まず冒頭に、県立図書館のホームページについて、不正アクセスとみられる事案が確認されております。先月27日火曜日からホームページを一時閉鎖して、2週間となります。図書館の利用者の皆様には長期間にわたり大変ご迷惑をおかけしておりますこと、また県民の皆様方に、大変ご心配をおかけしておりますことにつきまして、お詫び申し上げます。現在、事案に至った原因をしっかりと把握し、再発防止策に万全を期した上で再開できますよう、全力で取り組んでいるところです。県民の皆様にはご不便をおかけし、大変心苦しいところですが、今しばらくお時間をいただきたいと思います。ホームページの再開の際には、改めて皆さんにお知らせをさせていただきます。
資料の内容に入らせていただきます。お手元の資料、2ページから4ページをご覧ください。本日から7月末にかけての教育委員会の広報事項でございます。この中から、一つだけご紹介したいと思います。3ページの一番上の欄ですが、6月14日に守山北高等学校みらい共創科説明会が予定されています。実は一昨日、6月7日には伊香高校で森の探究科の説明会が行われました。今週の土曜日、14日には守山北高校みらい共創科の説明会を予定していまして、1期生による発表もあると伺っております。ぜひ取材を通して、発信をしていただければと思います。
続きまして、本日1点目の話題提供です。お手元の資料5ページをご覧ください。学校図書館サポーター養成講座です。これは昨年度に引き続き、今年度が2年目となります。この講座は、滋賀まるごとが子どもたちにとってのとしょかんとなることを目指して、滋賀県の子どもたちの読書環境の充実を目的として開催するものです。こうした中で学校司書の更なる配置に繋げるために、学校図書館に関する必要な知識を備えた学校司書となり得る人材の育成を目的に、この講座を開催しています。昨年度は29名の方が修了されており、承諾を得られた方につきましては、修了者名簿に登録させていただいて、各市町の要望に応じて紹介するという仕組みも整えています。修了生の中には既に雇用に繋がった方がおられると聞いています。
そして講座の内容ですが、7月31日に開校式を行いまして、来年1月の第7回まで毎月1回開催を予定しております。昨年度は県南部地域を会場としましたが、様々な地域の方に参加いただくために今年度は県中部地域の会場で開催します。講義につきましては昨年度の内容に見直しを加え、更なる充実を図っております。一部の講座では、県内で働く現役の学校司書を対象としている学校司書研修が別途あるのですが、その研修と合同で開催します。この講座の受講生が、現役の学校司書とも交流しながら仕事の内容などを具体的にイメージしやすくするといったことで、学校司書としての就労意欲にも繋げていきたいと思っております。
募集についてですが、本日10時からとなっておりまして、県政eしんぶんや、教育委員会ホームページ、におネットなどで方法を公開しておりますが、受講料は無料で、先着30名定員に達し次第、募集終了ということです。昨年度は非常に人気で、募集開始後4日で定員に達したということですので、記事にしていただく際には、募集状況等を担当課に確認いただく方がよいかもしれません。対象につきましては、原則7回全ての受講ができて、県内在住または通勤や通学をされている方、昨年度この講座を未受講の方を条件にしております。申し込み受付方法ですが、しがネット受付サービスで主にやっておりますが、ほかにもメールやFAXでも可能です。問い合わせ先は生涯学習課です。受講申し込みをよろしくお願いしたいと思います。
2点目の話題提供です。草津東高校体育科3年生による渋川小学校の水泳指導についてです。草津東高校は昭和53年に全日制普通科の学校として開校しました。平成7年に滋賀県初の体育科を設置されております。体育科は設置されて今年でちょうど30年となりまして、『文武両道で明日をつかむ』ということをスローガンに、生徒たちは学習と部活動を両立させ学校生活を送っています。
それでは、草津東高校の特徴、そして体育科の特徴、そして渋川小学校との交流事業について、そして渋川小学校の水泳指導の取組という順で説明をさせていただきます。草津東高校は体育科の設置に伴いまして、陸上競技場、体育館、トレーニング室、アーチェリー場、テニスコートなどの設備が整えられています。その充実した施設で、体育科の生徒たちはもちろん、普通科の生徒たちも熱心に部活動に取り組んでおり、生徒全体部活動加入率は今年度90.6%という高い加入率を誇っております。今年、本県で開催されます国スポ・障スポの強化拠点指定となっている部活動は、陸上競技、サッカーそれから剣道、アーチェリー、水泳、バスケットボール女子であり、活躍を大いに期待しているところです。
