを主張していきたいということが一点目でございます。

 二点目は、県では今、県立高校の魅力化に取り組んでおりますが、やはり生徒の皆さんの幅広いニーズや夢に沿って内容を形作っていきたいと思っております。まず普通科高校から取り組んでおりますが、今日も御参加いただいております、湖南農業高等学校のように農業の部分、また、彦根工業高等学校をはじめ頑張っていただいております工業の部分、さらには近江商人発祥の地ですので、商業の部分等々、このような専門課程の高校の魅力化にも取り組んでいきたいですし、取組をしっかりと発信して、例えば中学生世代や親御さん、また企業の皆さん、事業所の皆さんに御存知いただけるように、取組を強化していきたいと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、この総合教育会議で議論することが、これからの施策作りに繋がってまいりますので、どうぞ忌憚のないお話をいただきますようお願いを申し上げ、私からの冒頭の御挨拶とさせていただきます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。

 

(福永教育長)

 ありがとうございます。

 それでは、早速でございますが、本日の議題の「県立高等学校の魅力化に向けた、地域・企業・大学と連携した学びについて」に入らせていただきます。まずは教育委員会事務局から説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。

(小嶋魅力ある高校づくり推進室長)

 魅力ある高校づくり推進室の小嶋と申します。よろしくお願いいたします。

 資料1-1を御覧下さい。県教育委員会では県立高校の在り方の基本的な考えを示した「これからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針」を、令和4年3月に策定いたしました。この基本方針に基づきまして、全県的視野から各県立高校の魅力化の方向性を示します「滋賀の県立高等学校魅力化プラン」を令和5年3月に策定いたしまして、各県立高校において魅力化の取組を推進することとしているところでございます。

 資料の2ページ目をお願いいたします。「滋賀の県立高等学校魅力化プラン概要」を御覧下さい。この魅力化プランには、各県立高等学校におけます魅力化の方向性の観点としまして、御覧の通り、五つの重点を設定し、高等学校ごとにどこに重点を置いた教育活動に取り組んでいくかを位置付けております。各校にはこの魅力化プランに基づきまして、魅力と特色ある教育活動に取り組んでいただいているところでございます。県立高等学校での取組事例の一部を、この五つの重点に沿って御紹介させていただきます。

 次のページを御覧下さい。まず、地域連携重点でございます。地域を教育資源とした体験的な学びや、地域社会が有する課題や魅力に着目した実践的な学びに重点的に取り組んでいく学校です。

 伊香高等学校では、令和4年度より、地域連携コーディネーターを配置し、地域を教育資源とした学びの研究を進めています。現在、「森で学ぶ」をコンセプトに、県北部の豊かな自然環境や、森林資源等を活用した探究学習に取り組む新学科の設置に向けて研究を進めていただいており、詳細は後ほど伊香高等学校から御説明をいただければと思っております。

 安曇川高等学校では3年生のロボティクス系列の生徒が、地域住民の方と一緒にロケットストーブを組み立て、防災食の炊き出し体験を行ったり、防災に関するゲームを行ったりして、地域の方々との交流を深めています。

 また水口高等学校には、体育コースと国際文化コースが設置されており、これらのコースの生徒たちが近隣の小学校を訪問し、授業の補助や支援を行っています。小学生の学びの支援を通じて、生徒たちは他者への援助が自らの学びに繋がっていることを実感しています。

 また日野高等学校では、アントレプレナーシップ教育として、地元企業と連携しながら、近江鉄道日野駅の一角で「日野高カフェ」を営業しています。

 次に、高大連携重点を御覧下さい。高校生が県内外の大学や研究機関などの教育研究に触れたり、海外の高校等と連携・協働して興味ある学問分野を研究したりする等、高大連携に重点的に取り組んでいく学校です。

 虎姫高等学校では、二年生全員が夏休みを利用して、滋賀県立大学や金沢大学等の県内外の様々な大学を訪れ、色々な学問分野の最先端に触れながら探究活動に取り組んでいます。

 玉川高等学校では、立命館大学理工学部と連携協定を結び大学の講座などのプログラムを受けています。このプログラムを受講完了した生徒は、特別推薦入学試験を受験して、理工学部への進学を実現しています。

 これらのように大学と連携・協働した学びは生徒の学問への興味関心や知見の広がり、学習意欲の向上等に繋がっています。

 彦根東高等学校では令和4年度から文部科学省のWWLの指定を受けており、令和5年3月には「彦根東サイエンス国際フォーラム」を開催し、海外の高校生と意見交換をしています。彦根東高等学校の高大連携の詳細は、後ほど、高校から説明があります。

 次に産業教育重点を御覧ください。農業、工業、商業等に関する実践的・体験的な学習活動を展開する産業教育の推進に重点的に取り組んでいく学校です。甲南高等学校と信楽高等学校では、甲南高等学校で飼育した若鶏と地域の土山茶、信楽高等学校の陶器皿を用いた「お茶カツ」の販売を行いました。

 大津商業高等学校では、地元事業所と連携しオリジナルクッキーや巾着等開発し、イベント販売を行っております。

 また、瀬田工業高等学校では、国スポ・障スポ開催までのカウントダウンボードを制作し、4月には人通りの多いところに設置する予定です。

 彦根工業高等学校では、令和3年度から文部科学省のマイスター・ハイスクール事業の指定を受け、その取組の一つとして、企業と連携した現地実習を実施しています。企業と連携した現地実習につきまして、本日は湖南農業高等学校における取組状況を後ほど御紹介いただきます。

 次のページを御覧ください。多様な学び重点です。こちらは学び直しや日本語学習などのニーズに応える教育活動の展開、学校独自の特徴的な学びの提供など、生徒の様々な学習ニーズに対応した多様な学びに重点的に取り組んでいく学校です。

 伊香高等学校と伊吹高等学校では、令和4年度から遠隔授業の研究を進めています。写真の様子が昨年度の取組で、両校の生徒が、混合で課題研究班を作り、オンラインで地域課題について議論し、解決策を発表しました。生徒たちは普段、関わることのない他校の生徒たちとの交流に、緊張しながらも楽しんでおり、多様な考えに触れることで刺激を得ていたように思います。

 八幡高等学校は、県内で唯一、看護の学びができる学校として、病院や大学などと連携して、実習等に取り組んでいます。

 愛知高等学校では、対人関係に困難を示す生徒を対象とした通級指導を、信楽高等学校と大津清陵高等学校(夜間)では、「日本語」の学校設定科目を設置して、日本語指導を必要とする生徒に対応した学びに取り組んでいます。

 生活・スポーツ・芸術系重点は、家庭や保育、福祉などに関する体験的な学習活動や、レベルの高いスポーツ、芸術活動の拠点となる学校です。

 石山高等学校音楽科では、びわ湖ホールで音楽イベントを開催し、小中学生に音楽の楽しさや魅力を直接伝え、体験してもらう取組を行っています。

 また、草津東高等学校体育科では、立命館大学スポーツ健康科学部と連携した取組を通じて、体育科生徒の探究意識を向上させるとともに、事後の部活動にも活かしています。

 最後のページを御覧ください。これらの外部機関と連携した学びによる教育的効果としまして、生徒の視点からは、学校内だけでは難しい専門的な学びによる視野や知見の広がり、また、進路を考えるきっかけと学習意欲の向上、地域社会への貢献を見据えたキャリア選択、地域社会への当事者意識や起業家マインドの醸成が、地域の視点からは、高校教育への興味関心の醸成、地域の未来を見据えた人づくりへの意識醸成などが期待され、今後もこれらのような学びを一層充実させていく必要があると考えています。

