(教育長)
皆さんおはようございます。教育長として、定例の記者会見、最後となります。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それではまず、本日の資料に基づきましてご説明をさせていただきます。
本日の資料の2ページをご覧いただきたいと思います。3月から4月にかけての教育委員会の広報事項でございますが、この中から2点お話をさせていただきます。まず一点、明日3月25日の火曜日開催予定の令和8年度の全国高等学校総合体育大会、インターハイの滋賀県の実行委員会の第2回の総会についてでございます。
令和8年度のインターハイにつきましては、近畿ブロックで行われますが、滋賀県の実行委員会を設立して取組を進めていくところでございまして、実行委員会は昨年6月18日に設立させていただきました。今回、明日3月25日の火曜日に県庁の東館7階大会議室で2回目の総会を開催いたしますのでお知らせいたします。
今回の総会は今年度における準備経過の報告でありますとか、来年度の収支予算等の審議を行っていただきます。またこの県内の高等学校等に在籍する生徒で構成され、インターハイを支える活動の一つとして、広報やおもてなし、そして総合開会式などの企画準備運営に中心となって取り組んでいただいている滋賀県の高校生活動推進委員の代表の生徒さんにも来ていただきまして、今年度の活動報告をしていただく予定でございます。
高校生自らがこれからの活動に向けて検討を進めてきてくれた内容でありますとか、令和7年度のインターハイの幹事県である広島県で開催されましたイベントの視察報告もしてくれるということでございますので、ぜひ報道関係の皆様には取材をいただくようによろしくお願いいたします。このインターハイにつきましては当然競技に出場する高校生はそれぞれが活躍をしていただきたいと思いますが、それを支えるという高校生が大会の成功に向けて取り組む姿をアピールする舞台となりますように高校生の活動を推進してまいりたいと考えております。高校生の様々な活動の場を提供して関係の市や団体とも連携を図りながら推進してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それからもう一点、4月7日に開催されます湖南市立甲西中学校夜間学級開設式の開催についてお知らせいたします。4月7日16時から湖南市立甲西中学校夜間学級の開設式が開催されます。
開設式の内容といたしましては、式典でございますので式辞、祝辞、入学者代表の言葉などがございまして、開設式の終了後は、施設の見学でありますとか、テープカット等が行われる予定でございます。なお夜間学級につきましては、今のところ10代から60代の21名の方が入学される予定と聞いているところでございます。
この夜間中学校での学びが豊かなものになりますように私としても強く願っているところでございます。それでは3ページ以降の本日の話題提供についてお話をさせていただきます。
本日提供させていただきますのは講談社様が実施していただいております「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」という点でございます。
まず、資料の3ページをご覧ください。講談社さんの「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」は、子ども向けの本をたくさん積んだキャラバンカーで子どもたちに絵本や読み聞かせを届けていただいているお取り組みでございます。
来月4月14日から5月30日までの間、滋賀県に訪問をされます。
滋賀県にお訪れていただくのは今回で11回目で、前回は令和元年ですので、ちょうど私が教育長になった年で、6年ぶりということでございます。
「おはなし隊」は平成11年、1999年7月に始められた講談社様の社会貢献事業であると聞いております。この取組は、地域や学校、そして民間団体など子どもの読書に関わるみんなで連携して、滋賀まるごとが子どもたちにとっての「としょかん」になるという「滋賀まるごと『こどもとしょかん』」に繋がる活動だと思っておりますので、県としても応援しているところでございます。訪問先等につきましては、7ページに一覧表で出させていただいておりますが、県内で70ヶ所を超える施設などから応募がございました。そのうち保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校、図書館、こども食堂など、延べ25ヶ所を訪問される予定と聞いております。
訪問先の中には、全国的にも知られ、滋賀の魅力発信に繋がる場所も含まれております。一つは4ページにございますが、公益財団法人の江北図書館でございます。120年の長きにわたりまして、地域の皆さんや子どもたちに読書の場を提供されておりまして、現在少しリニューアルをしていただいたと聞いておりますが、私立として作っておられる図書館では全国的にも3番目に古く、県内に現存する最古の図書館でございます。