そして、体育科は競技力の向上と、本県のスポーツ振興を担う、指導者の育成ということをスクールミッションとしていまして、生徒の多くは将来の指導者を目指して日々学習に取り組んでいます。卒業後には実際に教員として滋賀県の教育に携わっていただいている方もおられ、現在草津東高校に勤務している体育科の教員12名のうち8名は同校出身です。体育科の教育課程の特徴は『スポーツ概論』『スポーツ総合研修』など体育の専門科目が3年間で30単位あり、各学年で活動実習も行われています。
次に渋川小学校との交流事業ですが、スライドを見ていただきますと、草津東高校に隣接する形で草津市立渋川小学校があります。渋川小学校は平成15年に開校しまして、この立地条件を生かして、隣接する学校同士で何か交流できないかという意見がでたところ、幸いにして草津東高校には体育科があるということで、生徒たちの実践的な学びに繋げる取組をしようという声が上がりました。
そのことをきっかけに、渋川小学校の開校の翌年から始まったのが、この交流事業です。草津東高校体育科の3年生40名が渋川小学校の3年生の体育の授業に参加し、指導を行っています。体育科には指導者を目指している生徒がたくさん在籍していますので、小学生に運動について教える大変貴重な経験となっております。
また小学生にとっては技術力の向上に繋がりますし、指導者にとっては校種間交流による系統立てた学びを意識できる機会ともなることから、まさに「三方よし」という取組であると思っております。なお、2013年の交流事業では、大橋悠依さんも草津東高校体育科の出身ですので、当時高校3年生として参加されています。
最後に6月20日の水泳指導につきまして、ご説明をいたします。スライドに出ているのは昨年度の様子ですが、先生方の感想として「普段100人程度の子どもを数人で指導しているので、体育科の生徒さんに来てもらえると大変助かり、また安全面も強化できる」「子どもたちは、年の近いお兄さんお姉さんにしっかりと教えてもらったり、一緒に泳いでもらったりするということで非常に喜んでいる」といったことを聞いております。また、「水泳が得意でない子どもも、交流事業の日は積極的にチャレンジしている」との声もあります。また、体育科の生徒からは「水泳が嫌いと言っていた子どもが、自分のアドバイスで『できた!』と喜んでくれる。そういったときに自分のことのように大変嬉しく感じた」という声も聞いています。ぜひ、当日、取材いただければと思っております。
最後に、話題提供の3点目です。資料の8ページをご覧ください。膳所高校のスーパーサイエンスハイスクール「サイエンスプロジェクト」についてご説明します。
まず「スーパーサイエンスハイスクール事業」ですが、これは文科省の指定事業です。先進的な理数系教育や、文理融合領域に関する研究を実施している高等学校などをスーパーサイエンスハイスクール、SSHというふうに言われますが、これに指定して、支援を通じて将来のイノベーションの創出を担う科学人材の育成を図る取組を推進する事業です。令和7年度の指定校は全国で230校程度ございまして、本県では膳所高校、虎姫高校、立命館守山高校が指定されています。それでは膳所高校のこれまでの主な取組を説明させていただきます。
一つ目が大学や研究所等との連携事業ということで、スライドにもありますように、生徒の科学技術への興味関心が高まるように、また進路を考える機会にもなるように、様々な大学と連携して、医学・環境をはじめデータサイエンスや生成AI、プログラミングなど特別講座や実験実習、英語講座を行い、多くの生徒が参加しています。
二つ目は次のスライドですが、探究活動および探究活動の成果を報告・普及する発表会へも参加しております。探究活動については学校設定科目で取り組んだ他、和歌山県にある京都大学フィールド科学教育研究センターに宿泊して探究活動に取り組むサイエンスキャンプも実施しております。今年度は7月26から28日まで2泊3日で実施する予定です。また生徒が取り組んだ探究活動を膳所高校生だけではなく、他の学校の生徒にも発信していくように校外で開催される発表会にも積極的に参加しています。
三つ目ですが、本日話題提供をいたしますサイエンスプロジェクトについて、もう少し詳しくご説明いたします。SSHの指定校には、自分の学校での取組を自校だけで完結するということではなくて、他校にも普及していくという大切な役割があります。今回紹介するサイエンスプロジェクトでは、県内外の高校の生徒が一緒に講義を受け、ワークショップや探究活動を通して交流を深めて探究的な学びを共有し、お互いに刺激を受けることを目的として実施をしています。また生徒だけではなく、引率で来られている先生方に、膳所高校でのこれまでのノウハウなどを共有しながら、それぞれの学校の探究活動に役立ててもらうことも目的としております。