 一方、これまでの取組を継続、充実させたり、新たな取組を発展させたりするには、学校の教職員だけでは新しい視点による学びの創出が難しく、教職員の多忙化もあり、取組の精査・集約も必要なところがあるという現状と課題があります。そのため、高校と関係機関をつなぐコーディネート機能を担う人材配置や、コンソーシアムの整備によって、連携先や教育活動等を一層充実させ、また、多彩なキャリアをもつ教職員によって、それぞれのキャリアや強みを生かした特色ある教育活動を進め、併せて、教職員の負担軽減を図りながら、教育委員会として持続可能な教育活動にしていくための環境を整えていく必要があると考えております。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 続きまして、魅力化プランの五つの重点の一つである地域との連携に関しまして、伊香高等学校の大森校長およびコーディネーターの中山さんより御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(伊香高等学校大森校長)

 伊香高等学校の大森でございます。改めましてどうぞよろしくお願いいたします。

 本校は県の最北部にございまして、皆さん御存知のとおり雪深いところです。今年は雪が大変少ないので助かっておりますけれども、例年でしたらこの時期は毎日除雪、JRが動くかということを心配しながら過ごす日々です。そのような県最北部にあります伊香高等学校に令和4年度から魅力化ということで、地域連携のコーディネーターさんを置いていただきました。また、今年度からは文部科学省の普通科改革支援事業の指定校をいただきまして、地域連携を進めております。また、令和7年度からの新学科設置ということに向けてもカリキュラム検討等を行っております。

 現在、本校には、本日同席していただいております中山郁英さんと、長浜市の地域おこし協力隊である副島拓歩さんの2名の方にコーディネーターとして来ていただいております。2名のコーディネーターさんがいて下さっているおかげで、教員の負担軽減という点においても、大変助けていただきました。また、それだけでなく、教員にはない視点で、発想で、そして、多くの人脈をお持ちですので、その人脈を活用していただきながら、元々地域の連携がある学校でしたけれども、幅広いところで、また、これまであまり教員とはお付き合いの無かった関係機関も含めまして繋いでいただいているというところが現状でございます。

 まだまだ取組半ばですが、この地域連携コーディネーターを置いていただいておりますのは本校だけですので、この機会に皆様にどのような役割を果たしていただいているのかということを紹介できたらと思います。

 それでは、続きましてコーディネーターの中山郁英さんから地域の連携とコーディネーターの役割ということで、資料を用いながら説明していただきたいと思います。

 

(伊香高等学校中山コーディネーター)

 それでは、ここからは伊香高等学校のコーディネーターをしております中山から資料を用いまして御説明いたします。

 資料1-2を御覧ください。まず、2ページ目ですが、「伊香高校コーディネーターの中山です!」ということで、長浜市の出身でして、民間企業や大学勤務を経て、Uターンで長浜に戻ってきたという経歴です。このような経歴で、地域と関わるような仕事を沢山させていただいているのですが、その流れで伊香高等学校のコーディネーターにも就任させていただいております。

 次に3ページ目です。先ほど校長が申しましたように伊香高等学校は県最北部の高等学校でして、魅力化プランの中では、地域、多様、生活・スポーツ・芸術のカテゴリーに当てはまる学校になります。伊香高等学校は令和4年度から「伊香高校“Go Beyond”プロジェクト」を一つの掛け声に、伊香高等学校の魅力化をしていくプロジェクトを立ち上げたところです。伊香高等学校に来ていただくと「三萬一心」という言葉を、沢山のところで見ていただけると思いますが、元々地域の方の声によってできた高校ということで、「三萬」というのはその当時の伊香郡民の人口が大体三万人だったということで、「三萬一心」というキャッチフレーズがよく使われています。

 6ページ目の「伊香高校“Go Beyond”プロジェクトについて」というところですが、「伊香高校と地域がともに未来を創る」ということを最終的な目標としておりまして、「生徒」がいきいき、「先生」がいきいき、「地域」がいきいきしていくことが大事だという考えのもと、この活動を進めているところです。

 7ページ目の「普通科改革支援事業とは」というところですが、文部科学省の事業に今年度から伊香高等学校が採択をしていただきまして、新しい普通科を創るための取組を進めているところです。伊香高等学校を含め、全国で29校が採択されています。滋賀県では伊香高等学校の他に、守山北高等学校が採択されています。

 8ページ目は学科改編等実施計画ということで、こちらは県の方で作られている資料ですが、現在、「(仮称)森の探究科」として、森林資源や自然環境、それから自然循環をテーマにした新しい学科の立ち上げを検討しているところです。

 9ページ目に移り、こちらは普通科改革支援事業の資料から借用しているものですが、新学科の要件がいくつかありまして、その一つが関係機関等との連携を行う職員の配置を行うこととなっております。こちらがコーディネーターと言われるものになります。

 10ページ目に移り、コーディネーター業務の概要(1)ですが、コーディネートというと、人と人を繋ぐということや、人と情報を繋ぐというところがありますが、地域においてもそうですし、学校の中でも、色々繋いで活動をより魅力にしていくという役割が与えられているということです。

 11ページ目に移り、コーディネーター業務の概要(2)ですが、一口にコーディネーターと言いましても、様々な活動内容が考えられ、特に高校のコーディネーターというところでいくと、資料にあるマネージャーやプレーヤーのような大枠をつくる仕事もあれば、実際の授業の内容を先生と一緒に作っていくことがコーディネーターの役割として与えられております。

 具体的にどのような仕事をしているのかというと、12ページ目ですが、マネージャー的仕事もプレーヤー的仕事も両方やっていると思っており、資料にありますように、新学科カリキュラムを検討したり、コンソーシアム立ち上げの大枠を作ったり、実際の授業もどのような内容にしていくのかということを一緒に検討しております。

 次のページです。コンソーシアム準備会議をしておりまして、地域、学校、また、様々な関係機関の方から出席していただき、会議の場を持っているところです。

 14ページ目は授業の紹介ですが、新しい学科が森林資源、森林環境をテーマにしておりますので、そのようなところの先行的な授業を、3年生の総合的な探究の時間を使ってやっていたり、15ページ目にあります「しがアントレプレナーシップハイスクール事業」に伊香高等学校は指定していただいておりますので、そのような機会を活用しながら、地域の方とお土産づくりをしたり、地域の企業家の方のお話を聞いたり、そのような様々な地域の方が学校に入ってきていただける機会、生徒が外に出ていく機会を作っているというところです。

 16ページ目は大事にしていることということで、これは個人的な思いの部分ですが、やはり、「生徒、学校、地域、それぞれが良かったと思える関係性を作る」、これは「魅力化の三方よし」というものがあるのではないかと思っています。