そして、その下にもございますが近江八幡市立沖島小学校は全国唯一、湖にある島の中の小学校でございますので、ここはちょっとキャラバンカーでは渡れませんので、「おはなし隊」の皆さんが船に乗って訪問いただいて、沖島小学校の児童と一緒に取組をしていただくということでございます。
また豊郷町立図書館につきましては、ヴォーリズ建築の「豊郷小学校旧校舎群」として国の登録有形文化財になっているということです。以上3箇所については取材いただけますので、また皆様、当日お越しをいただければと思っております。資料には、講談社様のプレスリリースも添付しております。
本日、講談社の方にもお越しいただいていますので、簡単に自己紹介とご説明をお願いできますでしょうか。丸山様よろしくお願いします。
(講談社丸山様)
お時間ありがとうございます。講談社で26年続けております子ども向けの社会貢献活動の「全国訪問おはなし隊」を担当しております丸山と申します。
お時間ありがとうございます。詳細、教育長様の方からだいぶ細かくお話を頂戴することができまして、大変感謝申し上げます。ありがとうございました。今回弊社26年間続けている活動ですが、直近弊社と読売新聞さんとで書店振興に関して緊急提言みたいなこともさせていただきました。
やはり昨今の財政難からくる図書館の図書購入費の減少だったり書店の減少だったりというところに直面しまして、改めて続けてきた活動の意味があるかなというふうにも考えております。
その中で1ヶ月間訪問させていただく中で、滋賀県のお子さんたちにより本を身近に感じていただくことができれば、楽しんでもらうことができれば、というふうに思っております。
先ほど3ヶ所をご取材いただけますと教育長様の方からお話しいただいたのですが、加えてあのリストにございますところは、基本直接コンタクトを取っていただく形にはなりますが、もちろんご取材いただけます。ご希望があれば、お問い合わせは直接私の方に相談いただければと思います。ご質問あれば、またよろしくお願いいたします。
お時間ありがとうございました。
(教育長)
どうもありがとうございました。先ほどお話しいたしましたように4ページに取材可能な場所とか日時を記載しております。
また江北図書館さんまた豊郷町立図書館については、一般のお子さん、また保護者の皆さんもご参加いただけますので、講談社様あるいは県の生涯学習課の方にお問い合わせをいただければと思っております。私からのお話は以上でございます。本日もよろしくお願いいたします。
(朝日新聞)
夜間中学校についてお伺いしたいのですが、まず一点目、県内初の夜間中学校が開校するということで教育長として改めてどんな学校にしていきたいのか教えてください。
(教育長)
滋賀県の夜間学級を実現するにあたって、取り組んでいただきました湖南市の皆さんには改めて御礼を申し上げたいと思っております。どんな学校にしていきたいかということですが、やはりこの学校はいわゆる学齢期に学べなかった、海外にいたので改めて日本のいろんなことを学びたい、そういう人たちの学校になってほしいと思っております。
そういう意味においては、それぞれ1人1人の学びの状況に応じて、丁寧に授業等をやっていただいて、そしてこの3年間で、あるいは3年以上かかるかもしれませんが、しっかりと学んで夜間中学校を卒業していただきたいなと思ってます。そしてこの学びが、それぞれの方、10代から先ほど60代と言いましたけど、それぞれの方のこれからの人生をより豊かにするような学校になってくれればと思っておりますので、県としても湖南市と意見交換しながら全面的にバックアップをしていきたいと考えているところでございます。ですから、単に1年経ったから2年生になり、その次3年生になるのではなくて、1年生でまだ十分学べなかったらもう一度学んでいただいて、甲西中学夜間学級の学びが非常に良い学びだったなと思えるものになってほしいというのが一つと甲西中学校にできますので、甲西中学校を初め、昼間の今の中学生13歳14歳15歳の中学生とも交流できる場面があれば交流していただいて、そしてお互いの学びに繋がることを期待しております。
(朝日新聞)
初年度の入学者の方が21人中、外国ルーツの方が12人。その他の方、いわゆる不登校だけではないと思うんですけれども、形式卒業者と言われる方たちが夜間中学校にこれまで入れなかったのが入れるようになったのが一つの大きな特徴かなと思うのですが、その点についてはいかがですか。
(教育長)
今おっしゃられたように12名が外国籍の方でブラジルや中国等いろんな国の方がいらっしゃいますが、その人たちはやはり改めて日本の中学校の学びを体験し、日本語も学んでほしいと思います。そして日本人の9名の方は様々な年齢層がいらっしゃいます。今朝日新聞の林記者がおっしゃられたように、いろんな理由で学べなかった方がいて、そしてその学べなかったことはやっぱり社会で生きていく上でちょっといろんなことで困ったりする場面もあると思いますので、そういう人たちにとってより豊かな人生を送っていただくために夜間中学校で学んでいただくことは非常に大切だと思っております。今、夜間学級夜間中学のことを取り上げていただいている映画も出ております。