さらに、このプロジェクトの中で行ったグループ研究の成果について、3月に実施されるシンガポール国立大学でプレゼンテーションを行うことを目指しています。今年度は県内6校49名と膳所高校のプロジェクト生17名の合計66名が、土曜日などを活用しながら年5回、一緒に講義を受けたり、グループ研究や成果発表する中で、交流したりして学びを共有していきます。
6月14日に行われる1回目につきましては、県外の連携校であります山口県立徳山高校の生徒も参加されるということで取組を進めています。サイエンスプロジェクトの年間計画はスライドに示したとおりで、膳所高校だけではなく、連携校の生徒もテーマ設定から始まって最後の発表会まで、大学院生・大学教員からの個別指導助言を受けながら探究活動を進めていきます。第1回目の主な内容はサイエンスプロジェクト開講式から始まり、本プロジェクトは2年生・1年生が基本的な参加者になるのですが、昨年度本プロジェクトに参加した3年生から研究活動の演示があったり、研究者による特別講義、画像認識プログラムを作成するワークショップがあったりします。特にこのワークショップでは、県外連携校の山口県立徳山高校の先生を講師として招く予定です。
このような内容を色々と取り組んでいくということですので、報道機関の皆様にはぜひ取材を通して、膳所高校の取組について広く伝えていただけたらと思っております。本日は膳所高校の横井校長先生が来られていますので、一言PRをお願いしたいと思います。
(膳所高校)
ありがとうございます、膳所高校でございます。この1年間、サイエンスプロジェクトをの活動をさせていただきます。
ポイントは3つあります。まず1点目は、膳所高校だけで取り組んでいることではないということです。このサイエンスプロジェクトは、県内の連携校6校も一緒になって、理系人材、科学系の人材を作っていこう、そして探究活動や課題研究をやろうというものです。そのため、膳所高校だけでやっているものではなく、6校の生徒も一生懸命参加をしてくれています。過去の中で今年度は一番人数が多いです。連携校6校49名、膳所高校を入れて66名で、これは過去最高の人数になっております。ぜひ取材をしていただければと思います。
2点目ですが、今回66名のうち半数が女性です。理系というと、どうしても男性が多いというイメージがありますが、女子生徒も非常に積極的に参加をしてくれています。これは今までの県の取り組みの成果ではないかと考えているところです。女性が多いということで、また違った視点で発表してくれています。
3点目ですが、発表については2月にオールイングリッシュで行います。大学の先生や外国人の先生も入り、英語でやり取りをしますので、我々が参加してもなかなか分からない部分があったりしますが、生徒は一生懸命にやっています。このように重要な先進的な取組であると思っておりますので、ぜひ取材していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
(NHK)
冒頭ご説明のあった図書館のホームページの件ですが、今の段階としては、例えば原因はある程度わかってきて再発防止対策を講じている最中なのか、今どういう段階にあるのかというのが1点です。また、再開の目安についてですが、いつ頃までを目途にしているのか、何か目安があれば教えていただければと思います。
(教育長)
大変ご迷惑をお掛けしており、心苦しく思っています。まず現状ですが、ある程度の原因は掴めてきておりますが、再発防止に向けてどうしていくのか調整を図っているところです。また、再開への目安ですが、当然のことながら我々としてもできるだけ速やかに再開したいと思っておりますが、現時点では目安を十分申し上げられるような材料が揃っている状況ではありませんので、具体的な目安は控えさせていただきたいと思います。
(京都新聞)
先ほどの追加でお尋ねしますが、ある程度の原因は分かっているということでしたが、もう少し具体的に教えていただけないでしょうか。
(教育長)
ホームページの管理ソフトに対して、ID・パスワードの総当たり攻撃のようなものが行われたというところまでは確認しております。現在、再度の不正アクセスが行えないような対策を取るということで、改めて全体のセキュリティの見直しをしているところです。
(京都新聞)
それは県立図書館のみの攻撃ですか? それとも、かなりの広範囲にわたっていろんな施設が狙われたということなのでしょうか。
(教育長)
例えば県のホームページに対して、同じような攻撃が行われたということは把握しておりません。あくまでも県立図書館に対するものという認識をしております。
(京都新聞)
そもそもセキュリティ対策が脆弱だったというような認識はありますか?