 また、「無茶はしない、でも挑戦する」ということで、やはり少し挑戦的なことをやっていかないと、なかなか変わっていかない部分もあると思いますので、そのようなことをやっていくということ、それから、「なるべく自分ひとりでやらない」ということで、私自身もそうですし、先生方も異動がありますので、いかに学校に残していけるのかという視点を持ちながら活動していく必要があるだろうと思っています。

 なぜこのような活動が必要なのか、大元をたどると学習指導要領にたどりつくのではないかと思っております。17ページ目には新しい学習指導要領の説明のパンフレット画像を載せておりますが、この右上の赤色で囲っている部分を拡大したものが18ページです。社会に開かれた教育課程ということで、このようなものを、どのように高校で実施していくのかという時に、今私が関わっているような地域と連携した活動は活きてくるのではないかと思っております。

 19ページ目ですが、コーディネーターの仕事は何かと考えてみると、このような図で表せるのではないかと思っております。教育の議論で、発達の最近接領域というものがあり、これは何かと言いますと、自分でできる領域があって、まだできない領域があって、その間に支援があればできるという領域がある、という考え方です。そこの、支援があればできるという領域を伸ばしていくことが教育だということなのですが、コーディネーターの役割もこれに似たようなものではないかと思っております。それが20ページ目です。魅力化の最近接領域という名付けをしてみましたが、自校でできることと、自校だけではできないこととの間の部分を広げていくのがコーディネーターの仕事だろうと思っております。

 最後のページは校内研修の様子の写真ですが、このような現場に、もっと地域の方や、色々な人が入ってきて、学校のことや生徒のこと等、話していくような機会が増えてくると、さらに良い活動ができていくのではないかと思っております。

 以上になります。ありがとうございました。

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 続きまして、大学との連携に関しまして、彦根東高等学校の伊吹校長先生、および滋賀県立大学の小泉副学長様より、御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

 

(彦根東高等学校伊吹校長)

 彦根東高等学校の伊吹でございます。私からは、「高大連携<先取り履修>滋賀県立大学での特別聴講」について、生徒の状況などをお話しし、その後、県立大学の方に繋げたいと思います。

 お手元の資料、スライドを御覧下さい。2枚目のところでございますが、先取り履修をそもそも彦根東高等学校で取り組むことになったはじまり、それとどのような実施内容なのか、そして受講生徒がどのような状況なのか、ということを中心に、順次資料に基づいて説明していきます。

 3枚目のスライドでございますが、国のWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)事業を滋賀県教育委員会が管理機関として受けていただいておりまして、その拠点校が彦根東高等学校であるというところから始まっております。この事業は、将来世界で活躍できるグローバル人材を育成するということで、様々な高度な学びに挑戦するという事業でございます。彦根東高等学校としても、常に新しい学びに挑戦しておりまして、先取り履修もその一つです。他には、教科融合授業、GS(グローバルサイエンス)コース・GS部の設置、海外研修・交流等、こうしたことにも、生徒も教職員も積極的にチャレンジをしております。

 次にスライドの4枚目でございます。滋賀県立大学での先取り履修の実施要項でございます。まず一つは、大学の授業でございますので、授業期間は長く、前期と後期に分けています。一つの講座は大学との調整で5~10名、2~3年生で現在行っております。対象の生徒はWWL事業の県の拠点校、連携校を含め、6校の生徒としております。そして、授業の形でございますが、オンデマンド配信とスクーリングとしております。これは、大学で実際に行われている授業を録画したものをPC等で見るということ、そして、実際に2~3回大学に生徒が行って、講義を受けるという形です。5番目は、2単位90時間相当の学習が必要とされておりまして、6番目の評価につきましては、試験と各視聴回毎のレポートの提出で合否を決めます。合格すれば、滋賀県立大学での単位の認定になるということでございます。

 次に5枚目のスライドを御覧下さい。滋賀県立大学としております、授業の開講の状況でございますが、現在、令和5年度の後期分を行っておりまして、「コンピュータとインターネット」、これは工学部の奥村先生の授業でございますが、こちらに水口東高等学校と、彦根東高等学校の生徒6人が受講しております。そして昨年、一昨年には、御覧の工学部や人間文化学部の授業を受講し、合格した生徒、合格できなかった生徒もおります。令和5年度の前期がございませんが、令和5年度の前期につきましては、受講人数に満たないため、開講できなかったということでございます。前期につきましては、高校の学園祭があることや、色々なことで生徒のハードルが高くなったということで、現在はこのような形になっております。

 次に6ページ目からは、現在、彦根東高等学校の3年生10人が受講して、単位認定を受けておりますので、その10人への聞き取りをした内容です。「電子社会と人間」を合格した2人は同じ工学部を志望しております。それから「SDGsと滋賀のグローカル・コミュニケーション」を受講し合格した8人については、工学部、薬学部、農学部、情報学部、社会情報学部、総合文系選抜等、様々なところで、必ずしも志望学部と一致はしておりません。

 7ページ目でございますが、受講の感想1でございます。「電子社会の問題を考えることができた」「映像ではあるが大学の講義の雰囲気がわかった」「SDGsについてかなりの知識を得ることができた」「環境問題について幅広い考え方ができるようになった」「大学の講義を入学前に実際に経験できたことはよかった」「高校と異なる形態の授業で新鮮であった」等の捉え方をしているという結果でした。

 次に8ページ目でございますが、一方で少し苦労した点もあるということで、長時間の話をオンデマンド型ということで、一方的に聞くことに疲れる、慣れていないということもありました。コロナ禍ということもありましたが。それと部活動等、前後の予定をそれぞれが持っていますので、それをどう両立させていくのか、取り組むことが大変な時期もあったということです。所属している部活動も様々ですし、それから特に前期には学園祭等、学校の活動に加えて行うということに苦労したということです。

 スライド9枚目が、現在受講中の2年生6人に聞き取りました感想でございます。これは、滋賀県立大学の奥村教授の「コンピュータとインターネット」の授業で、レポート提出課題は15回あり、大学へのスクーリングは3回です。12月2日に2回目の講義がありまして、その時の写真がこちらでございます。私も見に行きまして、水口東高等学校の生徒と彦根東高等学校の生徒が、授業の前も後も交流して、仲良くしておりました。感想としましては、「深く学び知る機会になった」「様々なAIなど、難しいことだけれども一部だけでも理解したい」「週末に講義の動画を見ている」「部活動もあるので日曜日の午後に課題に取り組んでいる」「テスト期間等は少し時間を確保できなかった」と申しております。

 最後に10枚目でございます。先取り履修につきましては、生徒は高校の授業、行事、部活動に加えて、意欲的に申し込んでおります。高校の時間のやりくりを週末など有効にしていくような力も、これには必要なんだなと感じております。

 まとめとしまして、12枚目のところでございます。県立大学と連携した特別聴講につきましては、ICTを活用したオンデマンド配信とスクーリングの併用スケジュールで実施をしております。生徒は、自分の興味がある分野、必ずしも志望学部の内容ではなくても、深く学びたいという動機で主体的に参加してくれています。その上で、それぞれの生徒が時間のやりくりをしているというのが現状でございます。

 今後としましては、他の大学でも受講ができるように、あるいはもっとICTを活用した効果的な学び方ということも、工夫する必要があると感じております。

 彦根東高等学校からは以上でございます。

 

(滋賀県立大学小泉副学長)