夜間学級について思ったのは、JRの駅の表示がひらがなで書かれておりまして、あれは漢字が読めない方も世の中にはいらっしゃるいうことを意識して旧国鉄時代からひらがなであったと聞いております。ただ、駅の表示もいろいろありますけれども、例えば何々駅まではいくらというのがありますが、やっぱり漢字であると読めないという話も聞いたことがあります。そういう意味において、やっぱり言葉をしっかり学んでいただく、そしていろんな基礎的なことを学んでいただくということは、その人が生きていく上で非常に大切なことだと思っていますので、この夜間学級もそういった意味で、言葉だけではなくて他のことも含めて多くのことを学んでいただければと思っております。
(朝日新聞)
湖南市に開校しますが、湖南市以外の県内全域から入学できるのも大きな特徴だと思います。夜間学級ができることで、県内全体の影響はどういったことを期待されるでしょうか。
(教育長)
あくまで湖南市立甲西中学校ですけれども、今回も湖南市にお住まいの方は9名で、湖南市以外の方が12名とお聞きしております。湖南市以外からも来ていただけるということは湖南市以外でもそういったところで学びたいという方がおられ、その方々を受け入れていただいている湖南市、湖南市教育委員会、そして甲西中学校に私は非常に感謝と敬意を表したいと思っております。
ただ、どうしても県の南部の方が今のところは多いと思います。やはり北部から来るのは少し距離的にも遠いのかもしれません。そういう意味におきまして今後、滋賀県全体での夜間中学をどうしていくのかは今後も引き続き、残りの18の市町とも、今後も話し合っていく必要はあると思っております。
(京都新聞)
先ほどの質問に重ねまして夜間中について、市立ということで湖南市が運営していくと思いますが、学校の先生の配置などは当然県の教員の支援というのが重要になってくるかと思います。今後の県や県教委としての関わりを具体的に教えていただけますか。
(教育長)
これは湖南市ともよく話し合わないといけないと思いますが、一つは夜間中学の先生につきましては、県費負担教職員ですので、その先生方をしっかり配置していくことが必要だと思います。次年度以降生徒数がどう変わっていくかわかりませんので、どういう先生をどのように配置していくのかは、湖南市ともしっかり話しながら、県としても応援していきたいと思っております。学校運営につきましても今は夜間中学の開設前後の国の支援もございますので、その点については一応3分の2は県が負担して3分の1は湖南市が負担するというスキームで今始めていますので、この点につきましても引き続き湖南市とも話し合いながら、県として応援していくことが大切だと思っております。
(京都新聞)
甲西中の校長先生に聞きますと、事務員さんとか保健室の先生がいないということで、それは現場からも要望はあったかと思いますが、今回は配置されないということで、この辺りの判断というのはどういったものでしょうか。
(教育長)
夜間中学ができますが、入学される21名の方は夕方から夜にいらっしゃるわけです。事務員さんとか、例えば保健室の先生、養護教諭の先生方を独自に採用するのか、それ以外の対応で可能なのか、ここは湖南市とも事前に擦り合わせをしながら、甲西中学校にどういう人をどう配置していくのがいいのか、ここはかなり詰めてやってまいりました。
ただ1年目ですので、まだまだやっていく中でいろんな課題とかも出てくると思いますので、そこは十分また湖南市、甲西中の現場の声も聞きながら、県としてどういう対応していくのかを考えていきたいと思っております。
(京都新聞)
今後ですが1校目ができるということで、やはりなかなか北部の方は来づらいという側面もあるかと思います。このあたりで2校目3校目という議論やお考えのところはありますでしょうか。
(教育長)
まだ開校もしておりませんので、どんな効果があるか、どんな課題があるかというのもわかりませんが、今回こういう形をとらせていただいたのは、いわゆる市町立の中学校の中に夜間中学を作った方がいいのではないかという観点のもとに取組を進めさせていただきました。他府県では県立で作っておられるところもあったのを承知しておりますが、滋賀県としては、もし市や町で作りたい、作ってみたいと思われるところがあれば、県が応援する形をとる方がいいという判断で今、取組を進めさせていただいております。今後2校目をどうするかは、先ほども申し上げましたが、残りの18の市や町とも話をしながら、甲西中学校の状況をしっかりお伝えしながら、自分たちの市や町はどうだろうかというのを考えていただきたいと思っております。
(京都新聞)