(教育長)
セキュリティ対策そのものが非常に脆弱であったということではないと思っております。ただ、そのような認識で良いのかということも含めて、現在いろいろな角度から点検をしています。
(京都新聞)
発覚当時は個人情報の流出はないと聞きましたが、現状もないということでよろしいでしょうか。
(教育長)
現状においても個人情報の漏洩は確認されておりません。
(京都新聞)
利用者の利便性の部分で、実際に外部からの蔵書検索等ができないと聞いています。館内では蔵書検索などのシステム自体は使うことはできる状況でしょうか。
(教育長)
館内での様々なサービスにつきましては、通常どおり使えます。今まででしたらホームページを経由して予約していただいたり、予約された方へ図書館から連絡したり、そのようなことができていましたけれども、それが今できていない状況です。図書館では、先週の段階で予約していた本が用意できた方については、郵便はがきでお知らせしています。館内においては通常どおり営業しています。
(京都新聞)
警察への届出など、対応はされていますか。
(教育長)
大津警察署の方には5月27日に被害状況を通報しております。
(京都新聞)
捜査をしている状況ですか。
(教育長)
具体的な捜査の状況や内容については、十分に把握しておりません。
(京都新聞)
復旧の見通しに関して、今は全くめどが立っていないということでよろしいでしょうか?
(教育長)
皆さんにお伝えできるような状況までは、まだ至っていません。
(京都新聞)
例えば、あと少なくとも2週間はかかるとか、1ヶ月はかかるとか、今後数ヶ月レベルで復旧しそうにないなど、教えていただけないでしょうか?
(教育長)
私自身の想いとしては、何とかここ数週間までの間には復旧したいと考えております。ただ、一つ一つ丁寧にセキュリティを見ているところです。できるだけ長くならないように復旧はしたいと思っております
(滋賀報知新聞)
引き続き図書館のホームページの関連ですが、図書館のホームページが利用できないというお知らせが発表された同日に、おそらく県立安土城考古博物館でも海外から不正アクセスがあり、一時ホームページが落ちたと聞いています。すぐ復旧されたそうですが、先ほど県のホームページ等に同じような被害はなかったという話をお聞きしまして、この安土城考古博物館と図書館の件には関連はなかったのでしょうか。
(教育長)
安土城博物館については、図書館と発表は前後したと思いますが、実際にその事案が発生したのはもう少し前の段階だと伺っております。専門家によりますと内容的にも少し異なるものだと聞いておりますので違うものだと認識しています。
(滋賀報知新聞)
ほぼ同時期に県の施設に別々の不正アクセスが発生してしまったということですね。
(教育長)
安土城博物館は5月16日、県立図書館が27日ですので、それを同じような時期と判断してよいか分かりません。また、安土城考古博物館ホームページの具体的な内容を十分把握しておりませんので、確定的なことは言えませんが、時期や内容も違うようですので、同じ関連の不正アクセスかといえば、それは違うのではないかと考えています。
(京都新聞)
学校図書館(サポーター養成講座)についてですが、前回は29人が修了され、既に本年度の雇用にも繋がっているということですが具体的に何人が雇用に繋がったのでしょうか?
