IPMとは、「総合的な病害虫・雑草管理」と定義されています。
総合的病害虫・雑草管理とは、利用可能な防除技術を経済性も含めて検討し、病害虫や雑草の発生を抑制するための手段を総合的に講じるもので、人の健康に対するリスクと環境への負荷を軽減、あるいは最小の水準にとどめる技術のことです。
滋賀県の実践指標を下記に示しましたので、IPMの取組についてチェックしましょう。
管理項目 | 管理ポイント | チェック欄 | ||
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昨年度の実施状況 | 今年度の実施状況 | 来年度の実施目標 | ||
水田および周辺管理 | 不耕起栽培を除き、翌年の雑草・病害虫の発生を抑制するために稲刈り後に耕耘する(前年秋期)。 | |||
秋期に畦畔等の除草を行い、越冬害虫の発生密度を低下させる。ただし、除草剤は使用しない(前年秋期)。 | ||||
土壌診断を受け、必要な資材等を施用する(前年秋期)。 | ||||
入水前に畦塗り等を行い、漏水を防止する。 | ||||
育苗・移植全般雑草対策 | いもち病等の常発地では抵抗性の強い品種を選定する。 | |||
種子を更新する。 | ||||
温湯消毒法、微生物農薬または両法併用で種子消毒を行う。 | ||||
健苗育成に努め、病害が発生した苗は早期に処分する。 | ||||
代かき・田植え時に落水しない。 | ||||
ほ場の均平化を図り、田面を露出させないようにし、除草剤は適期に施用する。 | ||||
雑草の多い水田を除き、「初期・初中期一発剤」のみの除草体系とする。 | ||||
病害虫対策 | 病害虫防除所が発表する発生予察情報を確認し、防除の参考とする。 | |||
補植用余剰苗は早期に除去、処分する。 | ||||
水稲の出穂2~3週間前と、水稲の出穂期に畦畔の草刈りを実施し、カメムシ類の密度低下を図る。 | ||||
水田内のヒエ等のイネ科雑草はカメムシ類の棲息場所となるので、早期に除去する。 | ||||
農薬の使用全般 | 防除の実施日、実施場所、農薬の名称、使用時期、使用量、希釈倍数、散布面積、散布方法等を記録する。 | |||
栽培地域の病害虫の発生しやすさ(いもち病マップなど)を参考にし、病害虫防除を実施する。 | ||||
当該病害虫・雑草に効果のある複数の農薬がある場合には、低毒性(人畜毒性・魚毒性)の薬剤を選択する。 | ||||
ほ場周辺に農薬が飛散しないよう、風向や散布方法、散布圧力に注意する。また、飛散しにくい剤型を選択する。 | ||||
同じ系統の農薬成分を繰り返し使用しない。 | ||||
薬剤抵抗性の病害虫が確認されている地域では、当該農薬を使用しない。 | ||||
十分な薬効が得られる範囲で額縁防除、スポット防除等を実施する。 | ||||
湛水状態で農薬を使用する場合は、畦畔等からの漏水防止と、散布後1週間程度の止水期間を遵守する。 | ||||
その他 | 環境こだわり農産物を生産する。 | |||
○の数の合計 |
管理項目 | 管理ポイント | 病害虫・雑草の発生 |
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水田および周辺管理 | 不耕起栽培を除き、翌年の雑草・病害虫の発生を抑制するために稲刈り後に耕耘する。 | 雑草・越冬病害虫対策。 |
秋期に畦畔等の除草を行い、越冬害虫の発生密度を低下させる。ただし、除草剤は使用しない。 | 越冬害虫対策。除草剤の使用は不可。 | |
土壌診断を受け、必要な資材等を施用する。 | 適正な土づくりによる病害虫予防対策。 | |
入水前に、畦塗り等を行い、漏水を防止する。 | 農薬の効果向上、水持ち向上、水質汚濁防止、濁水・農薬成分流出防止対策。 | |
育苗・移植全般雑草対策 | いもち病等の常発地では抵抗性の強い品種を選定する。 | いもち病・白葉枯病等の抵抗性品種利用。 |
種子を更新する。 | 種子伝染性病害対策。 | |
温湯消毒法、微生物農薬または両法併用で種子消毒を行う。 | 化学農薬を使用しない種子消毒法。 | |
健苗育成に努め、病害が発生した苗は早期に処分する。 | 本田への病害持込防止。 | |
代かき・田植え時に落水しない。 | 水質汚濁、肥料・農薬成分流出防止対策。 | |
ほ場の均平化を図り、田面を露出させないようにし、除草剤は適期に施用する。 | 除草剤の効果低下防止対策。 | |
雑草の多い水田を除き、「初期・初中期一発剤」のみの除草体系とする。 | 農薬使用量削減対策。 | |
病害虫対策 | 病害虫防除所が発表する発生予察情報を確認し、防除の参考とする。 | 病害虫の発生状況に応じた防除(注)。 |
補植用余剰苗は早期に除去、処分する。 | いもち病まん延防止対策。 | |
水稲の出穂2~3週間前と、水稲の出穂期に畦畔の草刈りを実施し、カメムシ類の密度低下を図る。 | 斑点米カメムシ類の耕種的防除。 | |
水田内のヒエ等のイネ科雑草はカメムシ類の棲息場所となるので、早期に除去する。 | 斑点米カメムシ類の耕種的防除。 | |
農薬の使用全般 | 防除の実施日、実施場所、農薬の名称、使用時期、使用量、希釈倍数、散布面積、散布方法等を記録する。 | 防除の記録。農作物の安全性の確保。 |
栽培地域の病害虫の発生しやすさ(いもち病マップなど)を参考にし、病害虫防除を実施する。 | 病害虫の発生リスクに応じた防除。 | |
当該病害虫・雑草に効果のある複数の農薬がある場合には、低毒性(人畜毒性・魚毒性)の薬剤を選択する。 | 散布者、生態系への影響低減。 | |
ほ場周辺に農薬が飛散しないよう、風向や散布方法、散布圧力に注意する。また、飛散しにくい剤型を選択する。 | 農薬の飛散防止。 | |
同じ系統の農薬成分を繰り返し使用しない。 | 病害虫の抵抗性獲得・発達防止。 | |
薬剤抵抗性の病害虫が確認されている地域では、当該農薬を使用しない。 | 農薬使用量削減(抵抗性病害虫には当該農薬の効果が低いため追加防除の必要性大) | |
十分な薬効が得られる範囲で額縁防除、スポット防除等を実施する。 | イネミズゾウムシ、イネクロカメムシ、コバネイナゴ、斑点米カメムシ類、紋枯病等を対象。 | |
湛水状態で農薬を使用する場合は、畦畔等からの漏水防止と、散布後1週間程度の止水期間を遵守する。 | 除草剤や粒剤等の湛水状態で散布する薬剤の流出防止。および、効果低下防止対策。 | |
その他 | 環境こだわり農産物を生産する。 | 化学合成農薬の半減。 |