ありがとうございます。講談社さんの方に伺いたいのですがよろしいでしょうか。こちらの訪問について、四半世紀続けてこられているということですが、滋賀は何度目なのか、あるいは毎年滋賀も含めて全国回っておられるのか教えていただけますか。
(講談社丸山様)
滋賀は11回目です。基本的には2台の車が東側と西側と1都道府県を1ヶ月ずつ回ってきましたので大体2年に1回、1都道府県を回ってきたという形になります。基本的には弊社負担ですが、載せている本自体は半分が弊社のもので、残りの半分は他社様のものなので、読書推進という形で貢献できているのかなというふうに思います。
(京都新聞)
四半世紀続けてこられて、よく書店数がどんどん減り続けているっていうことも言われていますが、例えば参加者の方の反応の変化ですとか、何か続けてこられる中で本との関わり合いみたいな部分で当初との違いや変化がありましたら教えていただけますか。
(講談社丸山様)
私自身が20数年間やっているわけではないのですが、子どもたちは本当に変わらなというのが実感だと、長く携わっている者からは聞いております。基本的にこの本をこういうふうに読むと、たいていの子どもはこういう反応するみたいなことはある程度見えてきて、それが経験値としてたまってきているかなというふうには思います。逆に環境として、やはり例えば被災地周辺の県に問い合わせると、今までは図書館もあった、あるいは移動図書館があったものが、この地域に関しては全てなくなったのでぜひ来てください、といったお話をいただいたりとか、子どもがというよりは状況が少し変わったかなというのは感じることはございます。
(京都新聞)
ありがとうございます。未就学児や小学生というのは、私のイメージですけど、よく読んでるのかなと思いますが、統計的にも中高大と大きくなるにつれてどんどん読書の冊数は減っているかと思います。講談社さんとしては、どうやってこの大人にも読んでもらうのか、その辺りのお考えとか取組がありましたら教えていただけますか。
(講談社丸山様)
確かに自治体様とお話をすると、子どもが生まれて例えば数ヶ月目検診でブックスタートで絵本に取り組んでいますとか、小学生向けまでは結構できていますとおっしゃる自治体さんが多くて、問題はその先で、全くおっしゃったことと同じことをよく聞かれることがございます。ただ正直、私どももなかなか正解は見えないところで、ある程度成長の早い子どもは大人の本を読みますし、その間を埋めるものが何なのかというと、私ども小学校高学年くらいですと青い鳥文庫などがあるのですが、その先どうするかというと、なかなかそれをターゲットにしたものが売れるわけでもなかったりするので、決めかねているところではございます。
(朝日新聞)
講談社の方にお伺いしたいのですが、前回滋賀県に来られたのが令和元年で6年ぶりということで、ちょうどコロナの時期だったと思いますが、前回も制限された部分があったのか、今回も一緒なのか教えてください。
(講談社丸山様)
そうですね。確かにコロナの頃から3年弱くらい活動自体がクローズしてしまっておりまして、間が空いてしまったというのと、2024年問題でドライバーさんの働き方の変化で同様の形にはいかなくなったりしました。今回70ヶ所からおかげさまでご要望いただきましたが25ヶ所しか行けなかった中では本当にトラックが大きくて入れないとか、ご希望の場所が、距離が遠すぎてうまく繋げないというのが第1の理由ではありますが、加えてドライバーさんの調整が難しくなったというところも数件はございます。それを改善中ですので、また以前のような形でのフルオープンで実施できるように整えたいと今動いているところです。
(京都新聞)
高校授業料の無償化についてお尋ねします。先月の自公と維新が合意した無償化ですが支援金の増額であったり年収要件の撤廃であったり、そのあたり、まずこの合意内容についてはいかが受け止めていらっしゃいますか。
(教育長)
合意内容を私がどう受けとめるかというのはなかなか難しい部分がありますが、この高校の無償化は、今の子育て世代とか、これから子育て世代になられるであろう方々にとって、私は支援として良い方向に結びついているというふうには考えます。国公立や私立も含めて更なる授業料が無償化されていくということは、子どもを持っておられるご家庭にとっては支援として大変意味のあることだと思っております。
(京都新聞)
公立高校に関しましては、この春の一般選抜で倍率が1.05倍で、この10年でも下がっております。定員割れも増えております。例えばこの無償化によって私立志向が滋賀でもどんどん強まっていくのではないか、あるいは県外への流出が増えるのではないかという、そのあたりの影響はどうお考えでしょうか。
(教育長)
