インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症で、「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべき「重くなりやすい疾患」です。
主な感染経路は、患者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを他者が吸い込むことによって感染する「飛沫感染」です。また、手洗いが不十分な場合には、ウイルスが付着した手で口や鼻、目に触れることによる「接触感染」でも感染が起こります。
例年、11月下旬から12月上旬頃に流行が始まり、1~2月頃に流行のピークが認められます。
滋賀県内の発生動向については、滋賀県感染症情報センターのホームページをご確認ください。
流行的な拡がりを見せるのは、A型とB型です。
A型とB型ウイルス粒子表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があります。 とくにA型では、HAには15種類、NAには9種類の抗原性の異なる亜型が存在しており、これらの様々な組み合わせを持つウイルスが、ヒト以外にもブタやトリなどその他の宿主に広く分布しています。
同一の亜型内でも、ウイルス遺伝子に起こる突然変異の蓄積によって、HAとNAの抗原性は少しずつ変化し、これを連続抗原変異と言います。
インフルエンザウイルスでは連続抗原変異が頻繁に起こるので、毎年のように流行を繰り返すと言われています。
A型またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き、約1週間の経過で軽快するのが典型的な症状で、いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いのが特徴です。
とくに、高齢者や、年齢を問わず呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ方、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している方では、入院や死亡のリスクが増加すると言われています。
小児では中耳炎の合併、熱性けいれんや気管支喘息を誘発することもあります。
治療方法としては、対症療法のほかに抗インフルエンザ薬が6種類あります。その効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状により異なり、また、抗インフルエンザ薬の投与は全ての患者に対しては必須ではないため、使用する・しないは医師の慎重な判断に基づきます。
抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。使用する際には用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。
感染予防のために、以下の点について注意しましょう。
〇医療機関や高齢者施設を訪問するとき等、場面に応じてマスクを着用し、咳エチケットを守りましょう。
〇帰宅時や共用物を触った後は、手洗いをしましょう。
〇定期的に換気しましょう。特に、高齢者施設や障害者施設では、同一部屋に人が複数人滞在するときは、換気により空気が滞留しないように工夫しましょう。
〇栄養と休養を十分にとりましょう。
〇発症・重症化を防ぐために、ワクチンの接種をご検討ください。