 ありがとうございました。ここからは滋賀県立大学から説明いたします。

 資料1-4を御覧下さい。先取り履修につきましては、伊吹先生から詳しく説明していただきましたので、それ以外の、従来からやっております滋賀県立大学の高大連携事業について説明いたします。表が上の方にありますが、このア・イ・ウ・エは、本学内で実施か、あるいは本学外で実施かということと、教員が主に対応するもの、事務職員が対応するものに分けて4つになっていると御理解下さい。本学の高大連携事業については、このように4つありまして、アの大学連続講座というのは県教委及び高校教育課主催ですが、それ以外の要素は全て個別の高等学校、中学校等から申込みをいただいています。

 まずアの県教委主催の大学連続講座については、県立高等学校の生徒に加え、県内大学では唯一、私立高等学校の生徒も受け入れています。毎年、希望者が多く、定員を超えますので、今年もできるだけ受入れ人数を増やすように対応いたしました。

 続いてア、イ、ウですけれども、個別の高等学校、中学校からの申込みによって、模擬講義、出前講座等を行っております。生徒対象には7~9月が多く、保護者の方には、PTA研修旅行という形で10月に多くお越しいただいています。11~4月は、大学は何かと繁忙期ですので、本学での受入れは行っておりません。

 エについては、各高等学校等からの依頼や業者を介しての依頼に応じて、積極的に各学校やその他会場へ出向き、御覧いただいているような説明等を行っております。

 最後に、入試等についてですけれども、「学校推薦型選抜A」というのが本学にはございまして、定員600名中126名の枠がございます。いわゆる滋賀県枠と言われるもので、本人または保護者が滋賀県内に居住している者に限って受験できる推薦入試制度です。それから、お近くということもあり、彦根東高等学校とは平成21年度から連携をして、先ほどの先取り履修も含めて、講義をしているところでございます。

 以上で私からの説明を終わります。ありがとうございました。

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、企業との連携に関しまして、湖南農業高等学校の清水校長先生、有村先生、それから長谷川さん、そしてワシダ農園代表の鷲田様より、御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

 

(湖南農業高等学校清水校長)

 湖南農業高等学校の清水でございます。本日は企業との連携ということで、派遣実習の発表をさせていただきますが、担当の有村と、今回実習を行った長谷川君、そして受入れをしていただいた鷲田さんから御報告をさせていただきます。

 少しだけ私からお話をさせていただきます。湖南農業高等学校は、農業科2学科、食品科、花緑科、の4学科160名の、草津市の都会の中にある農業高校でございます。本校は農業高校としてキャリア教育に力を入れております。その一環として、この後発表させていただく、地域に貢献できる人材の育成ということで、派遣実習に取り組んでおりまして、この三学科ともに希望している生徒に、三年生の時期に派遣実習に行っていただくということでございます。詳しくは担当の有村から発表させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

(湖南農業高等学校有村教諭)

 湖南農業高等学校の有村です。よろしくお願いいたします。

 本校のデュアルシステム、派遣実習に関しまして、御説明をさせていただきたいと思います。

 次のページの派遣実習の目的についてです。本校といたしましては、地域近隣の産業界と連携し、人材を育成する教育システムを構築して、共同で生徒の社会人としての資質・能力をいっそう伸長するとともに、産業界で活躍できる人材を育成することを目的としまして、学習指導にあたっております。

 取組といたしまして、平成20年度からスタートし、今年度で16年目を迎えます。今までお世話になりました企業様としましては、132社ございます。また、お世話になった生徒は、今年度の生徒を含みまして153名です。

 次のページです。単位数といたしましては、学校設定科目6単位としております。実施期間でございますが、夏休みの休業期間と学校行事を除きます4~11月の毎週金曜日、大体例年18日前後を中心にさせてもらっています。実習時間としましては、8時半~4時半くらいを目途に企業様で御指導いただいております。それが終わりますと、成果発表会ということで、先週終わったのですが、1月中旬に企業様、しがクリエイターの委員の方々に来ていただき、発表を見てもらい、まとめとしております。

 私からの概要の説明は終わりまして、次に、今年度実習に参加させてもらいました長谷川君から、感想を発表していただきたいと思います。

 

(湖南農業高等学校長谷川さん)

 湖南農業高等学校の長谷川雄飛です。よろしくお願いいたします。

 私は湖南農業高等学校花緑科に入学したときに、生け花やフラワーアレンジメントについて興味がありました。そんな中、学校でワシダ農園さんの社会人講師の授業を受けたときに、「ぜひこの方から花のことを教えていただきたい」と思い、学校の派遣実習を利用して、自宅からは少し遠いですが、ワシダ農園さんで学ばせていただけることになりました。

 派遣実習では、花の仕事について詳しく学べたことはもちろん、スタッフの方々を始め、たくさんの方の御指導で視野が広がり、働くうえでチームワークの大切さを知りました。実習中は、仕事を与えてもらい、待つだけではなく、少しずつ積極的に考えながら行動できるようになったのではないかと思います。また直接お客様からお言葉をかけていただく機会も多く、お客様の喜んでいる顔を見たときはとても嬉しかったです。配達に付き添わせていただいたときに、車中で鷲田さんの仕事に対する思い、仕事を通して地域に貢献していることや、人のつながりの大切さも教えていただきました。

 奥様にも、他の花屋さんへ連れて行っていただいたり、スタッフの皆さんと一緒に食べるお昼ご飯もとてもおいしく、楽しく感じました。また実習が終わったら、その都度、報告書を書きます。その際、鷲田様からコメントをいただくのですが、その内容が心温かく、今日の反省と次回のやる気に繋がりました。

 毎回緊張もしましたが、それ以上に楽しみがあり、4月から11月の8か月間、週1回、一度も休まずに通うことができました。その間、個人的に花いけバトル、フラワー装飾技能検定、フラワーデザインコンテストに参加する機会もいただきました。ワシダ農園さんのスタッフの皆さんが協力して下さったおかげで、無事フラワー装飾技能検定に合格し、フラワーデザインコンテストでは自分の表現したいことを最大限に生かした作品を仕上げることができ、賞をいただけたので、お世話になった皆さんに良い報告ができてよかったです。

 8か月間の派遣実習を通して、自分ができるようになったことが多くあり、達成感を感じると同時に、自分自身の課題も見つかりました。これからの人生で、この経験は大きな宝になったと思います。将来の希望は花関係の仕事に就くことですが、どんな仕事に就いたとしても必ず活かしたいです。

 最後に、このような経験をさせてくれた湖南農業高等学校、忙しい合間に受け入れていただいたワシダ農園の皆様、支えてくれた家族のみんな、その他応援して下さった皆様に、この場をお借りして感謝を伝えたいです。ありがとうございました。

 

(ワシダ農園鷲田代表)

 ワシダ農園の鷲田でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、野洲にありますワシダ農園という花屋をしております。農園とありますが、生産等はしていなくて、小売り、いわゆる花屋さんでございます。資料の説明をさせていただきます。