まず、倍率が1.0を下回る学校もあるし、1.0を上回っている学校もあります。それはやはり、中学生に選ばれるかどうかで、逆に言うと、我々は私学も含めて、中学生が滋賀県の高校に行けるだけの受け皿というか、その定員を確保しようという考え方のもとにやっております。当然県外の学校に行かれる方もあれば、いろんな私学に行かれる方もおられますので、全部が1.0ぴったりになるわけではないと認識しておりますが、高校の授業料無償化により私学を希望する生徒が増えるのかとかいう点については、それぞれの学校の学びがどういうふうに変わっていくのか、学校の教育環境はどう変わっていくのかによって、やはり中学生そして保護者の皆さんがどう選択されるかということだと思います。いろんな報道を見ておりますと、公立高校に対する環境整備のための支援も必要だというお話がございます。我々も知事と相談しながら、それぞれの高校が良くなるように、ハードも含めて取組を進めておりますが、やはりここが充実して魅力ある高校にならないと中学生から選択してもらえないことは当然ありますので、その取組は、公立高校としてもしっかり県立高校としてやっていく必要があろうと思います。
それと、今もう既に高校無償化は進んでいる地域もあります。ここにつきましてはやはりそれぞれの自治体の財政力によるところが非常に大きい部分もありますので、この財政力の格差というのは我々でどうこうできるものではございませんが、こういったところの影響が、無償化したとしても、さらにいろんな場面で広がっていくことも有り得ますので、この点については更なる取組を国の方でもしていただきたいと思っております。
(京都新聞)
国の方といいますのは、それは財政力を均衡化させるための地方への支援、公立高校への支援をより求めていくということでしょうか。
(教育長)
特に阿部文部科学大臣もおっしゃっておられましたが、工業、農業、商業等の職業学科につきましては公立高校が負っている部分が非常に大きいと思います。
ただ、やはり設備とか様々なものでかなり費用がかかるところもございますので、そういったところを充実することによって、工業高校、商業高校、農業高校の学びがより良くなるような取組は自治体だけの力ではしんどいところもありますので、国の方にもそういう応援を要望していくことが必要だと思います。
(京都新聞)
ありがとうございます。無償化が先行しています大阪では私学志向が強まって公立高校の統廃合が進んでいますが、滋賀では今後、例えば統廃合の議論というのを進めていくとか、あるいはどこかで検討していく必要があるとお考えですか。
(教育長)
これは知事とも話さなければならないと思っておりますし、教育委員会としても検討しなければならないと思います。今後の県立高校のあり方をどうしていくのかだと思います。常に申し上げていますが、中学生の99%以上が高校に行く時代にあってすべて今の形の高校、従来の形の、例えば40人学級で6から8クラスの学校というこういうスキームが、果たしてこれからの時代もそのスキームでいいのかどうかも含めて、どういうあり方をしていくのかを考えた先に、滋賀県の各地の高校をどうしていくのかというものがあると思います。
ただ大阪でも大阪市内など都市部の立地のところと、それから地方部の方の立地という問題もあります。地方部においては、当然、高校生が地域の様々な取組や活性化に一定の役割を果たしていただいている高校も多くありますので、そういった高校を、単に小さくなったからといってやめるのが本当にいいのかどうか、そこは丁寧に議論をしていく必要があると思っております。
(京都新聞)
来年度から新入試制度が始まります。これに関しまして、例えば中学卒業生が県立校を選ぶようになるような、例えばインセンティブが働くとか、経費の負担とか、そのあたりはうたっていたかと思いますが、今後の進路選択におけるこの新入試制度の影響というのはどのようにお考えですか。
(教育長)
今回導入させていただきました新入試制度は、今は特色推薦と一般という2回の時期を分けて、2月と3月に実施しておりますが、それを2月の下旬に一本化して、全ての子どもたちがその2月の下旬の試験に臨むという形で、これは生徒のいろんな負担や保護者の皆さんの負担、そして学校現場の負担も変わってくると思います。ただその中で、一般選抜と学校独自型選抜を組み合わせるというやり方をしておりますので、学校独自にこういう生徒に来てほしいという思いは、今回の入試改革でも引き継いでいる部分がございます。そういう意味において生徒が自らの意思で学校を選んで、自分のアピールできるものを、いろいろ取り入れてくれる学校を選択していただければというふうに思っております。今までの推薦は校長推薦だけでしたが、今回はいわゆる自分で推薦するという部分も導入させていただきましたので、中学生がアピールできるものをどんどんアピールしてもらえればと思っております。
(読売新聞)
高校の魅力化について、伊香高校と守山北高校の新学科ですが、入学予定者が伊香高校が17人、守山北高校が37人、いずれも定員には達していませんが、それについてどう見ておられますか。
(教育長)
新学科として森の探究科と未来共創科をつくらせていただきました。それぞれの科に学校の特色があります。そこでいろんな説明会を聞いて、こういう学科で学んでみたいという中学生が一定人数いらっしゃることは、私は大変嬉しく思っています。