(生涯学習課)
今聞いておりますのは、修了生のうち1名の方が実際雇用されているということです。
(京都新聞)
29人が修了されて1人の雇用ということで、市町の小中学校に関しては市町が雇用するので、県教委としても歯痒い部分があるのかとは思いますけれども、学校司書を増やすために、県教委としてどのようなことができるか教えていただけますか。
(教育長)
今回の「学校図書館サポーター養成講座」では、学校司書を何とか増やしたいという思いが当然あります。昨年度から「こどもとしょかん」の取組を本県でも進めていまして、子どもたちに少しでも身近なところで本に親しんでもらうという、その一番大きな要素は学校図書館だと思っています。学校図書館をできるだけ活性化していく必要があると考えられますが、市町によっては学校司書を置かれておられないところもあるという状況の中で、学校図書館を活性化させていくためには学校司書も非常に重要だという意見がでました。県として何ができるかということで、本県の場合、県立図書館を中心に図書館のネットワークを活用し、うまく関連させながら学校現場で子どもたちに読書に親しんでもらえないかなと思っています。学校司書を少しでも増やしていくことが必要だという中で、学校司書がどこにいらっしゃるのか分からないところもあり、それぞれの市町の考え方によって十分な配置になっていない部分もあります。そこで県として、この(学校)図書館サポーター養成講座という形で学校司書になり得る人材を育成しようということになったと私は理解しております。
県としてやれることは、まずは学校の図書館を活性化すること、そして子どもたちにとって読書を身近なものにするために色々と旗を振っていくという役割があると思います。それが「こどもとしょかん」の取組だと思っております。そこをしっかり取り組んだ上で、具体的に学校司書を配置していくための取組をしていきたいと思います。それを一つのムーブメント的にやっていくことで、それぞれの学校現場においても学校図書館というのに注目してもらえるようにしていきたいですし、県として色々な面で発信したり情報共有したり、様々な取組を紹介したり、そうして一つの大きなこども図書館というムーブメントに繋げられたらと考えています。
(京都新聞)
今年度に何か市町への働きかけの部分で具体に新たに取り組まれることはありますか。
(教育長)
今年5月のGW明けに、米原市の大東中学校に行かせていただきました。大東中学校は、行きたいと思えるような図書館づくりを進めておられる学校です。昨年の総合教育会議でも発表いただいた学校なのですが、実際の現場を見たいと思って行かせていただきました。生徒がいるタイミングではなかったのですが、司書の方の様々な工夫や、取組によって生徒の来室が増えたことなど、お話をいろいろお伺いして、非常に素晴らしい取組だと感じました。その後の校長会でも紹介をし、このような取組を進めておられる学校があるということを皆さんにも知っていただき、広めていきたいと思っています。事業的なことでは、今回は学校図書館サポーター養成講座を昨年度の声も踏まえて充実させていきたいと考えています。開催場所についても、昨年度とは地域を変えて県中部地域で開催します。また、早い時期に学校図書館での実習を入れたり、実際に学校司書をやっておられる方との合同研修を設けたりすることで実際の現場について受講者に知ってもらえるようにしています。そのような取組を新たにしていくことで、より学校司書になりたいという思いを後押ししたいと思います。市町での採用をどう繋げるかについては、私自身もいろんなところで話をしていきたいと考えています。
(京都新聞)
第5次子ども読書活動推進計画について、前任の福永教育長は当時「5年以内には全学校に司書を配置する」と会見でもおっしゃられましたが、この立場は維持されるということでよろしいでしょうか。
(教育長)
全く変わっていません。私自身は実際の目標でいうと、全ての学校に何らかの形で司書が関わっていただける状況に早くしたいという気持ちが当然あります。もっと言うと、学校司書がより長い時間、日数で学校にいてもらえる環境を作っていきたいと思っています。
(京都新聞)
県立高校においては、全校に司書資格のある学校司書が配置されているということでよろしいでしょうか。
(生涯学習課)
はい。
(京都新聞)
これは全国的には珍しいのですか。
(教育長)
珍しいかどうかは他府県の状況を調べないとお答えできませんが、小中学校段階に比べるとより授業との関連性が強いということもあるので各高校には以前から司書が配置されていると思います。
(生涯学習課)