 「花キューピット」と皆さん聞かれたことがあるかもしれませんが、nature(ナチュレ)という名前で花屋さんをしております。フラワー装飾技能士という国家検定を持っており、湖南農業高等学校ではフラワー装飾技能士3級という検定試験がありまして、先ほど発表していただいた長谷川君にもフラワー装飾技能士3級の資格を取っていただきました。今回、長谷川君お一人という形ではありましたが、資格を取っていただいたということが非常に素晴らしかったと思います。また、私の説明資料にもありますが、野洲で授業をさせていただいたり、また、湖南農業高等学校のコミュニティスクール、学校運営協議会にも関わらせていただいたりしております。

 次のページです。デュアルシステムの目的としまして、学校からも説明があったと思いますが、実践を通じて自分を振り返ることや、また、学校外の学びとして、週に一度金曜日に学校外で実践的なことができるということです。また、専門性を深めるということも一番の強みだと思います。

 次のページです。心構えとしまして、意欲的に取り組むということがあります。今回来ていただいた長谷川君は、朝早くから帰る時間まで、集中して実践に取り組みましたし、質問をしたり、メモを取ったり、学ぶことへの意欲を感じました。私も長くこの学校と関わらせていただいており、デュアルシステムの受入れをしておりますけれども、やはり実践という部分は非常に強いと思います。社会人の一員としての自分づくりを学べる場になっているかと思います。

 次のページです。野洲市にあります花屋の店頭の写真など、写真の説明をさせていただきます。

 次のページです。花屋さんですので、キーパー、いわゆる店内には花があって、毎週金曜日に市場から花が来ます。

 次のページですが、その花の水揚げ作業をします。箱に入った状態で市場から来て、生のお花ですので、とげ取りや葉っぱ取りをして水につけます。左の写真は、資材出しです。一年間を通じて、17回ほど来ていただきましたが、季節に応じて色々な作業があり、また、受け入れ企業としましても、アルバイトではなく学びの場にしていただくことが必要だと考え、毎回何かを学んで帰ってもらいたいという思いで対応させていただきました。

 次のページです。こちらの写真の長谷川君が持っている花束ですが、お客様の要望に対して作った大きい花束です。こちらは実際にお客様の前で作っている姿を見てもらったり、お客様との対応、会話を聞いてもらったりと、本当にお客様に近い場所で長谷川君には色々と体験をしていただきました。次の写真ですが、左はお寺様の花生け作業です。花屋さんといっても色々な仕事がございます。毎回同じ作業ではなく、色々なことをしているということを見ていただきたいので、長谷川君にも来てもらい、作法を学んだり、花を生けるという心構え等、できるだけ多くのことを伝えたいと思っておりました。右は、母の日ギフトとして、5月の母の日に向けた幟を作ったり、外回りの作業をしている写真でございます。

 次のページです。リボンワークということで、フラワー装飾技能士は色々な作業がありますが、花束、アレンジメント、ブートニアを作るという細かい作業の中で、立ち仕事や、座っての仕事など、様々なことに取り組んでもらっていました。

 次の写真は、野洲の図書館で、フラワーデザインの学びの場である生涯楽習カレッジにおいて、お手伝いいただいた写真です。

 次のページですが、人前に立つということも、実践的で開かれた学校として大切だと思い、また、やはり、普段学校では、先生や親などの大人しか関わる機会がない思いますので、様々な人と関わっていただいたり、色々と体験していただくことが大切だと思っておりました。

 次のページですが、開店のお祝いや、学校の卒業式、入学式等の際にお花を生けるスタンド花の取組を実践的にサポートしてもらった時の写真でございます。次の写真も、これは全て長谷川君が作ったものではないですが、私が作ったものの細かい部分を見てもらい、実際に花を触って生けるということを毎週していただいておりました。

 次のページです。花束の作業等、実際に店頭にも立っていただきましたが、毎週来ていただいておりましたので、お客様からも「今日は金曜日だから来ているね。」等のお声掛けがあり、そのような会話が彼にとっても力になったと思います。

 先月の12月16日に京都府立植物園でフラワーデザインコンテストがあり、長谷川君に出品しないかと声を掛けたところ、「出たいです。」との力強い言葉をいただき、左の写真は長谷川君が作った作品で、入賞をいただきました。本当に素晴らしい作品ができ、私も大変嬉しく思いますし、このような取組を自ら積極的にしたということが大きな力になったと思います。

 先ほど伊香高等学校さんの発表にも、生徒と学校と地域、企業というお言葉がありましたが、本当に「三方よし」ということで、このような取組を学校だけではなく、地域、企業としても協力させていただきたいという思いはありますので、みんなで子どもたちを育てていくということや、そのような発想で中学校のチャレンジウィークという五日間の体験があるのだと思っております。また、高校でもインターンシップの五日間体験がありますが、その後のデュアルシステムということで、実践的なことが学べ、将来を見据えることができるということで、本当に大切な取組になっていると思いますので、湖南農業高等学校だけでなく、他の学校等でも採用していただき、地域が協力して連携できる取組であればと思っております。

 御清聴ありがとうございました。

(福永教育長)

 皆様、どうもありがとうございました。

 それでは、これまでの説明、また各学校、関係者の皆様からの御発表を踏まえまして、「県立高校の魅力化に向けた、地域・企業・大学と連携した学びについて」の意見交換をしてまいりたいと思います。説明、発表に対する御質問、また御意見等、どなたからでも結構ですので、御発言をよろしくお願いいたします。

 

(塚本委員)

 御発表ありがとうございました。非常に貴重な内容をお話しいただけたと思い、感謝申し上げます。すべての方々についてコメントを申し上げたいのですが、時間の関係もございますので、私からは中山コーディネーターのお話から感じたことを申し上げます。

 資料に「無茶はしない、でも挑戦はする」や、「自分一人でやらない」ということもお示しいただいていましたが、やはり継続して、持続可能なシステムとして作り上げていくということをすごく大切にしておられるのだろうと思います。このような地域との連携や、地域課題をという時に、今は中山コーディネーターがいて下さるからできることですが、属人化してしまい、その人がいなくなってしまった時に、後が続かないというようなことがあってはもったいないといいますか、そのようなことも含めて、地域と生徒たち、それから先生も含めまして、持続可能なシステムを作り上げていくことに御注力いただいていると強く感じました。

 最初に事務局の室長から、このような教育的効果を狙っているというようなお話もありましたが、やはり続いていくことが一つの大切な事だろうと思いますし、社会の課題、地域の課題を考えたときに、一朝一夕でいくものではないと思います。ですが、そこで細かな積み上げといいますか、発表していただいた長谷川さんの体験等、生徒さんたちにとっての重要な気付き、その瞬間、瞬間に体験したことが積み重なり、地域に還元していく大きな取組などにも繋がっていくと思いますので、一朝一夕でないとはいえ、持続して行われていくことの大切さを感じました。今後にも期待申し上げたいなと思います。ありがとうございました。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。中山さんからコメントはございますか。

 

(伊香高等学校中山コーディネーター)

 ありがとうございました。まさに、今おっしゃったような持続性というところは大事な部分だと思っております。今年度から本格的に普通科改革の事業に関わらせていただいておりますが、やはり、人の部分と予算の部分は、難しさ、課題があると思います。特に普通科ベースの新学科となりますと、五教科の先生が基本的には手綱を引いてプロジェクトを進めていくことになります。そうすると、専門学科の先生よりも、五教科の先生の方が異動の期間が短いと思いますので、そのような意味でも、人と人の関係はもちろん大事なのですが、それをいかに人に頼らないような持続的な関係性に持っていけるのかということは、今後も試行錯誤しながらやっていかないといけないと思っております。ありがとうございます。