ただ定員については、記者がおっしゃるように、定員いっぱいにはなっておりませんが、これも40人学級という仕組みで今滋賀県の高校を運用している以上、40人来ない限りは定員割れという形になります。
ただ私が一番思うのは、この二つの学校の学びがこれから入ってくる高校生にとって素晴らしいな、来てよかったな、面白いな、もっといろんなことを勉強してみようとか、いろんなことに取り組んでみようと思うような学校になるように努めていくことが大切だと思っております。伊香高校の校長先生と守山北高校の校長先生にはリーダーシップを発揮してもらって、新学科が魅力ある学校になるように取り組んでいただき、県の教育委員会としても学校現場の声を聞いて応援していきたいと思っておりますし、新学科での学びを今の中学2年生あるいは中学1年生の人たちにも発信していただいてその後に続いていただく人たちを増やしていければなというふうに思っております。
(読売新聞)
この2校はいわゆる新しい普通科という学校の仕組みに基づいての取組だと思います。県内の県立高校のあり方を考えていく上で再編というのもやり方としてはあると思うのですが、この2校みたいな普通科を改組する手法については、今後もまだやる予定はあるのでしょうか。
(教育長)
議会の答弁でも少しお話したかもしれませんが、もう一つの課題が多様な学びの実現ということで、学びにくさを抱えている子どもや8時半から16時半ぐらいまでずっと学校にいることがしんどい子どもなど、様々な生徒がいると思いますので、そういった多様な学び方ができる方法をもう少し作っていくことは、まだ魅力化として我々に残されている課題の一つだと思っております。今いろいろ議論しながら、未来共創科と森の探究科を作りました。普通科の特色化をどこまで進めるのかというのは、この2校の学びがどうなっていくのかも見ながら考えていくことになります。県南部の普通科の高校は、倍率が1倍を超えている学校も非常にたくさんございますので、そこでの学びというのはまた違った意味での学び、普通科のままでもいろんな学びを特色化していくことや、これからの時代は、大学との連携も含めて高大連携の学びをさらに充実していくことも学校の中ではあろうと思います。学科の改編ではなく、大学との連携をどういう形で拡充していけばいいのかという点もございますので、それぞれの学校でのアイディアをどんどん出していただいて取り組んでいくことが大切だと思っております。
(読売新聞)
今、言及のあった残った課題で毎日学校に来るのが難しい子どもなど、そういうところが課題だとお話がありましたが、それは具体的にどのように対応していかれるのですか。
(教育長)
例えば、始業時間をずらすことも可能ですし、それからもう3年間にとらわれることなく、これだけの学びができれば4年間でいけるということも可能ですし、それはまだまだ可能なことがたくさんありますので、そこを議論しながら詰めていきたいと思っております。学校現場がどういうふうにすれば対応できるのか、それと併せまして今の定時制や通信制との関係もありますので、そういったものを整理していく必要があると思っております。
(読売新聞)
ありがとうございます。冒頭ありましたが、本日で最後の会見だということで、6年間どうもお疲れ様でございました。新しい方がこの間の議会で人事が出ていまして、任命するのは知事ですが、後任の方にどういうことを期待されるかとか、どのような経緯であの方が選ばれたのかお話いただけるようでしたらお願いします。
(教育長)
話しにくいところもありますが、新しく教育長となられる今の子ども若者部の村井部長につきましては、昨年度まで教育次長もしていただいておりました。
それから私が教育長になった年に、当時の高校再編、いわゆる湖西地域の高島高校と安曇川高校をどうしていくのかを一緒に議論したこともございますので、6年間私がやってきたことは、村井部長もいくつもよく知っておられると思います。それと併せて、子ども若者部長という形で様々な子どもたちのことを思いながら、この1年仕事をしていただいたと思いますので、私も同じ考えですが、子どもにとって最も良いことはどんなことなのだろうかということを意識して村井部長は多分仕事をしていただけるというところに、私としては非常に大きな期待をしております。
(読売新聞)
すみません。最後です。6年間振り返られていろいろ取り組まれてきたと思いますが、振り返ってどうだったかというところをお話いただきたいです。
(教育長)
先ほど講談社様の方でもお話がございましたけれども、令和2年からの新型コロナウイルス感染症というのは、教育現場に与えた影響というのは非常に大きいと思います。
知事が県議会での最後の挨拶で私に対して言及されたときもございましたが、今でも覚えている令和2年2月27日の当時の安倍総理の「3月2日から全国の学校を休みにする。」という要請を踏まえてどうしていくのか、子どもにとって最善というのは何なのだろうかというのを考えました。ただその後の記者会見でも私も何度も質問いただきましたが、コロナを正しくみんなが理解できていたのだろうか、今振り返ると、どうだったのだろうかという思いはあります。