先ほどの市町への働き掛けという点で、補足いたします。今年度の新しい取組として、「こどもとしょかん」サポートセンターで指導主事が各学校の訪問指導する学校図書館活用学校訪問を始めております。学校長をはじめ司書や職員に対して学校図書館の活用をより盛んにするように指導助言をしております。今年100校余り、3年間で300校、全小・中学校を回る計画で今年度よりスタートしました。そのような視点からも、学校司書の配置を促進できればと思っております。
(教育長)
「こどもとしょかん」サポートセンターは昨年度、県立図書館内にありましたが、より市町との連携を深めたり、関係性を重視したりすることをねらいとして、今年度から生涯学習課の中にサポートセンターを移管しました。そこで今の取組を進めていこうとしています。
(京都新聞)
図書館の地下1階の場所もなくなっているということですか。
(教育長)
その場所からこちらへ移って来ました。
(京都新聞)
スタッフの方も皆さんこちらに移動されているのですか。
(生涯学習課)
はい、こちらに移動しております。
(京都新聞)
昨年度も学校訪問はされていたと思いますが、昨年度と異なる部分はどこですか。
(生涯学習)
昨年度は懇談という形で、各市町1校ずつを選んで実施しておりました。今年度からは計画訪問に位置づけ、全ての学校を回って指導助言を行うという点が異なります。
(京都新聞)
県内の公立小中学校300校余りあると思いますが、3年で全て回るということですか。
(生涯学習課)
そうです。
(教育長)
現場の方の声をできるだけ拾っていただき、実際に成果を見ていただきながらより充実に繋げていきたいと思います。
(京都新聞)
高校では全校に司書が配置されていて、小中学校では配置が厳しい状況にあるというのは、何がこの格差を産んでいるのでしょうか。
(教育長)
市町によって温度差はあります。例えば教員の場合は定員が決められていますが、学校司書の場合にはそういった決められ方をしていないので、どうしても優先度の高いものから採用されていくということはあると思います。それを裏付けるエビデンスがあるわけではないのですが。どの学校も図書館を運営していく中で、教員の中で担当者をつけて取り組んでいるので、図書館そのものが運営できていないという訳ではありません。ただ、昨今様々な状況の中で子どもたちの読書活動をより進めていく、また事業等をもっと関連付けてやろうとすると、専門的な知識のある方がおられる方がより進んでいくと思います。従来、そのような意味で小中学校と事業との関わりや、配置上の定数の問題なども一定の影響があるのかもしれません。詳細を把握していない部分があるため、十分には原因をお伝え出来ないのですが。
(生涯学習課)
県立高校と小中学校で何かが根本的に違うということはありませんが、学校図書館の司書の場合は努力義務という位置づけにとどまっていますので、やはり各市町の教育委員会や学校長の認識や考え方に色々と違いがあるためではないかと思っております。
(京都新聞)
今回、教員の採用試験で昨年度に比べて53人減の1787人ということで、小学校の受験者はまた下がり、中高の受験者は上がっていると思いますが、このあたりの認識を教えていただきたいのと、全体で減っているということをどう分析されていますか。
(教育長)
小学校の教員が減っていることに関しては、確かにその通りなのですが、私自身としては減っていることよりも、実際にそれだけの教員を志望される方がおられるということは評価したいと思います。その上で、小学校、中学校、高校とそれぞれの校種ごとに状況の違いがあると思います。この志願者数の増減は、その時々の募集状況や世の中の今の動きも影響してくると思います。また学生がどういったところを目指していくというところも一つの表れだと考えます。特に小学校教員については本県のみならず、他府県でも減少傾向にあるという話がありますので、そのような状況の中で、背景として、小学校教員を目指す学生数が確保できているか等の事情も絡んできます。それから特に小学校については、様々な状況の中で忙しさを感じる方もおられたり、そのような状況が複雑に絡み合っているかと思います。中・高校では、それぞれの教科の状況や部活動など、小学校とはまた違う要素も入ってきます。そうした中で、結果としてこのように表れているのだと認識しています。あわせて今回、大学3年生の夢チャレンジということで昨年度にスタートしたものがあります。この制度で昨年に3回生として受験された方々が、今年また本当の試験という形で受けられたところもございます。今後も教員を目指していただく方が増えるよう、教育委員会として色んな手を打っていきたいと考えています。