 

(野村委員)

 御説明ありがとうございました。感想になりますが、以前ふれあい教育対談で伊香高等学校さんにお邪魔させていただきました。その時は、この魅力化について、どのような方向で、どのような形で進めていこうかというような時期だったと思います。そのような中で、実際にコーディネーターの方が入られて、森林を活用した学習について、試行錯誤しながら高校の魅力化を図っていこうとされている現状をお聞きし、進んでいるのだと確認させていただきました。

 心に残ったことは、湖南農業高等学校さんの実践ですが、これだけ長い期間継続的に取り組んでおられる事を知りました。そして、学校外の学びの場に重点を置かれていて、長谷川君のお話からは、非常に充実した活動、学びができていると十分に感じました。高校での学習だけではなく、このような体験を通して、人と人との触れ合いや、働くことの意味を社会に出る前に体験されていて、長谷川君が社会人になられた時に、お花に関わったとても良い仕事をされていくのだろうと、ひしひしと感じました。

 花を生けているときには集中しますし、心が凛としますが、見る方がどのような生け方をしたら心に留めてくれるか、目を留めてくれるかなど、色々なことを考えながら生けておられたのだろうと思います。また、学びの場として様々な体験をされたと感じましたので、これが花屋さんだけでなく、色々な分野の企業さんとタイアップしていただきながら、実践していけると良いと感じました。

 感想のみになりますが、以上です。ありがとうございました。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 湖南農業高等学校さんの資料で、委託先132社とありましたが、どのようなジャンル、業種の方が受入れてくださっているのですか。

 

(湖南農業高等学校有村教諭)

 本校には農業科、食品科、花緑科があり、それぞれの学科に関連する企業様でお世話になっております。例えば、農業科ですと、生徒に希望を取るのですが、農業をしたい、将来は農業に携わりたいということで、近隣の農家さんにお願いをして実習に行かせてもらいます。食品科ですと、近隣地域の食品関係、今回でしたら和菓子屋さんや飲食店さんにお願いをしましたし、花緑科でしたら、ワシダ農園さんのようなお花屋さんや造園屋さんにお願いをしました。近隣地域の学科関連の企業で実習させていただいております。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。様々な関係者の皆様に御協力をいただいているということですね。

 

(石井委員)

 ありがとうございます。すばらしい取組とプレゼンテーションをお聞きすることができました。それぞれの立ち位置で、御苦労が多い中、素晴らしい取組を推進されていると感じました。その中でいくつか、感想や質問等を述べさせていただきたいと思います。

 一つ目は、魅力ある高校づくり推進室の小嶋室長から、6ページの現状と課題というところで、高校と関係機関を繋ぐ、コーディネート機能を担う人材のお話をお聞きしましたが、冒頭に知事がおっしゃった、連携の重要性を非常に感じます。一方で、それぞれの立ち位置の方が真面目に一生懸命にやっているがゆえに、意外な壁があると感じておりますので、ぜひともこのようなコーディネーションを強力にやっていただく必要性があると感じます。そのような機能が求められていると感じますし、発表にあった実践も素晴らしいと感じました。

 二つ目に質問に移らせていただきます。伊香高等学校で頑張っておられるコーディネーターの中山さんの取組の中で、御苦労の一端を、御指摘いただければと思います。どのような観点でも結構です。

 続きまして、滋賀県立大との高大連携について、資料の一番下に書いてありますが、彦根東高校との連携協定が平成21年に結ばれ、成果を出されているとのことで、今後の方向性について教えていただければと思います。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 中山さんから御苦労いただいている点について、お願いいたします。

 

(三日月知事)

 どのようなことでも結構です。

 

(伊香高等学校中山コーディネーター)

 ありがとうございます。私が活動している中で一番労力を感じているところは、様々な組織の方が様々な立場で活動されていますので、その間を繋ぐことに時間がかかるということです。共通の目標を作るということもそうですし、そこに向かって方向性を一つにしていくというところも、人と人であれば短時間でできると思うのですが、資料にもありますように伊香高等学校においてもコンソーシアムを立ち上げようとしているのですが、組織になっていけばいくほど時間がかかるということがあります。私はコーディネーターとして勤務しておりますが、非常勤として仕事をしておりますので、限られた時間の中で、いかにそのような活動を最大限していくのかというところが一番の苦労といいますか、頭を使うところだと思っております。

 

(福永教育長)

 ありがとうございます。

 続きまして、県立大学からお願いいたします。

 

(滋賀県立大学小泉副学長)

 今後の方向性について、彦根東高等学校とは、引き続き協力を進めていきたいと思っております。また、優秀な人材確保に向けて、本学も魅力を持てるように努力していきたいと同時に、このプログラムに関しても、もう少し枠を広げ、来年度から2校ほど追加していきたいと考えております。

 それから、もう一点、既に御存知とは思いますが、高専設置の計画がありますので、我々にとっては一番の課題ですが、中学生の皆さんに高専を知っていただきたいと思っております。滋賀県の保護者の方は高専をよく分かっておられないとの情報をいただいておりますが、高専からの人材は本当に引っ張りだこで、うちの大学に来てくれるかと心配をするくらいです。今までは高校生に向けてでしたが、中学生に向けても魅力を呈すると同時に、県立大学の魅力も高めていきたいと考えております。

 

(石井委員)

 今の県立大学さんの件につきましては、県立大学としての地域教育プログラムのカリキュラムマップなどを作成されており、高校との連携を更に推進されると思うので、期待しております。

 中山さんのお答えに対しまして、経済界や産業界などの各界におきましても、このような取組に興味を持ち、積極的で前向きなアクションをしていただきたいと感じております。

(土井委員)

 非常に素晴らしい取組について発表いただき、ありがとうございます。

 質問をさせていただきたいのですが、まず、湖南農業高校さんの発表について、長谷川君は、生花やフラワーアレンジメントに関心を持っていたとのことですが、いつぐらいから、また、なぜそのことに関心を持ったのかをお聞きしたいです。

 また、学校の先生に、委託先の確保について、先生方に御尽力いただいているのか、また、その際にどのような課題や大変なことがあるのかという点と、全員の生徒さんがやっておられるわけではないと思いますので、実習に行っていない生徒さんは代わりにどのようなことをされているのかをお聞きしたいと思います。

 また、彦根東高等学校さんと県立大学の取組については、大学において正規の授業ではなく、大学の学びに親しんでもらうための講座的なものを運用している場合もあると思いますが、あえて、先取り履修ということで、単位を取得できるところまで取組を進めようと思われた目的と、実際に行われた成果をお聞かせいただければと思います。

 

(福永教育長)

 ありがとうございます。

 では長谷川君からお願いいたします。

 

(湖南農業高等学校長谷川さん)