ただ当時は、やっぱりわからないこともたくさんございましたし、子どもたちの安全を考えて、国自体がそういう取組をされるのであれば、滋賀県としてもその取組をせざるを得ないなと思いました。
ただそのとき改めて感じたのが、特に小学生あるいは特別支援学校小学部、中学部の子どもにとって、学校というのが、平日のすごく大切な場所になっていたのだということを改めて学校を休校にして気づきました。
保護者にとりましても、子どもが学校に行くことで、安心して仕事ができるという意味も持つ場所であったなというのを意識しましたので、今後同様のことがあるかどうかはわかりませんが、その際には、子どもたちにとっての学校、そして保護者にとっての学校というのがどうあるべきか、このコロナを踏まえて、やっぱりそこはもう一度考えることも大切ではないかなというのが一点でございます。
もう一つは、多くの人に学校の教育は支えられていますので、滋賀県では様々な体験活動をやっております。特に私が一番力を入れてやりたいと思っていた「うみの子」という体験活動ですが、40年続いてて60万人を超える児童が乗船したこの「うみの子」という体験を続けるためには、多くの人のご協力が必要です。企業の皆様、そしてボランティアで関わってくれるサポーターの皆さん、そしてびわ湖汽船を初め関係者の皆さんのご協力があって成り立っています。こういった体験の場、びわ湖ホールもしばらく休館するように聞いておりますが、「ホールの子」、あるいは「やまの子」そして「つちっこ」とか、そして今度は「水辺の子」というのを土木交通部の方でも取り組みをされると聞いておりますが、こういった体験活動を子どもたちに提供することは大切ですので、多くの方々から応援の声をお聞きできたことを大変嬉しく思ってます。
もう一つ、高校生の留学応援プロジェクトを昨年から始めましたが、これについても本当に多くの企業の皆さんに応援をいただきました。応援なくしてこの事業は成り立たないので、多くの滋賀の関係者の皆さんから応援してもらえていることはすごく嬉しく思いましたので、引き続き応援していただけるように県と市町の教育委員会で一生懸命考えながら取組を進めて欲しいと思っております。
あとは多くの質問をいただきました、教員不足で教員をどうやって確保するのかということも、コロナ禍ではありましたが、いろんな取組をして教員採用の取組もだいぶ変えてまいりました。その成果がまだ出ていない状況ではありますが、やっぱり引き続き学校現場を良くするために、多くの先生方が活躍してもらえる学校現場を作るために、教員の確保というのは引き続き取り組まなければならない大切なテーマであろうと思っております。
(中日新聞)
若干話が戻って大変申し訳ないのですが、先日の入試のときの合格発表で玉川高校の方で合格発表のミスがあったかと思います。子どもにとってはなかなかショッキングなミスだと思うのですが、そのあたりに関して受け止めというかコメントをいただけるとありがたいです。
(教育長)
まず、誤ったものが学校現場で掲示されたということは絶対あってはならないことですので、そこのチェックが十分でなかったことは教育長といたしましても大変申し訳なく思っております。特色選抜という2月の頭に実施したものと、一般選抜というこの3月に実施した結果を一覧表にして掲示しておりますので、前にもう掲示したデータが、最終のデータなのかの確認が不十分であったという点が今回のミスだと思っております。その点については、受験生そして保護者の皆さん、関係者の皆さんに大変申し訳なく思っている次第でございます。次からは制度がもう変わりますので、発表も1回で行うという形になります。その1回の発表で間違っているようではもう全然皆さんの信頼を得られないので、そこはやはりしっかりやっていってほしいというふうに思っています。
(中日新聞)
ありがとうございます。また話が戻りまして、6年間大変お疲れ様でした。6年前の就任の会見のときに学力向上と障害のある子どもへの支援を、県の教育課題として挙げてらっしゃいましたが、その点についての成果といいますか、やりきったことがありましたらお願いします。
(教育長)
まず学力というか、学ぶ力というか、生きる力というか、どれを言うか、よく言われますのが全国学力学習状況調査の調査結果というのがよく出てまいりますが、それらについて様々な調査結果を踏まえて課題を洗い出して、市町の教育委員会や学校現場の先生方とともに、どうすれば今できていないことができるようになるのかを考え続けてきた6年間だと思います。滋賀県が掲げております読み解く力というものについては、様々な授業改善等も行われ、取組も行われてきたので、子どもたちの読み解く力というのは、私は一定ついてきているものだと思っております。この力は単に学力だけではなくて、人と人との接し方の問題にも関わりますので、読み解く力の育成は今後も引き続きやっていくことでありますが、なかなかすぐ答えが出ないので、大変だと思いますがやっぱりここは着実にその取組を進めていくことが大切だと思っております。
それから障害のある子どもを含め、困難な環境にある子どものために何をやるのかということで、一つはやはり特別支援学校の教育環境の整備だと思っております。
特別支援学校で学ぶ子どもが増えていく中でどうしたら教育環境が良くなるのか。
これもすごく時間かかりましたが、一つやりましたことは、草津養護学校や野洲養護学校の大規模改修のために、知事とも話をしながら、新しい特別支援学校を分離新設で作るというのを、一歩踏み出させていただいたところでございます。まだ入口ですけれども新教育長のもとに関係者の皆さんが、地元守山の皆さんのご協力、ご理解を得ながら進めていただきたいと思っています。
もう一点は、私が令和元年に教育長になって、医療的ケアの必要な児童生徒をお持ちの保護者の皆さんが通学でいろいろご負担をしておられる分の支援を令和2年から始めさせていただきました。それまでに実証実験しながら、市町とも話し合いながら、開始したものです。まだまだ回数が十分だとは思ってはおりませんが、様々な資源を有効に活用しながら、学校で学びたいみんなと一緒に学びたいという医療的ケアが必要な子どもが、学べる環境を作っていくことは、非常に大切だと思っています。
併せて今、不登校状態の子どもも増えておりますので、できる限りスクールカウンセラーあるいは家庭への支援を含めてスクールソーシャルワーカーを徐々にではありますが増やすことによって、いろんな子どもなり保護者の悩みに対応できるように先生方の負担を減らしながらそれに対応できるように努めてきたというふうに思っております。
(朝日新聞)
不登校特例校を作るという構想はお持ちではないのでしょうか。
(教育長)
不登校特例校、今は学びの多様化学校という名前になっておりますが、どの校種でそれを作ればいいのか、ある一校を学びの多様化学校として滋賀県内に作った方がいいのかということがあると思います。また、我々が今力を入れておりますのは、学校の中のクラスになかなか入りづらい子どもが学べる校内教育支援センターと言われる場所、いわゆる別室をつくり、そこに関わっていただく先生と支援をしていただく支援員の方を増やしていく形で充実して、できればそこで学んで欲しいということで、市町とも話をしながら取組を進めております。ただ、学びの多様化学校を全く否定しているわけではございません。今申し上げた取組もやりながら、別室にも行きづらい子どもがいける学校があってもいいのではないかという選択肢として十分考えられると思います。ただ難しいのは、小学校中学校は児童生徒が自らの通学手段で通わなければなりません。先ほどの夜間学級ですと、成人しておられる方もたくさんいらっしゃいますので、自分の車で行ったり、電車に乗って行ったりしますが、学びの多様化学校は小学校であれば、仮に1校作ってもそこに通える範囲の子どもは、そう数がいるわけではないので、そこをどう考えるのかというのはあるとは思います。この点についても、引き続き市町といろいろ協議をしておりまして、まだどこかで作ろうというふうには決まってはおりませんが、引き続き、先ほど申し上げました校内教育支援センター、スペシャルサポートルームの整備と合わせて、考えていくべき課題だと思っています。
(京都新聞)
教育長は退任後はどういうことをされるご予定なんでしょうか。
(教育長)
3月21日の県の人事異動の内示があったと思います。その中に、いろんな団体へ派遣されている人たちの内示もあったと思いますが、4月1日からは彦根にございます滋賀県立大学の副理事長兼事務局長として働かせていただくこととなっております。
(京都新聞)
それは4月1日解禁ですか。
(教育長)
22日の新聞に各社載せていただいた部長や次長の異動が載っていたと思いますが、その資料と同時に提供されております。事業団とか、いろいろ別のファイルがあってわかりにくいと思います。また県立大学からも広報されると思います。
(京都新聞)
県教委とは何か一緒にお仕事されるとか、相談役みたいなのを務められるといったことはないのでしょうか。
(教育長)
それはないです。別の仕事をします。
(京都新聞)
県立大では具体的にどんなお仕事をされるのですか。
(教育長)
学長兼理事長は井出先生がやっていただいていますが、その次の副理事長という形で、総務担当です。施設の管理や大学の人事や服務などを担当します。
(教育長)
6年間で会見を72回やらせていただきました。みなさんには大変、お世話になりました。滋賀の教育をよりよくするために多くのご指摘をいただきました。そういった点を踏まえて頑張ってきたつもりですが、まだまだ十分でなかったことがあろうと思いますが、滋賀の子どもたち、滋賀の教職員の皆さんの幸せのために頑張ってまいりました。6年間どうもありがとうございました。