 ありがとうございます。

 花緑科では、高校2年生の夏頃に実習があり、その実習では班が三つに分かれているのですが、僕は園芸装飾班という班に所属し、花のことに関して花壇の整備であったり、フラワーアレンジメントの行事を一年生に教えたり、そのような活動をしている中で、実習担当の先生から、青森でフラワーアレンジメントの大会があると聞き、やってみたいという気持ちが芽生えて、青森の大会に出させていただきました。その時から本当に花が好きになり、11月にも大阪で花いけバトルという大会があったのですが、そこでも花の魅力にはまってしまい、今では抜けだせないような感じになってしまいました。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 それでは、有村先生、よろしくお願いいたします。

 

(湖南農業高等学校有村教諭)

 企業との関わりですが、2年生のこのくらいの時期に生徒の希望を確認し、具体的にどのようなことがやりたいのか聞き取ります。そして、教職員が、過去16年の歴史がありますので、連携がとれている人脈のある委託先や関連産業に相談し、そこに保護者さんも入って、三者で連携会議を行います。企業さんや保護者さんと学校とで連携して事を進め、実習が始まると、生徒の実習先に担当教員が赴き、実習の風景や、その日の内容、実習中の生徒の様子を確認します。生徒たちは、最初はなかなかできないこともあるのですが、徐々にできるようになりますので、企業の担当者さんと状況等を確認しながら実習を進めていただいております。

また、先週には成果発表会があり、生徒からは、おどおどすることや不安もあったが、企業さんに助けてもらい勉強になったということや、企業さんからは、最初はなかなかできなかったが、後半はできるようになり、また、生徒たちがどんどん自信をつけて、最後にはしっかり発表してくれて嬉しいと、涙を流しながら言われる方もいらっしゃったことが印象的でしたが、企業さんも生徒も一緒になって成長できる取組だと感じております。答えになっておりませんが、企業さんと担当教員がずっと関わりながら生徒を見て、一年間成長を支えております。

 実習に参加しない生徒ですが、授業は共通教科の選択、もしくは専門教科ということで分かれて授業をしております。

 

(ワシダ農園鷲田代表)

 補足ですが、先ほど長谷川君が発表しました、青森の花生けのことについて、全国産業教育フェアという形で、毎年色々な業界が携わっているのですが、フラワーデザインの部門で青森の大会に出品していただきました。

 それと花いけバトルの話がありましたが、こちらは大人の部門や高校生の部門があり、5分間で花を生ける全国レベルの大会でして、過去に湖南農業高等学校の生徒で、男の子二人組の「フラワーボーイズ」というチームが全国4位になって、びわこ放送さんで取り上げられたり、また、それを見て、長谷川君も湖南農業高校に入りたいと思ったということも聞いておりますので、実際にそのような取組があるのは素晴らしいと思います。

 

(福永教育長)

 ありがとうございます。

 では伊吹校長、お願いいたします。

 

(彦根東高等学校伊吹校長)

 県立大学との単発の講義はこれまでもやってきておりましたが、今回の先取り履修は、非常に長い期間の取組ということで、国の事業とも関連しておりまして、より高度な学び、さらに生徒の力を伸ばしたいということで、挑戦しております。受講した生徒にとっては、結構なハードルがあると思いますので、それを乗り越えて大学の学びで単位を取ったということで、力になっていくと思っております。

 もう一つ、先取り履修をするには、生徒の意欲が必要だと感じております。先生方も生徒たちもやらされているということでは、絶対に実現しないと思いますので、意欲がないと先取り履修はできないと思っております。先生も生徒も挑戦することが必要になります。

 学校としても、普通科の枠組みの中で、このような取組を加えて実施しますので、普通科の在り方が弾力的になれば、もう少しできることも多いのではないかと感じます。実際には、単位が取れなかった生徒もおり、課題もありますが、単位を取得した生徒にとっては自信になったと思います。

 

(滋賀県立大学小泉副学長)

 制度設計の段階に、私は関与しておりませんが、単位認定まで踏み込んだということは、やはり、やる以上は一生懸命やってほしい、また、ある程度のハードルを設けたいということだと思います。実際に大学の単位にする以上、他の学生とフェアでないといけませんので、授業そのものは大学1、2年対象であり、高校3年生までの学力を持っていることが前提の講義になっております。それを受ける学生は、受験生は時期的に難しいので、高2以下となり、先ほど紹介もありましたけれども、単位を取得できない子もおりますし、当然、非常に厳しくなっております。また、我々が用意したものであっても、高校2年生までの生徒たちにとって、必ずしも興味があるものとは限らず、履修してくれない、人数が少ないということもあります。ハードルを高くしたので当然だと思いますが、今後続けていくには、どう調整するかということは課題だと思います。

 

(土井委員)

 長谷川君に追加で質問ですが、高校に入るときに既に花のことに関心があったのでしょうか、先ほどの話だと、高校に入ってから授業や体験をして関心を持たれたように感じましたが、どちらでしょうか。

 

(湖南農業高等学校長谷川さん)

 高校に入る前から、少し興味があり、花のことについてやりたいと思っていましたが、1年生のころはなかなか踏み出せず、2年生の実習で、先ほど鷲田さんがおっしゃっていた、青森の産業教育フェアで興味を持って、そこから初めての一歩として踏み出しました。

 

(土井委員)

 ありがとうございます。高校でのこのような経験が役に立つということが、よく分かりました。

 県立大学と彦根東高等学校の取組につきましては、私も大学人ですので、大学生を相手にした授業を、高校生にそのまま提供するのはかなりハードルが高く、先ほどの説明にもありましたが、高校の授業も別途あり、プラスアルファで大学の授業を受けることになりますので、何のために、どのようなことを期待して実施するのか、どのような生徒さんを対象にするのかということが重要ではないかと感じました。

 

(三日月知事)

 高校生は大学の授業を何のために受けに行くのですか。授業のレベルが高いというお話もありましたが、高校の勉強だけで、部活動も含めて忙しいのに、大学の授業を受けに行こうという意欲をどのように引き出したり、授業を受ける生徒をどのように選んだりするのですか。

 

(彦根東高等学校伊吹校長)

 生徒たちに色々なことを挑戦させており、先取り履修以外にも、例えば、海外研修がありますが、希望を聞くときに、この取組ではこのようなことができると担任の先生から説明されています。また、このことについては、学校独自でパンフレットも作っております。

 ただ、先取り履修は、前期の時期は忙しいですので、難しさがあります。先ほども申し上げましたが、大学でその内容を学びたいというよりも、今興味を持っていることや、高校の授業で習った応用の内容について講義を受けてみようという気持ちで希望する生徒が多く、生徒自身はこんなにもハードルがあるということは知らなかったと思います。そのような意味では、言えていない面があると思います。また、不合格者がいるということも見せていません。実はこの場で初めて発言しました。

(大杉副知事)

 感想になりますが、それぞれが充実した取組をして下さっていて、やはり、学校外との連携は非常に大事だと改めて感じました。もちろん、今話題になっている教員の負担軽減の観点からも重要ですけれども、やはり質、いわゆる深い学びを実現していくうえでも、よくオーセンティックな学びとも言われますが、大学、企業、地域の中でも、このような連携は、非常にますます重要になってくると感じました。

 最近、連携先の企業さんや教育業界以外の方とお話をしていると、最初は学校と連携するということで、とりあえず連携先を広げることが目的だったけれど、質のことで悩んでいるというお声をよくいただきます。質とはどういうことかと伺うと、どうしても活動が表面的になってしまうということや、子どもの興味・関心にこの活動が合っているのかという、まさに学校の先生が授業で悩んでいること等を、連携先の様々な機関の方も一緒に悩んで下さっているのだと感じることが増えてきました。

 学校の先生は、それこそ先ほど「社会に開かれた教育課程」の話もありましたが、学習指導要領や色々な事例集等を手掛かりに、その質の課題の改善を図っているわけですが、まだまだそれが先の機関には共有されていないという現状がありますので、これから解決していかないといけない課題だと感じております。学習指導要領が「社会に開かれた教育課程」を標榜している割には、まだまだ社会に広がっていないということを、行政として重く受け止めてしっかり取り組んでいかないといけないと。また、今日のお話から質について考えさせていただきました。

 

(三日月知事)

 せっかくの機会なので、それぞれの方からこのような制度があればということや、このような施設を何とかして欲しいということなど、お聞きしたいです。例えば、中山さんが紹介された資料の13ページ目の会議は大変そうですが、このような会議を積み重ねて方向性を出していただいているのだと思います。ただ、単発的ではだめで、時間もかかるし、手間もかかるし、やはり持続的な制度にするためにどうしていけば良いのかということや、WWLの取組を進めるために、さらにこのような制度が必要だということ、また、湖南農業高等学校の企業委託先との取組は、過去からの蓄積があって良いと思いましたが、今後、さらに続けていくための制度や、もしくは、どのような人的な支援や財政的な支援等があればいいのかと思うのですが、いかがですか。

 

(ワシダ農園鷲田代表)

 私は普段花屋をしており、地元の中学校のチャレンジウィークやインターンシップ、デュアルシステム等の受け入れをさせていただいていますが、中学校は中学校で、先生単位で企業を探しておられます。湖南農業高等学校もそうですが、受け入れ先企業を先生が探される御苦労を知っておりますので、私でしたら花業界に通ずる部分で湖南農業高等学校にお伝えし、受け入れ先を模索していただいている状態ですが、やはり、県単位といいますか、全体を通して受入れ先企業にもっと手をあげてもらいたいと感じています。実際に、私は現在、野洲中学校と野洲北中学校を受け入れていますが、元々野洲中学校しか受け入れていませんでした。野洲中学校から野洲北中学校に異動された先生から、「野洲北中学校でも受け入れてもらえないか。」とお声掛けをいただき、現在もさせていただいております。このような取組を知らない企業は多く、我々店側が知らないということがありますので、もっと広く通達をしていただき、皆さんに知っていただいて、より開かれた学校として、学校と提携先企業で子どもたちを育てていければと常日頃思っております。

 

(三日月知事)

 大事な御指摘をいただきました。そのような属人的な繋がりや、一部の企業、事業者様の御協力だけではなく、生徒のニーズはそれぞれですので、より広く御協力いただける体制作りを、我々、県の教育委員会もそうですし、市町教育委員会とも連携しながらやっていきたいと思います。

 

(ワシダ農園鷲田代表)

 学校の先生からも色々と訴えておられると思いますが、逆に企業としては、言ってくれたら受け入れるのにという方がおられるのも事実なので、周知していただければと思っております。

 

(伊香高等学校中山コーディネーター)

 色々と考えたのですが、二つあると思っております。

 一点目は、コンソーシアムの運営に関して、このような取組は島根県がかなり先進的に取り組まれているのですが、島根県ではコンソーシアムを設置し、コンソーシアムマネージャーという形で人材を配置するような制度的なものを設け、そこに予算もつけられています。そのようなコンソーシアムの運営に特化した人材を、各高校ごとで位置付けていき、そこを支援していく体制があると有り難いということが一点です。

 もう一点が、普通科では、冒頭に申し上げたように、教員の異動がありますので、その点をどのようにサポートしていけるのかということが重要だと思っています。私は普通科改革の事業の予算でコーディネーターという形で学校におりますが、例えば理科であれば実験助手のような外部の人材がコーディネーターとして学校に継続的に関われるような、単発の講師としてではなく、継続的に外部と高校を繋ぐ役割を個々に位置付けていくことが、先ほどの持続性という意味でも必要になってくるのではないかと思っております。

 

(湖南農業高等学校有村教諭)

 担当として最近感じることは、今のお話にもありましたが、持続的ということで、企業さんのお力はすごく素晴らしく、大切だということです。属人的ということに関して、この事業ですが、コロナで3年間できておらず、職員の6割くらいが経験していない。また、経験した教員についても、3年前のインターンシップでどのようなことをしていたか分からないという状況があり、何とか進めてきました。このような時に、鷲田さんにも7年間ほどお世話になっていますが、これまでお世話になっていたインターンシップ先の企業さんに大変助けていただきました。また、大変支えていただき、企業さんから教員に教えていただく機会も多くありました。派遣実習についても、16年間で132社との実績がありますが、教員の担当者が変わっても企業さんは「いつもの実習ですね。」というように、その子どもに合わせて教えてくださいます。

 企業さんも生徒たちを自分の子どものように思って教えて下さり、先ほど涙を流された派遣先の方もいらっしゃると申し上げましたが、持続可能という点において、企業さんの経験も大切ですし、また、企業さんの支えがあるからこそ、このインターンシップ派遣ができているのだと、コロナで3年間やっていなかった分、今年はなおさら感じました。このような取組は、企業さんのお気持ちや経験に支えられていると感じました。本当に感謝の一言です。

 

(福永教育長)

 ありがとうございます。

 私からも、皆さんのお話から感じたことを述べさせていただきます。

 一つは、この議論で一番話題になっていた継続性ということですが、どのように続けていくのか、また、続けていくことの難しさや、続けて取り組んでいくことの力を感じました。様々な人と人との関わりや、先生方、また企業の皆様方を含めて様々な人脈を作っていくことが重要だと思いました。

 また、湖南農業高等学校さんのお話の中で、高校生が様々な取組をしているということを、イベントや事業等、色々な形で発信して、中学生、あるいはもっと小さい子どもたちにも見ていただくことが、その子の将来の夢を広げることに繋がるのであれば、やはり、このような事業を広く発信していくことが大事だと感じました。

 そして、今日一番思いましたのは、高校生にチャレンジする機会と場所を与える。高校生だけでなく、小学生や中学生、大学生も含めてですが、様々なことに取り組んでいただく中で、やはり、チャレンジすることを大切にしていただきたいと思いました。

 そのような意味におきまして、今後、一つの事業を定着させていくためには、先生方も含めて一定期間その取組に携わっていただく人が必要だと思いますので、人事異動のお話もいただきましたが、その点についても心して取り組んでいかなければならないと感じました。多くの滋賀の高校生にチャレンジしていただく。小泉先生がおっしゃっていた高専もチャレンジする舞台の一つになると思いますので、滋賀の子どもたちがよりチャレンジできるよう、高専も含め高校も含め、取り組んでいきたいと思います。

 本日は様々な御意見をいただきました。いただいた御意見を踏まえ、企業の皆様、地域の皆様、そして大学の皆様と一緒に、滋賀の高校生にとってより魅力的な高校になるように頑張っていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、以上を持ちまして、令和5年度第5回滋賀県総合教育会議を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

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